混沌の中の混沌

tefnen 作
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これは、由里がユリシアになった直後、宣戦布告をされた後の、佳奈と映子の
日常の話。
佳奈は、小柄な女子高生であり、もともと英一という男性であった映子の、
理想の恋人の体型になるという呪いが掛けられていたが、映子が英一の恋人と
なったため、自由自在に変身できるようになっていた。
映子の方は、先に言ったとおり、もともと体格のいい男性、英一で、呪いに
より、佳奈よりも小さな女子大生に変身させられていた。その呪いは、英一の
体型だけでなく記憶、性格や社会的立場まで変え、おまけに自分よりスタイル
のいい女性に触れると、痛みを伴って、その体型に変化するというものだった。

それはさておき、佳奈と映子は、自分たちの家に帰り、二人で話し合っていた。

「由里ちゃん、大丈夫かな…」
「…」

佳奈が見た、新しい姿の由里。彼女は、ユリシアと名乗り、健気で友達思いな
由里からは想像もできないような嘲笑を、佳奈と映子に向けた。明らかに、
「大丈夫」ではない。しかし、佳奈は映子をなだめたかった。

「大丈夫。でも、私達、由里を助けないといけない」
「でも、由里ちゃん、怖かったよぉ…」
「心配しないで。私が、付いてる」

佳奈は映子の頭を撫でようとして、思い出した。ユリシアは、自分たちの呪い
を二倍にすると言っていた。

「(二倍…?どういうことなの…?)」

佳奈には、それをここで試す必要があった。

「先輩、ちょっと、私大きくなる」
「え…?どうして?」
「由里が言っていた、私達の呪いは、二倍」
「あ、そういえば…でも、今やらなくてもぉ…」
「ダメ、今確認しないと、外で初めて分かった、ってことになりかねない」
「それは、イヤだよっ」
「うん。だから、今が一番」
「じゃあ、さーや先輩くらいに大きくなって」
「…分かった」

さーや先輩とは、佳奈の大学でのサークルの先輩の一人、紗耶香のことで、
身長は平均的だが、巨乳であった。佳奈は、数回会っただけの紗耶香を思い
浮かべる。すると、佳奈の体がゆっくり大きくなり始め、佳奈は自分の体を
心配そうに見下ろした。

「(普通に大きくなってくれればいいんだけど…いや、それだと何が2倍か
分からない)」

佳奈は、空気が入る風船のように、ゆっくりと、着実に大きくなる。もともと
貧乳である佳奈の胸は、プクーッと大きくなり、その変化が目立っていた。

「(そろそろ…だよね…)」

佳奈がそう考えると、変化の速度が遅くなり始め、紗耶香の体型に収束して
いく。

「ふぅ…」
「普通だよ?」
「うん…そうみたい…」

だが、次の瞬間、

《ドクンッ》

「キャッ!」

佳奈の全身に衝撃が走る。

「どうしたの、佳奈ちゃんっ!」
「何か、おかしいっ!」

《ドクンッ》

「ぐぅっ…!」

衝撃が、周期的に佳奈を襲う。佳奈がこれまで感じたことのない衝撃だった。

《ドクンッ》

「ひゃっ…足、がっ…」

佳奈の足が、グッグッと伸び始め、スカートからにょきにょきと出ていく。
手も、服からグリッグリッと、伸びていく。

「佳奈ちゃんっ!」

視線が上がり、小さい映子が遠く離れていく。

「先輩っ…大…丈夫…だからっ…!」

《ドンッ》

「あぅっ!」

頭が天井に当たった。高さが2m以上ある天井に、佳奈の背丈は達してしまった。

「ど…どうなってっ!」

佳奈は、長くなっていく自分の足を何とか制御して座り込み、その足が、腰
から膝までで映子の身長の半分以上になるのを、衝撃に耐えながら見ていた。

《ドクンッ》

「ひゃぅっ!」

その足が長くなるのをやめると、血液の代わりに、大量の脂肪細胞が送り
込まれているかのように、根本から足がムギュッと太くなる。途端に、紗耶香
とは比べ物にならない、ムチムチな太ももが、スカートをぶち破り、その姿を
露わにした。

《ドクンッ!ブルンッ!》

それが終わると、それなりに大きかった乳房が、心臓のように脈打ちながら、
ボンッボンッとそのサイズを大きくしていく。

「激し…すぎるよぉ…っ!」

巨大になった佳奈の体を何とか包んでいた服が、その脈動で吹き飛ばされた。
その後には、その体と比べても、不釣り合いに大きな乳房が、バルン、バルン
と揺れていた。

《ドクンッ…トクン…》

そして、佳奈の衝撃が引いていき、変身も収まっていく。

「やっと…収まっ…うっ!」

《ドクンッ!》

イタチの最後っ屁のような大きな衝撃が安心しかけていた佳奈の体に走り、
乳房がボンッと一回り、いつの間にか大きく膨らんでいた尻はもっと、
爆発するように大きくなって、それは終わった。

「はぁ…一体…なんだったの…」

佳奈は床にへたり込んだが、それでも、足の太さ、尻の大きさに胴体と頭の
長さを足しただけで、映子の140cmという身長を軽く上回っていた。

「2倍…2倍って…目標の体型の2倍…身長も…」

頭のすぐ近くにある天井を見る佳奈。

「胸囲も…」

目の下でたゆんたゆんと揺れている乳房を見て、佳奈は言い直す。

「いや、身長に対する胸囲…かも…それに」

長くなった手を尻に回して、プリッと張ったそれを感じ、

「ヒップ…も…なんて変態な呪い…」
「佳奈ちゃん、何小さい声で喋ってるの?」
「あ、先輩…」

佳奈の脇に立っている映子が、喋りかけてきた。

「先輩も、試さないと。でも…このままじゃ」
「うんっ!じゃあ…」
「先輩っ!?」

映子は、佳奈の体が巨大になっているにもかかわらず、それをピトッと
触った。

「(まさか、また先輩アレにハマっちゃったの!?)」

アレというのは、映子の呪いは、痛みを伴う変身であるが、その痛みの後に
精神があまり傷つかないようにという口実で、快楽を与えるようになって
いた。実際は、この呪いをかけようとした魔術師の、映子に中毒性のある快楽
を与えることで、何回も変身させようという、悪質な企みであった。

「んぐぐ…かはっ…」

映子は、佳奈の太ももに覆いかぶさるように倒れてしまった。

「(もしかして、痛みも2倍に!?)」

変身の痛みは、もともとから映子に大きな悲鳴を上げさせるほどのものだった。
今は、映子にその2倍の痛みが与えられ、耐えられずに、失神したのだろう。

「(これで、痛みを感じないのならいいんだけど…)」

佳奈は、その体の大きさのせいであまり動けず、映子をただ見守っていた。
その体からは、ボキッベキッという、骨が外れたり折れたりするような痛々
しい音が聞こえる。実際に、映子の体の表面がぼこぼこと動いている。

「(先輩…)」

やがて、映子の手足が伸び始めるが、その音は止むどころか大きくなって
いる。バコンッボキンッと関節が嫌な音を立てながら、映子の体は伸びて
いく。佳奈の太ももには、映子の体から伝わるポコンポコンという衝撃が
伝わってくる。

「(ああ、こんなに痩せこけた先輩を見るのは、いつもイヤ…)」

映子の体には十分な脂肪が供給されず、普通の人間よりもかなり細い体に
なってしまう。だが、それも骨格が伸びきるまでだ。グチャッグチャッと、
粘り気の強い何かが混ぜられるような音がし始めると、うつ伏せになっている
映子の胸が、押し上げられ始め、すぐに、乳房のようなものが体の下からはみ
出してきた。それは、グニッグニッと佳奈の柔らかい太ももに押し当てられ
つつも、どんどん大きくなり、佳奈の乳房すらも越えていく。身体全体にも
脂肪が付き始め、普通の体格にまでは戻った。

「(先輩、2倍なのは痛みだけならいいんだけど…)」

だが、その佳奈の願いも虚しく、映子の体全体がさらに大きくなり、部屋の
片隅に足がつき、反対の隅に頭が付いてしまうほど、身長が伸びた。乳房は、
それだけで、部屋の高さに達し、次第に横に潰れていく。

「(せ、先輩の体、重い…)」

普通の女子大生の2倍の大きさになった佳奈にも、だんだん自分の膝で映子を
支えているのが辛くなってきた。

「(このままじゃ、先輩に潰されちゃう…こうなったら…天井を壊して立ち
上がるしか…)」

佳奈は腕を突っ伏して力を入れ、足の力と合わせて、頭で天井を押し上げた。
すでに映子の体で持ち上げられていた天井は、すぐに壊れ、佳奈は太ももから
映子を下ろしつつ、立ち上がった。映子の方は、乳房が更に大きくなり、佳奈
の体がすっぽり入りそうなくらいになっていた。

「んっ…」

佳奈が上から見守っていると映子がうめき声を上げた。すると、乳房がグニ
グニと動き、縮み始める。逆に、尻がプクーッと膨れ、下半身にも、脂肪が
行き渡り、太さが何倍にもなっていく。

「あっ…!」

もう一回、うめき声を上げると、全身からしていたあらゆる音が止んだ。変身
が終わったようだ。佳奈は、自分の2倍の大きさになった映子に、話しかけた。

「先輩…?立ち上がれる?」
「あは、アハハハハハハ…」
「ひっ…!?」

笑い始めた映子に、うろたえる佳奈。

「(もしかして、気持ちよさも2倍なの!?それじゃ、先輩は…もう変身を
やめてくれないんじゃ…)」
「アハッ…気持ちいい…こんなの、初めて…」
「…先輩…お願い、やめて…」
「アハハッ…」
「お願い…だから…」

だが、6mの巨人になった映子は、不気味な笑い声を、しばらく止めることは
なかった。