「いただきま〜す!」
「はいはい、ゆっくり食べなさい」
私の娘、美智(みち)は、メタモルフォーゼ症候群を患っていた。そのおかげ
で、今は彼女がとても空腹であることがよく分かる。なぜなら、娘は空腹度に
よって体が変化する、もっと具体的に言うと満腹になると体が大きくなるからだ。
「は〜い!」
そう言って食べ始めた美智。今はぶかぶかの服を着て、体を動かすのが大変
そうだが、成長時に服を破らないために必要なことだった。最初は大変だっ
た。いつの間にか服の縫い目がほつれるほどに成長していて、それでも食べ
ようとするものだから、当然破れちゃって、食卓に露出されたおっぱいが出る
ことになってしまった。次の日新しい服を着せて食べさせたら、それでも追い
つかなかった。
「お魚おいしい〜」
でも、元々好き嫌いが多かった美智はそれ以来なんでも食べるようになった。
しかも、すごく美味しそうに。料理を作っている私にとっては、とても嬉しい
ことだった。それで、この病気を治すことは全然考えていない。美智も、それで
納得しているようだった。小学校の給食ごとに、周りの子からはかけ離れた
身長と体型になるはずだけど、娘はそれを気にしていないみたいだ。
そろそろ大きくなり始めている。床についていなかった脚が伸び、まもなく床
にトンと付いた。腕も伸びているようで、かなり前屈みで食べていたのが、
徐々に姿勢を戻して、顔が机から遠ざかっている。食事が喉を通るたびに、
キュッキュッと目線が上がる。
時が立つごとに大きくなる娘の体で、際立って目立っているのがその胸の盛り
上がりだった。未だに服はブカブカだが、私のものよりも大きい2つの膨らみ
が、それを押し上げ、強い存在感を放っているのだ。今の大きさでも羨ましい
のに、それも、ムクッムクッと、美智が食べ物を飲み込むたびに膨らみ続けて
いる。
「ん…んあっ!おいし…あっ!」
娘は一心不乱に食べ続けながらも、何か刺激のようなものを感じているよう
だった。見ると、膨らむごとに乳首が服に引っかかり、ぷるん、ぷるんと揺れ
ながら、衣服に擦れていたのだった。
カロリーが多い肉にとりかかると、成長のスピードは一段と速くなった。
中学生の大きさだった美智は、あっという間に成人女性の大きさまで成長する。
胸はそれと比較しても加速度的に大きくなり、スイカサイズのバストが服を
引っ張りあげていた。服は胸から来る大きな圧力に押し付けられ、ずり上がる
ことはなくなり、上に膨らむ場所を失った乳房は、潰れながら下に膨らみ始めた。
「んぎゅ…胸…苦し…っ!でも…食べるのやめられない…!」
ここで、私はおかしなことに気づいた。美智に入っていく料理の量と、体の
成長の度合いが、不釣り合いになっているのだ。肉の一切れを飲み込むだけ
で、胸はその数倍、体全体では数十倍の体積が追加されていたのだ。ううん、
この不整合性は最初からあったのかもしれないけど、今は顕著になっている。
これは、本当に病気なんだろうか。
そのうち、私よりも背丈がどんどん大きくなっていき、胸の方も先ほどの5割
増の大きさを持って、最初はぶかぶかだった服の中で無理やり潰されていた。
しかし、今度は拘束していた服がビチビチ言い始め、次第にブブッと裂け始めた。
「あっ!」
そして、その大きく肥大化した乳房が、服から飛び出し、私の目に飛び込んで
きた。それは大きな机にガンッとぶつかり、机はその衝撃で少し動いて、載っ
ていた食器がガシャンと音を立てた。しかし、娘はそんなことを気にしないで、
食べ続けた。腕が長くなっているせいで食器に手をのばすのには苦労していない
が、椅子の高さは明らかに低い。というか、美智の体の重さのせいで、脚に
歪みが生じて、ギシギシとゆっくり潰れていっている。今や、ほぼあひる座り
だった。
「あ〜んっ!」
箸やスプーンも手のサイズに合わないのに、器用に動かして食べ続ける娘の姿
は、健気に思える。だが、その成長速度がさらに上がり、胸も体も大きくなって、
乳房で美智の視界が遮られ、食事が見えなくなると、手を使って食器ごと食べ
だした。もう、仕方がない。だけど、このせいで成長速度は指数関数的に
上がり始める。
「ん〜っ!」
私が丹精込めて作り上げた料理が大皿分まるごと、娘の口の中に放り込まれる
と、その体がブワッと大きくなった。屋根がもともとあった位置まで達して
いる。もともと、というのは、美智の成長があまりにも大きく、屋根を突き破って
しまったことがあって、それ以来屋根を取り払って吹き抜けにしているのだ。
それはさておいて、やはり成長の仕方が著しいのがその胸で、スイカ3個分
くらい入りそうだったのが、一気にバランスボール2個分になっていた。私
でも飛び込んでいきたいような柔らかそうな塊が、2つ、娘の脚の上に鎮座
していた。
「はぁ〜おなかいっぱい〜」
そして、胸で見えない腹をさする代わりに、胸をさする美智。その手の動きに
合わせて、乳房は大きく形を変えつつ、プルンプルンと小刻みに揺れている。
「今日は、食べ過ぎたんじゃない?」
「そう?」
私が声をかけると、遥か上の方にある娘の顔が、こちらを向いて不思議そうな
表情を浮かべた。私の娘の成長に対する反応ももう鈍い方になってきているのは
自覚しているが、美智にももう少し反省してもらいたい点もあった。
「だけど、お母さんの料理、美味しいんだもん!」
「あらあら…」
だけど、笑顔でこう言ってくれる娘に、叶う母親などいないだろう。たとえ、
その娘が自分の幾倍も大きな体を持っていたとしても。はぁ…でも疲れたな…
今日もあの居心地が良くて疲れが取れる乳枕、してもらおう。