開放と終焉

tefnen 作
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「なるほどねー!その場にいなかったのは一生後悔しそう!」
「冗談じゃないんだよ、絵美ちゃん」
「はいはい、でも、ということは、由里の呪いも復活したのかもね!」

「私、どうしよう…」

由里がぼそっと言った。絵美は拓也からのメールで由里の家に飛んできたようだ。由里と拓也が由里の家に着いた
時、絵美はすでに20分も待っていた。そして今は、机を囲んで3人で話し合っている。由里は真実を知らされて
からは俯いたままだが。
絵美は、由里の一番の親友である。体型は由里とはほぼ対極で、背は高く、出るところはかなり出ている。また
勘が良く友達思いだが、すこし変態なところもある。

「どれ、右手の甲見せてみ…あぁ…どす黒くなってるね…」
「うぅ…」

由里の右手の甲には呪いの紋章が刻まれており、一旦呪いが解かれたと思った時は、ほとんど透明になっていた。
しかし、今はどの刺青インクでも再現できないほど黒くなっていた。

「こうなったら、本格的に解いてみるしか無いっしょ…」
「でも、呪いを全開にして、運命の人とのキスをする…ていうのが条件だったよね。渡しの場合は難しいよ…」
「うーむ、由里の呪いが全開になっている状態って、さすがのアタシでも想像できないよ!でも、運命の人なら
決まってるんじゃないの!?ん?」
「そ、そそそそんなこと、分からないよ!」
「鈍いのか、自信がないのか分からないけど、拓也に決まってるでしょ!由里は拓也にゾッコンなんだし、拓也も、
由里が一人で呪いのことを抱え込まないようにわざわざここまでやってるんだから!」
「え、そうなの…?」
「ぼ、僕は由里ちゃんが運命の人でも嬉しいよ」
「…」

由里は怪訝そうな顔で拓也を見た。

「本当だって!そりゃ絵美ちゃんのことも諦めきれないけど、由里ちゃんも、かわいい…よ…」
「…!」

互いに顔を赤らめる二人。絵美は半ば呆れ顔、半ば満足そうな顔をしている。

「じゃ、相思相愛のカップル成立は置いといて、由里の呪いをどうやって全開に持ってくかだけど…由里の呪い
って、日光に当たった時間に関係があるんだよね。」
「うん…でも、一日中浴びてても、全開って感じじゃないみたい」
「んでね、アタシが考えるに、この日照時間って、持ち越されると思うんだよ」
「持ち越される?」
「つまり、日光から呪いが集めたエネルギーは日の出の後は一旦、次の日の夜まで、エネルギーが貯蓄された
ままになるんじゃないかと。それで、その日の日光から得られたエネルギーに加算されるってわけ。」
「はぁ…」
「んーでも、それだけだと、一回日光に当たった日があれば、夜の体はどんどん大きくなることはあっても、
小さくなることはないな…だけど、由里は全然変身しない日もあったし…よし、こうなったら実験だ!アタシ、
明日から由里の家に泊まるよ!」
「えぇーっ!」
「呪いを解くためなんだから、つべこべ言わない!あと、拓也は立入禁止ね!」
「はぁ…」
「じゃ!明日お泊り道具持ってくるから!ほら、拓也も帰るよ!」
「絵美ちゃん、あ、待っ…」

ガチャン

「はぁ…絵美ったらメチャクチャ言うんだから…でも、少し元気でたかな」

---

次の日。

「おはよー!」
「おはよう。」
「じゃ、早速外に出て日光を浴びましょう!」
「えっ!今から!?」
「そのためには、水着が必要だから、すぐ準備して」
「み、水着?絵美ちゃ…」
「ほら、早く!」
「もぅー分かったよ…」

水着を持たされた由里は、そのまま絵美宅に連れて行かれた。そこには、プールが有り、プールサイドには2つ
の日光浴用ベッドが、一つには日傘付きだがもう一つは日光をもろに受けるように設置されていた。

「これで傘なしの方に座れっていうんでしょ?」
「おー由里にしては鋭いね!さぁ、わかってるならさっさとやりましょー」
「やだよーもっと自然に日光浴びたいよー」
「アタシもすぐ側にいるから、ね?」
「むーっ」

絵美は「すぐ側にい」たが、日光浴を開始後10分で寝てしまった。

「絵美さーん、脱水症状になるよー」
「ムニャムニャムニャ…グフッ」
「今のグフッってなに、絵美!」
「グヘヘヘッ…ジュルリ…」
「嫌な予感しかしないよ…」

二人は昼ごはんも3時のお菓子もプールサイドで食べた。由里にとっては、プールサイドで食事を食べるなど
初めてのことだった。また、日光が体に照りつけても肌は真っ白のままで、のぼせるような事もなかった。
結果的に、由里は結構この時間を貸してもらった本を読みながら楽しく過ごした。

「さぁ由里、帰ろう!」
「あっ、そうだね…」

空を見ると、段々オレンジがかってきていた。由里宅に着くと、由里は絵美の謎テクニックで全裸にさせられた。
そして、あっという間に日は沈んだ。

ドクンッ

由里は懐かしいが、とても嫌いな衝撃を体に感じた。

「ぐっ…ヒクッ…」
「ん?しゃっくり?」
「そう…ヒクッ…みた…ヒクッ…い」

その「ヒクッ」ごとに体が伸びていく。髪も雪崩落ちるように伸びる。身長が145センチから170センチに達した所で、
身長は伸び終わり、そこからは胸がプルン、プルンっと震えながら膨らみを増していった。結局絵美と同じ
Gカップまで由里は成長した。

「さーここで身体計測!」
「えーっ!あ!ひゃっ!」

絵里は神の速度で計測を行う。

「うーむ、なるほどね」
「はぁ…」
「スリーサイズ、知りたい?」
「いいよ、別に…」
「じゃあ身長だけ。170センチあるね」
「25cmも伸びたの?」
「まあ今日の日光浴用ベッドには細工が施してあって、座面からも反射した日光が体に当たるようにしてあった
んだよ」
「ふーん?」
「じゃあ、服着て!」
「え、いいの?」
「いや、着なくてもいいけど…それとも、全裸でいたいの?」
「誰もそんなこと言ってないでしょ!着るから!」
「じゃあ、1時間後にまた計測ね」
「え?」
「え?って、何のためにここまで伸ばしたと思ってるの?」
「うーん、何でだろう?」
「まあいいよ、寝てる時は、計測するときだけ起きてくれればいいから」
「でも、まだ寝るには早いから、テレビでも見ようよ」
「おっけー」

そして1時間後。

「お、1時間だね。それじゃあ…ほら、由里立って!」
「うん」
「うーむ、身長はっと…169センチ。減ってるね」
「誤差じゃないの?」
「かもしれないけどね」

また1時間後は168センチ、そのまた1時間後は167センチと、由里の身長は1時間に1センチ減っていった。
そして、夜明け前。

「ゆりぃいい、けいそくぅうう」
「ねむいよぉ、えみぃ…」

結局1時間毎に起きるのは辛い作業で、ほぼ徹夜のようになってしまった。

「あれぇ、145センチ…?」
「急に、減り方が、速くなったね」
「そうだねーアッハッハ…じゃなくて、元に戻ったんだよ!」
「ぇ………あっ……そっか…」
「こら、起きろ!」
「ふぇあ…あ、朝焼けだ、きれい!」
「まあそれは日の出の時間ですし…じゃ、プール行こうか!」
「え、えーっ!?」

---

このような日々が4日続き、由里の身長は218センチまで伸びるようになった。その分胸も大きくなり、Zカップ
程度まで成長するようになっていた。

「ねえ、絵美…だんだん家がきつくなってきたんだけど…」
「うーむ…この調子だといつ終わるかわからないね…試しに、「小さくなりたい!」とか願ってみてよ」
「うん…」

由里が念じるような表情になると、全身が震えはじめた。

「お、行けるかな?」
「えいっ!うわっ!」

ゴツンッ

しかし、由里の体は縮むどころか更に大きくなり、胸もボンッと大きくなって更に前に飛び出した。胸に引っ
張られ由里は前に倒れてしまった。

「うーんと、じゃあ「大きくなりたい!」は…いや、多分同じかな」
「試してみれば、分かるよ…うわぁっ!」

由里の体は更に伸び、身長だけで部屋の隅から隅まで届くようになってしまった。もはやどこぞのカッター
ナイフのような剣でうなじを切られても仕方ないサイズだ。

「だから言ったのに…多分、「小さくなりたい!」だと呪いと効果が一致しちゃうから拒絶反応で体が大きく
なっちゃうんだよ、で、「大きくなりたい!」だとそのまんま効果が出てきちゃう、と」
「ふぇええ…」
「でも、「体を元に戻したい!」だったら効くかも?」
「うん…やってみる…」

すると、今度は体が小さくなっていった。由里が念じ続けると元の145センチまで背が戻り、胸もぺったんこに
なった。

「おーこれは良いみたい」
「やった!うわっ!」

由里が念じるのをやめた途端爆発するように由里の体が身長218センチ、Zカップまで膨らんだ。

「あれーなんで…」
「ま、こういうこともあるのかもね…念じ続けないといけないみたい」
「それって、難しすぎるよ…」
「まあ、何事も鍛錬だよ」

---

絵美の言う通り、数日のうちに由里は無意識に「体を元に戻したい」という願望を常に持つことができるようになり、日の入りのあとも体は同じサイズのままになった。そして、拓也の立ち入り禁止令が解除され、研究終了日としてパーティーを開くことにした。

「今日は、佳奈も来るんだよね」
「あー、あと英一さんもね」
「じゃあ、スキー合宿の時と同じメンバーか!」
「そうだねー」

由里と絵美がパーティーの支度を済ませ、(といってもケーキも何もないお食事会のようなものだったが)座って待っていると、日の入りの時間になった。

ドクンッ

「うっ…」
「さあ、昨日は服破れずに済んだんだから、今日も張り切って行こう!」
「うんっ!」

しかし、食卓に拓也が座っていることを考えると、急に頭の中が真っ白になった。
すると、由里の両腕が1.5倍位の長さにまでギュッと伸びた。胸も少し膨らんでいる。

「(だ、だめっ…)」

由里が考えをまとめようとすると、腕はヒクヒク震えながら少し縮み、腕もギュッギュッっと縮んでいく。
しかし、また食卓が目に入る。

パンツのビリッという音とともに、足に脂肪がつき、ヒクヒク震え続けていた胸は服をぐっと押し上げる。
腕は先程よりも長く伸び、太くなって袖を破ってしまった。

「(ああ、だめだ、だめだ…もう…)」

と由里が自制を思わず解いてしまうと、太ももは更に太くなり、胸はムギュッと服の中に詰まっていく。
背も高くなり、髪もバサッと伸びた。

「あーあ…」
「やっぱりだめだよ、拓也くんがいると無理!」
「いや、まだいないけどね…」

ピンポーン

インターホンが鳴ると同時にビリッという音とともに服が破け、ボンッと乳房が出てきた。

「あ…」
「絵美、出てくれる?」
「うん。はーい、どちらさまですかー?あ、佳奈と英一先輩!今開けるよ!」

程なくして佳奈が姿を現して、由里を見た。佳奈は成長前の由里と同じく幼児体型である。

「こんばんは。それが、呪い?」
「うん…」

英一が続いて入ってきた。

「お邪魔します!ってうわっ!すごいおっぱい!」
「先輩っ…」

由里が開けた胸を手で隠そうとするのと同時に、佳奈は英一が鼻の下を伸ばすのを見て、ムッとした。それと
同時に、佳奈の体がグッと大きくなった。由里と同じレベルまで背が伸び、胸が大きくなった。そして、その
胸を英一の腕にぐっと押し当てつつ、英一を睨んだ。

「先輩は、私のもの、でしょ?」

英一は二人の爆乳美女に囲まれ、そのまま鼻血を出して倒れてしまった。佳奈は、由里とは別の呪いのせいで
想っている人の理想の体型になってしまうのだが、英一と付き合い始めてからは、自由自在に体型を変えられる
ようになった。

「この先輩、もうちょっと根性がある人だと思ってんだけど、アタシの見当違いだったみたい」
「でも、それが、私の先輩」

シューッっと音を立てるように佳奈は元の幼児体型に戻った。由里も恥ずかしさのあまり「もとに戻る」願いが
強くなったのか、元の体型に戻っていった。

「由里、体型を変えないように、できたって言った」
「うーごめんね、拓也くんのことを考えるとつい…」

元に戻って、乳房が消えきったかとおもいきや、またボンッっと出てくる。

「ふーん…でも、あまり、ムリしないほうがいい」
「え、どういうこと?」
「そういうのって、精神力を結構削る。夏休みなのに、疲れるのはもったいない」
「でも、日光が強くて…」
「日光は、日傘を使えば、結構防げる」
「だけど、呪いを全開にしなくちゃいけないんだよ?それまでに、どれくらいの身長になるかわからないし…」
「あ、その点なんだけど…」
「何、絵美?」
「由里は自分自身の魔力のせいで大きくなってるから、その魔力をどっかに流しちゃえば、体はそーんなに
大きくならなくてすむんだよねー」
「え…そんなこと今まで一度も…」
「いやーちょっと見てみたかったんだ、由里の変身」
「研究は結局それが目的だったの!?」
「いぇす」
「えぇーみぃいいー!」

途端に元に戻っていた由里の体は大きくなった。ただし、胸は小さめで、動きやすいようになっている。

「絵美の、バカァー!」

大きくなった体から繰り出されたパンチは結構なものだったが、空手の有段者である絵美は華麗に避けた。

「でもまぁ、念じれば元の大きさに戻れるってのはわかったでしょ!それだけでも成果にならない!?」
「一発殴らせなさぃいいい!」
「あーこりゃ聞く耳持ってくれないね…」

バァン!

と、音が鳴り響いたが、倒れたのは由里だった。倒れる前に自制を失った胸がバァンと大きくなり、ぐにょっと
潰れてクッションとなった。

「ツボを知ってればこんなもんだよ…しかし、魔力を流す先って言うとアタシくらいしか思いつかないんだよね…」

絵美は呪いではないが、ある変身魔法を掛けられてそのままになっており、魔力が供給されると体が成長する
ようになっていた。

「しっかし、拓也のやつ遅いなーどこで道草食ってんだか…」
「タクヤさんなら、私達の隠れ家に拉致させていただきました」
「またでやがった…フリードリヒ!」
「前回私との交渉を決裂させた仕返しです」

絵美が声がした方に振り向くと、ローブ姿の青年が立っていた。

「ずいぶん理不尽だよね、そっちから勝手に魔法かけて、それを解除するためには対価を払えって」

このフリードリヒと呼ばれる青年(と、その仲間のカッツェ)こそがこの場にいる数人の呪いの発端である。

「ふふ、力を持つものと持たざるものの定めというものですよ。さて、タクヤさんを返して頂きたければ条件を
飲んでもらいます」