拓也は少女の姿になっても、男子部屋に寝かせられた。英一もやましい考えは浮かばなかったようだ。英一曰く、
「だって元男だし」。翌日の朝になると、拓也は元に戻っていた。しかし、ショックが大きい由里と拓也は、病
み上がりの絵美とともに、宿泊所に残った。
そして夕方になると、絵美の予測通り、拓也に変化が起こったらしい。らしい、と言うのは、豪雪になってしま
い、やむなく早めにゲレンデに帰っていた英一を介して伝えられたのだった。ただし今度は、髪はロング、胸は
DカップだったのがGカップになり、言葉遣いも女性に近づいていた。
5人は、女子部屋に集まって話した。英一は、微妙にバツが悪い思いをしているようだ。
「私、また女の子に…」
「た、拓也くん…」
「由里、なんとかこらえて…早く慣れて」
「慣れたくないよ、こんなの!」
「…」
「大変だな、拓也君も。いやぁ、押し倒された上で変身された時は、まいったよ…」
「む、先輩…どういうこと」
「あ、いや、なんでも…」
「教えてくれないなら、二度と大きくならない」
「いや、こうこうこういうことがありまして…」
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以下、英一談である。
英一が寮に帰ってきた時、拓也は英一のゲームで遊んでいた。一応許可は取ってあったので何も問題はなかった。
「お、拓也君。結局追い出されたのか?」
「あ、先輩、お疲れ様です。いや、絵美ちゃんがうるさくて…」
「はは…昨日は、結構な醜態を晒したらしいね。事故とはいえ、仕方ない」
「そうですよね…そうだ、先輩、一緒にテニスゲームしませんか?」
「お、いいね!」
二人はゲームをスタートするとすぐに白熱して行った。ある所で、拓也は英一に行って、トイレに立った。拓也
は用を済ましてすぐに出てくると、
「すみません…」
「いや、そういうのは我慢しないものだから、構うなよ」
「はい…っ」
拓也は、床を這っていたコードにつまづき、そのまま英一に倒れかかってしまった。
「おっと、大丈夫か?…おい、ここではやめてくれよ」
英一に横から覆いかぶさった拓也の服から、2つの突起が立っているのが見えた。そしてすぐに胸が盛り上がっ
てくる。伸縮性のいい服は、胸の部分だけ膨らみ、その形を浮き彫りにしていた。無類の巨乳好きであり、日頃
から佳奈の旨を揉んでいた英一は、拓也の胸を思わず揉んでしまった。
「先輩っ…」拓也は元の声でうめき声を上げた。英一に言いようのない寒気が走る。だが、「やめてくださいっ
…」と次に拓也から発せられた声は、すでにアルトとソプラノの間の高さまでになっていた。英一はさらに膨ら
んでくる胸を無意識のうちに揉んでしまう。
「あっ…いやっ…」と言う拓也の顔は可愛らしい少女の物になり、さらに短かった髪がファサッと伸び、その一
部は英一にも掛かってきた。30秒位前は普通の少年だった拓也の髪からは、なぜかいい香りがしてくる。
それ以外の部分が女性になった後も、英一は胸を揉み続けていたらしい。
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「…。」
拓也は恥ずかそうな顔をし、佳奈はなぜか顔を真赤にして顔を引きつらせ、由里と絵美は呆れ返っていた。
「だから言いたくなかったんだよ!」
「先輩…「男だから大丈夫」って…」
「膨らんでくるおっぱいは揉みたくなるんだよ!そんなの佳奈に会うまでは一回もなかったし!そんな過激な物
見せられて誰が揉み…すみません」
佳奈が鬼のような顔になったのを見て、英一はとっさに謝罪した。しかし、佳奈は立ち上がり、胸を大きくせず
に体を大きくして、英一の方に近づいていった。そして、
バァン!
「いったたた…何する…んだ…」
英一は、自分より身長の高くなった佳奈に押し倒されたことに気づいた。来ていた服がパンパンになりところど
ころにほつれが見えている。佳奈は冷静さを失い激しい口調で英一に怒鳴った。
「先輩!私以外のおっぱいは揉んじゃダメなの!」
「はっ…はい!」
「はい、だけじゃ、だめ…私が、私のおっぱいが一番だってこと、体に分からせてあげる」
「どう…いう…」
佳奈は、服を脱ぎ捨てると、その何もない胸板を、英一のそれにペタッとくっつけた。英一は、佳奈への恐れと、
これから起こることへの期待を同時に感じていた。
「先輩、告白した時、ゆっくり大きくなるのが良いって行ったよね、こういう…」
ヘリウムタンクからガスを入れられる風船のように、佳奈の乳房は急激にブクブクっと大きくなり、英一の胸部
全体と、顔の下半分までを覆った。
「すぐに大きくなっちゃうのじゃなくて。でしょ?」
「むむぅー」
英一は口を乳房で塞がれて話すことが出来ない。
「ふふっ、かわいい先輩」
佳奈がそう言うと、乳房は膨らんだ時と同じように急激に縮み、再び佳奈と英一の胸板がくっついた。
「ぷはぁ…」
「先輩、嬉しそうだね。これでも良かったんだ。じゃあ、もっとうれしくしてあげるよ、あ、私、勃起しちゃった…」
英一の胸に2つの柔らかい豆のようなものがあたっている。それが、トクン、トクンと佳奈の鼓動に合わせて伸
縮していた。英一もいきり立つ。
「この感覚、いい…」
「先輩たら、かわいいけど、変態さん。私がいつもみたいにじゃなくって、喘ぎ声を出しながら胸を大きくした
ら、もっと嬉しい?」
「うん…」
「それじゃあ…んっ…」
佳奈が言うと、英一は、胸に感じていた佳奈の肋骨と自分の間に、ムニュッっとした感触の何かが入ってくるの
に気づいた。佳奈にとっては、もう変身するときの衝撃など慣れているはずなのだが、その衝撃をあえて自分で
増強しているようだった。
「あんっ…わたしの…おっぱい…おおきくなる…なにか…きてるよっ!」
「佳奈…」
佳奈が一言発するごとに、さらにムニュッとした感覚は広がっていく。
「せん…ぱい!…とまら…ないよ…わたし…わたし!」
「ああ、佳奈っ!」
女子部屋にはもはや二人だけしか残っていなかった。他の3人は、拓也も含めてバカバカしさに呆れてしまい、
部屋を出て行ってしまったのだった。結局、次の朝まで佳奈は自分の胸板に英一の顔を当てさせて、そのまま乳
房を膨らませて挟んだり、乳枕を作ったりなど、色々な状況を作り、膨らませては縮ませ、英一の物は膨らみっ
ぱなしだった。
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それはさておき、こちらは男子部屋。由里は、少女となった拓也に目を向けずに、泣き続けている。拓也は、何
かを考える表情で由里を見ている。
「(お、やっと気づいたのかな…女になって女心が分かるとは)」
絵美は呆れていたが、
「(しかし、今となっては、一日12時間は女性の体…か)」
「その体、明日にはすぐに戻せますことよ」
「「「誰!?」」」
これまで聞いたことのない声がすぐ後ろから急に放たれ、飛び退きながら後ろを見る3人。そこには、
「あらあら、驚かせてしまったようですわね」
ローブ姿の幼女…と言っていいほど小さな少女が立っていた。しかしその口調は見た目に似合わず、声も大人ら
しい。
「申し遅れました。私、ハンナ、と申します」
「ま、また魔法使いか!」
「また、ということは、あなた方で間違いないようですね。フリードリヒとミヒャエルのことはご存知でしょう?」
「フリードリヒさんは知ってるけど、カッツェさんじゃなくて、ミヒャエルさん?」
「その名でも合っています。カッツェとは、ミヒャエルのニックネームですから」
「それで、アタシたちにまた呪いをかけに来たわけ?お生憎様、ここにいる全員かかっちゃってるよ!」
「うふ、そうでしょうね。あの二人の呪いの匂いがあなた達からしてきます」
「呪いをかけに来たわけじゃないのなら、何しに来たの?」
「そうですね、依頼、とでも申しますか。あなた方に、あの二人を捕らえる手助けをして欲しいのです」
「あなたのような小さい子が、あの二人に勝てるの?」
「小さい、ですか。そうですね、あなた方には本来の姿をお見せします」
とハンナが言うと、彼女の体を光が包み、次の瞬間そこには
「これなら、納得いただけますよね?」
ドイツ女性らしい体格のいい、先ほどの少女の出るところが出て、その他全部大きくしたような女性が立ってい
た。とくにその胸はローブを大きく押し上げている。
「わぁ!びっくりしたー」
「ふふ、いつも言われます。小さい姿は、私を目立たせないための、イリュージョン、つまり幻覚魔法を使った
変装なのです。さて、本題に戻りますと、あなた達、ユリとエミは、実際にあの2人を覚えているようですね。
なので、その特徴を教えて欲しいのと、呪いを使うことで2人をおびき寄せて欲しいのです。しかし、」
ハンナは拓也を見た。
「この少女、いや少年は、すぐに直して上げましょう。それが私の「前払い」の報酬、といったところでしょう
か」
「ど、どうすればいいんですか?」と拓也。
「簡単です。呪いの能力を全開にして、結ばれている人と愛のキスをすればいいのです」
「か、簡単じゃないですよ!」
「おや、この年頃であれば、すでに婚約などしているものと思いましたのに」
「いつの時代だ、それ!それにこの童貞には、恋人すらいないよ!」と絵美が突っ込む。
「あらあら、しかしすぐそこに結ばれる運命の人がいるではありませんか」
「え、私、それとも、絵美?」
「それは、内緒、ということにしておきましょう。それでは、明日またお会いしましょうね」
「あ、待って!」
と拓也が言い終わる前にハンナは姿を消した。
「呪いを全開にしてキス…」
由里は拓也の顔を見て、恥ずかしくなった。
「つまり、満月の夜、明日の夜に女子同士でキスしろと…」
「そうみたいね…」
絵美は気味悪がり、拓也は2人を見て戸惑っている。拓也としては、誰が拓也と結ばれる運命の人なのか、全く
わからないようだった。