超乳戦隊ニュウ・ギガレンジャー 第1パイ

帝国城摂政 作
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第1パイ「新乳力! ニュー・ギガレンジャー、乳場!」

 2014年。
 貧乳神官タイラ率いる乳房帝国ネームネームが4人の戦士――――――赤井望(あかいのぞみ)、青志七海(あおしななみ)、メアリー・イエロー、緑木冥(みどりきめい)と言う超乳戦隊ギガレンジャーの4人はシーボモンスター達や幹部達などを倒して、紫峰町に平和を取り戻した。
 彼らは伝説となり、神話となり、物語となって、人々の心に記憶として残り始めていた。

 ギガレンジャーの戦いから数百年後、紫峰町はニュー・紫峰市へと名前と姿を変えていた。この大きな変化は紫峰町の周囲の急激なる海面上昇によって周辺の街が全て新しく作られた巨大海上都市となった事や、それに伴う沖杉家などの大企業の進出によって、紫峰町はニュー・紫峰市へと姿を変えていた。
 今回の物語の舞台はその北部、人工的に作られた森林地帯から始まる。


 春は割かし日差しが明るく過ごしやすくなっているが、それはあくまでも昼間の話であり、夜になると一気に寒さが増して、冬と同じくらい、いやそれ以上に不気味な雰囲気を漂わせていた。

「はぁはぁ……」

 そんな森林地帯で、1人の少女が肩を押さえて必死な様子で走っていた。
 緑色のポニーテールヘアーの160cm後半とそれなりに高い身長の美少女。同性が羨むような長い脚は肩と同様にちょっと血を流しており、少し真剣そうな表情のたれた目の下には泣き黒子があって、さらにKカップと大きくてたゆんたゆんと揺れる胸もまた、通常時ならば彼女の美しさを出す一因となれただろうが、今の彼女はそれどころではなかった。何せ彼女は脱走している最中なのだから。

「逃げても無駄ですよ。実験体E-52、『トラップ』」

 と、そんな逃げている彼女の後ろから1人の無表情な女性が彼女を追い掛けて来る。
 濃いグレー色のスーツをビシッと着こなした、真面目な印象を受ける白縁の眼鏡をかけているクール系の美女。頭にはテンガロンハット、そして腰にはガンホルダーと拳銃が2丁。そして普通の女性でない事を証明するかのように、その身体の真ん中には大きく上を無って張っている胸元の下には重厚そうな扉が埋め込まれていた。
 そんな美女は静かに、ただそれでも確かな存在感を出しながら走り、逃げる少女を追っていた。

「逃げても不可能ですよ、『トラップ』。例えこの私、ユシー・ゲートシェイドから逃げ出す事が出来たとしても、私の他にも多くのユシーモンスター達、それに幹部クラスの方々があなたを追い、場合によっては殺しますよ? そんな事になる前に、この私に捕まっておく方がまだ被害は少ないと思いますが?」

「う、うるさい!」

 そう言いながら緑色のポニーテールの少女、眠田佐美(ねむたさみ)は血を流している肩から手をどけて、血塗れのジャケットのポケットに手を入れる。

「私は、『トラップ』と言う名前じゃない! 眠田佐美、16歳! 高校1年生で、乳房帝国ネームネーム界外支部に対して復讐を誓う少女! そのために私は――――――力を手に入れた!」

 そう言いながら彼女からポケットから取り出した物を見て、ゲートシェイドの顔色が変わる。先程までの油断しきった表情ではなく、真剣な表情へと変わっていた。

「そ、それは……まさかお前の逃亡を手助けしたお方は……」

「……長くは持たない、一撃で決める! エクスプロージョンメモリ、セット!」

 佐美がそう言って携帯を動かすと、携帯から音声が流れだす。

『エクスプロージョン!』

 次の瞬間、携帯から大きな爆発音と共に爆破の衝撃が2人を襲う。そして携帯から放たれた衝撃は、持っていた当人である佐美に一番強くダメージを与え、佐美は爆発と共に宙を舞って、落ちて行った。

「くっ! まさか……。これは一度、報告しておかなければなりませんね」

 ゲートシェイドはそう言うと、手をさーっと横に移動する。すると、ゲートシェイドの目の前に真っ黒な門が現れるとそれはゆっくりと開閉し、ゲートシェイドはその門の中へと歩き出していた。


 一方、その森林の下に作られた車道で1人の少女が声を出す。

「この娘……こんなにひどい火傷を……。メイド隊、今すぐこの人を車の中へ運んで! それからオペの手配を!」
『はい、お嬢様!』

 これは果たして偶然だったのか、それとも決められた運命が動き出したのか。その時はまだ誰も知らなかった。


 少女と女性、眠田佐美とゲートシェイドの戦いがあった事など誰も知らず、いつも通りの日々を迎えた日がさんさんと照りつける次の日、宮下桃子(みやしたももこ)と須黒梨花(すぐろりか)の2人はニュー・紫峰市の西部、海岸沿いを歩いていた。

「らーん、らー、らーん♪ 留子ちゃん、元気にしてるかなー♪」

 明るい、ショートカットの元気なロリっ娘少女の宮下桃子は、手にした鞄を片手で持ちながら歩いていた。小柄な、中学生と思わせるくらい小さな背丈の少女だったが、胸元で豊かに揺れて存在感を主張するGカップの大きな胸が、彼女が元気良い動きと共にぼよんぼよんと大きく揺れ動く。

「もう、桃子ちゃんったら。あんまりはしゃいだら危ないでしょ?」

 と、そう言ってなだめるのは長身爆乳の美少女、須黒梨花。腰まで伸びるストレートヘアーは海から吹き寄せる突風でさらさらと揺れ、その髪に付いた赤い椿の髪留めも綺麗であり、全身から漂う上品な大人びた、頭と同じくらいに大きい胸を持った豊かな女性であり、彼女は桃子を呼び戻すと、パンパンとスカートの汚れを取る。

「いくら今から行く所が留子ちゃんの所だとは言っても、あの家はこの辺りで一番大きな豪邸。そんな所に行くのに、そんなに汚れた服装で行ったら、いけないでしょう?」
「ぶー、そ……それはそうだね。う、うん。反省するよ、梨花ちゃん」
「分かればよろしい。さぁ、行きましょう」
「レッツラ、ゴー♪」

 ルンルンと鼻歌を歌いながらスキップをする桃子と、その後ろでフフッと笑いながら歩く梨花の2人。桃子は嬉しげに歩きながら道端の花などを見てニコリと笑い、梨花はスマホを操作しながらスーパーや商店街の特売の宣伝をブックマークしていた。

「――――――ちょっとそこの親子よ、質問をしても良ろしいかな?」

 と、そんな2人に後ろから声がかけられる。2人が振り返ると、そこには白衣を着た片眼鏡の女が、手に白いアタッシュケースを持って立っていた。髪は銀色のストレートヘアーの、綺麗と言うよりかはどこか可愛らしい顔立ちの、2人には及ばないもののそれなりに大きなFカップの胸を左腕で支えながら、2人に質問する。

「この辺りに『沖杉』と言う家があるはずなんだけど、君達は知らないかな? まぁ、とは言っても君達が知っているとは思えないんだが、一応知っているかも知れないから教えてくださると嬉しいんだけどね。まっ、君達の世話になるのも、ボクとしては本当は不本意な話であり……って、君達?」

 と、そこで片眼鏡を付けたその少女はいつまで経っても答えが返ってこない所を見て、不審に思いながら2人に声をかける。
 すると桃子はムキーと怒り出し、梨花は絶望しきった顔で伏せていた。

「おいおい、まさかこの程度の事で絶望したりしているのかな? たかが道を聞くくらいでふさぎ込むだなんて、どれだけ脆弱な精神を持っているんだい? ボクのハンカチで涙でも……」

 そう言いながら綺麗な、新品のハンカチを差し出す片眼鏡の少女。しかし、2人の少女はそれについてふさぎ込んでいる訳ではなかった。

「私、子供じゃないもん! 16歳の高校1年生だもん!」
「……17歳なのに。うら若き女子高生なのに……」

 中学生のような巨乳少女、宮下桃子。
 母性溢れる爆乳少女、須黒梨花。
 2人で並ぶと親と子のように見られてしまう2人だったが、その実はどちらも普通の、高校生である。


「う、ううっ……」

 と、鈍く疼く身体の痛みを感じながら、眠田佐美は眼を開ける。
 知らない天井、その言葉がこれ以上相応しい状況もないだろうと佐美は思う。だけれども豪華そうなベッド、柔らかい布、そして自分に巻かれた包帯から香る高級そうな匂いからここがそれなりの金持ちの家である事は分かっていた。そして

「……いき、てる?」

 自分の命が助かっている事に驚いていた。ゲートシェイドに対して一矢報いるつもりで禁じ手を使わせてもらったが、正直爆発に巻き込まれた瞬間、走馬灯のように思い出した、そして自分は死んだつもりだった。

「……と言うか、ここは?」
「目が覚められたようですね」

 と、そこで佐美は声をかけられる。振り向くとそこにはメイドさんが居た。メイド喫茶に居るようなメイドとかではなく、黒い正統派のメイド服を着た可愛らしいメイドさんであった。

「ここは沖杉家の客室の1つです。あなたは昨日の夜、お嬢様が乗られていたお車の前に血塗れで倒れたんですが覚えてらっしゃいませんか? ……と言うよりも、どうしてあんな事に」
「な……」
「はい? なにかおっしゃりたいのでしょうか?」

 そう言ってメイドが近寄ると、彼女は小さくこうつぶやいた。

「ナッノ博士は……どこに……」


「はい! 留子ちゃん、これ今日の分の宿題だよ! 後、こっちは今日のノートね!」
「いつも悪いわね、桃子」

 と、沖杉家長女、沖杉留子(おきすぎるこ)は桃子からノートを貰い、それをササッと読んで行く。沖杉留子は別に病弱でも、勉強が嫌いと言う訳でもなく、ちょっとした理由から学校に行きづらいのである。

「うん♪ ありがとう、桃子ちゃん♪ それに梨花から貰ったお菓子はちゃんと貰いもののお菓子の棚に収納して来てくれる?」
「はい。かしこまりました、お嬢様」

 そう言ってメイドは留子からお菓子が入った袋を受け取ると、そのまま部屋を出て行った。そして留子はそこでようやく、今日のお客様に向き合っていた。

「では……確かナッノ博士、でしたっけ? 販売との事でしたが、どのような商品をお持ちなのでしょうか?」

 と、そう言われながら、片眼鏡の白衣の女、ナッノはゴクリと唾を飲む。

「ふっ、沖杉家は超乳の女性と言う事だったが、まさか本当にそれほどにまでに無駄に大きな胸だったとは思わなかったね? ボクもまだまだ、知らない事が多いね。まっ、知らなくても良い事だけれどもね」

 ナッノが皮肉に近い言葉を出すが、それはまた事実であった。今、ナッノの目の前に居る沖杉留子の胸があまりにも大きいからであろう。八畳間の部屋を覆い尽くさんばかりの大きさの胸に美少女が付いて居るような、本来ならば逆であろうけれどもそんな言葉が本当に似合っていた。

「まっ、そんな言葉はどうでも良いけどね。ボクが君に売るのは"なんでも"さ。サービスや保険と言った目に見えない物は流石に提示出来ないけれども、それ以外の物ならば宝石だろうが、時計だろうが、バッグだろうが、ブレスレット――――――どんな物だろうとも、それなりの物を提示させていただきましょう。まっ、気に入らないのならば買わなくても、なくもなくもないかな」

 ナッノはそう言いながら持っていた白いアタッシュケースを床に置くと、白衣のポケットから宝石や時計など、女性が喜びそうなものを出して行く。

「――――――ともかく、30万。今それだけの金は手に入れたいんだけれども、いきなり普通のお店などに行っても門前払いを食らいそうだからね。本当に、こんな状況でもなければ、こんなにも美しくて荘厳な家に来るほどもなかった、かもね」
「褒めてくれてありがとう、ナッノさん」
「……別にボクは褒めている訳ではないですよ。勘違いしないで欲しいね」

 ナッノはそう言って顔を赤らめて、キュッキュッと片眼鏡を拭く。3人は悪態を吐きまくるナッノがいきなり可愛らしくて顔を赤らめる姿を見て、桃子と梨花の2人は可愛いと思っており、留子も悪い人ではないんだろうなと思っていた。

「……ゴホン。ともかく、沖杉留子さん。あなたの欲しい物を言ってください。時間は取らせないし、早く何が欲しいと教えて――――――」
「――――――では、ブラジャー。それも私クラスの物を支えられるのを。出来るかしら?」

 と、留子はそう言いながらニヤニヤと笑っていた。留子にとって、沖杉家の女達にとってブラジャーは死活問題であり、同時にそんなに簡単には用意できない物である。沖杉家の女性達は全員、超乳……いやメートルサイズの胸を覆い尽くさんばかりの巨大な乳を覆うブラジャーをどうにかしないといけないのだが、流石にこのサイズの胸を覆うブラジャーを簡単に用意するのは難しい作業であり、用意できたとしても1週間持てばそれはそれで凄い事である。だからこそ、あれば良いなくらいの気持ちで留子は聞いているのである。勿論、すぐに用意出来るとも思っていなかったが、

「……なんだい、それくらいならばすぐに用意出来ますね。では少し、時間をくれますかな?」

 そう言ってナッノはアタッシュケースを開けると、中からスパナとペンチを取り出して作業を始めており、その様子に3人はびっくりしている。ナッノの片眼鏡越しの瞳が赤く光り輝いたかと思うと、物凄い勢いで物を作り始めたからである。そして物の数分にて、ナッノは作り終わるとふーっ、と置く。

「なんだい、そんな簡単な物で良かったら、もう少し作っておいた方が良かったかも知れないな。まっ、ボクが作ったブラジャーだ。オーダーメイドだから1個3万、10個で30万と言う所でどうだろうか? ……って、君達! ボクの話を聞いているのかい!?」

 既にナッノの言葉は、留子の耳には届いていなかった。留子はと言うと、ナッノがすぐさま作り出した赤、青、桃、黄などと言った可愛らしい10種類のブラジャーを手に取り、さらに服の上から付けて見てもずっしりと、確かに留子の胸を支えており、留子はそれを見ておおっ、と笑みを浮かべていた。

「ふっ……。急遽作ったものだから恐らくは半年持てば良いだろうがね。……そんなのでごめんなさい。
 まぁ、それでもダメだと言うのなら、別のをやらせて貰おうかな? では1つ2万で、後5つ用意するから30万で……」

 そう言ってさらに作ろうとするナッノに対し、留子は側にいたメイドに対して耳打ちをする。

「あなた達……お金を用意しておいてね」
「はい、お嬢様」

 そう言ってメイドは銀色のアタッシュケースを取り出すと、そこには大量の札束が入っており、その中に入っている札束を見て「あ、あれ……?」と困ったような声を上げていた。

「全15品、1個10万円の計150万円にて買い取らせて貰いますわ。30万円が欲しかったのでしたら、これで十分足りると思いますけれども」
「……あ、あぁ。まぁ、ちょっとばかり多すぎる心遣いに対して戸惑っているが、まぁ、100万円はそちらに返すとして取り分は50万と言う事で……」

 ナッノが銀色のアタッシュケースから札束を手に取り、そのまま取った札束を持って来ていた白色のアタッシュケースの中へと入れようとしていた瞬間、扉が開いて緑色のポニーテールの美少女が入って来る。

「ナッノ博士! ご無事でしたか!」
「……留子お嬢様、こちらのお客様がどうやら来られたナッノさんに御用でしたのでお連れしました」

 そう言って扉から入って来た緑色のポニーテール美少女、眠田佐美は入って来るとナッノ博士に抱きつくと、ナッノ博士はと言うと佐美の姿を見て怪訝そうな顔で見てカリカリと片眼鏡を動かすと真剣な目になり、そのままアタッシュケースから携帯を取り出していた。

「はい、ナッノです。……そうですか、バレてしまいましたか。まぁ、これはいずれバレるから仕方ない事ですし、ボクが行きさえすれば終わる話ならばそれで良い。じゃあな」

 そう言ってナッノは札束を戻すと白いアタッシュケースを閉じて、佐美の手を取る。

「帰るぞ、佐美。これ以上、ここには居られないからね」
「……で、でもナッノ博士! せめてこの3人に話をするのも! ――――――私達がネームネームに……」
「黙って! 佐美!」

 と、ナッノ博士がそう力強く宣言しており、佐美はと言うとビクッと揺れる。留子、桃子、梨花の3人はいきなりの変化に驚いていると、扉を開けて大慌ての様子でメイドが入って来る。

「た、大変です、お嬢様! 都市の中心部でネームネームと名乗る集団が現れて、暴れながら『エージェント・ナッノを出せ』って言っていまして!」
「「「ナッノ?」」」

 と、そう言いながら留子、桃子、梨花の3人はゆっくりとナッノ博士へと視線をナッノ博士へと移動する。

「は、博士……」
「……フフッ」

 怯えている佐美と、どこか影のある顔のナッノ博士。そしてナッノ博士は笑いながら、3人に向かって声を出していた。

「数百年前、既に伝説となっているギガレンジャーの宿敵。乳房帝国ネームネーム。胸を大きくすると言う目的で活動する悪の集団であり、彼らは人々を苦しませ、嘆かせていた事はあなた達も既に知っているでしょう?
 そして、乳房帝国ネームネームの第2の支部にして別世界を襲う集団、乳房帝国ネームネーム界外支部。その二大頭領の1人、あらゆる世界の文化を研究して調査する者。それがボク、文化者エージェント・ナッノなのさ! ハハハハハ!
 喰らえ、ナッノ・ブラック!」

 と、そう言ってナッノは白衣から黒い球を取り出して床に叩きつけると、部屋が真っ暗に包まれる。

「お、お嬢様! 皆の者、お嬢様とご友人方を守れ!」
『はいっ!』

 メイド達が慌てながら、自分の仕える主と主のご友人達を守ろうと行動していた。

「ちょ、ちょっと暗い! メイド達、早くナッノさんを捕まえて!」
「く、暗いです! あああああああっ!」
「きゃあ! お、落ち着いて、桃子ちゃん!」

 どたばたどたばた、とそんな騒がしい足音が聞こえてきた。
 数分後、黒い煙が消えると――――――そこにはナッノと佐美の姿は消えていた。





「これで良かったんですか、ナッノ博士?」

 と、屋敷から逃げた佐美はナッノに聞く。

「――――――あぁ、これで良いのさ。佐美君は恨まれる方には慣れていないから、と言うか不十分ですらある。普段から悪態を吐いているボクの方が恨まれ役を買って出ると言うのは、むしろ当然と言う物さ」

 そう言いながら早歩きで歩くナッノを、佐美は複雑そうな表情で見つめていた。

「ナッノ博士……お願いがあります」


 ニュー・紫峰市の都市が並ぶ中心部は普段の落ち着いた雰囲気とは違い、人々は狂気の声をあげながら逃げまどっていた。

「……い、いや。た、助けて」

 重めのボブヘアーと桜のような髪留め、そして緑色の勝気そうな瞳と赤い縁のクールそうな眼鏡が特徴的な少女、紫峰学園生徒会長の神納京香(かのうきょうか)はいつもの勝気そうな瞳ではない、気弱そうな瞳で自分の胸元を掴む怪人に助けを請うていた。

「カラカラカラ。残念ながらそれは出来ない相談だカラ」

 そう言うのはユシー・カラーシェイドと名乗る怪人であった。全身を七色の髪と七色のコート、両腕は絵筆。背中には大きな何色もの絵の具を背負ってる瞳が色鉛筆になっている、そんな怪人であった。カラーシェイドは笑いながら、絵筆をサラサラと動かしていた。

「ふふっ、カラーシェイドよ。さっさとやってくれてよくってよ。そう、全てはネームネーム、そしてこのわたくし、溶解使徒ホムラの物よ! オーッ、ホホホ!」
「流石は俺の嫁、ホムラちゃん! そこに痺れるぅ、憧れるぅ!」

 カラーシェイドの後ろには溶解使徒ホムラ、そしてその補佐官である親衛隊長スパイダー・ラスラーは立っていた。ホムラは真っ赤な炎のようなツインテール、赤い女王様風のローブを着た130cmと凄く小柄な子ではあるが、上から目線な眼つきと手に持った錫杖を持っている。一方、スパイダー・ラスラーは頭は人間に蜘蛛の眼、腕が六本あるという阿修羅のような姿で、背中には6本の剣を背負った軍人の格好を着ていた。

「さぁ、カラーシェイド! わたくしと、ついでにネームネームのために作戦を開始しなさい!」
「了解だカラ。まずはこの女からやらせてもらいますカラ! 膨張色の黄!」

 カラーシェイドが絵筆の腕を上にあげており、その絵筆が黄に染まってそのまま京香の胸元に色で塗りたくっていた。

「い、いや……あ、あぁ、か、身体がぁ、熱い!」

 そう言って京香は自分の胸元を、Bカップの胸を押さえてうずくまっていた。

 ドクン、ドクンと、うずくまっていると「あ、あぁ……」と喘ぎ声をあげてうずくまっていた。身体中が熱く、熱く火照って行き、服がビリッと破れる音が聞こえる。

「えっ……。キャッ!?」

 京香は音が聞こえるところを見ようとゆっくりと視線を自分の谷間へと移動すると、そこにはBカップの自分の胸では見る事が出来なかった綺麗な谷間があった。そこに驚きと嬉しさを感じる京香だったが、それはすぐに痛みに変わる。

「あ、あぁぁぁぁぁ!」

 身体の線や細胞を無理矢理膨らむ胸に着いて行けずに、身体が悲鳴をあげていた。そのまま痛む身体を押さえるが、それでも身体がどんどんと膨らんでいき、京香は喘いでいた。

「あ、あぁぁぁぁぁ! い、いいぃぃぃぃぃぃ!」
「良い悲鳴だわぁ。今宵は、ケーキとジュースで晩餐会でもしますかしら?」
「流石、俺嫁のホムラちゃん! 今すぐ準備を……っ! ホムラちゃん!」

 と、今までデレッデレッのとろけきったような笑顔を向けていたラスラーだったが、いきなり真剣な目になったかと思うと剣を抜いて、その剣を振るう。

「……威力は弱いですが、ホムラちゃんに攻撃とは場合によっては許しませんよ……。文化者エージェント・ナッノ様」
「ふっ、普通に防いでおいて何を言われても嫌味にしか聞こえないね。スパイダー・ラスラー君」

 と、そう言ってナッノは白衣を翻し、トコトコと階段を降りて行く。ナッノの隣に居た眠田佐美が着ていた上着を被せる。

「まさかボクが居ない内に、文明者エージェント・パンクの方が作戦を進めるように指示を出したとか……。まっ、ネームネームを抜けたこのボクが今さら何を言おうとどうでも良いけれどもね」
「ナッノ様、この女王様ホムラの下に戻る気はない、そう言う意味で良いのよね?」
「残念ながらボクが君の下に居る気はないし、ネームネームにも戻る気はない」

 そう言いながら、ナッノは白いアタッシュケースを開けてそこから『E』と書かれた赤いメモリとちょっと変わったスマホを取り出して、スマホの上部に開けられた穴に『E』のメモリを挿入する。

「ボクは文化の使徒として、人の文化の事を尊敬して研究していた。ボクはその過程で、人と言う生き物自体に非常に興味を示し、彼らと共に歩み寄る道を見つけたいんだよ。だから、ネームネームとは離反させてもらおうじゃないか」

 そう言いながら、ナッノは『E』を入れたスマホをほいっ、と佐美に投げる。

「私は……実験体E-52ではない! 眠田佐美、16歳! ――――――そして、ギガレンジャーです!」

 そしてそのスマホの下部に付けられたスイッチを押す、佐美。

「返信変身、ギガグリーン!」


「返信変身、ギガグリーン!」

 眠田佐美がそう言って、下部のボタンを押すと彼女の身体がまっ白い光に包まれる。すると、そのまま彼女の身体に緑色のライダースーツが装着され、ビシッと彼女のラインを強調するかのように張り付く。小さく喘いだかと思うと、佐美の頭の緑のヘルメットに『E』の文字が刻みこまれ、彼女の腰元には糸が入ったケースがガシッと腰に装着される。

「緑の新しい乳戦力! ニュウ・ギガグリーン、華麗に乳場!」

 変身したニュウ・ギガグリーンを溶解使徒ホムラは見ると、ちょっと残念そうな眼でナッノの事を見ていた。

「文化者エージェント・ナッノ様。まさかギガレンジャーまで持ち込むとは……。これは文明者エージェント・パンク様に報告しないといけないわね。まっ、その前に……そこのグリーンをぶっ倒しておきましょう。アクア・アロー!」

 ホムラは足で地面をパンッと叩くと、水が現れてホムラの周りを回って水の弓を作り出し、そのまま水の弓矢をホムラは射る。

「バレット・ヤーン!」

 そう言ってニュウ・ギガグリーンは腰の糸を取り出すと、黒い糸は水の弓矢の前で糸を絡めて、その糸にニュウ・ギガグリーンは衝撃を与えると、糸から爆破の衝撃が放たれる。水の弓矢が爆破によってそのまま吹っ飛んでいく。

「……面倒な糸ね。ラスラー、私は荒事担当じゃないわ。人が戦い合っている姿を上で眺めているタイプだから、そろそろ帰らせて貰うから、後はラスラーに任せるわ」
「お任せあれ、俺嫁のホムラ様!」

 そう言ってホムラは消えて、スパイダー・ラスラーは6本の腕で6本の剣を抜いていた。

「ナイチチ達、それにカラーシェイドよ! 命令だ、エージェント・ナッノを捕らえろ!」
「分かりましたカラ! ナイチチ達、行くカラ!」

 そう言ってカラーシェイドとナイチチ達がそのままナッノへと向かって来る。

「――――――まさか、ナイチチ達にこのエージェント・ナッノ様が止められると思っているだなんて癪でしかないわよ。まっ、軽く相手して差し上げますよ」

 ナッノは白いスーツケースを開けて、そこから眠田佐美に渡したのと同じ携帯を1つ取り出して、別のメモリを取り出してそのメモリを上部に差し込む。

『ファイター!』

 携帯を前に突き出すと大きなパンチが飛び出し、ナイチチ達を吹き飛ばす。

「これでも、食らうカラ!」
『バレット!』

 携帯からメモリを取り出して、別のメモリをさっと入れ替えたナッノはそれをカラーシェイドに突き出していた。突き出すと携帯から銃弾が発射され、カラーシェイドは「うわっ、カラ!」とそのまま慌てふためいていた。

「えぇい! 何をしてるんだ、カラーシェイド! 命令だ、こんなのは簡単に倒せるものだ! 三刀流×2、海賊狩!」

 そしてラスラーは3本の腕を動かして3本の剣で衝撃波を放って、ニュウ・ギガグリーンとナッノ博士に迫って来た。ニュウ・ギガグリーンは糸を使ってそれを防いだが、

「……! 博士!」
「ちっ!」

 ナッノはそう言って携帯を前に出すと、銃弾を放って防ごうとしていた。しかし、衝撃波は止まらずにナッノに衝撃を喰らっていた。

「くっ……!」
「ナッノ博士!」
「――――――カラーシェイド! 命令だ、今すぐエージェント・ナッノを捕まえるのだ! そして俺嫁に成功を捧げるのだ!」
「了解ってカラ! ――――――さぁ、ナッノ様。この黒の監禁の色でちょっと捕縛させていただきますカラ」

 カラーシェイドはそう言って、黒く染まった絵筆の腕を上げてナッノに攻撃しようとする。

「最後に言い残す事はありませんカラ、ナッノ様?」
「――――――ふっ、実験体C-65。さっさと捕まえるなら捕まえたまえ。君如きの右腕に隙があるような君の攻撃なんかに、ボクは何も後悔しないよ」
「相変わらず、悪態の中にさり気ないアドバイス、ありがとうございます、カラッ!」

 と、そう言ってカラーシェイドは黒い絵筆の腕を振り下ろす。ナッノはそれに対し眼を瞑って攻撃を待つ。しかし、いつまで立っても攻撃が来ない事に対し、不自然さを想えたナッノは眼を開ける。
 すると、カラーシェイドは黒い絵筆の腕を押さえていた。

「だ、誰だカラッ!」
「……?」

 と、ナッノはそう言いながらカラーシェイドの視線の先を見ると、そこには

 ――――――ライフルを持ったメイドの姿があった。


「ら、ライフル?」

 そう言いながらキョトンとしたナッノ、すーっとナッノの背後に現れた高身長のメイドがナッノを後ろから羽交い絞めにする。

「なっ! 君を何をするのかね!」
「……お嬢様の命令ですので、失礼」

 そう言って別のメイドが神納京香と白いアタッシュケースを持ってそのまま高身長のメイドと共に崖の上へと跳びあがる。ニュウ・ギガグリーンもナッノを追うようにして崖の上に跳びあがっていた。そして崖の上で降ろされたナッノは、崖の上の人物を見て「やはり……」と呟く。

「やはり君の仕業だったか――――――沖杉留子」
「えぇ、ちょっと手助けさせていただきました」

 と、崖の上にてメイド達に支えられて立っている沖杉留子はそう言いながら笑っていた。

「私も居るよ、ナッノちゃん!」
「えぇ、私も居ますわよ。ナッノさん」
「ちゃ、ちゃん?!」

 留子の隣に居た桃子と梨花の2人がそう言い、桃子が言っていたちゃん付けに顔を赤らめてどぎまぎするナッノ。その顔を赤らめる姿を見て留子、桃子、梨花、さらに助けられた京香の4人はそんなナッノの顔を見てクスリと笑う。

「……君達、人の顔を見て笑うってどう言う事なのかい? 人の顔を見ながら笑うなんて、人間としてはあんまり褒められた行動ではないよ。
 ニュウ・ギガグリーン、彼らを糸で包んで置きなさい。彼らとネームネームの戦いには全く関係なく……」
「関係なくないよ!」

 と、そう言いながら桃子はナッノの顔の前に出て、ナッノの手を掴む。

「私だって、血縁的にはネームネームとして戦った青の戦士の友達の友達……みたいなものだし! 人に迷惑をかける人は許せないし!」
「――――――お姉さんとしても、逃げまどうよりかは戦いたいとくらいは、思ってますよ」

 桃子と梨花がそう言い、力強い瞳でナッノに詰め寄って行く。

「き、君達……。戦いたいって言っても、テレビのヒーロー物のような物ではなく、そこにはつらい事もあるから止めた方が良いと……って、おい! 君はボクのアタッシュケースを漁るな!」

 と、白いアタッシュケースを漁る京香を叱りつけてこらしめようとするが、ナッノはニュウ・ギガグリーンが後ろから羽交い絞めにする。

「おい、佐美! どうしてボクの邪魔をするんだ! 君だって、ネームネームの戦いに一般人を巻き込ませると言うのには反対だったじゃないか! 君1人で戦うと言うから、君に変身携帯シフトフォンを――――――」
「これの事、だろう?」

 と、京香はそう言ってアタッシュケースから携帯とメモリを取り出していた。

「き、君ぃ! ボ、ボクの大切な我が子をそんな手で扱うなぁ! ……ま、まぁ、使い方を知らないから、手に入れても君達には必要のないものだよ。さぁ、返したまえ――――――って、君達!」

 京香はメモリと携帯の一組セットを、留子、桃子、そして梨花の3人に配る。4人はメモリを手に取ると、そのままメモリを携帯の上部に入れて行く。

「……ナッノ博士、私が変身するシーンを見ていたので彼らも変身出来ますよ?」
「〜〜〜〜ッ! き、君達は何を考えているんだい! 自ら戦地に飛び込むと言う文化は、文化を強調するボクとしても理解出来ない文化だよ! さぁ、佐美! 早く彼らの変身を止めたまえ! あの携帯には人間に対しては、指紋認証とかの生体認証があるから、止めたくても止められないんだぞ! そんな戦地と言う火に飛び込むだなんて、バカやアホとしか言いようがないものだよ! 全く!」

 そう言ってムキーと怒るナッノの言葉に対して、

「……これは私の、私達の"選択"です」

 と、留子はそのメートルサイズの胸を押さえながら、そう強く言う。

「……私はこんなにおっぱいが大きいから、身体的には健康だけれども、動けない事が多いわ。だからこそ、助けを求める人に対して、私は、立ち止まりはしない!」
『ファイター!』

「私も! ネームネームを倒す! それが私の"選択"!」
『バレット!』

「ここで引き下がるのは、女じゃないわ。少なくとも、私が尊敬するあの女性だったら違うわね」
『バブル!』

「私はネームネームに襲われて、助かった。その恩を今ここで果たします!」
『フローラ!』

 携帯の上部にメモリを入れて、下部のボタンに手を添える4人と自分から手を放したニュウ・ギガグリーンを見て、「はー……」とナッノは溜め息を吐く。

「……ボクはもう止めるのに疲れた。後は任せるよ」

 そう言って、ナッノはそのまま崖から飛び降りて消えて行った。4人は顔を見合わせ、ボタンを押す。

「返信変身、ギガレッド!」
「返信変身、ギガピンク!」
「返信変身、ギガイエロー!」
「返信変身、ギガブラック!」

 と、そう言って4人揃ってボタンを押す。

 4人の身体が真っ白な光に包み込まれ、桃子の身体が大人びた身体へと成長し、逆に梨花の身体は子供じみた身体に変わる。そして4人の身体がそれぞれ別色のライダースーツに身を包んでおり、留子は『F』と書かれた赤いヘルメット、桃子は『B』と書かれた桃色のヘルメット、京香は『F』と書かれた黄色いヘルメット、梨花は『B』と書かれた黒いヘルメットと、そのまま頭にヘルメットを被る。

「赤の新しい乳戦力! ニュウ・ギガレッド、華麗に乳場!」
「桃の新しい乳戦力♥ ニュウ・ギガピンク、華麗ににゅう、じょう♥」
「黄の新しい乳戦力! ニュウ・ギガイエロー、華麗に乳場!」
「黒の新しい乳戦力! ニュウ・ギガブラック、華麗に乳場!」

 と、4人はそれぞれの武器を準備していた。


「赤、桃、黄、緑に黒!? なんて言う、色取りが揃っていないメンバーだカラ!」
「俺の嫁のホムラちゃんには劣るが、あいつらも叩きのめして我のハーレムメンバーに入れ置こう。ナイチチ達、行け!」

 ラスラーがそう言うと、そのままナイチチ達が現れ、5人のギガレンジャーへと向かっていく。

「ナイチーチ!」
「まずは効果を確認しましょう! ――――――ヒートハンド!」

 と、ニュウ・ギガレッドはそう言いながら右腕を構えると、赤い右腕がマグマのように紅く燃え上がるとそのままその手を振りかぶる。ナイチチ達はそのゆっくりなニュウ・ギガレッドの攻撃に対して避けて攻めようとしていたが、いきなり黒い糸でナイチチ達を包んで行く。

「ヒートハンド・アタック!」

 ニュウ・ギガレッドは黒い糸で逃げられないようにしたナイチチ達に、燃えあがるその赤い手をぶつけられる。ナイチチ達に赤い手がぶつかると、物凄い火炎の波がナイチチ達を包み込んで黒焦げになってしまっていた。

「これは……こうか!」

 と、ニュウ・ギガイエローは持っていた木刀を地面に突き刺す。すると、木刀が根を張るように地面の中へと入って行き、ナイチチ達の集団に巨大な木刀が地面から飛び出してナイチチ達が吹き飛ぶ。

「行くわよ、ピンク!」
「はぁい♥ わたしにお・ま・か・せ♥」

 長身爆乳の少女だったのに胸だけは縮まずにロリ超乳状態となったニュウ・ギガブラックが先端が丸くなった杖を構え、大人びたエロテッィクなお姉さんキャラのニュウ・ギガピンクが桃色の派手な拳銃の銃口に口付けを交わす。

「ブラックバブル」
「エア・シュー、ター♥」

 ニュウ・ギガブラックは杖から黒いシャボン玉を、そしてニュウ・ギガピンクが空気を溜めた弾を放ち、ナイチチ達を撃破する。

「己ー! 可愛い娘だからと言って、攻撃出来ない訳ではない! 命令だ、撃破する! 発火・パイロキネシス!」

 ラスラーは剣を鞘に収め、蜘蛛のような6つの眼のうち4つの眼を閉じると、彼女の周りに火炎が生まれる。そしてその火炎をニュウ・ギガレンジャーへと放つ。しかし、さっとニュウ・ギガレッドが前に出ると、そのままその火炎にヒートハンドをかざす。かざすと、そのままヒートハンドの中にラスラーの火炎が、熱が入って行く。

『――――ギガレッド、Heat! Up!』

 と、そのような警告音がニュウ・ギガレッドの身体が白い煙が出て来るのを見て、カラーシェイドは絵筆の腕を赤色に変えた。

「ヒートアップしている状態ならば、今がチャンスだカラ! 喰らうカラ、灼熱の赤!」

 そう言ってニュウ・ギガレッドに物凄い勢いで、赤い絵筆の腕で塗りたくる。ビリビリと彼女のライダースーツが音を立てて破れはじめる。ギガレンジャー達も助けようとするが、身体が動けない。

「金縛り・バインド! 俺の嫁になるために生まれた君達には悪いけれども、これも命令だからね! カラーシェイド、やってしまえ!」
「了解ってカラ!」
「う、ううっ……お前達!」

 ニュウ・ギガレッドがそう言うと、メイド達が「はい!」と言って彼女の身体を数人がかりで持ち上げ、そのまま慣れた手つきのままカラーシェイドに向けて飛ばす。

「いちか、ばちか!」

 跳ばされたニュウ・ギガレッドはカラーシェイドにその超乳を乗せて、そのまま変身携帯シフトフォンを操作する。

「変身解除! 奥儀、ギガプレッシャー!」

 そしてそのままニュウ・ギガレッドは変身を解き、沖杉留子へと姿を戻す。と、すると変身した際に超乳サイズまでに押し止めていた胸が、メートルサイズの超巨大な乳へと変わってそのままカラーシェイドを押しつぶす。

「ムグッ! ブー! ブー!」

 カラーシェイドはそう言ってどうにかして呼吸を確保しようとしたが、それはまさに未知の重圧、いや乳圧! 大きすぎて谷間の中、人体の一か所だと言うのに、どこにも逃げ場がなくて、ギュギュッと胸のプレッシャーがカラーシェイドを押し潰し、そして

 ボンッと小さな音が、彼女の胸の谷間の中から聞こえる。

「お、己ぇ! 今度こそ、絶対に俺の嫁に加えてやるからな!」

 そう言って、スパイダー・ラスラーも消え去る。

「おっと、忘れる所だったね」

 そう言って、ナッノが別のシフトフォンに『R』と書かれたメモリを差し込んで、その携帯を留子の谷間へと向ける。

『レスキュー!』

 ナッノの持つシフトフォンから透明な腕が何本も出て来たかと思うと、留子の谷間の中に入り込み、彼女が少しくすぐったいような、もどかしい様を考えている内に、谷間の中から眼を回した1人の少女を助け出す。

「実験体C-65『ペイント』、絵筆水月(えふですいげつ)救出完了、っと」

 ナッノがそう言って、初めてニュウ・ギガレンジャーの5人は喜びを分かち合うのであった。

「……ボクはどうなっても知らないからね」

 いつものように悪態を吐くナッノであったが、その顔はどこか嬉しそうであった。


「……で、どうしてボクがこんなところに」

 と、学生服の上に白衣を羽織った格好のナッノがそう言いながら周りを見る。
 そこには高校生として、いや人としてはあり得ないほどの超特大乳とオーダーメイドの制服に身を包んだ沖杉留子。笑顔で笑いながら、ロリ体型には似合わない巨大な乳を披露する宮下桃子。そして――――――

「ナッノ博士、ここはどうなるんですか?」
「そこはここのXを代入すれば、簡単に解けるよ。眠田佐美」

 と、美しい高身長の超乳美少女女子高生、眠田佐美の姿があった。

 どうもあの時助けた神納京香、ニュウ・ギガイエローがこの紫峰学園の生徒会長であった事と、沖杉家がこの学園の筆頭出資者だった事から、ナッノ博士と眠田佐美の転入が決まったのだ。正直、ナッノは学生生活にはさして興味がなかったが、既に外堀を埋められてしまったために断りきれなかった。

「……と言うか、どうしてこのボクがブラジャーなんかを作っているんだか」
「あら? あなたのブラジャーは本当に素晴らしいわよ! なにせ、私のブラジャーが1週間してもギシリともしないんだから!」

 ふふん、と文字通り胸を張る留子に、頭を痛くするナッノ。
 どうやらナッノが軽い気持ちで作ったあの特注ブラジャーは留子だけでなく、母の瑠乃(るの)、姉の瑠奈(るな)、妹は瑠音(るね)と言った沖杉家の超特大乳女性達にいたく気に入られたらしく、こうして次の発注をさせられていると言う訳と言う事である。

 ネームネーム界外支部の二大首領の一人の、文化者エージェント・ナッノがそのまま頭を抱えながら、佐美の笑顔を見ると「まぁ、良いか」と言いながらナッノはブラジャー作りを進めるのであった。

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ユシーモンスターNo.1
○ユシー・カラーシェイド
所属区分;溶解使徒ホムラの配下
使用体;実験体C-65『ペイント』、絵筆水月(えふですいげつ)
外見;全身を七色の髪と七色のコート、両腕は絵筆。背中には大きな何色もの絵の具を背負ってる瞳が色鉛筆になっている。
所見;色を操る力を手に入れたユシーモンスターの1人。赤い色は灼熱、青い色は冷凍、黒い色は監獄などと色ごとに特殊な力を持っており、他人や物に塗りつける事で効果を発揮する。好きな色はレモンイエロー、嫌いな色はパッショングリーンらしいが……パッショングリーンってなんだ? By;文化者エージェント・ナッノ
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次回予告!
超乳戦隊ギガレンジャーとなった沖杉留子達5人。結束を深め、皆でネームネームを倒そうとする事に決めたが、元々はそんなに大きな胸だった訳ではない神納京香の心配事は尽きない。
そんな中、現れた敵の姿が――――――!?
次回、超乳戦隊ニュウ・ギガレンジャー、第2パイ!
「大きくないけど恥ずかしくないもん! 進化するシェイド?!」

「次回も大きな胸を楽しみにしてくださいねー♥」By;ニュウ・ギガピンク