駆逐艦用高速修復剤

帝国城摂政 作
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 「艦隊これくしょん」。これは戦艦を擬人化した少女達が提督の支持の元、深海戦艦や仲間の艦娘達を取り戻すと言うストーリーである。そんな世界の上層部が開発中のとある代物、【駆逐艦用高速修復剤】。これはそんな修復剤が届いた、とある艦隊のお話である。


 とある鎮守府。重巡洋艦娘、鈴谷は上層部から届いた【駆逐艦用高速修復剤】を提督の指示で運んでいた。

「提督の〜♪ ためなら〜♪ えんやこら〜♪」

 彼女は提督LOVEだった。この鎮守府の提督は優秀であり、高い成績をばしばし上げるようなタイプではないが、一艦も鎮める事なく3年以上続けている優秀な提督だ。彼は全ての艦娘を救うと言う使命を持っており、とりあえず沈めるような事は一切行わないのだ。解体はするが。それも解体される本人から言うと言う強者の提督なのである。

「『私を一人前のアイドルにしてくれてありがとう、プロデューサー! 那珂ちゃん、行きまーす!』って、どうなのよって話よねー」

 そのくらい、ここの仲間達からの提督の評価は高い。勿論、鈴谷もまたそうであり、提督からの指示である、この【駆逐艦用高速修復剤】も、しっかりと倉庫へと運ぼうと思っていた。多少急いで終わらせて、提督から褒めてもらおうと思って、急いでトレーラーを押して向かおうとしていた鈴谷。そのため、前からくる龍驤と夕立に気付かずにぶつかる。

「「「ぎゃあ!」」」

 ぶつかった拍子に、くるくると舞う【駆逐艦用高速修復剤】。そしてその中に入っていた修復剤が宙を舞いながら、ぶつかった拍子に被る。

「うぅ、ごめんね〜。龍驤、それに夕立」

 そう言いながら、こっちが絶対悪い事だと思っている鈴谷はペコリと謝る。

「うちは平気やで。まぁ、龍驤さんはちょいと急ぎ過ぎたんやなぁ」

 そう言いながら、「うぅ、べとべとや」と言いながらも全然怒った様子を見せない龍驤。

「ほんで、夕立の方は大丈夫……やった……か……」

 そう言いながら、ゆっくりと夕立の安全を確認する龍驤だったが、夕立の様子を確認した途端、顔が固まった。

「ひゃっ……ちょ、ちょっと……。身体が……変、っぽい!?」

 夕立が熱っぽい声をあげている。そして、ただでさえ駆逐艦にしては大きな胸部装甲、もといおっぱいがゆっくりと動き、そして激しく胸が振動するように動き出す。そして大きなおっぱいがゆっくりと、しかし着実に巨大さを増していく。

「ひゃっ! ……だ、ダメっぽい?!」

 そして、そのまま、まるでそれは生き物のように大きくなっていく。そして、それは確かな大きさとなって、存在して居た。簡単に言うと、あきらかに大きさが大きくなっていた。明らかに3サイズほど大きくなっているような。

「おおっ、ちょっと重いっぽい?」

 そう言いながら、自身の胸部装甲を持ち上げながら感触を確かめる夕立。それを見て、龍驤は「……」と呆けた様子で見ていた。

「何なの、これは?」

「龍驤ちゃん、いつもの関西弁はどこに消えたのかしら? ちょーっと、変みたいよ」

 2人して夕立の変化に戸惑っていると、ドタドタと大きな音を立てて艦娘達がこちらに向かってきた。

「て、提督!? どういう事かは分からないけど、もっと甘えられるようになったよ!」
「司令官様〜。巻雲はいつでも万全の……あれぇ、胸のサイズが大きいよぉ」
「長波サマだよー! ちょっと、胸が大きくなったぜー! サー!」

 と、いつもよりも大きな胸をゆらり、ゆらりと揺らしながらこちらに向かってくる入渠したてのタオルを着た駆逐艦夕雲型の夕雲、巻雲、長波の3人。それを見て、龍驤の目が死んだ。

「あぁ! なるほど。駆逐艦用の高速修復剤って、そこも高速で修復……もとい成長させるんだ〜。へぇ〜」

 とそう言って、何か分かったような感じの鈴谷。
 何せ、この【駆逐艦用高速修復剤】は元々入渠する所に流し込んで駆逐艦を高速修復するための物として使うつもりだったからである。別の艦娘達が先に【駆逐艦高速修復剤】に流し込んで、追加の分を鈴谷が持っているはずだからだ。

 【駆逐艦用高速修復剤】を浴びてさらに胸部装甲が上がったのは駆逐艦のみ、軽空母の龍驤には効果が無かったと言う訳だ。

「ナァ、鈴谷サン。ソノ【駆逐艦用高速修復剤】ヲ運ンダノハ誰?」

「どうしたの、龍驤さん? 死んだ目のまま、何を言ってるの?」

「良イカラ」

「確か……駆逐艦の潮と浜風の2人だったような……」

 龍驤の頭の中に2人の姿が思い浮かぶ。
 駆逐艦綾波型10番艦、潮。同じく駆逐艦陽炎型13番艦、浜風。共通しているのは、駆逐艦であると言う事と、駆逐艦と思えないくらいの巨乳の持ち主である事。

「チョット逝カセテクルワ」

「お、落ち着くべきよ、龍驤ちゃん! そんな人を殺すような目は止めるべきよ!」

 今日も鎮守府は賑やかである。