恋愛悪魔のアパート 第2話「実は彼女は……」

帝国城摂政 作
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 アパート、『愛詩荘(アイシソウ)』。1階4部屋の2階建て、月給4万円で3LDKの間取りのちょっとした古ぼけた賃貸アパートなのだけれども、このアパートにはちょっとしたジンクス的な物がある。それは恋愛が生まれやすいと言う事である。しかもその恋愛がちょっと普通の人間的な物とは違っていて……。
 そして今この場でも、愛詩荘の一部屋でも恋が生まれようとしていた。

第2話・「実は彼女は……」

 春の日差しが眩しい引っ越しには適した快晴日。愛詩荘102号室へと越してきた私、久島玲人(くじまれいと)。彼は隣人となった赤黒い髪のダイナマイトボディの美少女、火島火蓮(ひじまかれん)に誘われて、彼女の部屋へと上がりこんだ。

「あっ、そう言えば久島さんは引っ越しの方は大丈夫ですか? 連れて来たのはこっちですけれども、引っ越しがまだだったら悪いですし……」
「いえ、大丈夫ですよ。私、引っ越し業者に頼んでいますので」
「そう……。なら、良かった、です」

 そうして火蓮さんに部屋へと連れて行かれた私は、彼女の部屋を見回す。火蓮さんの部屋はと言うと、まだ昼だと言うのに遮光カーテンでしっかりと閉め切っていて、なおかつ灯りも燭台や蝋燭などで灯していました。しかもその灯っている火は、一色一色違っていた。

「凄いでしょ、私の部屋。黄色はナトリウム、紫はカリウム、青緑は銅、そして黄緑はバリウムでやってるのよ。所謂、炎色反応よ」
「はぁ……変わった趣味、ですね」

 灯りを全部火で済まそうと言う事を、趣味と言えるかどうかは微妙だけど。私がそう言うと、火蓮さんはクスリと笑い、「変わった趣味、ねぇ……」と言いながらアハハと笑っていた。

「火蓮……さん?」
「ウフフ……でも、私のこれを趣味と言われてしまうのがなんだかとっても可笑しくてね」
「えっ……? そ、それって……」

 そうして、私が戸惑っていると、違和感に気付いた。

(あれ? この部屋、なんだか大きくなってないか?)

 気のせいだと思いたいが、なんか最初に見た時よりも明らかに部屋が大きくなっている気がするのは気のせいだろうか? この部屋、3LDKで最初はそんなに大きくは無いなと思ったのが、今では結構の大きさになりつつあるんですが……。一畳で私の身体の10倍くらいあるんですけど?

「ウフフ……。面白いでしょう? これ、私の技の1つ、でね。こんな事が出来るのよ」

 そう言ってこちらへと戻ってきた彼女は、テレビ番組くらいでしかお目にかかる事が無いような大きな、本当に大きなまんじゅうを持ってきました。

「これは……」
「私達が小さくなったんじゃないわよ。簡単に言うと、この部屋の私達を除く全てを大きくしてみただけ」

 「ほら、外は変わらないでしょ」と、外を見せてくれるけれども、確かに彼女の言うとおり、外からの景色はなんら変わらなく、そしていつも通りの風景を映し出していた。
 疲れているのか、可笑しくなっているのか。とにかく1つ言えるとすれば、この光景は可笑しな光景であると言う事である。

「これは一体……私は頭が変になってしまったのか?」
「フフフ……。ちょっと違うのよ」

 そう言って、彼女は部屋に置いてあった燭台の1つを手に取る。

「このアパートには所謂、まともな住人は住んでいない。しかも、私のように人ではない者も居るのよ」

 すると、どう言う事だろうか。燭台の灯っていた紫色の炎が彼女の周囲を回り始める。そして彼女の身体の中に紫色の炎が入って行くと共に、彼女の身体がまるで空気を入れたバルーンのように膨らみ始める。
 驚いている私を尻目に、火蓮さんはどんどんと大きくなっていき、やがて私にとっては大きすぎる3LDKになってしまった部屋でも、体育座りでようやく収まりきらないようなそんな巨大な身体になってしまった火蓮さんが居た。

「クフフ……。やっぱり自分の10倍はあろうかと言う巨大さはびっくりしますかね?」
「あ、あなたは一体……」

 と、私が戸惑っていると彼女はひょい、とまるでおもちゃの人形のように私を抱きかかえると、そのたゆゆんと揺れる自身の爆乳に私の身体を押さえつける。

「――っ!?」

 元の状態でさえ、押さえつけられると口が塞がれて呼吸が出来なくなりそうなくらいだったのだ。それなのにここまで大きな身体で胸元に押さえつけられてしまうと、どうして息が出来よう?

「知ってるかしら? 人形の大きさは12cmくらいで、生後6か月の大きさはだいたい60cmくらいなのよ?
 そして私の今の大きさはあなたの10倍、つまりあなたの大きさは私の10分の1くらいで大きさとしては12cmくらいね。もう少し大きいかも知れないけれども、まぁ、私にして見ればどちらも同じくらいね」

 その柔らかくて、なおかつ全身を高貴なる布で包んだような感じで包まれていた胸の軟禁から解放されると共に、「さて」とゴホンと一回咳を吐いてこちらを見る火蓮。

「ふぅ……。これで私が人間ではない――――悪魔である事は分かって貰えたかしら?」
「あ、悪魔!?」
「やっぱり驚いちゃうわね。まぁ、慣れてるから良いけど」

 フフフ……と笑いながら、私の身体をもう一度その胸へと、今度は先程よりももっと強く押さえつけて来る火蓮さん。それも先程よりも若干、ぽよんぽよんと大きく揺れている気がする。

「――――――ごめんなさいね、これが私なりの歓迎の挨拶なの。
 ようこそ、悪魔と宇宙人と役者と錬金術師とマッサージ師と宇宙の死神が居るアパート、『愛詩荘』へ」

 そ、そんな事よりも早くここから出してくれ! そう思って私が身体を揺らすと、

「あぁん いきなり敏感なポイントを当てるなんて……だ・い・た・ん」

 なんか良いポイントに当たったみたいである。
 ち、違う! わ、私はまだ死にたくないだけだー!

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101号室;
火島火蓮(ひじまかれん)、悪魔。17歳。
赤黒い長い髪と、星のような瞳を持ったナイスバディな美少女。
炎の悪魔。炎を使い全身の大きさ、空間の大きさを変える事が出来る。

102号室;
九島玲人(くじまれいじ)、一般人。15歳。
黒髪のショートヘアーで、中肉中背の人物。
どこにでも居る高校生。この春から有閑高校へ入学するため、愛詩荘へ引っ越してくる。フラグを乱発するような乱立者で、色々と女の子と出会いを求めている。トラブルに巻き込まれやすいが、それ以上に嬉しいイベントに会いやすい。