家族と取る休暇とは、いいものだ。僕、速見 憲夫(はやみ のりお)は、妻の
共恵(ともえ)、娘の梨恵(りえ)とともに、国内旅行に出発し、空港に向かっ
てバスに乗っているところだった。
バスは、空港の名前がついたインターチェンジから、高速道路を下りて、料金
所に停車した。共恵は寝ている。
「そろそろ、空港だな」
「パパ、私、飛行機楽しみ!」
梨恵は、小学5年生で、もちろん今回が初めての飛行機だった。実のところ、
僕もだった。こういう新しいものを体験する時大人としては不安になるが、
子供にとっては、何よりも楽しい物なのだろう。
「そうか、楽しみか!」
「うん!…んっ!」
いきなり、梨恵の笑顔が、ピクッと引きつった。電気が走ったようだった。
「ははっ、静電気だな」
「うん…多分、そう」
料金を支払い終わったバスが動き出した。ETCはついてないのだろうか?と、
少し不思議に思ったが、その思考は、梨恵の声で途切れた。
「あれ、服が、ちっちゃくなってる?」
「え?」
梨恵の方を見ると、少し余裕のあるはずの子供用の晴れ着が、きつめになって
いた。なんだ、これは。すると、バスが急加速して、僕の体は座席に押し付け
られた。
「おっと…」
だが、隣の梨恵の輪郭が、大きくなっているような気がして、すぐに視線を
戻した。すると、梨恵の胸の部分にポチッとなにかが出ている。これは…
まさか…いやまさか。
「パパ…苦しいよぉ…」
これを聞いて共恵が起きた。
「どうしたの!梨恵!きゃぁっ!」
「こ、こら、そんなに大きな声を出すんじゃない」
無理もないが、自分の胸より下にあった梨恵の頭が、肩辺りまで来ているのを
見て悲鳴を上げた。だが、その悲鳴は空港のバス停に到着したバスのブレーキ
音に遮られて、他の人に聞こえることはなかった。それに、梨恵の体はすぐに
元に戻った。
「あ、お服直った…」
「なんだったの、今の…」
「さあ…とにかく、荷物を降ろして、ロビーまで行こう」
「え、大丈夫なの?」
「せっかくの旅行なんだ、それに、今のはただの幻覚…さ…だよな、梨恵」
「…げんかく?梨恵は、大丈夫だよ!早く飛行機乗りに行こうよ!」
梨恵の反応は、本当に何もなかったのか、飛行機乗りたさに起こったことを
隠しているのか、よくわからないものだった。少なくとも、僕はそう受け
取った。
「なあ、だから、共恵」
「分かったわ…」
そう言って、僕らは何もなかったように振る舞い、バスを後にした。
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それからは順調に事は進んだ。と言いたかったが、どうにもこうにも不慣れな
ことが多く、手続きにとても苦労した。チェックインは、航空券をカバンの奥
に入れたせいで必要以上の時間がかかり、身体検査ではいろいろなものを服や
から外さなくちゃいけないし、搭乗口は多すぎてどの方向に進んでいいかわから
なかった。だが、多めに余裕を取っていたおかげで、なんとか飛行機の座席に
つくことが出来た。
「この席、狭いな…」
「当たり前でしょ、エコノミークラスなんだから」
飛行機の中では、3列の席を、僕が通路側、梨恵が真ん中、共恵が窓側に
座った。しかしこの席、前の席との間隔が狭すぎるし、リクライニングをし
ようものなら、後ろの人に迷惑が掛かりそうで、僕は狼狽した。
「まあ、梨恵は楽しそうだからいいか」
「うんっ!」
「しかし、前には建物があるのに、どうやって動くんだろうな」
「知らないわよ、エンジンが逆に回ったりするんじゃないの?」
「梨恵、知ってるよ!前のタイヤを、車が後ろに押していってくれるの」
「おお、よく知ってるな、飛行機のことだったら、パパは梨恵にかなわないな」
僕は梨恵の頭をなでてやった。
「えへへ〜」
親ばかなのか、分からないが、やっぱり娘は可愛いものだ。
そうこうしているうちに、飛行機が後ろに動き始めた。同時に、エンジンの音
が高くなっていく。
「あれ…またお服が…」
「どうした、梨恵?」
「ううん、なんでもない」
飛行機の向いている方向が90度変わると、後ろに動くのが止まった。
「やっぱり、なにか変だよ、パパ…」
「なにが?」
「飛行機が動いているときは服がちょっときつくなったの。でも、今は元に
戻ったの。バスの時は、バスが速くなったら、服も一緒にきつくなったの」
「はは、まさか…」
「どうしたのかな、梨恵の服…」
「大丈夫よ、ママが一緒にいるから…」
見当違いなことを共恵が言っている。早速乗り物酔いしたようだ。必死に窓の
外を見ている。こんなママが一緒でも、あまり意味が無いんじゃないか?
エンジンが一段と音を上げ、飛行機が前に動き出した。
「また、きつくなってきた…」
「だ、大丈夫だよ、梨恵…」
はは、速さが速いほど梨恵の体が大きくなるんだったら…そんなことないだ
ろうけど…飛行機が飛び始めたらどうなるんだ…いや、そんなこと起こるわけ
無いさ…ハハッ…
なにやら避難方法のデモンストレーションをやっているようだが、あまり耳に
入ってこない。不安、なのか、僕…
「お客様」
デモンストレーションを終えたCAがいきなり喋りかけてきた。
「はいっ!」
考え事から目を覚まされるように、大声を出してしまう。CAもすこし驚き
つつ、冷静に言った。
「あの…シートベルトを着用してください、お子様の分も、掛けてあげてくだ
さい」
「あ…はい…」
共恵と梨恵の方を見ると、共恵の方はいつの間にかシートベルトを付けていた。
僕は自分の分をカチャッと止めて、四苦八苦してから締めることが出来た。
ところが、その時にはもう飛行機は滑走路の上にいるようだった。僕は何とか
梨恵のシートベルトをとめるところまでは行ったが、その瞬間、エンジンが
唸りを上げ、飛行機が急加速を始めた。
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僕はとっさに自分の席に体を戻した。そうしなければ、梨恵にのしかかること
になってしまう。だがすぐに、梨恵の悲鳴が聞こえた。
「キャーッ!パパ、ママ、助けてーっ!」
僕の体に寒気が走った。どうか、いきなりの加速に、驚いてしまっただけで
あってほしい、と思いつつ、梨恵の方に向き直った。
「あ…なに…え…?」
僕は言葉を失った。梨恵は、中学生でも高い方の身長まで成長していた。それも、
さらに背が高くなっていっている。それに、丈が短くなった服からはへそが
はみ出し、胸には、大きな膨らみが出て、飛行機の揺れでブルブルと揺れている。
「あ…お服が…小さく…なって…食い込んで…くる…」
「梨恵、今助けてやるからな!」
僕は、その胸でギューッと横に引っ張られ、今にもはちきれそうな服に手を
伸ばし、ボタンを外そうとした。が、一瞬先にその揺れに耐えられなくなった
服が破け、僕はそのみずみずしいが大きな胸に、直接手で触れることになった。
「あぁんっ!」
僕はギョッとして手を離した。先ほどまで可愛らしかった娘の口から、いや
らしい喘ぎ声が出てきたのだ。
「私に…ママみたいなおっぱいがついてる…」
いやママよりも2倍以上は大きくなっている。梨恵の身長は普通の高校生レベル
に達しているが、なぜか胸だけは高校生を飛び抜けて、頭のサイズまで大きく
なっている。しかし、飛行機の加速は全然止まらない。それもそうだろう、
飛行機は離陸していない。まだ飛べる速度ではないみたいだ。
「はぅっ…パパ…おっぱいがブルブルして…くぅんっ…痛いのぉ…おさえて…」
「な、何だって…お、おい共恵、何とか…」
「大丈夫、ママが一緒にいるから…」
「…」
共恵は、急加速で上の空になっているのか、周りの情報を全てシャットアウト
しているみたいだった。
「パパっ…早くぅっ…」
「わ、分かった…」
僕は目を閉じながら、腕を横に伸ばして、梨恵のスイカサイズの乳房に押し
付けた。
「あうっ!…パパっ!…服がこすれて…痛いよっ!」
「えっ!」
僕は長袖の服を着ていたが、あまりに大きく、それでいて小刻みに揺れる乳房
に擦れていた。
「くそ、こうなったら…」
僕は袖をまくり上げ、素肌で乳房を下から支えた。なんて柔らかさだ。揺れと
乳房の重みのせいで骨が痛いほどだったが、至高の感触が、僕の腕を包み込んで
いた。
「はぁっ…痛くなくなった…うっ!」
僕は梨恵の声に目を開けた。もう梨恵は僕の身長を越して、加速のせいで後ろ
に潰れているはずなのに、胸は前の席に付きそうになっている。それに、その
太ももとおしりが、自分の体にあたってきている。僕はその質量感に欲情し
かけた。いけない、これは僕の可愛い娘だ。
「どうしたんだっ!」
「シートベルトが…はぅっ!おっぱいがくすぐったいよぅっ…」
梨恵のおっぱい…乳房の先が、前の席を擦っていた。僕は、意を決してシート
ベルトを外し、僕の肩にまでのしかかっていた重い梨恵の乳房を、前の座席の
背もたれの上に押し上げた。
「いま、シートベルト外してやるからなっ!」
いや…その必要はなかった。大きくなり続ける梨恵の体に、シートベルトの
金具が耐え切れていなかったようで、すぐにバチンッと壊れてしまった。
ようやっと、飛行機が離陸し、重力が更に後ろに傾いた。乳房は前の背もたれ
を超えて、次の席にかかろうとしていた。身長も飛行機の低い天井に達している。
「まだ、加速は終わらないのかっ」
「パパぁ、もう、足が入らないよ…」
大きすぎる乳房で見えなくなった梨恵の声が聞こえてくる。最初は足の底が
ついていなかったのに、今は足を折っても膝が前の座席に付いている。梨恵の
座席の上は、これはもう、通路に逃すしかない。僕は、立ち上がり、通路に
梨恵を引っ張りだそうとした。
「いや、転んじゃうっ…」
梨恵はそう言いながらも、何とか通路まで出ることが出来た。だが、僕は引っ
張り出し終わった時、重力に負けて、低姿勢で踏ん張ったまま梨恵の方に倒れ
こんでしまった。
「あっ…パパッ…」
梨恵もつられて倒れた。俺は仰向けになっている梨恵のお腹の上に頭を載せて
いる状態になった。梨恵はちゃんと受け身をとったようだった。
「ご、ごめんな…梨恵、大丈夫っ…ぶっ!」
僕の頭の上に大きく重く柔らかいものがドサッと落ちてきた。座席の上で
膨らみ続けていた乳房が、落下してきたようだった。
上は柔らかいおっぱい、下はぷくぷくとしたお腹で、僕の頭はふんわりと
包まれていた。気持ちいいとしか考えられなかった。
「パパ?パパーッ!」
乳房越しで梨恵の声が聞こえてくるが、意識がだんだん遠のいていった。
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目を開けると、白い光が見えた。ここは天国か?
「パパ、大丈夫?」
「あれ、僕は一体…」
僕は担架の上に載せられていた。白い光が徐々にはっきりし、毛布をかぶった
梨恵と、共恵が心配そうに僕を覗きこんでいる。
「気がついたのね!あの後、結局、元の空港に戻ることになったのよ」
「ごめんなさい、梨恵のせいで…」
どうやら僕は窒息し、気絶していたらしい。
「いや、梨恵のせいじゃないよ。旅行ならいつでも出来るんだ。それで、どう
して梨恵の体は大きくなったんだ?」
「『メタモルフォーゼ症候群』って言うらしいわ…原因は分からないけど、
梨恵の場合は、体が動く速さで、体型が変化するみたいね…うちの子がかかる
なんて…」
「でも、面白かったよ、みんな私より小さくて、おっぱいなんて、パパを包み込めるくらいあったんだから」
実際に包み込まれていたわけだが。また、あのおっぱいを…いやいや、二度と
娘にあんな醜態を晒させる訳にはいかない。
「だから、また大きくなりたいなーって…」
「えっ!?」
「今度は、新幹線に乗ってみようよ!」
子供の考えることは恐ろしい。