風香は、放課後の教室で、男子生徒数人に囲まれ、手足を取り押さえられて
いた。
「なにするの、やめてぇっ!」
「そう言われてやめる馬鹿が居るか!」
風香の背中の弁に、掃除機のチューブが繋がれる。
「ま、まさか…また、ぺったんこになるのはいやぁっ!」
「大人しく、縮め!」
ギュイーンという音とともに、掃除機が風香から空気を吸い出し始めた。
「きゃぁぁあああぁぁ……」
一瞬にして風香はペラペラになり、悲鳴をあげようにも上げられなくなって
しまった。
「さぁて、これからが楽しみだ」
風香からチューブが外され、巻物のようにして丸められ、一人の男子生徒の
部活用のかばんに入れられた風香は、どこかへとつれられていった。
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風香は、体育館でまた伸ばされ、何か特製のチューブ付きの台の上に載せら
れた。リーダー格のような男子が風香に言った。
「さて、僕のパパの会社のものを買って、まんまと実験体になってくれた君に
感謝するよ。今日は、耐久テストだ」
「(え…耐久…?それに、パパの会社のもの?この弁が…?)」
「お前のオヤジすごいもの作ってるなぁ」
「ふふ。まずは、乳房だけを膨らませてみようか。近くにあるタンクから直送
の、ヘリウムガスでね。ほら、この棒で風香ちゃんの腕とお腹に空気が行か
ないようにしてくれ」
その男子は、アルミ製の棒を他の男子に示し、その棒は手際よく台にロック
され、ペラペラの風香にグイッと押し付けられた。
「(何が…起きてるの…?)」
だが、ペラペラで目線すら動かすことが出来ない風香には、自分の身に何が
起きているのか全く検討がつかない。
「これでよし。それじゃ、始めようか」
リーダー格の男子が、バルブを少しひねった。すると、台に取り付けられた
チューブから、風香の体、いや、胸にガスが送り込まれ始めた。
「(んっ…ガスが…入ってきてる…)」
乳首が立ち始めるとあっという間にペラペラだった風香の胸に膨らみが形成
されていく。上に引っ張られるように、無乳が貧乳、貧乳が巨乳になりつつ
、潰れずに、双丘が盛り上がっていく。制服からもどんどん肌色が飛び出し
始め、ついには破れた。周りの生徒からは感心するような声が沸き立ってくる。
「ここからが、本番…だっ!」
リーダー男子がバルブを一気にひねった。
「(うぐぅっ!…くる…し…いっ!)」
風香の胸は爆発するようにバァンと大きくなり、顔の大きさから、大玉転がし
の玉の大きさまで2,3秒で成長した。上だけしか見れない風香にも段々自分の
乳房が目に入ってくる。
「(こんなに、大きくなってる…っ)」
風香は逃げるためにもがこうとするが、手足は平面のままで動く様子がない。
唯一膨らんだところの背筋だけが動き、いまや直径2mを超えている胸が浮き
つつもたゆんたゆんと揺れる。
「はは、抵抗しているのかい?無駄だよ…あれ?」
棒がだんだん曲がり始めていた。胸と圧力差が大きすぎる他の部分の間で、
空気によって大きな力が出ていたのだ。
「ふむ…じゃあ、お腹に少し逃してみよう」
男子は、胸と腹部の間を遮断していた棒のロックを解除した。その瞬間、直径
3mくらいの胸から一気に空気が流れ、下腹部が風船のように球形にボンッと
巨大化し、皮膚は膨らみに追いつかないで、血管のようなものが見えていた。
「(ぎゃぁあっ!お腹が急に膨らんで、痛い、痛いよぉっ!破裂しちゃうぅっ!)」
風香の腹部には破けてしまいそうな痛みが走った。だが、順応するに連れて、
腹部は凹んでいき、胸に空気が戻っていく。それと同時に、アルミの棒が悲鳴
を上げ始めた。
「しまった、身長も伸びるのを忘れていた…」
膨らんでいるところだけ、風香は巨大な少女になっていて、その長さの変化に
棒が耐え切れていなかった。そして、ついに…
《ガキーンッ!》
足の方の棒が折れ、ペラペラだった足が暴力的に膨らみ、太さが根本から先
まで均一なまるまるとしたソーセージのようになってしまった。当然、風香に
も想像しがたい痛みが走る。
「(きゃぁああっ!もう…やめて…)」
足も、腹部と同じように、ムチムチした太ももを形成しつつ、人間の足の形に
収まっていった。ヘリウムガスが入っているせいで、風香の体は浮き上がり
始めた。
「(ふぅ…でも、次は、頭が…)」
足に引っ張りあげられ、最後に残った、腕を抑えるアルミ棒が歪んでいき、
ゆっくりと空気が頭に入っていく。平面だった顔が普通に戻り、腕は戻ると
ともに長くなり始め、幼い少女のものが大人のそれになっていった。
「この棒も、そろそろ限界かな…」
「ふん、これが外れたら全員踏み潰しちゃうんだから!」
やっと声が出せるようになった風香が、脅しをかける。風香の体はすでに体育
館の高い屋根に足が付くほどになっていた。乳房は先ほどと変わらない直径3m
くらいだった。
「こんな棒…えーいっ!」
風香は、自分の腕でアルミ棒を破壊した。と同時に、男子が叫んだ。
「こうなったら…バルブ全開!」
「ひゃぁっ!」
風香のすでに大きな体がさらにその成長のスピードを上げ、浮き上がる乳房の
せいで、背中を下になったまま、体育館の屋根に張り付くようになってし
まった。
「ちょっ…やめっ…これ以上、膨らまさないで…」
「ダメだ。言っただろう、耐久テストだと」
「もっと膨らんだら、私…私っ!」
「大丈夫、破裂はしないから」
そう言う間にも、体育館の長さに身長が達し、巨大な胸は屋根の骨組みに食い
込んでいく。体育館全体が、なれない上向きの力でギシギシと軋み始めた。
「おっと、そろそろマズイかな…それじゃ、これでおいとまさせてもらうよ」
「いやっ…置いてかないで…お願い…」
「僕だって死にたくないんでね。それじゃ、皆撤収だ」
「おい、胸をもませてくれるんじゃ…」
「タイミングは自分でつかむものだよ、またやってやるから」
「おっ、楽しみにしてるぜ」
男子生徒はこぞって体育館から出て行った。それでも、風香の体には変わらず
ガスが送り込まれていく。風香は膝から下を折り曲げつつ、この状況から脱し
ようと必死でもがく。
「背中のチューブ…抜かないと…」
だが、飛行船のように膨らんだ風香の体でも、硬すぎてチューブまで手が回ら
ない。それに加えて、ジタバタしたおかげで、体育館の骨組みが大きく歪み、
破壊寸前になってしまった。風香の体は体育館を埋め尽くし始め、足は壁を
突き破って、外に放り出された。
「まさか…この屋根がなくなったら、私、宇宙に行っちゃうの…それはヤダ!
ヤダーっ!」
体が体育館いっぱいになった風香が叫ぶと、その音だけで、体育館は吹っ飛
んだ。
「あ…きゃーっ!」
風香は上下逆さまの穴から落ちたように加速度を以って上昇し始めた。だが、
不幸中の幸いというべきか、チューブも長さの限界を超えて、外れた。風香
は、地面がどんどん遠ざかっていくのを感じ、大きな胸に引っ張りあげられ
ながら、青い空が黒に近づいていくのを見ていた。
風香にはわからなかったが、その気圧の変化のせいで中の空気が膨張し、高度
が1kmくらいになったときには、体育館にいた時よりも数倍の大きさになり、
身長は2kmくらいになっていた。学校にいた人だけでなく、外を歩いていた人
には、グラマーな美少女が空に浮いていくのが見えただろう。ここで、弁の
限界が近づき始めた。
「おっぱい…が…張ってきてる…乳首が痛い?…いた…痛いっ!」
体の成長限界に近づき、空気が乳房だけに行き始めたのだった。しかし、乳房
も限界になっていたために、乳首だけがどんどん膨らんでいた。
「いやっ、恥ずかしいっ!」
だが、高度2kmくらいになっていて、双眼鏡を持っている人でないと、この
変化は見えなかっただろう。と風香は思いたかったが、実際のところ、膨らみ
きった乳房と乳首は、あまりにも目立ちすぎていて、真下にいた人以外、周辺
100kmくらいからは目のいい人なら確実に見えていた。
「でも、破裂…するんじゃなくて…なにか…出てくる…?」
乳房が最後にムギュッと膨らむと、乳首からプシューッとガスが出始めた。
「はぅぅっ!気持ち…いいっ!」
高度は3km程度になっていたが、ガスが放出され始めて、その上昇速度が落ち
ていった。
「これで…地上にもどれる…」
ある程度ガスが抜けたところで、上昇が落下に転じた。だが、ガスが抜けるの
もそこで終わってしまい、落下し始めたと思ったら、すぐに停止してしまった。
高度4kmくらいのところで、風香は漂い、動くこともままならなくなってし
まったのだった。手足と乳房と長い髪の毛が上に向いたまま。
「えっ…これ、どうすれば…うわぁん、もう帰れないようっ!誰か、助けて
よっ!」
その涙は、大きな水の粒となって真下の建物を襲撃した。
結局、風香は、救助しに来てくれたと思ったヘリコプターに体とのバランスが
完全に崩れつつその張りで球体となっている巨大な乳房と、全裸の恥ずかしい
映像を撮られ、大泣きしつつ、本当に助けに来てくれた熱気球に体を暖められ
て、また膨らんだガスが乳首から噴出される映像をこれまた撮影されたのちに
ようやっと、熱気球から器用に出された小型掃除機で空気を吸い出してもらう
ことができた。しかし、それには丸1日を要し、そのせいで、彼女の存在を
知らない人はその周辺にはいない、と言われるほどになってしまった。