「宮本さんから話だけは聞いてないかしら? うちと宮本家が親戚関係にあるって事を」
と、川萩さんの言葉を聞きつつ、思い返してみる。……そう言えば、宮本さんが言っていたな。宮本さんの父の弟が、嫁いだ先の妹の夫婦が川萩さんの家って言っていたような……。
「けど、ね。瑠璃ちゃんから聞いていると思いますけれども、この関係性はかなり薄い物なの。あなただってかなり薄いと思うでしょ? 実際、川萩家と宮本家の関係はこれだけしかないから、かなり薄いのよ」
「薄い……ね。確かにそうは思いますが」
正直、親類と呼べるかどうかも怪しいくらいの薄さではある。自分は母も父の関係も薄かったし、祖母との関係しかなかったし、どちらかと言えばそのような関係で『家族』と呼べるかと言う事を僕としては疑問視したいのだけれども。
そう言いつつ、宮本さんは自身のその大きな胸を寄せて上げる。それによって彼女のただでさえ大きい、その胸はさらに大きく強調されている。
「だからこその『結婚』よ」
そう言いつつ、僕の腕をつかんでそのまま自身の胸の中に僕の腕を突っ込む。
「宮本家と川萩家の上層部のどちらも想いとしては一緒よ、一緒。どうにかして関係性を強くしたいと考えています。ですから、私とあなたが結婚するのよ。
川萩の娘である私、川萩志保。そして宮本家の隠れた一人息子の三日月一の2人が結婚するとしたら、関係としても凄い関係の強化になるでしょうし、マスコミとしても取り上げざるをえないでしょう。ですから―――――」
「結婚はまだとしても、許嫁くらいにはなってても良いんじゃない?」と、川萩さんは大きな胸を寄せるようにしていた。その豊満で柔らかい胸に僕の腕が挟まれていく。
「まぁ、あなたにとってもこの若いみそらの私の大きな胸を好きに出来るんですから良いですよね?」
「えっと……その……」
そうやって、嬉しそうに僕の方に「結婚! 結婚!」と言いつつ迫ってくる彼女にどぎまぎしていると、
ピンポン! ピンポン! ピンポン、ピンポン!
と、無駄に大きなチャイムの音が聞こえて来る。
「来たようですね、君にご執心中の、私の友達の瑠璃ちゃんがね?」
彼女はそう言って、「待っててね」と川萩さん。僕はそう言う彼女を後ろから見ているしかなかった。