乳タント 赤色

帝国城摂政 作
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 俺の所属する『576プロダクション』は、昔は『株式会社576』と言う会社名で今よりも遥かに小さな会社だった。主業は人材派遣で、副業としてアイドル業を行う小さなプロダクションの会社である。それを今のそれなりに有名なアイドルプロダクションに『576プロダクション』へと変えた我が父親は、流石としか言いようがない。そしてそんな『株式会社576』の頃のアイドルも居る。俺は父親が社長だった事もあって、その時所属していたアイドルとも面識がある。
 俺が9歳の時に出会った3歳児、それが後にアイドル界の女帝との異名を持つようになる赤嶺比叡(あかみねひえい)である。



「全く……どうしようもないわね。あの女優さんには『ミラクル紅葉まんじゅう』でしょうが。まぁ、私の方でごまかしといたから良かったけど、今度からは気を付けなさいよね」


 その日、俺、木崎優斗は仕事の帰りに赤嶺比叡と一緒に秋の夜道を帰っていた。とある女優に出すためのお菓子を間違えてしまって、怒られてしまったのである。3歳からの芸歴15年の現在17歳の比叡がフォローしてくれたおかげでどうなったけれども、あのままだとどうなっていた事か。


「全く……優斗はいつになっても私が居ないとダメね」


 と、比叡はそう言いながら俺に手を差し伸べる。
 長い赤い髪をマフラーのように巻いた独特の髪型、そして占い師が着るような野暮ったい胸元が大きく開いた状態の藍色のローブを着た彼女。彼女は僕の手を取ろうとして、


「や、ヤバい……。は、ハクション!」


 と、大きくクシャミをする。それを見て僕もまずい事になったと思いつつ、彼女の顔色をうかがう。


「だ、大丈夫か、比叡?」


 恐る恐る聞くと、彼女は凄く不服そうな顔で僕を見ていた。


「ふ、ふん! そんなので機嫌を取ろうとしたって無駄なんだからね!」


 と、そう言いながら俺の手を取る彼女。そして胸に書いてある『-3』と言う赤文字を見て、僕はこう思っていた。


(あぁ、3歳若返っていたんだな)


 と俺は理解していた。


 歌も踊りも、そしてトークも完璧な『576プロダクション』のトップに君臨する乳タントアイドル、赤嶺比叡の能力。それは『若返り』である。彼女はクシャミをするたびに年齢を2〜4歳若返る。何歳若返るかは凍空吹雪のように文字が現れて分かる。今の彼女は、3年前、14歳の状態と言う事である。そう、その時の彼女は思春期を謳歌していて、俺に対して反抗的な態度を取っていたのである。


「べ、別に良いんだけれども、寒いんだから手を繋いであげても良いんだからね! ……ハクション!」


 と、彼女はもう1度クシャミをする。すると文字が変わり、『-6』と表示されました。


「寒い……うぅ、お兄ちゃん、寒いよー」


 そう言って、6歳若返って11歳となった彼女は俺にその豊満な胸を押し付ける。『アイドル界の女帝』と名高い比叡の身体は、とても柔らかくて、そして良い匂いがする。


「お兄ちゃん……私ね。夢を見たの。お兄ちゃんが私を捨ててどこかに行っちゃう夢」


 それは夢では無い。それは過去の記憶。
 今から6年前、彼女が11歳の頃、俺は一身上の事情により、会社から離れていた。そしてそれまでは「お兄ちゃん、お兄ちゃん」と慕っていた彼女が、帰ってきたら思春期真っ只中のツンドラ少女になっていた。


「お兄ちゃん、私を1人にしないで……」


「大丈夫だよ、きっと会えるから」


 今、こうして6年後に俺達はマネージャーとアイドルと言う関係として会えるのだから。


「……うん。そうだよね」


 と、そう言って眠る彼女。可愛らしい寝顔だが、ボリューム感マックスな胸を僕の身体に押し付けながら眠るのは止めてもらいたい。週刊誌に撮られたらどうする気なんだか。
 翌日、彼女にまた怒られた。理由は会社で寝させたから。だって彼女の家、超高級マンションで本人の指紋がないと入れないからだ。仕方ないからその日は、会社のソファーに寝かして、俺のコートを毛布代わりに被せておいたのだが、それがダメだったらしい。


「あ、あんたが風邪ひくとこっちが困るんだから! ちゃんとしてよね………………おにいちゃん」


 最後の声は聞かなかったことにしておこう。本人の名誉のために。


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 乳タントアイドルNo.4
 名前;赤嶺比叡
 年齢;17歳(高校2年生)
 身長;169cm
 3サイズ;B110(K)、W68、H97
 乳タントの特徴;くしゃみをするたびに、2〜4歳若返る。
 イメージカラー;赤
 売り;歌、踊り、トークを全てこなすアイドル界の女帝
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