超乳戦隊ギガレンジャー 第8パイ

帝国城摂政 作
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「第8パイ」
「野菜怪獣、出現!? 魔法乳女、出場?!」

 それは紫峰町でもとても暗い、月が一切出ていない新月の日。暗闇のみが支配するその日、沢山のシーボモンスターが現れる。

「シーボ・マトーフモンじゃよぉ〜。お風呂どこかいの〜」
「シーボ・ファウメケロけろ! さぁて、金銀財宝を全て横取りするけろ!」
「シーボ・ファトマトマトだよ! さぁ、早く仕事をするよ! あぁ、忙しい! 忙しい!」
「……シーボ・マニンジッピだっぴ。はぁ、なんか色々と考えているとお腹が痛くなるっぴ」
「オーホホホ! シーボ・ファキャーベッタよ! さぁ、私のための舞台はどこかしらー?」
「……シーボ・ファレンコポッチ。どうせ負けるさ……」
「シーボ・マノビルジャーだー! 皆行くんだー!」
「シーボ・マネギックですが、こんなに出現してどうすると言うんだか?」
「シーボ・マソソソナスっす! 早速作戦っす! 作戦っす! ……何すれば良いっす?」
「シーボ・マトモロコフスキーだよ、ベイビー。早速、女の子を探しに行こうかな?」
「……シーボ・ファホーレソレだしー。つーか、もう帰りたいし」
「シーボ・ファゴマータさ! 皆が作戦をすると言うのならば、私は作戦を行わないさ」

 全12種類のシーボモンスター。様々なシーボモンスター達が沢山居て、静まり返った紫峰町の夜を騒ぎ立てる。

「とにかく行くんだー! 作戦を開始するんだー!」

 番長服を着たタケノコのようなモンスター、マノビルジャーがそう言うと全員が文句を垂れつつ、行動を開始しようとする。

「「「待て! シーボモンスター!」」」

 しかしそんなシーボモンスター達を止める4人の女戦士が現れる。彼女達こそ賢明な読者たちならばもうご存知の……

「魔法乳女ドレミ、よ! 只今、出場、よ!」
「同じく魔法乳女サンダー! 只今、出場!」
「同じく魔法乳女ソード! 只今、出場!」
「同じく魔法乳女バード! 只今、出場!」

 そう言って現れたのは、いつもとは違うが、いつも読者達が知っているギガレンジャーに匹敵するレベルの、魔法乳女と言う名前に相応しい爆乳をお持ちの4人。4人とも胸元が大きく開いたタートルネックと言う洋服に良く似た色違いのドレスを着ていた。
 1人目はピンク色のタートルネックドレスを着た、ト音記号型の弓を持った魔法乳女ドレミ。2人目は黄色のタートルネックドレスを着た、雷の模様が入ったシンバルを持った魔法乳女サンダー。3人目は赤色のタートルネックドレスを着た、少女にしては大きめの剣を背負った魔法乳女ソード。そして最後の1人は黒色のタートルネックドレスを着た、背中から鳥の翼を生やした魔法乳女バード。

「さぁ、ネームネーム、よ! 私達が相手よ、よ!」
「全部マとめて、痺れサせます!」
「全部こノ剣で、切り刻んで差し上げマシょう!」
「大自然の鳥の力ヲ、思い知るガ良い!」

 そう言って、魔法乳女の4人はシーボモンスター達と戦いを始める。彼らが武器と言う魔法を使うと共に、シーボモンスターが倒されて光となって4人の身体へと吸収され、4人は光が吸収されると嬉しそうな笑みを浮かべていた。

 その戦いを隠れるようにして圧迫教官ツメンセが見ていた。

「お風呂好きの豆腐型シーボモンスター、シーボ・マトーフモン。金が大好きな梅干し型シーボモンスター、シーボ・ファウメケロ。癇癪持ちのトマト型シーボモンスター、シーボ・ファトマトマト。気弱なニンジン型のシーボモンスター、シーボ・マニンジッピ。自惚れやのキャベツ型シーボモンスター、シーボ・ファキャーベッタ。ネガティブ思考のレンコン型シーボモンスター、シーボ・ファレンコポッチ。番長気質のタケノコ型シーボモンスター、シーボ・マノビルジャー。皮肉屋のネギ型シーボモンスター、シーボ・マネギック。慌てんぼうのナス型シーボモンスター、シーボ・マソソソナス。女好きのトウモロコシ型のシーボモンスター、シーボ・マトモロコフスキー。気だるそうなホウレンソウ型シーボモンスター、シーボ・ファホーレソレ。そしてひねくれ者のゴマ型シーボモンスター、シーボ・ファゴマータ。
 野菜型シーボモンスター12種、彼らの強さは相変わらずの弱さでしょう。恐らくシーボモンスターなのにも関わらず、その強さはナイチチ達と同レベルが精々……と言った所でしょう」

 そう言いながら、魔法乳女を名乗る4人にあっさりとやられていく野菜型シーボモンスター達。しかし、劣勢と言うのにツメンセの顔は笑顔であった。

「作戦は順調……と言った所でしょう。さて、そろそろギガレンジャー達も来るので、8回にも渡る野菜型シーボモンスターによる養殖は完了でしょう。では、そろそろ作戦を第二段階に進めるでしょうよ?」

 そしてクスリと、笑いながら魔法乳女の4人を見るツメンセ。

「あなた達は良い実験サンプルだから期待していますよ、でしょう」


「……以上の12体のシーボモンスターは今回で9回目の登場になります、です。しかもここ数日の間に何度も、です」

 と、デカパイ博士は画面上に映し出された野菜型シーボモンスター達の説明を終えて、そうギガレンジャーの4人に言う。

「この12体はシーボモンスターではあるが、普通のシーボモンスターと比べて反応が非常に弱く、場所を特定する事は非常に難しい、です。そしてその現場に常に居る4人こそが、この魔法乳女なる4人組、です」

 そう言って4人の、自らを魔法乳女と名乗る4人組の映像を見せるデカパイ博士。

「ドレミ、サンダー、ソード、そしてバード……。シーボモンスターを倒すならば仲間に参加させるのでしょうか?」
「オー! フォーとフォーでエイトなのデース! これで、最強なのデース!」

 と、赤井望とメアリー・イエローの2人は喜び合っていたが、青志七海や緑木冥、デカパイ博士の3人は楽観視してはいなかった。超乳戦隊ギガレンジャーと言う力が無ければ倒せないネームネームの怪人を謎の力で倒している魔法乳女の事を気にかけていた。
 もしかすると、ネームネームの作戦かも知れないからである。

「魔法乳女の4人は声紋で、身元が割れました、です。魔法乳女サンダーに変身する雷門遥(らいもんはるか)へは望、魔法乳女ソードに変身する武田亜里沙(たけだありさ)はメアリー、そして魔法乳女バードに変身する鳥飼林檎(とりかいりんご)を冥がそれぞれ調査し、ネームネームとの関連性を探って欲しい、です」
「「「了解!」」」

 そうして出て行って残される七海。そして慎重そうな面持ちで、デカパイ博士が口を開く。

「……恐らくですが、最後の1人、魔法乳女ドレミの変身前の人物も分かっています、です」
「……! でしたら、あの時に行ってくれれば私がその人に確認を……!」
「しかし……」

 と、そう言って区切り、デカパイ博士が言う。

「……分かりました、です。最後の1人、七ヶ峰七音(しちがみねどれみ)。あなたの所属する弓道部部長、氷室龍子(ひむろりゅうし)さんの尊敬する先輩よ」


 私、氷室龍子が知る、七ヶ峰七音と言う女性について後輩から質問があった。いつもだったらはぐらかしたり、七つの音と言う名前から【しちね】と呼ばれていた事くらいしか話さないんだが、その日の彼女、青志七海の眼は本気だった。

「どうしても知りたいんです……。お願いします」

 その真剣な眼差しに私はこらえ切れずに、彼女の事について語り始めた。

 七ヶ峰七音は天才である。ロリ巨乳と言う、弓道をやる者からしたら大きすぎるハンデを持ちながらも、全国一、二を争う天才的な弓道少女として世界的に有名な人物であり、どうすれば上手く行くのかと言う弓道の指導についてもプロ級の腕前を持っていた。私自身も、部活のメンバー全員が彼女の事が誇りだった。
 しかし、3年の夏の大会を控えた頃、彼女に不運が訪れる。
 彼女が自転車から落ちて、右腕を捻ってしまったのだ。幸い、日常生活には支障が無いくらいに回復したが、捻った時にどこかを痛めてしまったらしく、弓道から彼女は足を洗う事になった。その自転車事故も、何故かいつも安全なのを確認しているはずなのに、その日だけブレーキが利かなくなっていた事が原因だった。……犯人は彼女の成功を妬んだ他校の女であり、その他校の女は逮捕されたが、七音は弓道と言う道から外れてしまった。
 最初はみんながみんな、彼女の事を心配していたが、彼女が「自分には歌があるから、よ!」と言って新しい道を見つけた事で安心していた。
 それが彼女のやせ我慢だったかも知れない。

 以後は音楽の道を進むために、音楽学校へ……って、七海の奴、居ないし。
 折角、先輩が話してあげたのに、ちゃんと話は最後まで聞くべきだろうが。全く……。


 私、青志七海はデカパイ博士に教えて貰った七ヶ峰七音の家へと向かっていた。氷室龍子さんに話を聞いたとおりだったら、彼女は右腕を怪我している。そしてちょっと悲しくなるような過去を持っている。

(そんな人がネームネームに関わってるかも知れないだなんて……今すぐ助けないと!)

 そう思いながら、私は彼女の家へと辿り着いて、チャイムを鳴らす。
「はぁーい、よ」と言うどこか調子の良さそうな声と共に1人の女性が扉から出て来る。そこから出て来たのは、茶髪を可愛らしくウェーブをかけた、ロリ巨乳の愛らしい人物。

「どちら様かしら、よ?」

 その立ち振る舞いから瞬時に、青志七海と言う弓道に携わっている者から見れば一目瞭然に、彼女が弓道をしている事が、そして彼女の優秀さが伺えた。それこそ、彼女ほどの人が弓道を引退しているのが酷く残念に思えるくらいで。

「この私、七ヶ峰七音に何か用かな、よ? え、えっと……」
「……青志七海、です。紫峰学園弓道部の」

 そう聞くと、彼女は嬉しそうな笑顔で

「なら、私の後輩って事ですね、よ! ではOGとして弓道部の手本をしてあげましょう、よ! さっ、入って、よ!」
「えっ……ちょっ……!」

そしてそう言って、私は彼女、七ヶ峰七音さんに家の中へと連れて行かれる。
入ってまず感じたのは、音楽用品の多さ。音楽学校に行っていると言う話からしたら別に可笑しくない。そしてそれに隠されるようにして置かれている弓道具の数々。

「あぁ、これですね、よ。いやー、多分見本としては見せられずとも、指導教官的な面では教えられます、よ。
――――――まずは弓を引く時は腕の筋肉よりも指の筋肉が必要です、よ。だから鍛えるために、手の筋トレ用の器具があって……」
「いや、その辺りは普通に知ってて……」

 私がそう言うと、七ヶ峰さんは「そうですね、よ」と言いながら、巻物っぽい物を取り出して来る。

「弓道の心得として一番重要なのは、イメージです、よ。イメージさえしっかりと持っていれば、どうやって弓が射れるのかをイメージする事が大切なのだ、よ」
「イメージ……ですか。心掛けておきます。ではなくて……」

 と、そう言いながらどうやって話を切り出そうか迷っていた。家に入れて貰ったのは良いけれども、どう話を切り出していいのやら……。

「分かってます、よ」

 と、どうしようかと悩んでいると、七ヶ峰さんがそうやって話を切り出してくれた。

「後輩から、りゅうしちゃんからギガレンジャーをやっている友人の話は聞いていた、よ。それで私の所に来たと言う事は、魔法乳女ドレミの事についてでしょ、よ?」
「なんで……」

 そう聞くと彼女は「だから、言ったでしょ、よ? イメージが大切って……」とそう言う。

「まぁ、あの前に会えて良かった、よ。OGとして伝えられたし、よ」
「えっ……?」
「忘れないで、よ。大切なのはイメージ……」

 と、彼女がそうもう1回言おうとして、彼女はいきなり倒れた。

「えっ……」

 と困っていると、七ヶ峰さんの身体から黒焦げたマッチのような物が出て来る。そしてそれは宙を舞って、空へと飛んでいく。

「……なんか嫌な雰囲気」

 私はそれを追う。


 追った先に居たのは、黒髪の上に魔女の三角帽子を載せた、背中に大きなマッチを背負った赤い瞳の魔女。その魔女の周りには七ヶ峰さんの身体から出て来た黒焦げのマッチの他にも、似たような多くの黒焦げマッチが浮かんでいた。

「おや? どうやらここに一番辿り着けたのはあなただったようでホー!」
「あなたは……」

 と私がそう言うと、ウフフと彼女は嬉しそうに笑う。

「私の名前はシーボ怪人、魔女マッチミなのだホー! あなたも魔法は要りませんかホー?」
「魔法……。もしかしてあの魔法乳女はあなたの策略で……」

 と、私の後ろから望、メアリー、そして冥の3人が来る。どうやら3人も私と同じように黒焦げマッチを追って来たのだろう。

「おぉ!? 他の3人も来たんだかホー?」

 そう言うと、彼女は嬉しそうにこっちを見て高らかに宣言していく。

「私の名前はシーボ・魔女マッチミ! 圧迫教官ツメンセの手によって生み出され、魔法乳女と呼ばれる魔法使い達を作る作戦を行う怪人なのだホー!」
「「「「……魔法使いを作る作戦?」」」」

 魔法使いを作るので、どうやって乳房を大きくするのが関連するのだろうか?

「魔法使いは統計的に胸が大きいのだホー! だから胸を大きくするために魔法使いを増やすのだホー! そして魔力の源たるマッチを分け与え、魔法使いにしているのだホー!」

 そうやって高らかに言う彼女を見て、私達はどうだろうと思っていた。

「いや、ホーって言われても……」
「今回の作戦は微妙ですかね……」
「オー! ネームネームでもワン、ツーを競うほどの微妙なプランなのデース!」
「うむ。限りなくレッドに近いな」
「お前ら、敵だからって容赦なく言い過ぎだホー!」

 ムキーと怒り出す魔女マッチミ。

「それに……マッチを使い果たした、つまり魔女としての生涯を終えた者達は、私を倒さない限り目覚めないと言うおまけ付きなのだホー! これでタイラ様の競争相手が減るかと思うと……良い作戦だホー!」
「「「「……!」」」」

 私達は無言で変身して、それぞれの武器をマッチミに向ける。

「……おやおや? 人の命がかかると本気になるとは、ギガレンジャーも大した奴なのだホー。まぁ、ならば少しばかり相手してやるホー!
 ……出でよ、シーボ野菜怪人達!」

 そう言って彼女がパチンと指を鳴らすと、いきなりマッチミの背中に背負われていたマッチが燃え、そこから沢山のシーボ野菜怪人達が現れる。

「シーボ・マトーフモンじゃよぉ〜。お風呂どこかいの〜」
「シーボ・ファウメケロけろ! さぁて、金銀財宝を全て横取りするけろ!」
「シーボ・ファトマトマトだよ! さぁ、早く仕事をするよ! あぁ、忙しい! 忙しい!」
「……シーボ・マニンジッピだっぴ。はぁ、なんか色々と考えているとお腹が痛くなるっぴ」
「オーホホホ! シーボ・ファキャーベッタよ! さぁ、私のための舞台はどこかしらー?」
「……シーボ・ファレンコポッチ。どうせ負けるさ……」
「シーボ・マノビルジャーだー! 皆行くんだー!」
「シーボ・マネギックですが、こんなに出現してどうすると言うんだか?」
「シーボ・マソソソナスっす! 早速作戦っす! 作戦っす! ……何すれば良いっす?」
「シーボ・マトモロコフスキーだよ、ベイビー。早速、女の子を探しに行こうかな?」
「……シーボ・ファホーレソレだしー。つーか、もう帰りたいし」
「シーボ・ファゴマータさ! 皆が作戦をすると言うのならば、私は作戦を行わないさ」

「シーボ怪人の中でも、他のシーボ怪人を呼び出せる私の能力を喰らうが良いホー! 行くんだホー!」

 マッチミがそう言うと、後ろに居たシーボ野菜怪人達が私達の元へと向かって来る。私達はそれに対して、応戦する。

「レッドアックス・フィニッシュ!」
「いきなり私に来たんだホー!? でも残念、ブラックバードシールド!」

 いきなり魔女マッチミへと攻撃するレッドだったけれども、それは魔法乳女バードが使っていたはずの黒い鳥の攻撃によって防がれる。

「オー! イエローリボン……!」
「グリーントンファー・ガンモード……!」
「サンダーシンバルだホー!」

 そう言って今度は魔法乳女サンダーが使っていたシンバルを鳴らし、雷鳴を発生させてイエローとグリーンは攻撃を跳ね返される。

「なら、私が! ブルーアロー!」

 私が弓矢を放つも、

「レッドソード・チリペッパー!」

 と、魔法乳女ソードが使っていた大剣によって当たる前に斬られてしまう。

「そしてピンクアロー・フォルティッシモ!」

 マッチミがそう言って、魔法乳女ドレミが使っていた音符の弓矢を放つと、空中でそれは大量の弓矢へと変わって私達は地面に打ち付けられる。

「くっ……!」
「動けない、です!」
「デンジャラス! ピンチなのデース!」
「イエローどころかレッドゾーンね!」

 と、そう言って動けない私達に攻撃するマッチミが作り出した野菜怪人達。

「ぐっ……!?」
「フフフ。野菜怪人達は弱くても、それだけの数でタコ殴りならかなりのダメージなのだホー。まぁ、マッチは元は私の一部で、魔法乳女達が作ったこの武器であなた達を倒せたから良かったんだホー」

 そう言いながら、ドレミのアローを眺めるマッチミ。私達は野菜怪人達の猛攻撃によってほとんど虫の息である。他の皆は既に気絶してしまっている。でも息はあるようで、その大きな胸が、破れたスーツ越しにゆっくりと上下運動しながら揺れていた。

「……どいつもこいつも、くだらない事に執着するようなバカな女達だったけど、役には立ったようだホー」
「なんですって……」

 私がそう言いながら睨みつけると、マッチミは嬉々として嬉しそうな顔で私の方に来る。

「おぉ、ブルー。まだ息があるみたいだホー。まぁ、どうせ死ぬし、丁度良いホー。冥途の土産に、お前が話していた七ヶ峰七音の事を話してやるホー。あいつは出来ない弓道を諦めきれず、今の音楽と合わせた、夢の魔法使い……いや魔法乳女になったんだホー。どちらの夢も選ぶなんて、バカがする事だホー。ホホホホホホホー!」

 プチン、と私の中で何かが千切れた。

 私が立ち上がると、マッチミは笑いながら「どうせ虫の息だホー。さっさとやるんだホー」とそう言って、野菜怪人達が襲い掛かってくる。

「…………」

 私はそれに対して、持っていた弓矢を捨てて、ガシッと近くにいた野菜怪人達を掴む。

「じゃよ!?」
「けろ!?」

 驚いている野菜怪人の頭を腕力で粉砕する。そしてそのまま拳を強く握りながら、そのまま向かってきた野菜怪人達を殴り殺す。

「ひ、ひぃ!? 弓矢を使う遠距離戦タイプが殴って来るんじゃないんだホー!? 野菜怪人達、ならば高速で移動して狙いを付けないようにして……」

 その指示を受けて、高速で移動する野菜怪人達を私は弓矢で撃ち落とす。その動作には一切のブレが無く、そして正確だった。

「ひ、ひぃ!? ば、化け物だホー!? ならばこっちもドレミアローで!」
「あなたがその武器を使うんじゃない!」

 私がそう言って、強い意志と共に放たれた弓矢は、私の胸を大きく揺らして、そしてドレミアローを撃ち落とし、マッチミの背中のマッチも破壊していた。マッチを破壊すると、野菜怪人達が姿を消していく。

「あぁ!? 大事なマッチ装置がこれは拙い! 逃げるが勝ちだホー!」

 そう言って箒ならぬ大きなマッチを取り出して、そのまま宙を飛んで逃げようとするマッチミ。それに対して私は、

「……私の大切なOG、七ヶ峰七音さんを元に戻して貰います!」

 そして私はイメージする。七音さんが教えてくれたイメージの力を信じて。

「必殺、ブルーアロー・ドラゴンハンティング!」

 そして私は、自ら服を引きちぎって露出させた胸の柔肌、その胸を自らの手でたゆんと揺らし、そして力を溜めて放つ。放たれた弓矢は龍の形となって、マッチミへと向かって行く。

「そ、そんなバカなだホー!」

 そしてマッチミは爆死した。

「……これで、大丈夫ですよ、七音先輩……」

 と、私はそう言って意識を手放した。


「くそう、マッチミがやられたでしょう」

 と、ネームネームの組織本部にて圧迫教官ツメンセは悔しそうにそう言う。しかしすぐに、彼女の顔は笑みへと変わる。

「……まぁ、良いでしょう。彼女は作戦をきちんと果たし、さらに野菜怪人達によって探らせておいた別同作戦で、タイラ様の胸を大きくするプランは立ちましたでしょう。
 後はこのために取って置いた怪人、シーボ・ビーデッドラックでタイラ様の乳房最大化計画は終焉を迎えるでしょう!」
「ならば、それに私も噛ませて欲しいでし」

 と、そう言って浮かれていたツメンセの元に現れたのは、同じく幹部の薬剤博士スクリであった。

「私も、タイラ様の胸を大きくするのには力を貸すでし。同じ幹部として」
「おぉ! そうでしょう、そうでしょう! やはり幹部とは協力するべきでしょう! ……ところで、メントアセスは?」

 ツメンセはもう1人の幹部、環境支配者メントアセスの居所を尋ねる。するとスクリは「あっちにはあっちの事情があるでし」と答えた。

「大丈夫でし。メントアセスさんは別同作戦だけど、目標たるタイラ様の胸を大きくしたい思いは一緒と答えていたでし」
「ならば大丈夫でしょう。さて、ではスクリ、あなたの方のシーボモンスターは……」
「もう決まっているでし」

 と、スクリはそう答える。

「ビーデッドラックの作戦を邪魔するギガレンジャー、そいつらを排除するために私のとっておきを出すでし」
「とっておき?」

 疑問符を浮かべるツメンセに、スクリはこう答えた。

「そう、私の最高傑作と言っても良いシーボモンスター。
 吸血鬼族マリーマリオネットを」

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シーボモンスターNo.22
○シーボ・魔女マッチミ
作成者;圧迫教官ツメンセ
作戦;魔法使いにして胸を大きくさせる作戦
使用素材;『マッチ』、『魔女』、『魑魅魍魎』
概要;ツメンセが作り出したシーボモンスター。黒髪の上に魔女の三角帽子を載せた、背中に大きなマッチを背負った赤い瞳の魔女。悩んでいる少女に対してシーボ製マッチを渡して魔法使い、魔法乳女としてそれで得たデータを回収する作戦を行っていた。他人が嫌がる事が大好きな性格で、人の一番言われたい言葉や言われたくない言葉を瞬時に見つけ出す。12種類のシーボモンスターを作る力と、魔法乳女達の武器を自由に使える力を持つ。
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次回予告!
遂に本格的に動き出したネームネーム! 今度の敵はシーボ・ビーデッドラック! この敵によって紫峰町にかつてない危機が!? そして同時に冥の宿敵、マリーも現れて!?
次回、超乳戦隊ギガレンジャー、第9パイ!
「決戦!? 薬物被害とマリーの罠!?」

「さよなら、望」
「嘘だよね、帆夏ちゃん!」

次回も期待して待て。