先輩の望むもの

tefnen 作
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部室に向かっていると、野球グランドが見えてきた。
(先輩…)
いつもの先輩が、ピッチャーの練習をしているのが見える。
(先輩、恋人はいるのだろうか…)
「ところで、佳奈さん!」
「え!何」
「驚かないでください、こっちまで…いや、それよりも、何でこんなに急いでるかわかりますか?」
「あなたのことだし、どうせ仕方ないことでしょ…あ」

マネージャーらしき女子生徒が、憧れの先輩に近づいていく。3年生では平均的な身長で、胸は小ぶりである。

(あの人が、恋人だったりして……ん!?)
佳奈は、腹部が熱くなっていくのを感じた。
(え…なに…)

「今月の最新号が、ってあれ、どうしたんです佳奈さん」
「いや、ちょっと、胃がムカツく…だけ…ふぐっ!」
「佳奈さん!佳奈さんってば!あれ、佳奈さん、伸びてる?」
「なにを言ってるの…え?」

下を見てみると段々地面が遠ざかっている。前を見ると、秋音の顔と高さが合い、更に高くなっていく。

「おー、これが成長期ですか!」
「馬鹿なこと…言わないで。はぁ…」

成長は収まったようだ。セーターが短くなり、おへそが出るか出ないかギリギリの所になっている。

「で、どんなトリックです?佳奈さんのことだから、何かマジックとか思いついたんでしょ?」
「自分の背が高くなるなんて、そんなマジック、この世に存在しない」
「え、じゃあ…」
「分からない。もしかしかしたら本当に魔法かも」
「…」
「秋音、どうかした?」
「いや、なんでもありません。そういえば、あのマネージャーやってる先輩、知ってます?」
「ああ、あの人。さあ、知らないわ」
「あの人、相当な隠れ巨乳らしいんですよ!」
「隠れ巨乳?」
「そう、あの人、胸が大きいのがコンプレックスで、サラシ巻いて小さく見せてるんですって!もとは、Fカッ
プくらい?」
「そうなの…そんなの私には…関係ない…(いいなあ、胸を隠すなんて、もったいない…うっ)」

佳奈の表情が苦悶に変わる。今度は胸に熱が集まっている。

「佳奈さん!またマジックですか!?魔法ですか!?」
「黙って…くれない…?…くぅっ」

ビンッ!

「おお、こんなとこにギミックを隠してるなんて、佳奈さんもエッチですね!まるで乳首じゃないですか…」
「いや…これは…」

佳奈は、胸の真ん中で電撃のようなものを感じていた。「まるで」ではなく「本当に」らしい。

「いつまでマジックやるんですか、そろそろ部室行きましょうよ!最新号の…」
「うぐぅ…」

佳奈がうめき声を上げるとセーターの上から見えていた突起の周りが、グッと盛り上がった。佳奈は、胸の外側
が内側から押される感覚と、セーターを押し戻す感覚を感じていた。

「え?」
「うっ!」

盛り上がりがさらにドンッと大きくなり、ブルンっと揺れた。

「おー、佳奈さんも隠れ巨乳だったんですか!あの先輩の噂と同じくらい!」
「え?」
「私、巨乳の子と友達になったら、胸を揉むことに決めてたんですよ!さ、部室に行きましょう」
「えっ!ちょっと!あぁん!」

秋音に引っ張られて一歩を踏み出す度、胸の先端がセーターにこすれて、佳奈の体に電撃が走る。部室に付く頃
には、ヘトヘトになっていた。

「さあ、付きましたよ…って、元に戻ってる…」
「え、何だったの、一体」

下を見ると元の貧相な背の低い体に戻っていた。

(どこかで読んだことのある魔法に似てる。何が起こったのかちょっとわかった気がしたけど、この子に教えた
ら弄ばれそうだし…)

「秋音…ちょっと用事を思い出したから、帰る」

と言って、そそくさと帰っていく佳奈。

「え、ちょっと待って下さいよー!あぁ、行っちゃった、あーあ、一人で最新号読むとしますか…」

秋音はそう言いながら、顔は少しニヤけていた。

家についた佳奈は、自分の部屋に直行した。隣の部屋に弟がいるようだが、姉の帰宅には気づかなかったようだ。
セーターを脱ぎ、佳奈は考え始めた。

「自分より大きい女性の事を見るだけじゃない。噂を聞くだけでも、大きくなった。しかし、どうやって」
数日前まではそのような事で体が変化するどころか、見ても聞いても全く気にも留めていなかった。

「絵美に相談しようか」

と、ケータイを取り出しメールを打ち始める。

(…そういえば、絵美はいろいろ大きいんだっけ…)

スタイルのいい絵美が思い浮かばれてくる。

(…いいな。あれ、私、変なこと考えてる。…でも、何も起きてない)

いつもなら友達の体型など気にしない。佳奈はそれにも驚いたが、「自分より大きい女性」の事を考えたはずな
のに、体が変化しなかったのに、疑問がわいた。

(…何か、条件があるのかも。よく知っている人物には、なれないとか…とりあえず、なにか飲んでから考えよ
う。確か、冷蔵庫にジュースがあったはず。弟が飲んでなきゃいいけど)

学校から急いで帰ってきたため、佳奈の喉はカラカラだった。部屋を出て台所に向かう。途中リビングに差し掛
かると、空になったジュースのボトルがテーブルの上に倒れていた。

(…もう。仕方ない、水で…ん?)

ペットボトルの下に、何か本が挟まっている。

(何…これ…うわっ…)

ペットボトルをどかすと、大きな胸をした女性の写真がドーンっと佳奈の目に飛び込んでくる。どうやら弟がグ
ラビア雑誌を置いていったようだ。

(こんなに大きいおっぱい、見るの初めて…)

目が釘付けになる佳奈。

(先輩も、こういうのが好きなのかな…う!?)

突然、佳奈の胸の真ん中が熱くなる。

ボロンッ!

(ひっ…)
セーラー服の左右に、出っ張りが現れ、押し上げられた服には、ピンッっと左右に直線ができる。
(これって…つまり…)

ムクムクムクッ!

次に胸全体が前にせり出し、襟が左右に引っ張られていく。
(く、くるし…うっ)

パァン!

襟が破れ始めたと思った途端に、セーラー服から乳房が飛び出してきた。その大きさは写真のアイドルとおなじ
に見える。

(はぁっはぁっ…つ…つまり、先輩が好きな女の人…いや、私がそう妄想しただけで…その人の体型になるって
こと…)

不意に、アイドルのお尻に目が行く。これも、ものすごく肉付きがいいものだ。

(気、気にしちゃ…だめっ…)

と思うのも遅く、佳奈は下着が締め付けてくる感覚に襲われる。
ビリッという音がして、下着が破れ、スカートもずり落ちてしまった。

(お、重い…)

見ると、大きくなったのは胸と尻だけで、それ以外は元のままだ。

(なんで…あ、写真のとり方のせいで、顔とおっぱいとお尻しか、ちゃんと大きさがわからない)

写真は、腕と足が写真の外に出てしまって、見えないようになっていた。

(じゃあ、私が考えれば…)

というところで、

「姉貴!帰ってるの!?」
「ま、まずい!あ、元に戻ってく…」

弟が叫ぶ声が聞こえてくる。途端に佳奈の体は縮んだ。次の瞬間、リビングに弟が飛び込んでくる。

「姉貴!」
「机の上、ちゃんと片付けて。だらしない」
「ご、ごめん、雑誌のことは黙ってて…でも、風呂に行く時に裸で家の中歩くのも、だめだよ。いくら小さいか
らって」
「お母さん帰ってくるのいつかな?この不敬な弟を叱ってもらう」
「許して!何でもない!お、俺、ジュース買ってくるよ!」

弟はペットボトルを捨て、雑誌を自分の部屋に放り込むと家を飛び出していった。

「いってらっしゃい…はぁ…」

自分の貧相な体を見回して、溜息を付く佳奈。今まではそれほどには気にしていなかった。弟とのやりとりも以
前なら冗談のようなものだったが、今はかなり心に刺さる。

「私…どうしたんだろう」

結局弟は10分もしないうちに戻ってきた。部屋着に着替えた佳奈は、1時間ほど弟で憂さ晴らしをしてやり、代
わりに雑誌の事は黙っておいた。