「いってきまーす!」
俺は、いつもの様に忘れ物率10%のカバンをひっさげ、家を出た。遅刻も日常茶飯事
だが、今日は遅れることはないはずだ。あの子の体質に、魔が差ささなければ……
いや……
「おはよ……おにいちゃん……」
後ろから聞こえてきた小さく弱々しい女の子の声。隣の家に住んでいる中学生の
小和田 チカ(こわだ ちか)。幼い頃から遊んでやっていたら、いつの間にか
俺にくっつきっぱなしになっていた。小柄なせいで、かなり怖がりで、人見知り
も激しいこともあったのだろう。
「おっ。おはようチカ」
「えへ……」
この笑顔も、見ることができるのは俺だけなんだろうか。でも、その奥には不安
も混じっている。俺はその理由を知っていた。それだけではない。制服がない
中学校に通うチカのチェック柄のダッフルコートがつぎはぎだらけなことも、
「それ」の証拠だ。
「えっと……今日も中学校まで一緒に……」
「一緒に行ってやるよ」
「ひっ……」
ちょっと言葉を遮るだけでも驚く。どこかの小動物かと思うが、その驚きだけ
でも、「その」症状が出る。ショートに切ってある黒い髪が、肩までスッと
伸びるのだ。チカは気づいてないみたいだけど……でも、今日くらい、遊んでも
いいかな?
10分と少し歩いていくと、他の中学生やら高校生やらと段々と合流し、人通りが
多くなってきた。チカは俺にひっついて歩いている。ここらへんで、始めると
するか。
「なぁ、チカ……」
「えっ?」
チカが俺の方に意識を向けた瞬間、俺は大声を出した。
「わぁっ!」
「きゃぁっ!」
チカも大声を出して俺を突き飛ばすように逃げた。そして同時に、そのコートの
胸の部分ががムクムクっと盛り上がってパンパンになり、足もニョキニョキと
伸びた。
「おにいちゃんの……いじわる」
それで恥ずかしがるだけでほとんど怒らないのはチカの気の弱さからかもしれない。
チカは、「メタモルフォーゼ症候群」を患っていた。何かに怖がると、体が
成長して出る所が異常なまでに出る。今だって、あのコートを脱がせたら高校生
でも大きい胸が出てくるだろう。それに、なぜか俺と一緒の時にしか症状が
出ない。なぜ、俺なのか。まあいいや。
チカはその体のまま、また体をくっつけてきた。さっきよりもその力が強く、
腕に柔らかい感触が伝わってきて、まだ落ち着かない息が近くに聞こえてくる。
「わざと驚かさないって……言ったのに」
「ごめんごめん。もう今日はしないからさ」
「今日は……って、むぅ……ひぃっ!?」
チカの体がまた大きくなるのを、自分の触感で感じた。コートがブチブチと破け
始めた音も聞こえる。あのコート、破けるの何回目なんだろう……しかし、今度は
俺は何もしてないぞ?
「どうしたんだ?」
「あ……あそこにネコの死体が……ある……!」
チカはどんどん大きくなっているみたいで、その息がゆっくりと耳元の高さを
通り過ぎ、俺にがっしりと抱きつく腕が長くなり力も強くなっている。そして、
コートの糸がほつれる音が止まらない。
「あれって、ただのぬいぐるみじゃないか……?」
「そ、そう?」
「確かめてきてやるから……」
「お願い、おにいちゃん……!」
「あの、放して……」
「それはいや……!」
困ったぞ。完全にパニック状態だ。チカの髪が俺の顔に触れ、サラサラとした
感触が伝わってくる。
「じゃあ一緒にいくか?」
「ひっ!?……そんなの絶対いやぁ……!」
俺に選択肢が何一つない。今や俺より頭ひとつ身長が高く、無理矢理首を動かして
コートの方を見てみると、もうキッツキツのギチギチで、スイカサイズに膨れ
上がった胸しか覆っていない。そしてそれも……
《ビリビリーーーッ!!》
「いやぁっ!!」
ドッバーンッ!!……これが一番正しい音の表現だと思う。胸の洪水が、俺の背中
と腕に襲いかかったのだ。柔らかいってもんじゃない。もう包み込まれる感覚しか
無い。しかも、チカはもっと強く俺を抱きしめてくる。その感覚は、強くなる
一方だ。
「ち、チカ……?」
「お、おにいちゃんっ……チカ……」
ああ、これが来たか。チカの吐息は荒くなる一方で、体がかなり熱くなっている。
こうなると止められない。
「カラダが……熱くって……!おっぱいじんじんする……!だから……」
俺の体がヒョイッと持ち上げられ、180度回転する。さっきまで135cmくらいしか
身長のなかった子がすることではない。実際、今目の前にみえているのは一瞬
巨人かと思えるほどの体躯で、俺の目の高さには、巨大な2つの柔丘の上にピンク色の
突起がそれぞれ1つずつ立っている。
「チカのこと……責任取って……?」
責任ってなんだ。しかしそんなことを今のチカに問いただしても答えは得られない
だろう。恐怖に染まりながらも上気しているチカの目は虚ろで、何かに取り憑かれて
いるかのようだ。
「じゃ、じゃあ……」
「ひゃぅ!」
まずは目に見えているものからだろう。両手で、一瞬にして育ったチカの豊かな
2つの丘を、ゆっくりと揉み、上下左右に動かす。しっとりとした触感とともに、
まだ、まるで空気が送り込まれるように中から押し広げられ続けているそれが、
俺の手を押し返すような力を感じた。
「き、きもちいい……!」
「あはぁ……あぁん……!」
中学生が出す声だろうか。でも、今のチカを中学生と言ったら誰も信じないだろう。
俺はそこが通学路であるのにもかかわらず、チカの身体の感触に徐々に夢中に
なっていった。次にチカに抱きつくと、チカのすべすべとした背中の肌触りが
感じられ、その美しくかたどられた曲線にそって動かすと、腰のくびれ、そして
プリッとしたお尻に辿り着いた。そして、顔はチカの胸の谷間に押し付けられ、
ムニュッとした柔感が頭を覆い尽くし、精神をむしばんでいく。
「む、むふふ……!」
「おにい……ちゃん……!もっと、もっと……!!」
ムチムチとしたチカの身体を愛で、その火照った身体の熱を全身で受け取りながら、
自分のアソコが硬くなっていくのを感じる。チカもそれに気づいたのか、ズボン
のジッパーを勝手に下げてくる。変身した後のチカは、性格が豹変するけど、
ここまでは初めてかもしれない。
「ね、ねえ……パイズリ……してみる?」
「ふぇっ!?」
体を離すと、チカが路上に仰向けに寝そべり、誘ってくるような表情で、胸を
ムニュッと左右から潰してアピールしていた。パイズリなどどこで覚えたのか、
だけど今は関係ない。周りの視線をすごく感じるが、今は関係なかった。
「ち、チカが言うなら……」
いや、望むところだった。俺は遠慮なく、もう特大スイカになったチカの果実の
間に、突っ込んだ。もう、想像以上の快感だった。
「おにいちゃんの……硬くて……大きい……!」
これまで他のものを見たことがないんだなと思いつつ、チカに身を任せた。
「う、こ、これが……夢にまで見た……」
「あはぁん……はふぅ……」
見てない。断じて見てない。が、夢でだってここまでのものは手に入らないだろう。
ここまで柔らかく、大きく、質量感のあるものがこの世にあるだろうか。
「そ、そろそろ……出ちまう……」
「えっ……もう……?」
「う、うっ……」
俺は、チカのきれいな顔めがけて、射ってしまった。
「ふわぁ……!」
そこで、冷静になった。周りの視線が、一気に頭の中にぐさっと刺さり、そして、
俺達が邪魔で止まっていた自動車のボンネットが間近にあるのに気が付き、驚いて
飛び上がった。
『うわぁすごい……』『露出狂か……?』
意識が明晰になり、周りからの言葉も段々と耳に飛び込んでくるようになった。
「ご、ごめんチカ……!」
俺はすぐに、いつの間にか元に戻ったチカに謝ったが、返ってきたのは意外と
いうかなんというか、ある意味場違いではない答えだった。
「いいよ、おにいちゃん……でも、責任取って、お嫁さんにしてね……?」
「は、はい……」
だから責任ってなんだ。と、満更でもない俺は思うのだった。