プクリンスタンド

tefnen 作
Copyright 2014 by tefnen All rights reserved.

夕暮れの路地裏を、一人の小柄な少女が歩いている。中学生ほどの体型だが、
実は20代のOLであった。

彼女は迷信を信じやすいタイプの人間で、同僚が都市伝説をまことしやかに
本物であるように彼女に伝えた話を、真に受けていた。

『はるか知ってるー?××町って入り組んだところが多くて袋小路が一杯
あるんだけど、その一つに、おへそにガスを入れると願いを叶えてくれるって
いう変なガソリンスタンドがあるんだって』

はるかというのは、この少女の名前である。

『どうせまた作り話でしょ?私、この前あなたの話を信じて、駅前の広場の
犬の像の前で百回回ってワンッてやらされて、目が回っただけでも嫌なのに
かなり恥ずかしい思いしたんだから。何が『恋人が出来る』よ。どうせ、
今度は迷子になって慌てふためく私を見たいだけなんでしょ』
『いや、今度はマジだって。私の友達もそれを見つけて、昇進したんだから』
『そういえば、確かにあなたの友達が昇進したって話は聞いたけど…』
『ね、だから今度はホントだって』
『嘘だったら、今度駅前のアレ奢ってよね』

と、言うのが同僚との会話だった。実際のところ、そんなガソリンスタンドの
話などどこにもなかったのだが。

---

はるかは、言われた地域を探し続け、すでに9個の袋小路を見つけたが、
そこには家の門が並んでいるだけで何もなかった。

「まさか、私騙されてるの?」

はるかは10個目の袋小路に差し掛かった。

「あれ、なんだろう?」

道の上に、ポツンと古い電話機のようなものが置いてある。はるかは近づいて
いった。

「電話…?子供の時、近所のトロロで見たような…あれ、でも受話器が…」

受話器には耳あての金属のかわりに、吸盤のようなゴムがくっついていた。

「まさか、これが…例のガソリンスタンド?」

はるかは、あるはずのないガソリンスタンドを見つけてしまったのだった。

「あ、何か張り紙がしてある…『1回100円』…え、100円!?そんなんで夢が
叶うの!?じゃあ早速!」

服を捲し上げ、へそに受話器を当てた。

「はい、100円っと…」

チリンッと小さな鐘がなる音がした。それと同時に、ダイヤルのような物が
勢い良く回り始める。中では空気が圧縮されているようだ。そして、

ポーッ

と機関車の汽笛のような音がすると、ホースに空気が流れる音がし始めた。

「いやっ、お腹に何か入ってくるっ」

はるかのお腹は少しぷくっと膨れた。と、同時に手足がグーッと伸び始め、
風船が膨らむようにムチッとした脂肪が付いていく。ストッキングはビチビチ
破れ、スーツもギュギュゥと全身が引っ張られていく。

「な、なにが起こってるの!く、くるしっ!」

スーツに締め付けられていくはるか。ストッキングが完全に破れたところで、
ガソリンスタンドからチンチンッと鐘の音がし、ホースがへそから外れた。

「良かった…あれ、お腹出てる!?」

はるかの下腹部は食べ過ぎた時の倍くらいの大きさだった。しかし、その
膨らみがブルッと揺れると、ギュッギュッと上へと押し込まれていく。

「まさか…」

スーツのボタンの一つがプチッと飛ぶと、その下から、押し込まれたガスが、
ムクッムクッと膨らみを形成していった。それが終わると、下腹部は
すっきりし、これまでの幼児体型では考えられないほどのくびれができて
いた。

「私、どうしちゃったの…」

全身を手で撫で回すはるか。太ももはむっちりと柔らかく膨らみ、お尻は
プリッとスカートからはみ出ている。ウエストは凹み、おまけに背が伸びた
せいでスーツを引っ張っても隠すことができない。胸にはGカップの乳房が
付いており、下から揺らしてみるとユサユサゆれ、揉んでみるとこれまで
感じたことのない柔らかい感触が手から伝わってくる。その腕自体も、
スラッと伸び、目線を上に向けると、先ほどまでよりも10cm位は上がって
いた。

「私の望み、叶うってこういうことだったのね!」

はるかは目を輝かせ、早く誰かに見せつけようと袋小路を後にした。

---

「出口、見つからないわ…足も痛いし…」

はるかは、路地裏をさまよい続けていた。ハイヒールはサイズが合わず、
脱いで手に持っていた。かれこれ30分は立っただろうか。

「あ…あれ?」

いきなり、はるかの目線がガクンっと下がる。

「まさか…えぇーっ!?」

胸を見るとプシューッと空気が抜けるように縮んでいき、ヒップを触ると、
その瞬間には張りと丸みがあったそれは、どんどん小さくなる。太ももを
確かめても、手を包む豊かな皮下脂肪はそこにはなかった。

「で、でも…よかった…これで…靴が…」

一瞬安堵したはるかだったが…

「…また…大きくなりたい…」

ハイヒールをかなぐり捨て、はるかは必死の形相でガソリンスタンドを探し
始めた。すると今度は、1分も立たずに見つかった。

「今度は…200円…あげるから…もっと大きくして!」

へそにホースをくっつけ、100円玉を2個入れると、先ほどと同じように
鐘がなり、汽笛の音がして、ガスがへその中に入っていく。
その圧力が2倍になったのか、はるかの下腹部はブクッと大きく膨れ
上がった。その衝撃ではるかは大の字に倒れた。

「ぐっ…お腹痛いっ…けどっ…」

そして、これもまた先ほどと同じように手足が地面をズリズリと這いながら
大きくなる。スーツのボタンは耐えられずに飛んでしまい、Yシャツのボタン
も同様に飛んでしまった。

「あはは…また、大きくなってるよ」

はるかは恍惚の表情を浮かべる。太ももはプクーッと元の何倍もの太さまで
膨らみ、ヒップも体全体を押し上げていた。そして、ホースが外れると、
膨らんだままの下腹部がブルッと揺れた。

「おなか、から…き…きちゃうよっ!」

膨らみが体の中に入り込んでいくと、胸に現れ、最後に残った下着のシャツを
ギューッと伸ばしていく。

「シャツ、食い込んできてる!」

シャツの上の部分から膨らみが姿を表し、大きくはみ出たところで、それは
終わった。
はるかが起き上がると、膨れ上がった乳房がブルンっと揺れる。

「わー、見たこと無いほどおっきい〜」

はるかは破れてしまったスーツとYシャツを脱ぎ捨てた。ズボンは太ももの
膨張に耐え切れずすでに布切れとなってはるかの脇に落ちていた。

「この体、独り占めしたい…」

はるかはカバンの中に入れてあった携帯電話を出すと、胸を揉みしだいたり、
強調されるようなポーズを撮って、タイマーを使ったセルフ撮りを始めた。

「でも、もったいないから皆にも見せてあげようかな?」

空はとうに暗くなっていて、街灯だけがはるかとガソリンスタンドを照らして
いた。

---

そして、30分後。またもや、はるかの視線がガクンっと下がる。

「いや、小さくなりたくない!」

はるかは胸の膨らみを何かから守るように抱きかかえるが、その中で乳房は
プシューッと縮んでいった。

「いや、いやーっ!」

そのまま自分の胸を抱きしめていたはるかだったが、気づくと元の姿に戻って
いた。はるかの中で何かがプツンと切れた。

「ひゃ…ひゃくえんはどこぉ…?」

財布の中を獣のように漁るはるか。そして、銀色の横に縞が付いた穴の開いて
いない硬貨はすぐに見つかった。

「い…いっこでもいいや…あはっ」

はるかはホースをへそに付け、100円を投入する。しかし、

「な…なにもおきない」

どこかが故障したのか、鐘の音すら聞こえてこない。

「ど…いうこと…うごいてよ…うごいてったら!」

バンッバンッとへそにホースを付けたままガソリンスタンドを叩くはるか。
すると、

カンカンカンカンカン…

と、鐘の音が鳴り響いた。圧縮機も動き出した。

「やったぁ…」

ポーッっと汽笛の音がしたが、同時に内部で爆発音がした。しかし、はるかは
大きくなることに夢中で気づかない。ホースから勢い良くガスがはるかの体に
送られる。とたんに、はるかの下腹部はボンッと大きくなり、その膨らみは
他の部分を侵食していった。

「あれ、なにか、変…おなか…爆発しちゃう!」

下腹部の膨らみは胴体全体に及びはじめ、はるかは手足と頭が付いたアド
バルーンのようになってしまった。シャツは敗れ去り、もはやはるかは全裸
状態だった。その膨らみは完全なる球で、手足も飲み込み始める。

「いやだ、風船にはなりたくないよ!」

はるかの懇願も虚しく、顔すら膨れ始める。ついに、体全体が直径2mくらいの
球のようになってしまった。それでも、容赦なくガスは送り続けられる。

「私、このまま破裂して死んじゃうの…?」

すると、はるかは体に入ってきている何かが、頭に直接入り始めたのを
感じた。

「頭、いたい…パーンってなっちゃう!」

しかし、彼女の頭部は、ある程度ガスを受け取ると、ボンッと元の球の2分の
1まで大きくなった。次に、ガスは手足に向かい始め、それを受けてはるかの
四肢はメキメキ言いながら伸び、元の10倍ぐらいの長さまで伸びた。はるか
は、路地裏に尻を付いて開脚しながら座っている状態になった。すると、
真球だった胴体がグググッと上下2つに別れ、上はさらに2つに分かれて
乳房になり、下は足と尻に行き渡っていった。
いまや、はるかは袋小路を埋め尽くすような巨大爆乳美女になっていた。

「もう、これで、十分…あれ…?」

しかし、ガスは送り続けられている。はるかがホースを引っ張っても尋常では
ない強さで巨大になったへそにくっついている。
ガスは乳房に集中的に流れ始めた。胸はググッと膨らみながら張っていく。

「おっぱい、いたいよ…」

はるかが乳房を揉もうとしても、その張りで指が押し返されてしまう。乳房の
先から何かが垂れているが、勢いが弱すぎて膨らみに追いつかない。地面に
付くほど巨大化した乳房は、その張りでさきほどのはるかのような球体に
なっていた。しかし、今回のほうが数倍大きい。

「は、はれつ、しちゃう…」

そして、乳房は先端が尖った、ガソリンスタンドが爆発した時に飛んだ破片に
触れた。

---

「うわぁぁぁあああ!」

はるかは、ベッドの上にいた。ちゃんと寝巻きを来て、布団を掛けて寝ていた
ようだ。

「私、生きてる!夢だったのか〜」

そう言いながら、はるかは自分の胸を触った。

「ぺったんこ〜…朝ご飯食べて、仕事行こう〜」

多少涙目になりながらはるかは居間へと向かった。

「あ、あれ…?」

そこには、机の代わりに夢の中のガソリンスタンドがあった。

「(1回だけなら…)」

はるかの体が疼いた。