超乳戦隊ギガレンジャー 第2パイ

帝国城摂政 作
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「第2パイ」
「甘いお菓子の罠! ブルーの弓道大作戦!」

 紫峰学園。紫峰町に通う中高一貫校であるこの学校では、文芸系の部活よりも運動系の部活の方が優秀な成績を修めていたが、その中でも特に優秀な成績を修める3つの部活があった。
 1つ目は水泳部。全国制覇とまでは行かないが、2,3年に1回のペースで全国大会への道を手に入れている強豪部だ。2つ目は野球部。残念ながら才能に恵まれた天才は居ないために滅多にテレビに映る事はないが、ここいらの高校は【紫峰の攻守優れた布陣】はかなりの有名で、注目も熱い。そして3つ目、大本命の弓道部。毎年のように大会で連覇を飾るこの部活は紫峰学園のエースとでも呼ぶべき部活であった。
 そんな弓道部に期待の新人が入部した。今でもなお弓道部の歴史において語られなかった事のない伝説上の人物、青志神社の姫巫女にして、そのあまりの腕から弓道部の破魔矢と呼ばれた青志六花(あおしりっか)。その青志六花の娘が入部したのだから。


 弓を引き、狙いを定め、そして力を込めて

(――――――放つ!)

 弓矢を放った弓は力の反動で揺れ、そしてそれが胸当て越しに私、青志七海の胸へと伝わって来る。

「……ッ!」

 痛みで目を瞑ると、そんな私の想いを反映したかのようにゆるゆると弓矢は失速し、的の少しずれた位置に落ちる。

「またダメでした……」

 はぁ……と溜息を吐く私。今ので的に当たらない記録7回目だ。
 私は昔から弓道が好きだった。昔見た母の弓道姿がカッコよくて、とっても印象に残っているのが理由の1つであろう。母に頼んで小学生の頃から私は弓道をして来た。最初は力がなくて弓を張る事すら出来なかったけれども、中学生の頃は全国でも指折りの実力者として私は名を馳せていた。

 けれども私は最近、スランプに陥っている。原因はこの胸だ。
 胸の価値はギガブルーとなるくらい十分に理解しているけれども、弓道にとって大きい胸は邪魔でしかない。弓が揺れる際に胸を胸当て越しと言えども叩き、そしてそれが結構痛いのだ。弓道には集中こそが一番大事なのに、胸が痛むのを怖がっている私は弓を十分に張れず、結果的に成績が落ちていた。

「せめて氷室先輩みたいな胸だったらこんな事で悩まずに済みますのに……」
「サラッと毒舌を吐くなー! このHカップめー!」

 と、私の言葉を聞いていた彼女が背中越しに胸を揉んでくる。胸に柔らかく、そして冷たい手が当たって咄嗟に私は「ひゃっ!」と声をあげる。そしてそれを行った人物を睨みつける。

「何をするんですか、氷室部長……」
「お前が私の胸が小さいとか言うからだろうが! 年上を敬うと言う心はないのかー!」

 「ふん!」と堂々と言う彼女こそ、私よりも2つ年上の先輩部員で現弓道部部長、氷室龍子(ひむろりゅうし)先輩である。年上とは見えない低身長の幼児体型、そしてすぐに怒り出す性格から【手乗りドラゴン】と言う可愛い愛称で呼ばれている、威厳とかと無縁の先輩である。

「でも部長……」
「言い訳無用だ! 胸が大きいから弓道が出来ないというのならば、弓道部辞めろ!」

 部長の言い分も最もだ。紫峰学園では部活は強制ではないし、いつだって入退部が出来る。本当に弓道が嫌いならば、辞めてしまえば良い。けれども

「諦めたくないです……」

 私の家は青志神社と言う紫峰町に住む人ならば1度は来た事のある神社である。私はそこの巫女として生まれ、紫峰町の平和を考えて過ごして来た。ギガレンジャーになったのだって、この町を守れるからと中学からの親友である望さんに言われたからだ。私は平和を守りたい、それと同時に私の憧れである母、その母がやっていた弓道も続けたいのだ。

「はぁ……。嫌だな。昔の自分を見ているようで嫌になる……」
「部長もそんな事があったんですか?」

 「あぁ、そうだな」となんか気まずそうな感じで言葉を濁す氷室部長。氷室部長は毎年のように大会で優勝するエリートであり、てっきり私のようなスランプに陥ったりした事なんてないと思ってた。他の人達も意外そうな眼で見ていた。

「あのな……最初から完璧な人間など居る者か。私だって高校1年、つまり青志と同じくらいの年は結果が伸びずに悩んでいた。私は短期集中型で、集中が続かないからな。けれどもその時の先輩……確か、個性的な名前で、名前が嫌いだからと皆に【しちね】と呼ばせていた先輩が居てな。その先輩は私くらいの身長でお前くらい胸がある、所謂ロリ巨乳と言う言葉が似合う先輩で、私なんかよりもずっとハンデがあると思ってた」
「ですね……」

 身長が低いと言う事、それはすなわち弓を引く体力が人より少ないと言う事。それに胸が大きいと言うのは、私のように弓を引く時に痛むはずだ。両方持っているその、しちねなる人物はさぞかし弓道において皆より努力していたのだろうと私は思った。

「で、その先輩は……」
「ハンデ以上の成績を上げて、有名だった。日本どころか、世界の舞台であろうと戦えるほどの凄腕弓道戦士だ。私はしちねさんの弓道を見て来たが、あの人の弓道は美しいと同時に正確で、しかも集中力が凄い、神のような人だった」

 その言葉に部員達全員が驚きの声をあげる。氷室先輩の腕は知っていたし、それよりも凄い腕と言うのが信じられなかったのである。けれども私は氷室先輩がそこまで尊敬する人ならば物凄い人なのだろう。

「で、その人はどんなアドバイスを……」

 そんな私の言葉に、氷室部長はこう答えていた。

「しちね先輩はこう答えてくれました。”悩みがあったらお菓子を食べたら良い”と。まぁ、でも本当は……」


「悩みがあったらお菓子を食べろ、って言われても……」

 と朝練を終えて昼休みになって、教室で1人悩んでいた私。そのしらねと言う先輩が凄いのは理解したけれども、お菓子を食べるのが悩みを解決するとは……どういう意味なんだろう? そればかりが印象的過ぎて後の言葉が思い出せない。

「七海ちゃん? どうしたの?」
「ナナミ! 元気ないデース!」
「望さん……。メアリーさん……」

 と、私が悩んでいると望さんとメアリーが話しかけて来た。
望さんは私の小学生時代からの幼馴染で、望さんの友人である六条帆夏と共に仲良くしている。病弱だけど良い人である。メアリーは転校生でちょっと抜けているけれども元気バリバリの良い子。どちらも私とギガレンジャーと言う、乳房帝国ネームネームと戦う者達の事である。

「なんだか元気なさそうですね……」
「元気がナイ時はスイーツを食べるとグッドなのデース!」
「スイーツ……お菓子……」

 そう言えば、お菓子を食べた方が良いと氷室部長にアドバイスを貰ったような……。

「お菓子……」
「Oh! スイーツ! でしたら、今日はスイーツをイーとしにいきましょうデース!」
「そう言えばお菓子でしたら、帆夏ちゃんが最近出来た、【ラ・フール】と言うお菓子のお店が良いと聞きました!」
「帆夏ちゃんが……」

 六条帆夏さんはいつもLIMEをしている良く分からない人で、いつも望さんと一緒に居る。私とも友人だけど、なんかとっつきにくいんだよな。悪い人ではないんだけれども……。

「ミス・帆夏にも連絡します?」
「いやー、帆夏ちゃん。今日、用事があるって言ってたよ。なんか、ホームパーティーの準備とか」
「Oh! なら、3人のギガレンジャーメンバーでお菓子店にレッツゴーデース!」

 と、あれやこれやと言う間にそのお店に行く事になった。


 放課後、【ラ・フール】に来た私達。【ラ・フール】は洋菓子店であり、美味しそうなショートケーキやモンブランなどの美味しそうなケーキが並んでいて、多くの女性客がケーキを美味しそうに頬張っている。私にとっては文字通り見ているだけで胸焼けするような物であり、それに私は洋菓子よりも和菓子の方が好きだから、なんか食べれずにいた。

「うぅ! 帆夏ちゃんの言うとおり、美味しいよー!」
「Oh! このスイーツはテイスティー!」

 望さんとメアリーはケーキを美味しそうに食べている。それを私はアハハと見ているだけ。

(けれどもしちね先輩は……悩みを解決するにはお菓子が一番って氷室部長に伝えたんだろう? それにしてもなんか他の女性客の様子が可笑しいような……)

 と、私は周りの様子をうかがう。周囲をうかがうと女性客の目がなんだかうつろ気と言うか、ぼんやりとしていた。焦点が定まらず、ただただケーキを食べているような……。

「何か、可笑しいです……」

 私はそう思って店の奥を覗くと、そこにはとっても太ったシェフと見た事のある女性の姿があった。

「良い感じなのであ〜る。このシェフエールの高カロリーの食事さえあれば、作戦は遂行出来るのであ〜る」
「……シーボ・シェフエール。油断は大敵なの。物事は最後の最後まで分からないなの」

 あの女性は……環境作戦を行う環境支配者メントアセス! 乳房帝国ネームネームの環境を作戦するメントアセスがどうしてここに……。

(それよりも、この店はシーボの作戦!)

 それならば、この店をなんとかしないと! 私は変身するための銀色の塊を取り出す。そしてそれを胸の谷間に入れて、谷間を揺らして変身する。
 一瞬にして着ていたはずの制服は塵へと消えて、私の身体にぴったりと合う青いレオタードと青い仮面姿へと変わる。そして私の手に青い弓が現れる。

「青い胸(ハート)は、海のように広い慈愛の心! ギガブルー!
 そこまでです、ネームネーム!」

 と、私は扉を開けて厨房へと入る。そしてそのシェフとメントアセスの2人は、こちらへと視線を向ける。

「ここは関係者以外立ち入り禁止なのであ〜る。しかし、我の高カロリーケーキを食べない人が居ないとはシルブプレ〜?」
「……まさかこんなに早く気付かれるとは思わなかったなの。折角の作戦が台無しなの」
「人々にケーキを食べさせるなんて……環境に関係ないと思うんですが」
「……その食べ物が食べられる環境と、食べられない環境とでは、色々と違ってきますなの。ですから、これはメントアセスの作戦なの」

 と、メントアセスはそう言いつつ、手に持った杖を振う。

「……邪魔は許せないなの。ウインド!」

 そう言って、メントアセスが杖を振うと、杖から風が吹き荒れる。そして吹き飛ばされる。

「くっ……!」
「……シーボ・シェフエール、作戦変更なの。ギガブルーが邪魔したら、作戦が上手く行きそうにないなの。ギガブルーを倒せなの」
「了解なのであ〜る。キャンディボム!」

 そう言ってシェフエールは、飴の爆弾を投げつける。床へと投げつけられた飴の爆弾は爆発し、欠片となって砕け散る。

「きゃっ……! くっ!」

 攻撃を受けて私は急いで、弓矢を向ける。けれども、このレオタードには弓矢の威力を軽減するような物はないため、私は弓矢を引いて一旦止める。

(このままだと反動で拙いから、いつものようにちょっと弱めて―――放つ!)

 そして私は放つ。放たれた弓矢は、狙い通り、メントアセス―――の隣にいたシーボモンスターへと向かう。私の全力でない弓矢で幹部クラスを相手にするのは危険だと判断し、この異常事態を起こしているシーボモンスターを倒す事にしたのだ。
 このシーボモンスターを倒して、望さんとメアリーと共にならばメントアセスも倒せるかと思って。しかし、太ったシェフ姿のシーボモンスターへと放たれた弓矢は、太った肥満の身体が跳ね返していた。

「なっ!」
「ふふ〜ん! この程度ならばこの肥満ボディでなんとかなるのであ〜る」
「……攻撃は効かなかったようですが、厄介な物は来たようなの」

 メントアセスが言うと、私の後ろから見知った相手が居た。

「赤い胸(ハート)は、炎のように燃える愛情の印! ギガレッド!」
「黄色い胸(ハート)は、雷のように激しい元気の塊! ギガイエロー!」

 後ろからギガレッドとギガイエローの2人が現れた。どうもさっきの弓矢に気付いて、こっちに来たようである。

「七海ちゃん! 大丈夫?」
「ナナミ! 倒しますデース!」

 ギガイエローがリボンをシーボモンスターに巻き付けて、ギガレッドがメントアセスに斧を振っていた。

「ギガブルー! 今デース!」
「そうですね」

 リボンで動かないように止めている今ならば、ゆっくりと矢を引いて狙いを付ける事が出来る。これなら私の全力も出せる。

「ゆっくり引ければ、普通に……」

 私はそう言って、ゆっくりと弓を引いて力を溜めて行く。私の全力を相手にぶつければ、いくらあの肥満ボディでも攻撃が通るはずである。

「……大変なの。シェフエール、あれを使えなの」
「了解なのシルブプレ〜」

 一体何をするつもりだと思っていたら、いきなりシェフエールが懐から笛を取り出す。そしてその笛を吹き音を鳴らし始めた。何をと最初は思ったが、それはすぐに分かった。
レッドとイエローの瞳から生気が消える。レッドは後ろから羽交い絞めにして、イエローはリボンで足を巻き付けていた。

「ちょ、ちょっと2人とも! どうしたんですか?」
「……シェフエールは高カロリーのお菓子を作り、それを食べた物を笛で操るシーボモンスターなの。ケーキを食べていないあなたには効きませんが、お店に来たケーキ好きの女性達は残らず虜なの」

 それでケーキを食べた、ギガレッドとギガイエローの2人が操られたのか。

「……衝撃を防ぐ手段もなく、時間を稼ぐ仲間も居ない中、あなたは弱者なの。シェフエール、後は彼女にケーキを食べさせれば終わりなの」
「了解であ〜る」

 ここまでか、とそう思っていたその時、氷室部長の言葉を思い出す。先輩の言葉が印象的過ぎて後の言葉を忘れていた。

『しちね先輩はこう答えてくれました。”悩みがあったらお菓子を食べたら良い”と。まぁ、でも本当は……先輩は多分、こう言いたかったんだ。お菓子を食べてリフレッシュをして、集中力をあげる。集中力を一点に集中させれば、必ず的は射抜ける』

 大切なのは痛いとか、そう言った事を考える事ではない。……的を射抜く、それだけに集中する。

(……お菓子を食べるときは食べ、的を射抜く時は射抜く。集中すればなんとかなる!)

 そして私は敵を、シェフエールだけを見つめる。

「止めなのであ〜る」

(集中……)

 ギガレンジャーの力の源はこの大きな胸。大きな胸に力を溜め、そして弓矢の方はしっかりと張る。

「こ、これはであ〜る!」
「……胸が成長してるなの。これは一体……」

 私が力を溜める事で、ギガレンジャーの変身エネルギーが胸に集まる。そしてその力で胸がむくむくと力を込めて成長していく。そしてそこで集められ、増大したエネルギーは弓へと集まる。

「危険なのでシルブプレ〜! さっさとやるのであ〜る!」

(今だ!)
「ギガブルーアロー・フルパワー!」

 私はその力を、その矢を放つ!

「うがっ!」

 放たれた弓の反動で糸が揺れて、その糸の揺れが大きくなった胸に当たって男の人にとっては目の保養とばかりに、まるで別の生き物のように揺れる。

「ば、ばかなであ〜る。こ、こんな所でやられるなんてボンジュワ〜ル!?」

 そして私の全力以上で放たれた弓は脂肪だらけのシェフエールの身体を貫き、シェフエールは爆発する。
 店に居た人達も、そしてレッドとイエローの目にも正気になる。

「あれ……私達……」
「一体、どうしたのデース?」

 きょろきょろするレッドとイエロー、そして爆死したシェフエールを見て、メントアセスははぁと溜息を吐く。

「……ギガブルー、作戦を止めたのは許せないなの。今度会った時は覚悟しろ、なの」

 そして杖を振って風を出し、姿を消したのだった。


 タンッ!

『おぉ〜!』

 私が今日3度目の的射抜きを成功すると、部員達の中から嬉しい悲鳴が聞こえる。

「青志……吹っ切れたようだな」
「はい、先輩!」
「ところで……お前は先程から何故、弓を打つたびに胸を無理矢理揺らしてるんだ?」

 えっ!? わ、私、そんな気付かないうちにそんな事を?

「……ほほう。それは何か。胸の小さい私に対する嫌がらせか?」
「い、いえ。その……」
「いい度胸だな、青志。……皆、かかれ〜!」

 部長の指示の元、その日の朝練は私の乳揺らしで終わった。

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シーボモンスターNo.2
○シーボ・シェフエール
作成者;環境支配者メントアセス
作戦;高カロリーなお菓子を食べさせる環境を作り、太らせて胸を大きくする作戦
使用素材;『シェフ』、『笛』、『増える』
概要;メントアセスが作り出したシーボモンスター。高カロリーのお菓子を作る腕前を持ち、そのお菓子を食べた物は彼の笛の操り人形と化す。自身もつまみ食いをしすぎて、かなり太っている。一日一万キロカロリーを摂取しているとか。
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 次回予告!
 1人、自身がギガレンジャーで一番弱いのではないかと思うイエロー。そしてデカパイ博士が新しい武器を作っているのを見て、自分が解雇されると思ったイエロー。そんなイエローは偶然、作戦を行うシーボ・クサイトオンを倒す。
 1人で倒せたのが嬉しいイエローだったが……クサイトオンの作戦はそこから始まっていた。
次回、超乳戦隊ギガレンジャー、第3パイ!
「イエローの悩み! クサイトオンのサイバー大作戦!」
 胸を揺らして、次回を待て!