時は3月下旬、春休みまっただ中、日本の真ん中辺りの空港に、友達を待つ一人の少女の姿があった。
彼女の名前は由里。一人暮らしで料理は得意だが、鈍感な、どこにでもいそうな小柄な少女。今日は、彼女の友
達に加えてもう一人と、北の国にスキーに行く日である。
「早めに来すぎちゃったかな…」
飛行機の出発時間までは2時間あるが、空港の面倒な手続きを考えれば普通の方である。
「あっ絵美ーっ!おはよー!」
「おはよっ!今日も元気かな!?」
といってドタバタと駆け寄ってくるもう一人の少女。由里の親友、絵美である。一足進むたびにその大きな胸が
揺れる。と同時に、
「おはよう!絵美ちゃん、それに、由里ちゃん…」
「まだ気にしてるの!あれは、魔力が暴走しちゃっただけって何度言えば分かるかなー」
「うん、ごめん」
登場後早速怒られる少年、拓也。二人の友達である。
「由里、絵美、遅くなった。ごめん」
「ま、まって佳奈!は、初めまして、英一といいます。よろしく」
「「「よろしくお願いします!」」」
もう二人、走り寄ってきた。一人は佳奈、由里と同じ小柄な少女であり、もう一人は、東方大に見事現役合格し
た、高校3年の英一である。
「英一さん、同じ大学を目指す後輩に、アドバイスお願いします!」と叫ぶのは絵美で、彼女も東方大志望で高
校1年にして塾に通っている。
「あ、うん…ちょっと助けになれないかも」
「え、どうしてですか!?」
「先輩が合格したの、勉強、私が手伝ったから」と佳奈が言うと、
「あー…」
と、がっくりしてしまう絵美。
というのも、佳奈はある事情から、英一が望む姿ならどんな体型にでもなれる能力を得ていた。要するに爆乳好
きの英一のために、勉強が捗るごとに佳奈が爆乳美女に成長して、励ましたのだ。
「ま、とりあえず急ごう!飛行機でちゃうよ!」
と絵美が気を取り直して言うと、駆け出していく。
「あーまってー!」
と他の面々も絵美を追いかける。波乱のスキー合宿は、こうして始まった。