別次元の紫峰町に良く似た街、機鋒町(きほうまち)。湖の上に作られた機械仕掛けのこの町、そんな街に危機が迫っていた。
その怪人、いや彼女はその両腕の部分にコンピューターのキーボードのような物を付け、着ている真っ黒な服は不思議に光り輝いていた。頭にはいくつもの電子機器のような物が光り輝き、無表情な顔と不自然なミスマッチを起こしていた。
「ピピピ……セッティング・オーケーぴこ! これならば乳房帝国ネームネームα次元支部長のこの私、電算使徒セツナがやるぴこ! さぁ、やるぴこよ、α次元副支部長の加重使徒ブンチン!」
「えぇ〜、めんどい〜」
と、電脳使徒セツナの横に寝転がっていた女がそう答える。寝ぼけ眼に頭の上には寝る前に被るような帽子、毛布のような布団を身に纏った赤い髪の女、加重使徒ブンチンは「めんどいな〜」と答える。
「セッちゃんがやってよ〜。そう言うの得意じゃ〜ん」
「嫌ですぴこ、ブンチンさん! ここには膨乳戦隊インフレンジャーなる組織があるんでぴこ! そいつらと戦わなければならないぴこよ!」
「インフレ……? 誰だっけ、それ〜?」
「ちょっ!? ブンチンさん、忘れたぴこ!? えぇい、なら説明するぴこ! ムービーシステム展開だぴこ!」
セツナがカタカタと左腕で右腕のキーボードを押して操作すると、彼女の頭の電子機器が光って映像が空中へと投影される。
「私達はネームネームのボス、タイラ様のためにα次元へと渡ったぴの。その最中でシーボモンスター作成の要となるシーボの塊を落としてしまったぴの」
「馬鹿なの〜。落としちゃダメじゃ〜ん」
「落としたの、ブンチンさんでしょぴの! 全く……。仕方なく私達は近くで発見したシーボと同じ脂肪獣……いや、肥満獣のユシーの細胞を手に入れたぴの。ユシーは、シーボと違って力こそ強いぴのが、人間の身体を題材として使わなければならない、ちょっと不安定な物なの」
「使いづらいね〜」
「…………」
無言でブンチンを睨みつけるセツナだったが、特に反省もしないブンチンを見てため息を吐きながら、キーボードを操作して話を進めて行く。
「そして私達は実に7体のユシーモンスターを作り、この世界に送りましたぴの。
ウンディーネシェイド、ゴーレムシェイド、フェニックスシェイド、デュラハンシェイド、ウイッチシェイド、サイクロプスシェイド、そしてオルトロスシェイドの計7体を作ったぴのが、全員がα次元の対ネームネーム帝国の組織である膨乳戦隊インフレンジャーによって絆され、力として組み込まれ……」
「ちょ〜っと待って〜」
そうやって映像を動かしながら説明していたセツナに対して、ブンチンが声をかける。
「その7体のユシーモンスターは君が……セツナが作ったんだよね〜? 私、興味がなかったから〜」
「そうぴのが、どうしたぴの? ま、まさか、何か不備があったぴの?」
「そうじゃないけど〜、なんでそんなモンスターチックなラインナップになってるぴの〜?」
それに対して、「よくぞ聞いてくれたぴの!」と酷く嬉しそうな顔でブンチンに微笑みかけるセツナ。
「やはりこの世で一番強いシーボモンスターを作るぴのには、世界各地に広がる伝承の怪物をモチーフにする事こそが、最強への近道ぴの! 世界にはこれほどまでに怪物が溢れているぴのだから!
であるからこそ次は人々に深い影響を与えるだろうサキュバスシェイドで……!」
「……今度からは私が作りま〜す。貸して〜」
と、そう言ってユシー細胞が入った瓶をセツナから奪ったブンチンは、その辺を歩いていた主婦に狙いを定める。
「要するに〜、インフレンジャーは〜、変身している最中は〜胸が膨乳するらしいので〜。それに有効なモンスターを考え付いたの〜」
そう言うと共に、目の前の女の姿が変わって行く。そしてユシーの怪人へと変わって行く。それを見て、「へぇ〜、ぴの」と言うセツナ。
「さぁ、これからがネームネームの快進撃の始まりぴの!」
「あぁ〜、だる〜」