環境呼応症候群 月の子1

tefnen 作
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「母さん、今帰ったぞー!」
「あら、いらっしゃい〜早かったねぇ…」

僕、浩輔は、妻と子と一緒に、実家に帰ってきていた。

「和也くんもこんなに大きくなって、赤ん坊だった頃が懐かしいねぇ…」
「おばあちゃん、また会えて嬉しいよ」
「あら、私も、和也くんに会えて嬉しいよ」
「お母様、お邪魔します」
「和子さん、つまらないものしか置いてないけど、今年もよろしくね」
「いえいえ、お気になさらず。よろしくお願いします」

母さんと妻である和子も、仲が良くて助かる。

父親は数年前になくなっていたが、近所づきあいが深いお陰で、あまり寂しさ
は感じていないようだった。しかし、家族が一堂に会する機会は、積極的に
作ってやらなければいけない。

「ところで、雄輔は?」

雄輔とは、弟のことだ。

「ああ、もうすぐで着くらしいよ」
「そうか、そういえば、会うの久しぶりだなあ…」

子供の時は毎日いっしょに遊んだものだが、最近は、めっきりだな。

「夏希ちゃんも来るよね!」

和也が母さんに尋ねた。夏希ちゃんとは、僕の姪で、和也にとってはいとこ。
一年に何回かだけ会える妹のようなものだ。今年小学校に入学したらしい。僕
としても、夏希の健康な成長は嬉しいものだ。

「もちろんだよ。だけど、今年は大変らしいねぇ…」
「大変って…反抗期か何かか?」
「そうとしたら、随分遅い反抗期ね」
「あらあら?もしかして浩輔、聞いてない?」
「うん…何も」

そこで、呼び鈴が鳴った。

「ああ、僕が出てくるよ、きっと雄輔だ」
「お願いね」

僕は、扉に近づいて、外を見た。間違いない、弟の顔だ。

「今、開けるぞ〜」

扉を開けると、弟がお辞儀してきた。

「あ、兄さん、久しぶり」
「久しぶりだな。可奈子さんも」
「お久しぶりです」

僕は、弟の奥さんに向かって挨拶した。残るは一人…なのだが…

「えーと、どちらさま…?」

僕と同じくらいの身長の女性だ。どこかで見たような事があるような気が
する…

「おじさん!私、夏希だよ!」
「え、えええええっ!?」

僕の知っている夏希は、まだ小さな子どものはずだ。しかし、目の前に立って
いるのは大人の女性、それに爆乳もいいところの大きな膨らみにコートが横に
引っ張られ、同じように引っ張られたスカートには、張りのいい大きな尻が
包まれて、そこから伸びるストッキングに包まれた足はムチッといい具合に
脂肪が付いている。

「え…ちょ…え…?」
「どうしたの?おじさん」

夏希と名乗る女性が、首を傾げる。綺麗な長い黒髪が、サラッと動いた。

「いいから、夏希。兄さんにはまだ説明してなかったね、夏希のこと。母さん
に挨拶を済ませたら、教えてあげるから」
「わ、わ…分かった…」
「さあ、みんな入って!」
「うん!わぁい、おばあちゃん、お邪魔しまーす!」

夏希が大きな胸をブルンブルンと揺らしながら家の中に駆け込んでいった。

「お騒がせしてすみませんね、お兄さん」
「いえ…あは…そんなこと…は…」

弟家族はそのまま家に入っていった。僕も続いた。

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「お母さん、お邪魔します」
「雄輔、待ってたよ。あら、夏希ちゃん、大きくなったねぇ」
「うんっ!おばあちゃん!」

大きくなりすぎだ。どうして母さんは何も不自然さを感じていないのか、分か
らない。

「夏希ちゃーん!あれ…?お姉さん、だれ?」

息子の方は疑問を感じたようだ。僕の感性がおかしくなっているわけではない
みたいだ。

「あ、和兄ちゃん!お久しぶり!」
「え、あ!」

夏希が息子を持ち上げて、抱きしめた。和也の顔がその胸の大きな膨らみに
あたっている。いや、包まれているといったほうが正しい。

「こら、和也そんなに家の中走っちゃ…あら…?」

和子が玄関に出てきた。当然、スタイル抜群の女性に目が止まる。

「可奈子さんの、妹さん、かしら…?初めまして…」
「あ、おばさん!久しぶり!」
「おば…」

和子が唖然とする。見ず知らずの女性にいきなりおばさん呼ばわりされたの
だから仕方ない。

「すみません、この子が、夏希です…」
「え…」

さらに唖然。

「夏希、ちゃん?」
「うんっ!大きくなったでしょ!?」
「ええ、大きく、なったわねぇ…色んな所が…こんなに早く…とりあえず、
和也を放してあげて」
「あ、うん!和也くん、降ろすよ!」

ずっと夏希の乳房に包まれていた和也が、やっと解放された。

「柔らかくて、気持ち、よかったぁ…」
「でしょ!?」

僕は、気が滅入りそうだった。すこーしだけ、息子が羨ましかったが。

「兄さん、こっち来て。可奈子達は、居間でくつろいでて」
「あ、うん。和也、夏希…ちゃん…と遊んで…やりなさい…」
「分かった!」

いつも通りの会話のはずなのに、すごくぎこちない。若々しいが大人にしか
見えない女性に「ちゃん」づけしたり、その子と息子を遊ばせたり、なおかつ
小学生の息子が遊んで「あげる」側だったり、本当にそれでいいのか迷い
ながら言葉を発したからだ。

ともあれ、僕と弟は、いつも弟達が泊まっている部屋に二人になった。

「おい、どういうことだよ、あれ、本当に夏希か?」
「信じられないと思うけど、そうなんだ。オレも最初は信じられなかったんだ」
「最初は?」
「単刀直入に言うと、夏希は『メタモルフォーゼ症候群』にかかったんだ」
「なんだ、それ?」
「知らないよね。オレも、夏希がかかるまで、名前も知らなかった」
「病気で、あんなに大きくなるのか?もしかして、老化を加速させる病気か?」
「いや、違う。医者のいう話では、ある条件のもとで、体型が変化するらしい」
「信じられんな」
「じゃあ、これを見て」

弟は、スマートホンを取り出した。

「夏希が大きくなる時の映像だ」
「まて、それを録画したってことは、その条件とやらが分かってたのか?」
「うん。月が変わると成長するものらしい」

その間にも操作を進めていた弟は動画を再生した。映っているのは、夏希が
中学生になったらこれくらいの大きさになるだろうな、と思う女の子だった。
やけに胸が大きいが。

『パパ、本当に撮るの?』
『やっぱり、やめておくか?』

動画の中で、夏希と雄輔がしゃべっている。

『ううん、お願い』
『分かったよ。でも、嫌になったらいつでも止めてあげるから』
『うん』

その後ろで、テレビの時報が聞こえた。

《ピ、ピ、ピ、ポーン》
『ふっ…!あぁっ!』

その次の瞬間、夏希が、痛みを感じているのか、声を上げ始めた。

『いた…い…!あぅ!』

夏希の身長が伸びていくように見える。ビデオの視界が固定されているのに、
夏希の足から頭までの距離が長くなっているのだ。

『ああああっ!』

ふっくらと膨らんでいた胸が、ググッと盛り上がり、着ているシャツがムギュッ
と引っ張られた。

『はぁ…はぁ…』

それは短い間の事だったが、夏希の歳が一つ二つ増えたかのようだった。乳房
だけは、普通の成長を軽く上回っている。

「これが、一ヶ月に一回起こるんだ。毎日、1日になると、こうだよ」
「本当に、病気で?」

僕の中に疑問がわいた。

「そう言っただろ?」
「いや、実際にそうなら、何で、人間の決めた『月』なんかに同期するんだ?」
「え?」
「30日ごととか、そういう時間がちゃんと決まっているわけじゃないんだろ?
『月』ごとだ。もしかして、誰かが変身を引き起こしてるんじゃないか?」
「んー…でも、誰かって…誰が?」
「さあ、それは分からないけど…」
「…とりあえず、あの子が本当に夏希だって、信じてくれるよね」
「もちろん」
「よかった。じゃあ、もうそろそろ夕食時だし、戻ろうか」
「ああ」

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台所から3人の女性の声がして、いい匂いがしてきた。これはごちそうになり
そうだと思いつつ、弟と一緒に居間に戻った。

「二人とも、楽しくやってるか〜?っておいぃっ!?和也、なにしてるんだ!!」
「え?何って…夏希ちゃんのおっぱいモミモミしてるんだけど…」

息子は正直に答えた。確かに、その通りだ。和也は、仰向けに寝転がっている
夏希のお腹の上にのしかかって、その巨大な乳房を鷲掴みにしていたのだ。
しかも僕がしゃべっている間にも、縦に横にと手を動かし、乳房はそれに
従って動いている。

「あ…おじさんも…揉んでみるぅ?…気持ちいいよぉ?…」

夏希の方は、上気した顔で、誘惑してくる。僕は遊べとは言ったが、この遊び
方は許容できない。

「こらっ!二人共っ!」
「えっ!何っ!?」
「ひゃあ!」

二人ともビクッとして床の上に座り直した。夏希の、プルンプルンと振動する
膨らみに目が行ってしまそうになる。

「か…和也、どうしてこうなったのか、言ってみなさい!」
「おじさんっ!私が和也兄ちゃんに揉んでみてって…」
「夏希ちゃん、今は和也に聞いているんだ…って…えええっ!?」

驚愕する僕の肩に、ポンと手が置かれた。

「兄さん、すまない、オレのせいでもある」
「…えええええええっ!?」

台所の方から、ドタバタと足音が近づいてきた。

「どうしたの、あなた…」

和子が喋りかけてきた。

「い、いや、何でもないんだ」
「なんでもって…大きな声で叫んでたじゃない!」

今ここで起こったことを言えば、事の原因らしい弟の体面を守りきれるかわか
らない。大晦日の前の日に、余計な不和は避けたかった。

「いや、相撲の試合で知ってる人が出てただけだから」
「知ってる人?誰?」
「いや、お前の知らない人だ。それよりも、腹が減ったなぁ…4時間も運転し
てきたし…」
「…そうね。早く、お夕飯にしましょうね。和也、夏希ちゃん、手伝って
くれる?」

座り直してから動いていなかった二人が、立ち上がった。

「分かったよ」
「うん!」

そして、僕の隣を走っていった。通り過ぎるとき、風になびく夏希の髪から
いい香りがしてきた。

「…」
「あなたは、テレビでも見てて。弟さんと話すこともいっぱいあるでしょ?」
「あ…ああ、そうだな。ありがとう」
「ありがとうございます。和子さん」
「いいえ、お構いなく」

和子は、ニコッと微笑むと、台所に戻っていった。

「とりあえず、座れ」
「うん」

僕は、居間の畳にあぐらをかいて座った。弟の方は、正座だ。

「さっきの話の続きをしようか。あれがお前のせいって、どういうことだ?」
「兄さん…男として情けないけど、実は、9月位から耐えられなくなって…
夏希が揉んで揉んでっていうもんだから…可奈子に隠れて…」
「はぁ〜…」

大きなため息をつく。弟が情けないと言うように。実際のところは、僕だって
耐えられるか分からないが、虚勢を張るほかなかった。

「父親失格だな…娘にセクハラするなんて…」
「うーむ…セクハラとは、言えないんじゃないか…?夏希がやって欲しいって
言ったわけだし」
「そうかな…?でも、そのせいで夏希はどんな人にも胸を揉むことをせがむ
ようになってしまったんだ…こんなこと可奈子に知られたら…うぅ…」
「そう、か…ん?じゃあ…」
「何だい、兄さん…?」

その時、二人の子供?が皿を持って駆け込んできた。

「お夕飯のできあがりーっ!あれ?パパどうしたの?」

夏希が父親の泣きそうな顔を見て言った。弟は、すぐに気を取り直した。

「何でもないよ。それより、美味しそうだなーそれ!」
「うん!唐揚げ!」

夏希は机の上に皿を置いた。美味そうだ。

「おっと、机の上拭かなきゃいけないな、和也、ふきんもってきて」
「分かったー」

そして、その日は普通に終わった。と思いきや…

それは、夕食が終わり、居間に布団を敷いて、妻と息子が一緒に風呂に入って
いる時の事だった。僕は、新聞を読みながら、布団の上で横たわって、時を
過ごしていた。

「おじさん…?」

いきなり、ふすまの方から声が聞こえた。振り返ると、パジャマを着た夏希が
いた。

「夏希ちゃん、どうしたの?お父さんは?」
「もう寝ちゃったの。でも私、寝られなくって、和也兄ちゃんと遊ぼうと
思って…」
「そう、和也ならいまお風呂だし、ちゃんと寝なくちゃダメだよ?」
「…でも、遊び相手はおじさんでもいいんだ…」
「え?」

夏希は、僕の上にドサッと覆いかぶさってきた。全身に、ムニュッとした
柔らかい感触が伝わってきた。

「おじさんも、モミモミしてみない…?私のおっぱい…」

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そして、一つづつ、パジャマのボタンを外していく。その度、プルッと揺れ
ながら、肌色の果実が露わになっていく。

「こら…おふざけは…だ、ダメだ」

僕は、夏希を止めようとするが、正直言って心臓がバクバクして止まらず、
言葉がうまく出てこない。アソコが勃ってしまいそうだが、何とか隠したい。

「いいでしょ?ね?」
「だ、ダメだっ!」
「あっ!」

夏希の肩を掴み、力づくでどけようとしたが、重くてうまくいかない。夏希の
髪が、僕の顔の周りに垂れかかる。

「そこじゃないよ、ここだよ」

肩を掴んでいた手を引き剥がされ、胸に持って行かれた。

《ムニュ…》

なんて感触だ…超弩級の大きさで、張りも強いのに、その質感は、何にも替え
がたいものだった。

「ダメだ…僕は…」
「触るだけじゃダメだよ、揉んで…」

(つづく)