この物語は、ニコニコ静画やPixivにて連載中の名苗秋緒さんの【はるとごーすと!】の二次創作でございます。二次創作であるため、読む際はその事を分かった上で読んでください。これを機会にこの作品の人気が出ると、いちファンとして嬉しく思います。
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春乃は今、強力な幽霊が出ると噂の廃工場へと辿り着いていた。
「うぅー、怖いよー」
春乃は霊能力者でも、陰陽師でもない。霊感があるけれども、幽霊を払う能力も見る能力を持たない。ただ、幽霊を引き寄せるだけの能力しか持たない。そして他にもちょっとした能力を持っているのだが、それは後のお楽しみと言う事で。
淡い茶色の髪を赤い髪留めで留めた彼女は、うぅーと戸惑っていた。
「本当に行くの、いちくん?」
「あぁ、ここに幽霊が居ると言うのならば行くのみ! それが『超現象研究部』なんだ!」
と、彼女の幼馴染、『いちくん』こと玲は強く言い放つ。それに対して、春乃ははぁーと言う。いくら玲が春乃に憑いた霊を祓う事が出来る人間だとしても、かなりエロい男子だから春乃は気を付ける。特に今はたいして大きくないその自分の胸部に。
「じゃあ、俺は適当にこのビルを回って来るから、お前は別の方から回り込めな!」
「え、えぇ! そ、それじゃあ、一緒に回れないじゃない! もしも私が強力な霊に憑りつかれたりしたらどうするの! わ、私は霊も見えないし、祓う事も出来ないんだからね!」
抗議する春乃に対して、「大丈夫。本当に困っている時は、ちゃんとするからさ」と言って先に入って行ってしまう玲。春乃も仕方ないと思いつつ、春乃も中を探索していく。
丁度、その頃。玲は手当たり次第にそれっぽい封印してある物を破壊して回っていた。
怪しげな壺、意味ありげに置かれた花瓶に、何故か裏に札が張られた絵。
(今はあの篠も居ねぇし、それに慎も居ない。と言う事は、ここに居ると言う大幽霊は俺ではなく、憑りつく先は春乃! ただの浮遊霊であの大きさになる春乃の事だ。大幽霊ならば、いつもの巨乳どころの話じゃねえ! そして祓うのはこの俺だ!)
春乃、彼女は霊に憑りつかれている間、胸が張る、つまり巨乳になると言う能力を持つ。玲はそんな彼女を出来うる限り常時巨乳にするために色々な情報を得ているが、その中で近くにあるこの大幽霊の噂を聞きつけたのである。そんな大幽霊ならばどれだけ胸が張る、船が膨らむか考えていると玲は自然に顔がニヤつく。
(楽しみだなー!)
そう言いつつ、彼は色々な物を壊していき、知らず知らずのうちに大妖怪、九尾の狐の幽霊……失礼、九尾の狐の霊魂が封じ込められている狐の瓶を壊した事に気付かないまま、進んで行った。そしてその九尾の狐の霊魂は、玲が考えていた通り、春乃の元へと向かっていた。
そして春乃は慎重に怯えながら、その廃工場の中を動いていた。そんな彼女の元に九尾の狐の幽霊が近付いて行き、春乃の身体に九尾の狐の霊魂が憑りついた。
「ひゃい! な、何!?」
いつも幽霊に憑りつかれていて、ある意味憑りつかれ慣れている春乃だったが、その時のは違っていた。あまりにも大きいその霊魂の力に、彼女の身体に力が宿って行く。
「やっ! こ、これは……」
そして胸がどんどんと膨らんでいく。そしていつもはすぐに巨乳になるはずなのに、その日はいつも以上にぐぐーんと大きくなっていく。そして巨乳の域を超えて爆乳の域に達しようとする時、春乃の髪が亜麻色に変わって行ってその頭からは狐耳が出て来て、そして髪色と同じ狐の尻尾が現れて、春乃は変わり果てた姿になってしまっていた。
「な、なにこれ……。いつも以上のこの力は……」
動くたびにたゆんたゆんと揺れるその胸を揺らしながら、いつもと違って恰好も変わっているその姿に、春乃は戸惑いを隠せない。
「うぅー、またいちくんに頼まないと……。けれども、いちくん、どこかな?」
そう思いつつ、春乃は玲を求めて歩き出す。歩く度にたゆんたゆんと胸が揺れつつ、頭の狐耳と尻尾が揺れて恥ずかしさで顔が赤くなる。
「うぅ……。いつもより胸が揺れちゃって、恥ずかしいよ〜。そ、それにこの耳も尻尾も恥ずかしいし〜」
「春ちゃん!」
そんな彼女の元にやって来たのはこの光景を望んでいた玲……ではなく、篠美織だった。
「ど、どうして美織ちゃんがここに!? 慎くんと一緒にスイーツ研究に行ったんじゃ?」
「何か嫌な予感がしてやって来たのよ。ここ、廃工場になってからそれらしき怪しい壺なりなんなりと、幽霊の住処になっているからね。その一つに強力な霊が居ると言う噂を手に入れている彼の姿を偶然見かけてね。弟さんは憑かれないようにまだお店の中よ」
そうなんだ、と言う春乃と、こうなる事を予測してよと怒る美織。
「まぁ、あいつに祓われる前で良かったわ。とは言っても、これだけの霊だと私だけでは祓えないから神社に行きましょう。あそこなら清浄な気で弱まるし」
「うぅ、この格好で街中を歩かないといけないの……」
「大丈夫よ。胸はともかく、狐耳と尻尾は霊力で出来ているから、普通の人には見えないわ」
「じゃ、じゃあ、いちくんには見えるんじゃない! こ、困ったなー」
「……あのバカは放っておいて先に帰りましょう」
そう言いつつ、手を引いて歩きだそうとする美織。
「で、でも……」
「良いから! 早く行きましょう」
たゆんたゆんの爆乳を揺らしながら、春乃は美織に連れられて神社へと向かう。その後、玲はなかなか見つからない春乃を探しまくった、疲れ切った姿で家へと帰って行った。