昔、昔。
ある所に、浦島太郎と言う無類の女好きの漁師が居たそうな。
ある日、浦島太郎が海辺を歩いていると、村の子供達が亀をいじめておった。
浦島太郎は亀をいじめてた子供達を見て、
(あのガキ! 人の事を童貞だの言ってたガキ達じゃねえか!
誰が童貞だ! 俺はなぁ、初めては巨乳のお姉さんって決めてるだけなんだよ!)
そう思いながら、亀をいじめてる子供達に日頃の恨みを込めて、そいつらを亀から追っ払った。
大人と子供の対決。浦島太郎は大人気なく本気で戦って、亀から子供達を追っ払った。
「二度と姿、見せんじゃねえぞ!」
浦島太郎は今後むしゃくしゃするのも勘弁ならないので、そう言って追っ払った。
その様子を見ていた亀は……
(こ、このお方! 村人達が誰一人助けなかったこの私めを助けてくださった! このお方ならば、もしや!)
と、なんか壮大な勘違いをしていた。
「あ、あの!」
「あ〜ん!?」
「浦島太郎様! 助けていただいたお礼に、どうか海の都、竜宮城に来てくださいませんか!?」
亀はそう浦島太郎にお願いする。
(竜宮城か……。家に居ても、母ちゃんに早く嫁もらえってうるさいだけだし、それに海の都に興味が湧いてきた)
「良いぜ! 案内しろ!」
家に居てもつまらないと思った浦島太郎は、亀にそう言った。
「は、はい!」
(こ、このお方! 海の中にお連れするのに、なんら躊躇わないとは!
初対面の私に対してここまでの信頼さ! 並大抵の人間ではない!
やはりこのお方こそ……! 竜宮城の救世主!)
ちなみに亀の勘違いっぷりも拍車がかかっていた。
こうして浦島太郎は亀に連れられて、竜宮城へと向かったのであった。
そうして、小一時間ほどかけて浦島太郎と亀は、竜宮城に到達した。
しかし、そこで浦島太郎を待っていたのは華やかな魚の群れではなく、途方も無い絶望感に打ちひしがれている魚達の姿であった。
そしてそこには、竜宮城のシンボルである乙姫様の姿はどこにも無かった。
「お、おい! これはどう言う事だ! いったいどうなってやがる!」
浦島太郎は小一時間かけて来たにも関わらず、全く都と呼ぶには程遠い現状を見て、抗議の声をあげた。
(やはり! 姫様が居られない事を気付いてくださるその心意気!
まさしく救世主そのもの!)
「は、はい! 実は先日、乙姫様が玉手箱を整理してる最中に謝って玉手箱を落としてしまったんですよ!
それ以来、すっかりと変わり果てしまったすっかりノイローゼになってしまいまして、我々海の者達だけでは手に負えない始末!
よって、浦島太郎様に乙姫様のノイローゼを、どうにかしてもらおうかと思いまして!」
そう。昨今竜宮城を騒がしてる問題は、乙姫様のノイローゼ。
乙姫が玉手箱の影響で引きこもりになってしまったので、どうにかしようと地上の者に助けを求めに行って、そんな事も知らないKYの子供達に亀は襲われていたのである。そして、それを助けたのが無類の女好きの浦島太郎。
助けてもらった亀は、浦島太郎ならば乙姫を救えると解釈して、浦島太郎を乙姫様救出のために連れて来たのである。
「はぁ!? 一般人の俺じゃあ、手に負えないだろ!?」
「何をそんなに謙遜しなくて、大丈夫です。浦島様なら安心です」
他の魚達も亀の驚くべきほどの心酔っぷりに感動し、浦島太郎の元へとやって来る。
そして、浦島太郎の袖を引っ張って、乙姫様の部屋に移動させる。
「さぁ! 浦島様、お願いいたします!」
そう言って、浦島太郎は大勢の魚と亀の期待を受けて、乙姫様の部屋に放り込まれた。
さて、魚達によって乙姫様の部屋に放り込まれた浦島太郎はと言いますと、
「あいつら、後でぶっ殺す」
思わず本心が口に出てしまうくらい、怒っていた。
「だ、誰なの!」
突如、部屋の中から大声が響いた。
浦島太郎は大音声のせいで、ひっくり返った。
そして周りを見渡すと、そして発見した。
「ぞ、賊かなの! だけど、このボク、乙姫様はそんな賊なんかには、決して屈したりはしないなの!」
そこに居たのは、長身の超乳女性であった。
髪はさらさら、着物はその大きすぎる超乳によってはだけてしまっているとても長身の女性だった。
この女性こそ、かの有名な竜宮城の主、乙姫様であった。
実は玉手箱とは昔話に出て来た人を老いさせる玉手箱の他にも、多くの種類がある玉手箱なのであります。それは人の歳を老いさせる玉手箱、『老之玉手箱(おいのたまてばこ)』と言うのですが。
そして今回、乙姫様が間違えて開けてしまった玉手箱。それは玉手箱の中でも、胸を異常なまでに発達させる玉手箱、『胸玉手箱(むねたまてばこ)』でありまして、今の身体になったのでございます。
玉手箱を開ける前の自分のスレンダーな身体をある意味誇りに思っていた乙姫様は、その自分の身体に絶望して引きこもってしまったのだが、
「う、美しい! なんだ、この美しさは! 美しすぎるだろうが!」
巨乳好きで無類の女好きの浦島太郎にとっては、どストライクの好みの女性なのであった。
「う、美しい!? ボクが?」
(嘘……こんな姿のボクが!? ……嬉しいけれど、ただのお世辞に決まってるよね)
乙姫様は少し嬉しそうにしていたけれど、すぐに残念そうな顔で俯いた。
「そんな顔をしないでくれ、乙姫。君の悲しそうな顔を見ていると、俺も悲しくなってしまいまう。
さぁ、乙姫。その魅力的な身体を、このボクに見せてくれ!」
恥ずかしくなるような台詞を、躊躇いも無く乙姫に言う浦島太郎。
その様子を見て、乙姫は浦島太郎に愛着が湧いてきた。
(少しむちゃくちゃだけど……。この人となら、この身体とも良くやっていけると思う。少し、信じてみようかな?)
「さぁ、乙姫! 俺と結婚しようじゃないか!」
「ボ、ボクで良ければ……」
こうして浦島太郎と乙姫は2人仲良く幸せに暮らしましたとさ。
めでたし、めでたし。