新・恋愛悪魔の双六 後篇

帝国城摂政 作
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 僕の目の前で身長2mサイズになって、胸以外は大人へと成長を遂げたアイリスが涙目でこちらを見ていた。

「ど、どうしよう、鷹人君! 胸がこんなに小さいと、鷹人君の赤ちゃんにおっぱいあげられないよ!」

「えっ……ちょっ……!?」

 あまりにも突拍子もない状況で混乱しているのは分かるけれども、こいつは自分が何を言っているのか分かっているのだろうか? 「僕との子供」とか、どう聞いたとしてもあれな意味でしか聞こえないんだけれども。

「えっと……その……だな。なんて言うかな、その……」

 僕が返答に困っていると、アイリスは「そうだ」と何か納得したような顔でこちらを見ていた。

「聞いた事がある……。女の胸は男に揉まれる事によって大きくなる、と」

「それは都市……」

 都市伝説である、と返事を返そうと思っていると、大きくなったアイリスの身長に合う僕の手よりも1回りは大きな手が僕の手をガシッと掴む。そして連れていかれようとするその場所を見て、僕はうっ……、と思った。それはアイリスの身長を考えれば小さな、だけれどもそれを考えなければ十分に大きな胸だったからである。

(ま、まさかこいつ……?!)

 本当に揉んで大きくしようとしているんじゃないか!? そう考えた時の僕の行動は速かった。すぐさまその腕を抜こうとして腕に力を込める。が、しかし僕の腕はアイリスの拘束から抜け出せなかった。

(なんて言う力なんだ!?)

 まぁ、それも無理はない。大きな身体と言うのはその分それを支えるための力が必要であり、同じ運動をしていない生徒と言うくくりであれば僕とアイリスの身体の差で勝負がつくのは当然だったからである。

 そして、僕の腕はアイリスの腕に強制的に導かれるようにして、アイリスの胸へと運ばれる。

 そして――――――触れた。

「あぁん♪」

 触れた瞬間、アイリスの身体は愛する者の刺激に甘美なる声をあげ、対する僕はその身体の柔らかさを味わっていた。
手のひらから感じるその胸の柔らかさは何も服を着ていないからこそダイレクトに僕の身体へと伝わる。どこまででも沈みそうな底なしの沼、だけれども不快な事は一切なくむしろここにずっと居たいと思わせるような天にも昇るその心地良さ。そう感じていると、

「か、身体が……!」

 アイリスが身体をのけぞるようにしながら言うと、手のひらごしにアイリスの心臓が一瞬大きくドクンと鳴ったような……。そして、

「あ、あれ? これは……」

「私の身体が……」

 アイリスの胸はドクンドクンと、まるで空気を入れるかのように僕の腕を巻き込んで大きく成長していく。それは僕の腕を半分まで隠すくらいの、身長を考えたとしても十分巨乳と言える領域に達したアイリスの胸であった。そしてアイリスはそれを見て、満面の笑みのままゆっくりとこちらへと近付いていた。

「……私の想いが通じて、おっぱいがちゃんと出来て嬉しいです。
ねぇ、鷹人君。もしよろしければ、私と――――――付き合っていただけませんか?」

 ゆっくりと視線を下げながら、頬を赤らめる彼女を見て、僕は我慢が出来ず、

 ――――――その日はめちゃくちゃセックスした。


 それから10数年後、黒魔法同好会では1つの伝承が伝わっていた。

『人を愛そうとする者、悪魔の双六を探すべし』