先輩の望むもの

tefnen 作
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これまでの登場人物:
由里:小さい体をした高校1年の少女だが、ある事件がきっかけで、夜になると体が成長してしまうようになる。
現在は落ち着いているようだが…あと、かなり鈍感。
絵美:由里と同じ高校1年だが、スタイルは抜群。洞察力も高い。元気のいい少女であるが、別の事件が原因で、
魔力を注ぎ込まれると大きく成長するようになる。
拓也:心優しい高校1年の少年。だが、由里と同じく鈍感である。由里→拓也→絵美。
フリードリヒ:日本に巣食う変態魔術師の一人。転移魔法が得意だが、その他の魔法も差し支えなく使えるよう
だ。チャームのお陰で由里には変態を疑われていない。由里やその他の女子をもてあそぶ。
カッツェ:その相棒。変身魔法が得意であり、由里に呪いをかけた張本人。猫。

日本の真ん中辺り。一人の少女がそこに住んでいた。
彼女の名前は、佳奈。おかっぱの黒髪、身長は平均以下で、女の魅力というものがさっぱりない。その思考力と、
知的な顔立ちだけが、彼女のとりえだった。
彼女は、見てしまった。彼女の親友、由里が、呪いか何かで成長し、暴力的だが、魅力的な女性になったのを。
そして、魔術師の誘惑に負け、呪いを受けてしまった。もっとも、この一連の事態は彼女の記憶の中には残って
いない。

そして、3学期が始まった。まず耳に飛び込んできたのは、絵美が告白してきた男子を「恋人未満かつ友達以下
で」と振ったこと、また由里が不登校になっていることだ。当然、由里の家を何回か訪れたが、いくら呼び鈴を
鳴らしても出ない。最近はついに諦めてしまった。こんなに小さい体でなければ、扉をぶち破ってでも相談する
のに。

「おーどうしたんです佳奈さん。そんな暗い顔して」
「秋音。おはよう。暗い顔なんかしてない」
「私を騙せると思ったら、十年早いですよ?」
「十年たったら騙せる事になるわね」
「ま、その時はその時で」
「ふ。さあ、授業が始まる」
「おっと、ではまた」

秋音は、スタイルも成績も普通、家も普通と普通づくしの、佳奈のクラスメートである。
この二人はそろって、
茶道部に入っている。といっても茶道部とは名ばかりで、部費の全てをお茶にかけていることをいいことに、寝
転んだり本を読んだりで、勝手なことばかりしている。もちろんそのお茶はティーバッグやインスタントであり、
自分でお茶葉を溶いて飲むことなど一度もない。
そんな二人だが、どちらとも片思いの人がいる。秋音は二次元のキャラというオタク臭い恋人だが、佳奈は、茶
道部室に行く前に通る野球グランドで、いつも練習をしている3年生の先輩に想いを寄せている。しかし、話し
たこともなく、名前も知らず、後3ヶ月で先輩が卒業してしまうことに焦りを感じていた。

授業が終わると、秋音が佳奈の方に飛んできた。

「さあ、さっさと部室に行きましょう!」
「焦らないで、部室は逃げない」
「そんなこと関係ありません!ほら!」
「うるさい。荷物をまとめるまで待って」

校舎を出て部室の方に歩き始める二人。この後、佳奈に起こることを、誰も知る余地がなかった。