恋愛悪魔のアパート 第1話「久島怜人の春の出逢い」

帝国城摂政 作
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 アパート、『愛詩荘(アイシソウ)』。1階4部屋の2階建て、月給4万円で3LDKの間取りのちょっとした古ぼけた賃貸アパートなのだけれども、このアパートにはちょっとしたジンクス的な物がある。それは恋愛が生まれやすいと言う事である。しかもその恋愛がちょっと普通の人間的な物とは違っていて……。
 そして今この場でも、愛詩荘の一部屋でも恋が生まれようとしていた。

第1話・「久島玲人の春の出逢い」

 新年の春。黒髪ショートヘアーの中肉中背の人物である、1人の高校生がスーツケースを転がしながら、メモを見ながらアパートの場所を探していた。

「こっち……かな」

 と彼が探しながら歩いているのは、この春からとある高校、有閑(ゆうかん)高校に通うために家を出て、愛詩荘へと引っ越そうとしている最中なのである。既に荷物は運び終わって貰っているので、後はその愛詩荘へと行けば完璧である。

「えっと、こっち……かな?」

 久島玲人(くじまれいと)はそう言いながら歩いていると、道の奥の方に古ぼけた木造二階建てのアパートが現れる。そしてその前に2人の女性が立っている。

「おー! やっときたようですね!」
「……初めまして」

 左に立っているのは赤黒い長い髪と、星のような瞳を持った美少女。右に立っているのは灰色のセミロングヘアーの野暮ったい眼鏡をかけた、小柄な身長の美少女。

「あなたが102号室の久島玲人さんですね? 私、隣の101号室の火島火蓮(かじまかれん)です! よろしく!」
「久島玲人です。よろしく」

 そう言いながら、嬉しそうにこちらを見て来る赤黒い髪の美少女、火島火蓮はニッコリと笑いながら手を差し伸べて来るので、握手を返す。

「……同じく104号室の狐里水(きつねざとすい)です。どう、も」
「えぇ、どう、も」

 そう言いながら、水さんとも握手を返して置く。

「いやー。男の人だったとはー。3人目ですねー」
「まぁ、僕としてもあなた達のような可愛らしい人に出迎えられて嬉しいですけれどもね」

 ニコッと、これからのコミュニケーションを円滑に進めるための意味と、それから純粋にそう思ったと言う意味で彼はそう笑いかける。
 すると水さんがいきなり恥ずかしそうに顔を赤らめたと思ったら、そのまま走って部屋へと帰って行ってしまわれた。

「あらあら♪ なかなか良い人じゃない♪ お姉さん、気に入っちゃたかも?」

 そう言って彼の元に、そのたゆんと揺れるような豊満な胸を見せつけながら、火蓮さんは私に近付いて来る。

「面白い人ね」
「よ、よく言われます」

 これは謙遜でなくて、彼にとって事実だった。
 高校行く前、彼は実家暮らしで小中共に同じ町で居た訳であるが、彼にとって不思議なのは会う人が毎回、「あなた、面白い人ね」と言ってくる事だった。
 これは彼にとって謎みたいなものだった。

「良かったらこの後、時間空いてない? 今日から引っ越してきて、悪いけれども、私の部屋に来てくれない? 見せたい物があるからね」

 そう言って、ニコリと微笑みながら、そのダイナマイトボディに逆らえなかったのは、やはり彼が思春期を迎えた高校生だからかも知れない。