新・恋愛悪魔の双六 前篇

帝国城摂政 作
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 僕、遠藤鷹人(えんどうたかひと)には親戚が居る。夕霧・S・アイリスと言う名前の美少女だ。まぁ、親戚と言っても異母兄妹なのだけれども。
 僕の父、遠藤隼人(えんどうはやと)は生粋の女誑しだったみたいであり、僕の父には正式に結婚している遠藤彩(えんどうあや)とアイリスの母である夕霧・L・エリスの他に僕は知らないんだけれども、どうも実の妹との子も居るらしいのだ。流石の僕も父には脱帽である。

 今、僕は父や母達が居たとされている黒魔法同好会にて読書を読みながら、そっとアイリスを見ていた。

(相変わらずの幼児体型だなぁ……)

 と、僕はアイリスを見ながら母親のエリスに全く似ていない遺伝の差を痛感していた。エリスさんはとってもエロい。胸はそこらの巨乳を売りにしているモデルが貧乳だと思えるくらい巨大である。どれくらい巨乳かと言われると僕の身長よりも大きいくらい巨大なのである。まぁ、身長も2mを優に超えてるサイズなんだけれども。もうエリスさんではなくて、エロスさんと呼んで良いほどの大きさである。そして他の母親もそこらの爆乳とかの概念で表せないくらい巨大なんだけれども。
 それに比べると、アイリスは貧層だ。同学年と比べても優に1、2回りは小さな身体と凹凸さえ感じられないほど小さな乳房。おおよそ女性らしさと言う物にかけている。まぁ、唯一女性らしい要素と言えば、エリスさん譲りの綺麗なブロンドの髪くらいなのだが……。

「……ねぇ、鷹人君」

 と、そんな事を邪推していると静かな、しかし確かに存在感をはっきりと表すような声でアイリスが話しかけて来た。ま、拙い、ちょっと気に触るような事を考えていたのがばれたか? と、そんな事を考えていると

「鷹人君はどんな女性が好みなの?」

 といつものトーンで、しかし確実に響いてくるような声でアイリスがそう聞いて来た。え、えっと……どんな女性が好みって言われても……。

「まぁ、髪は綺麗な髪だと良いなぁ。特にブロンドとか」

「!」

「後、長い髪も良いなぁ。触っていると気持ちよさそうだし」

「!!」

「後は身長は高い方が良いなぁ。ほら、低い人が良いと言う意見もあるけど、僕は高身長派かなぁ」

「!?」

「後、胸とかも大きい方が良いなぁ。胸がないと流石に彼女として見られないと言うか……」

「?!」

「まぁ、とりあえずはお母さんみたいなナイスバディが良いなぁ。それも超特大サイズの」

「……//////」

 あ、あれ? とりあえず本当の気持ちを隠して言ってみたんだけど……。だって言えないだろう。本当は異母兄妹であるアイリスの事が好き、だなんて。恥ずかしくて。まぁ、上手な嘘を吐くコツは本当の事をちょっと混ぜて話すくらいが良いらしいし。
 髪とかは本当にサラサラのブロンドの髪とか良いと思うし、まぁ、どちらかと言えば高身長で巨乳フェチなのも事実で……あれ? なんだか事実しか言ってないような……。

「え、えっと……アイリス。もう夕方だし、そろそろ帰r……」

「……もう少し居るから、先に帰ってなの」

「……は、はい」

 僕はその言葉に逆らえず、トボトボと部室を後にした。本当に好きなのはアイリスなのにな。なんであんな事を言ってしまったんだろう、僕。

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 ……なんであんな事を言ってしまったんだろう。私。私、夕霧・S・アイリスは彼の居なくなった部室で一人がっくりとうな垂れていた。

「いきなり『好きな女の子は誰』って聞いた私もアホだったなの……」

 私はあいつ、遠藤鷹人の事が好きである。理由は特にない。いつの間にか好きになっていた。異母兄妹と言う兄妹感情を抜きにして、あいつの事が好き。あいつの居ない生活なんて考えられない。だからあいつと一緒になるために、苦手だった勉強(苦手だったのはあいつの方。教えるのが大変だった)とかもっと苦手だった運動(これは私。日本の小学生の発育がどんどん良くなっている事に関連してか、私のような低身長サイズの人間には体育はきつい。断じて私が運動音痴なのではなく、身体のサイズが問題なのだ。同じサイズなら、私にも部があるに違いない)を乗り越えて、父母が通っていたこの学園に入学し、父母が居たこの黒歴史同好会に2人で入部したのだ。

 あいつと一緒に居る部活動。悪くはない、それどころか心地いい空間だった。それを壊したのは私だ。いくら私の方をじろじろと見る鷹人をちょっとからかおうと言う意味で、好きな女の子を聞いたとしても、あんなに落ち込むとは思ってなかったのだ。

「やっぱり、鷹人もお母さんのようなダイナマイトバディの方が好きなの……」

 と、私は自分の身体をちょんちょんと、全く膨らまない胸に触れながらはぁーと溜息を吐いた。女らしくない身体つきなのは分かってはいたが、母親があんな人間離れした女神のような身体なのに自分の身体がこんなんだと流石の嫌悪を感じる。

「……大きくなりたいなぁ」

 私は人知れず、そう小さく叫び、ふと棚の上に隠すようにして何かが置かれているのに気付いた。

「あれは……双六? なんであんなところにあるんだろうなの」

 まぁ、そんなのはどうだって良い。この気持ちを慰めるために一人双六でもしましょう。私は一人で神経衰弱したり、一人でテレビゲームをしたりするのも好きだ。まぁ、あいつとやるともっと楽しいし、ドキドキするが、今はそんな気分じゃないし。

「まぁ、一人双六も楽しめるでしょうなの」

 私はそう思いながら、その双六に手を伸ばした。