乳タント 双子座

帝国城摂政 作
Copyright 2014 by Teikokujosessyo All rights reserved.

乳タントの浅宮双海(あさみやふたみ)は、非常に頭が良い。どれくらい頭が良いかと言われれば、スーパーコンピューターとどっちが頭が良いかと問われるくらい頭が良い。父親で脳科学者の権威である浅宮常人の血が色濃く出ているのだと思う。けれども壊滅的なまでに運動神経が悪く、5教科90分テストを最後まで受けられないほどに病弱なのである。1000m持久走を半分も走れないほどに体力が無い。完全なるひきこもり系のインテリ眼鏡系女子である。
乳タントの浅宮二恵(あさみやふたえ)は、非常に運動神経が良い。どのくらい運動神経が良いかと言われれば、十種競技の世界記録保持者よりも運動神経が良い。母親でワールドカップに出場する陸上選手の浅宮二三の血が色濃く出ているのだと思う。けれども壊滅的なまでに頭が悪く、二桁の足し算や引き算でも間違う事が多く、東西南北も4割の確率で間違うほど悪い。完全なる元気はつらつ体育会系女子である。
容姿に関してはホクロの位置から、身長や体重に至るまで全てが全く同じと言うシンメトリーな双子。それが8年前、彼女達が9歳だった時の評価である。

その彼女達が一人になってしまったのは、彼女達が10歳の時であった。ちょっとした不幸が重なって交通事故に遭い、浅宮双海がこの世を去った。いや、去ったのは浅宮二恵かも知れない。何故、断定出来ないかと言えばそれくらい彼女達が似た存在であり、そして彼女達の乳タントとしての特徴にあった。


「はぁ、生き返るわよね。特にこの硫黄の香りが……」「本当に生き返るわ。あぁ、生きてるって最高!」

 『576プロ』のアイドルグループ、『天の川ミルキーウェイ』所属の乳タントアイドル、浅宮めいは本当に極楽と言った顔で温泉に浸かっていた。
 短く整えられた亜麻色の髪、小さく邪魔にならない程度に付けているミニ眼鏡、長身にして爆乳の女子高生アイドル、めいは温泉に浸かった感想を1つの口から2人の言葉として発していた。この浅宮めいこそが、先程紹介した浅宮双海と浅宮二恵なのである。正確にはその両方と言うのが正しい。

「でもさ、二恵さん」「どうした、双海?」
「私達、いつまでこうなんですかね」「それが激しく疑問だな」
「生物学上、あり得ませんよ。1人の身体に2つの魂だなんて」「それが私達なんだから仕方ない」

 合わせ乳。2つの物を胸の中で1つに合わせると言う、ある意味マジックショーでしか使えないような特徴だったのだが、この双海と二恵の2人は同じ合わせ乳と言う特徴を持っており、それが事故に遭った際に火事場の馬鹿力と言う物が発動して、普段ならばありえない物同士を合成してしまったのである。そう、2人の人間を。

 つまり簡単に言えば、彼女達は事故の際、どちらも死にそうになり、そしてどちらも助かる道として2人1組で生きる道を選んだと言う訳だ。
 まぁ、世間の反応はそりゃあ微妙な物だったが。

「『世紀の乳タント双子、どちらも死にどちらも助かる』でしたね」「あの頃はニュースを見ればそれだったよなー」
「本人の自主的権利をなんだと思っているのでしょうか……」「じちゅてきけんひ? なんだ、それ? 外国語?」
「せめて二恵には英語とフランス語と、それからイタリア語など8か国語は学ばせたいです。私が6歳の時には既に世界中の言葉全てを理解していたと言うのにあなたは……」「双海は硬すぎるんだよー、それだから頭ばっかりに栄養が行って走れなくなってしまうんだよー。だいたい、日本語と肉体言語さえあれば大丈夫さ」
「それで上手く行かないから、ケースバイケースの備えとして提案を……」「だから、頭はお前、肉体は私と言う事でどちらも納得しているじゃないか……」

 前は双海が頭が良くて、運動神経が悪い。二恵は頭が悪くて、運動神経が良い。そう言った両極端だったのだが、2人が合わさってめいと言う人間になった時、どうやら良い所取りされたらしく、頭も良くて運動神経が良い、スーパーガールが生まれた。ただし、世間から見ればやはり2人が合わさっていると言う偏見の目は大きいが。

「まぁ、それでも今の生活が十分ですよね」「そうだよなー」

 奇異な存在として高校を卒業しても就職先がない2人を誘ってくれたのが、今の事務所のマネージャーである。世間からは色々と残念がる人達も多く居たが、2人は今の生活を気に入っている。

「マネージャー……」「マネージャー……」
「じゃあ、双海! 私があいつと一緒に性行為を行うと言う事で……」「ちょっと待ちなさい、二恵」

 と、かぶりつかんばかりのおっぱいを揺らしたまま、お風呂を裸のまま出てマネージャーを襲いかかろうとする二恵を止める、双海。他の人から見ると、ただの1人漫才だが。

「なんでだよ! 身体は私、頭はお前だろ? じゃあ、肉体関係は私の仕事!」「冗談じゃない! 誰がこんなボイラーの定理すらまともにとけない、単純細胞の二恵を主にして話を進めますか!」
「主は私です、二恵!」「あぁ、ずるいぞ! 双海!」
「私が肉体関係を取るんだ!」「まだ言いますか、この人は!」
「私だと言っているじゃありませんか」「いいや、私だ!」
「私がやる!」「いえ、私です」

 1人でどっちがマネージャーと繋がるかを言い合う2人。
 今、ここで! 1つの身体のどっちがメインにするかと言う事を決める2人の戦いが始まる!
 それが空しい1人相撲だと知るのは、ちょっと先の話である。

=====
乳タントアイドルNo.20
名前;浅宮めい(あさみやめい)
年齢;16歳(高校1年生)
所属グループ;『天の川ミルキーウェイ』
身長;192cm
3サイズ;B110(G)、W76、H106
乳タントの特徴;合わせ乳。胸の中で合わせた物が1つになる。
イメージ;双子座
売り;トリッキーな双子イリュージョンアイドル
======