シュレと咲子

帝国城摂政 作
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 絵草の間。
 そこに松尾はシュレの膝の上に乗っていた。シュレは大好きな彼を膝の上に乗せており、ニコニコと笑顔を向けていた。そしてそんなシュレと松尾との関係を川田は恨めしそうに見ていた。

「いや〜……。シュレは、嬉しそうやな〜」
「嬉しいのにゃ〜! 本当に嬉しいのにゃ〜!」

 と、シュレは嬉しそうに鼻歌を歌っていた。

「〜〜〜〜〜〜〜〜♪」

 本当に嬉しそうな様子でシュレは鼻歌を歌っている。

「さて、そんな事を言われた松尾は?」
「……ノーコメントで、お願いします。何せ僕は別に許嫁を作ったつもりも、花嫁も作ったつもりはないんですけれども……」
「ご主人様〜〜〜〜〜!」

 と、松尾の言う事を受けてシュレは涙目になりながら、松尾をぎゅっと抱きしめる。メガサイズの少女が抱きしめると共に、松尾に強大な負荷がかかって松尾はギブギブと言って置く。

「とりあえず、ここは『愛してるよ、マイハニー! キラッ!』とでも言っておいた方が良いと思うぞ、松尾?」
「……。アイシテルヨ、マイハニー……キラッと」
「ご主人様〜! そんな事を言われて、シュレはシュレは、嬉しいのです〜!」

 明らかに棒読みの台詞だろうに、シュレは本当に嬉しそうに顔をさっきよりも笑顔にするのだった。
 そして、そんな事をしていると、

「ちょっと、待った――――――!」

 と、ふすまを開けて1人の女性が現れた。
 綺麗で長い黒髪に真っ白なカチューシャ。そしてスラリとしつつも大人びた体型に端正な顔立ち。厳格な厳しさの中にも優しさを秘めている、そんな表情を浮かべた人。

「……咲子さん?」

 松尾はそんな女性の名前を呼んでいた。彼女は川田の姉、川田咲子である。容姿は良いけれども、中身は

「ハァハァ……! やっぱり、リアル猫耳美少女は萌えるわ〜。幸太郎から話を聞いていた通り、メッチャ萌えるわ」

 幸太郎と同じくらい、エロに対して興味津々なのである。今も「ハァハァ……!」と強く息を吐いている。

「咲子さん? ……やるの?」
「えぇ、やるわ」

 そう言って、咲子は松尾の腕を掴み、幸太郎はシュレの腕を掴む。

「えっ……?」「はい……?」

 松尾とシュレは、顔をきょとんとして傾ける。

「「フフフ……」」

 そして咲子は松尾に物理的に連れられて、幸太郎はシュレによって宥められるように連れて行かれた。
 そして松尾は連れられて、小さな広場にやって来た。

「あの〜、咲子さん? なんで僕はここに……」
「フフフ……。松尾君。
 私はね、好きな人のために一途に頑張る少女が一番可愛くて、美しいと思うのよね。そして、シュレちゃんは確かに一途に頑張る少女よ、そしてシュレちゃんを一番可愛く見せるにはこれが一番良い方法なのよ」

 そう言って、咲子さんは胸の谷間から牛乳の入った牛乳瓶を取り出していた。

「……って、どこから出しているんですか、その牛乳瓶を!」
「胸が大きい事を利用しない手は無いですよ。牛乳瓶は胸の谷間に入るくらいの大きさなんだから」

 そう言いながら、彼女は牛乳瓶の蓋を開ける。

「……これはね、巨乳で有名なシュレーヌ星人から手に入れたミルク。そしてシュレーヌ星人のミルクはその飲んだ者をそのシュレーヌ星人と同じくらいの大きさにするのよね」

 そう言って、咲子はそのミルクを飲む。飲むと共に彼女の身体はどんどん巨大化していき、彼女の服がどんどんと破かれていく。
 そして破かれると共に、彼女の下から黒い厭らしいような女幹部のような、扇情的な服が見えて来る。
 数分後、そこにはいやらしい黒い服を着たギガサイズの巨人と化した咲子の姿がそこにはあった。

「な、なんですか。その服は」
「……これ? シュレーヌ星人の着ていた服を、分析して編んだ結果作る事に成功した服よ。イメージとしては、悪の女幹部ね」

 そう言って、咲子さんは松尾を掴み、その豊満な胸の谷間の中に入れる。

「ちょ、ちょっと……!」
「良いから! あなたは餌なんだから」
「餌……?」

 その言葉の意味を聞く前に、松尾は突如、現れたシュレに絶句する。
 彼女は咲子と同じような姿になって居たのだから。

 正確には少し違う。
 彼女の着ている服は、最近噂になって居る魔法少女のような服。だが、彼女の着ている服は生地が少なく、その番組でお色気担当が着ている、咲子が着ているような大胆なデザインの服である。
 そして、彼女は咲子よりも少し小さいが、それでもかなりのギガサイズへと変わっており、胸は背丈と違って咲子の数倍はありそうなほどデカい。

「ご主人様〜? 川田さんの言われた通り、この服着てあの変な味の牛乳飲んだら、さらに好きににゃってると言われたにゃ〜。是非、出て来て欲しいにゃ〜!」

 と、シュレは地面に居るだろう小さな自分の姿を探して、四つん這いになりながら探している。四つん這いなため、ただでさえ大きな胸が押しつぶされてさらに大きく見える。

「……想像以上ね。爆乳猫耳魔法少女の威力は」

 鼻血を出しながら、じゅるりと舌なめずりをする彼女に、もはやクールな大人びた表情は存在していない。

「さ、咲子さん! 優弥から、シュレーヌ星人は背丈が大きければ大きいほど、胸が豊満と聞いたんですけれども! なのに、なんでシュレの方が大きいんですか!」

 と、シュレのそんな姿と胸の谷間に入れられてると言う事で、顔を赤らめている松尾がそう聞く。

「どこにもはみ出し者は要る物よ、松尾君。例えば、背丈は他のシュレーヌ星人よりも小さいながらも、胸は他のシュレーヌ星人の倍以上なんて言うシュレーヌ星人の1人や2人……。苦労はしたけれども、この光景が見られたら苦労なんて吹っ飛ぶわ」

 でへへ……、と言う咲子。もはや変態と呼ばれても何の疑いは無い。


「……にゃ! ご主人様の匂いがするにゃ!」


 と、そんな事を思っていると、シュレが鼻をくんくんとさせながら、こちらを向く。そして咲子の胸の谷間にはさまっている松尾の姿を確認する。


「ご、ご主人様! なんで、そんな所にいるにゃ! そしてお前はなんでそんにゃに、大きいのにゃ!」


「ふふふ……。企業秘密よ、子猫ちゃん♪」


「むきー! ご主人様を返すにゃ!」


 そう言って、ジャンプをして咲子の胸にいる松尾を取り返そうとするシュレ。しかし、いつも以上に大きな胸のせいで上手くジャンプが出来ずに、松尾の居る咲子の胸の谷間まで跳べない。



「ふふふ……。あぁ、可愛い! 一途に、好きな人を取り返そうと頑張る猫耳魔法少女! しかも跳ぶとその爆乳が上に下に揺れ、その光景もなんて魅力的な事か……。
 やっぱりロリ巨乳と言うのは、『背丈が小さい+人一倍胸が大きい』を組み合わせているからこそ、輝くのね! やっぱりエロは最高よ!」


「ご、ご主人様! そんな女の胸なんかよりも、シュレの方が大きいにゃ! 柔らかいにゃ! だから、そんな女の胸の谷間よりも、シュレの胸の谷間に飛び込むにゃ!」


「あはっ! 好きな人のためならば、自身の胸部の中に飛び込む事を許す、その女神のような姿勢! たまりませんわ!」


「良いから、こっちに来るのにゃ! ご主人様!」


「従順属性もまた良しよー、シュレちゃ―――――――ん!」



 その日、大宇宙温泉街にて、悶え苦しむ大人びたギガサイズの女性と、それを取り返そうとする同じくギガサイズの爆乳猫耳の女性。さらに片方は女幹部、もう片方は魔法少女の、どちらも布地を少ない服を着た女性と言う、なんともまぁ、非日常的な光景が繰り広げられ、その模様はその様子を最初から撮っていた、川田幸太郎の手によってDVD&Blu-rayとして売り出されるのは、


 その少し後の話である。


 ちなみにその後、解放された松尾は、


「つ、疲れたー」


 と、ぐったりしていたそうな。