金剛型一番艦の榛名

帝国城摂政 作
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 「艦隊これくしょん」。これは戦艦を擬人化した少女達が提督の支持の元、深海戦艦や仲間の艦娘達を取り戻すと言うストーリーである。これはとある鎮守府の戦艦娘、榛名のお話。

 皆様、初めまして。
 私の名前は榛名。金剛型三番艦、榛名と言います。そんな私には大切な人達が居ます。大好きな2人の姉、金剛お姉さまと比叡お姉さま、それと大切な妹、霧島。鎮守府の仲間達、そして皆の司令官である提督。

 提督は私達を指揮し、多くの海戦で生き残るために指揮してくださいました。私も、そして姉さまも、他の皆も提督の事を慕っています。勿論、私も。

「提督、無事南の海域の遠征から帰還致しました」
「ご苦労様、榛名。つらくはなかったかい?」

 優しい、いつまでも見たくなるような甘い笑顔でそう聞いてくる提督。その笑顔に心を奪われそうになりつつ、いつものように報告をする。

「はい! 榛名は大丈夫です!」


「Oh! そんな、弱気ではいけないデース!」

 遠征から帰って来た夜。私は私達金剛四姉妹の部屋で、他の3人と共に話をしていました。私達3人はそれぞれ遠征に行っていた。金剛お姉さまと榛名お姉さまは東海海域へ、そして霧島は私達3人が居ない間この鎮守府に居て他の駆逐艦娘さん達や、鎮守府の管理をしていました。私達はお互いにどういう事をしていたのか話し合っていました。

「でも、霧島は今回、楽しかったんじゃないデースか?」
「金剛お姉さま……。ど、どう言う意味ですか?」
「比叡、話に全く付いていけません!」

 比叡お姉さまが手を挙げて堂々と宣言すると、キリッとした目で比叡お姉さまを見る金剛お姉さまと霧島。
 「ひ、ひえ〜」と泣きそうな顔をする比叡お姉さまを、よしよしと頭を撫でる私。

「霧島は、提督とエブリー一緒だったのネ! それならば、提督と仲良くなれるチャンスは一杯あったはずなのネ! どうだったのデス?」
「ど、どうと言われても……金剛お姉さまの言っている事は分かりません。秘書艦として精一杯勤めただけなので」
「ヘーイ! 霧島! 嘘突いているんじゃないデース! 霧島は絶対、提督となんかイチャついていたに違いないデース! ちゃんと話すデース!」

 「さぁ、さっさと提督に何かあったかを話すデース!」と霧島に詰め寄る金剛お姉さまの姿を見て、私はふとその恋に熱中するその姿を見て声が出ていた。

「……羨ましいなぁ」
「何が羨ましいの?」

 私の言葉を聞いていた比叡お姉さまが、「何か言った?」と聞いて来て、私は大丈夫ですと言葉を返していた。
 私が羨ましいなと思ったのは、金剛お姉さまのその行動力の高さである。愛に真っ直ぐと言うか、愛に正直と言うその姿勢がとっても羨ましかった。私だったらそんな事は出来ないのだから。
 それを見ていた霧島が、私に対してこう言った。

「榛名、それならば私に良い考えがあるわ」


次の日、私は霧島の授けてくれたちょっとした策と共に提督の居る執務室へと向かっていた。

『良いですか、榛名。私達金剛型四姉妹は服装も声も良く似ています。ですから、髪型さえ似せれば……金剛お姉さまに似せる事だって可能なのです』

 そして金剛お姉さまに事情を説明して、私の服と金剛お姉さまの服を交換しました。

『私の愛するシスターの頼みなら、こんな事お安い御用なのデース!』

 そう言って、その後『その大きなおっぱいを使えばイチコロネ!』と耳元で囁く、金剛お姉さまの言葉で顔が真っ赤になってしまいましたが、確かに金剛お姉さまは提督に対して過剰なスキンシップをしてますし、今の私の恰好は金剛お姉さまの恰好と同じ。霧島の話では、提督は私を金剛お姉さまと勘違いするに違いありません。

(私は金剛お姉さま……私は金剛お姉さま……)

 提督を騙すようで申し訳ないですけれども、わ、私だって提督が金剛お姉さまにしていらっしゃるようなは、ハグとか、き、キスとかして欲しいのですから。

 トントンと、扉を控えめに叩いて、私は金剛お姉さまのフリをして執務室に入った。

「へ、ヘーイ、提督……。金剛、只今登場デース!」
「お、おぉ。金剛、か? なんだかいつもの元気が……」

 い、いきなりバレてます? い、いえ大丈夫。ま、まだバレてはいないはずです。

「て、提督! な、何を言っているのネ! 私は金剛ネ! だ、だからこういう事もするのネー!」
「ちょ、ちょっと金剛!?」

 私はそう言って金剛お姉さまのように、提督に飛び込んだ。

(う、うわー! し、失敗しちゃったー!)

 私は金剛お姉さまを見習って、本来ならば提督の背中に抱き着くはずだった。提督のたくましい背中さえ感じられれば、私はそれで幸せだった。大丈夫だった。
 けれども、まさか止めようと手を伸ばした提督の手が、私のむ、むむ、胸に当たるだなんて!

「わ、悪い! 金剛、つい手が!」
「い、いえ……金剛は大丈夫です。い、いえ、デース」

 私の胸が提督のたくましい手を包み込み、最初こそ戸惑っていたけれども、今では温かく、いつまでもこうして居たいと私は思っていた。

○おまけ-
丁度、その頃、榛名の代わりに演習に出ていた金剛はと言うと、

「Hey! 皆さん! 金剛型3番艦榛名なのネー! 今日の戦果リザルトは、私が取っちゃうから覚悟するのネー!」

 最初から全く真似する気が無く、すぐにばれましたとさ。