猫の仇返し

tefnen 作
Copyright 2014 by tefnen All rights reserved.

翌日、謎が解けたと確信した由里は、絵美を呼び出して協力を仰ぐことにした。しかし、その日の絵美のスケジュールの関係で、夕方からしか空き時間がないらしい。由里は事情を知る唯一の人物にあったことをできるだけ早く打ち明けたいと思っていた上に、その日は家を出る予定がなかったので、先日のようにセクハラ行動に出られる心配がないと踏み、一緒に夕食を食べるという形で絵美を招待した。

(悔しいけど、私一人じゃ呪いをとくのは難しそうだし…絵美にも手伝ってもらわないと)

謎を自分で解けば呪いのことで助けてくれる約束であった。

ピンポンピンポンピンポンピンポーン

「はーい!」

呼び鈴を最初から4回連続で鳴らすなんて絵美くらいだ。由里はそのまま玄関を開け、絵美を家に入れた。

「いや、寒いねー!でも塾は暖房のせいで暑すぎるから温度感覚狂っちゃいそう!」
「うふっ、私の家は暑すぎず寒すぎず、いつも快適だよ」
「ん?そうなの?アタシとしてはちょっとこのボロ家暖房足りてないんじゃない?と思ったけど。ぶっちゃけ寒い!よくあんた平気だね」
「ボロ屋言うな。でも、寒い?」
「ほら、あの温度計だって20℃って言ってるし」

由里は今は半袖に短パンと結構薄着であるが、壁に貼ってあるシール温度計を見ると16℃を指し示している(絵美は冗談で高めに読んだようだ)。とても由里の格好では暖かいとは言いがたい。

「えー!てっきり22℃だと思ってた。それ以上だと数字が消えてるから」
「…そう読むんかい!まあいいや。で、話したいことがあるんでしょ?期末試験が終わったのに勉強の相談とは、相当手応え悪かったみたいね!」
「いや、それはその…じゃなくて!」

若干図星。

「冗談冗談、当然恋の話だよね?」
「もう、エミエミったら…呪いの話だよ、の・ろ・い!」
「そんなに大声で言わなくても分かってるよ!」
「え!?」
「もう、○子は面白いなあ」
「茶化さないでよ」

絵美がやっと真面目な表情になった。その後は、リビングで机を挟んで正座して話すことにした。といっても、絵美はあぐらに近い感じになっていたが。

「さて、呪いのことに付いてまずは○子からレポート!」
「そんなに大仰にしなくても…わかったのは、日光を浴びる時間が体の成長に関与してるってこと、あと日光を浴びるのは建物の内外関係ないってこと」
「と?」
「と?ってそれだけだよ」
「んんー、及第点ってところかな!とりあえず呪いを解くのは手伝ってあげるよ!」
「セクハラはやめないのね」
「ま、まだ呪いの性質で分かってないところもありそうだし!それにあれはセクハラじゃなくてスキンシップだよ!」
「セクハラ部長のセリフだよ、それ」
「にひっ!」
「…もう」

「とりあえず、こういうのは、ケーススタディが大事なんだよ」
「けーすすたでぃ?」
「あー、一つのことを、条件を変えて何度もやって、その時起こったことを比較するってこと。そこから結果同士の共通点や相違点が見つかれば、物事の本質が見えてくるんだよ」
「条件…何度…???」

由里は頭がパンクしたようである。

「そこら辺は分かれよ!何回も経験すれば分かることも増えるってこと!でも、この方法にも限界が来てるみたいだから、他を当たるのを考えないと…いやまあとりあえず、昨日起こったこと言ってみ」
「え、うん…昨日は、図書館に行って本を読んでたの、それでね…」

昨日の事を細かく話していく由里。何かをメモするように手の平の上で指を動かす絵美。相当真剣なようだ。

「…で、気づいたら外が夕日が真っ赤になってて、そしたら…」
「ん、どうしたの、由里?」
「う、ううん。何でもない。そしたら体が成長し始めたの」
「日の入りがきっかけなのは間違いなさそうだね」
「うん。でも、その時の衝撃ったらすごくって、本当に体が飛び上がちゃった」
「ほおほお。おとといのよりすごかったんだ」
「うん、それで急いでトイレに入ったら、衝撃の強さと同じで、体がものすごく大きくなったの」
「へぇーそれは大変だったね(棒)」

という絵美の目はキラキラしている。

「うん。でもセーターが何とか持ってくれたから家に帰れたんだ、その後…」
「ん?」
「何でもない、何でもないよ」
「アンタ、さっきもなにか隠してたでしょ。まさか本当に男?」
「うっ」

拓也のことを考えると、心臓がドキドキしてきた。昨日の優しい少年に、一目惚れをしたみたいに。

「ほらほらー顔が赤くなってきてるよー!」
「あぁもう…やめてよ、絵美」
「由里、妄想で頭を膨らませるのもいいけどさ」
「え…何?」
「胸、膨らんできてるよ」
「え!」

下を見ると、胸が半袖のTシャツを少しだけ押し上げていた。さっきの動悸も恋慕からのものではなく、成長からのものであるのに気づいた。

「そしてアタシの考えを証明することができそうな条件!何が起きるかなー?!」
「か…考え?…うっ…」

そう言う間にも胸はどんどん大きくなっていく。Tシャツはどんどんパンパンになっていき、2つの突起も立派にその存在を主張している。やがて、

ビリッ…ビリリッ…

「いやぁ…!」

圧力に耐えられなくなったTシャツが横から裂けはじめ、一気に破れてしまった。

ブルンッ!

同時に大きくなった胸が躍り出る。

ググッ!ググッ!

いつものように、脈拍に合わせて大きくなっていく。違いといえば、その成長の度合いがいままでで一番激しいことだ。

ガタン!

「うおっ!すごい!」
「え…?」

見ると、膨らんだ乳房がテーブルにぶつかり、成長するたびにテーブルを押していく。

「なんで…こんなに…大きく?うわぁっ!」

ドクンッ!

最後に一発衝撃が加わると、胸はボンッ!と爆発したように大きくなり、それで成長が止まった。

「え、なにこれ…?」
「うおぉー!これは絶対に他ではお目にかかれないね!」

膨らんだ乳房は一部が地面につき、超乳と読んでも差し支えないほどになっている。

(いやっ!こんなのいやぁ…!)

と由里が強く念じると、乳房がブルンッブルンッと揺れ始める。

「お、今度は何!?」
「て…あし…が…」

と、全然伸びもせず太くもなっていなかった腕と足が伸び、同時に脂肪がついていき、正座をしている由里を持ち上げる。同時に短パンがきつくなっていく。逆に乳房はどんどん大きさを失っていく。

(胸から全身に何かが流れ込んでる…!)

そうこうしているうちに変身が終わったようだ。由里は、一昨日にキッチンで成長したくらいのスタイルのいい美少女になっていた。

「はぁっ、何とか、普通に」
「ねえ、由里」
「はぁっ、はぁっ、何、絵美」
「もうちょっと踏み込んで調査してみようか、またわからないこと増えちゃったし」
「え?」
「そのマーク、どこでもらってきたの?」
「え、いつも遅刻しそうなときに通ってた路地裏で猫に付けられたんだけど」
「ほお、じゃあそこ行ってみようか!」
「ええっ?そんな急に!」
「いいからいいから、その呪った奴に呪いの性質とかこっそり聞きたいし」
「え、そんなのより呪いを解いてもらえば…」
「あーっあーっ聞こえなーいっ、ほら、さっさと服着る!」

またガバガバな服を着て、由里は絵美と一緒に家を出て行った。