恋愛悪魔のアパート 第4話「九島玲人の高校生日誌録」

帝国城摂政 作
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 アパート、『愛詩荘(アイシソウ)』。1階4部屋の2階建て、月給4万円で3LDKの間取りのちょっとした古ぼけた賃貸アパートなのだけれども、このアパートにはちょっとしたジンクス的な物がある。それは恋愛が生まれやすいと言う事である。しかもその恋愛がちょっと普通の人間的な物とは違っていて……。
 そして今この場でも、愛詩荘の一部屋でも恋が生まれようとしていた。

第4話・「九島玲人の高校生日誌録」

「よしっ! これで良いな」

 と、九島玲人は自らの首元にしっかりと結ばれたネクタイを見ながらそう言う。そして自分の髪がきちんとセットしている事を確認すると、鞄に貰って置いた教科書を入れて、そのまま学校の制服に着替えていた。

 今日は入学式、九島玲人の高校の新入学の日なのである。彼はこの高校に通うためにこの高校に来たのだから、今日こそ待ち望んでいた日だと言えよう。
 そう思いながらきちんと準備を整えた九島玲人はと言うと、扉を開けるとそこには、

「はーい! レイト、おはようゴザマース!」
「……誰ですか?」

 と、玲人は目の前に居る少女の姿を見て、誰だろうと頭を悩ませてしまっていた。肩よりも長く伸びるブロンドヘアーと目の下の泣き黒子が印象的な、まるで西洋の人形のように可愛らしい少女であった。

「……私です」

 その人形のような少女は胸元のポケットから野暮ったい眼鏡を取り出しており、それを見て「あぁ!?」と玲人はようやく目の前の少女がどう言った人物なのかが分かったのであった。

「104号室の、狐里さん!?」
「ちょーっとばかし、前とキャラが違うから、混乱しちゃったでゴザマース?」
「ちょっと、って言うか……」

 玲人は狐里さんの事を見ながら、前に会った時と比べて本当に変わったなと思っていた。女は化粧で変わるとは聞いた事があるけれども、どうにも変わり過ぎているだろうなと考えていた。

「……じゃあ、そろそろ高校へとゴー、ウエスト! と言いつつ、左の道に向かいますでゴザマース!」
「うっ……うん」

 そう思いながら、玲人は狐里さんへと付いて行く。「イッェー!」とか、「フー!」とかなどそう言って楽しませようとする狐里さんが何だか無理しているようにしか、玲人には見えなかった。けれどもそれは狐里さんの高校生デビューかなにかなんだろうなと思いながら、そう思いこんで玲人は付いて行くのだった。




 そうやって数分かけて辿り着いた有閑高校。
 男子高校生は学ランにネクタイ、女子高校生はセーラー服に胸元にリボンと言うのが、部活動に非常に活発的なこの高校こそが、今日から玲人と狐里さんの2人がこれから通う高校なのである。

「じゃあ、レイト! まったねー!」
「う、うん。また……」

 そう言いながら、玲人はやっぱり印象が違うだろうなと思いながら、狐里さんと別れるのであった。

(やっぱり違うな……)

 と、玲人は狐里さんの事をそう思いながら、「アハハ……」と玲人はそう言いながら自分の教室へと向かうのであった。慌ただしいまでに騒がしい、活気に溢れた学校の中を歩きながら、玲人は自分の教室へと向かった。

(こう言うのは最初が肝心……!)

 うんうん、と頷いた玲人はと言うと、そう思いながらゆっくりと教室の扉を開ける。

「おはようござ……」
「Oh! クラスメイトさん! 始めましてー!」

 と、玲人がそう思いながら扉を開けると、いきなり自分の身体に抱きつくような形で1人の美少女が玲人に抱きついて来た。
 胸の柔らかい感触と共に、顔全体が極上のタオルで包みこまれてるような感触と、男の子である自分からでは香って来ないだろうかぐわしい香りに包まれて……息が出来なくなって、玲人は手を慌てながらもたつかせていた。

「うぷっ……!?」
「Oh! スイマセーン!」

 そう言って彼女が玲人の身体から離れて、ようやく玲人はその少女の全体像が分かった。

 桜色みがかった腰よりも長くて、お尻の辺りまで長く伸びた、長身のメリハリの付いたモデル体型の美少女。ほんのりと薄桃色の胸ポケットのセーラー服を着ており、頭には黒いカチューシャと桜の華の髪飾りを付けた彼女は、胸元に付けているリボンではなくて、頭に赤いリボンを付けて、ウフフと笑いながらこちらを見て笑っていた。

「ヤァ、こんにちは! 私、桔梗里蘭(ききょうざとらん)と申しまーす! よろしければ、これからもよろしくお願い致しまーす!」

 桔梗里さんが手を差し伸べると共に、玲人は「う、うん」と思いながら

「こ、こちらこそ、よろしくね。僕の名前は九島玲人。よろしくね」
「Oh! レイト、こちらこそよろしくー!」

 と、そうやって嬉しそうに手を掴み返す桔梗里さんに、アハハと笑いながら対応するのであった。




「……あぁ言うのが好みなのかな?」

 野暮ったい眼鏡の奥の瞳から覗かせながら、彼女は玲人をじーっと見つめていた。