「ふむ、奴らはもう居ないようなの。逃走して反逆の意思を研ぐ、それもまた文明なの」
エージェント・パンクは消えたニュー・ギガレンジャーを見て、「ふむ」と頷いていた。それを見て、近くに居たゲートシェイドが「反乱ですか?」と尋ねていた。
「私だったらエージェント・パンク様と戦おうだなんて思いもしませんよ。あの圧倒的な力。
エージェント・ナッノが作り出した最高火力のメモリ、『ワールド』を扱うあなたと戦おうだなんて、無謀の極みとしか思えません」
「だが、それでも向かって来るなの。それもまた文明……いや、ナッノの力なの」
「エージェント・ナッノの……力?」
「彼女の元となった人物は人を狂わせるなの。そしてナッノもまた、人を狂わせて、望もうと望むまいと、彼女の力は側に居る人間に、闘争心を植え付け、勝てると錯覚させるなの。それが彼女の力。
いや、彼女が居るからこそ彼らは戦えているなの」
両腕と両脚が赤く染まっている2m近い長身女性は、Pカップという魔乳を持ちながらも、一切慢心などしていなかった。
全力で迎え撃つ。それが彼女の意思だった。
ゲートシェイドは「凄いですね……」と言葉に出す。
「エージェント・ナッノに、いえ超乳戦隊ニュウ・ギガレンジャーに我々は勝利出来るでしょうか?」
「勝てなくても良いなの。我々の目的、タイラ博士の復活と最胸の女性にするという目的を達成する以外は、我々の小競り合いなどなんの意味も持たない。戦争や文明競争から学んだ文明なの」
「……では、今すぐ戦いましょうか? 私のゲートシェイドとしての能力があれば、すぐにでも奴らに止めを――――」
「ふむ。確かに門を呼び出して攻撃するゲートシェイド、あなたの能力は凄いなの」
「では、早速攻撃を!」
そう言って門を広げようとするゲートシェイドに、エージェント・パンクは近付く。
「その前に聞いておきたい事があったなの」
「なんでしょうか、パンク様?」
「――――お前達はいつ裏切るつもりか、なの?」
その言葉に目を細めるゲートシェイド。そして無言でゲートを開くと、そこから金色のオーラを纏った収着使徒ユウが現れる。頭に金色の王冠、そして着ている服はKカップと言う大きな胸に直接羽織るようにしてある黄金の衣であり、案の定服の真ん中から彼女の柔肌が覗いている。そして黄金の杖を持った彼女は、その杖の上部の葉っぱの形のシンボルを回転させる。
「黄金の斧! 弓! リボン!」
そして杖をパンクに向けると、パンクの上空に黄金の巨大な斧が出現してパンクに向かって振り落とされる。パンクの背後からは黄金の弓矢が大量に放たれており、脚は地面から出て来た黄金のリボンによって封じられてしまっている。それを見てパンクはメモリを取り出して、それを自分の身体に差す。
『ワールド』
すると、動きが止まる。人が、物が、そして世界が静止する。
これこそ、『ワールド』の能力、時間停止。
『ワールド』とはその名の通り、"世界"を意味するメモリであり、タロットでは"宇宙"、そして"完璧な存在"を意味する。このメモリにナッノが込めたのは世界を操る力、すなわち時間を停止する能力。だからこそこのメモリを使った者は、世界を制止する事が出来る。
最もナッノに言わせれば、異次元などの全世界広しと言えども『ワールド』の時間停止の中で肉体を動かせるほどの身体能力の持ち主は、パンクただ1人という事らしいが。
(……まぁ、それもどうだって良いなの)
パンクはそう言ってまず赤い両腕でリボンを引きちぎり、巨大な斧に赤い左足で衝撃波を作り出して粉砕。もう片方の右足は既に弓矢を突風で撃ち落としていた。
「……なるほど、やはり『ワールド』の力は凄いみたいですね」
と、時間停止の能力が切れて動き出した時の中で、自分の技が全て倒されている光景を見て、ユウは感嘆の声をあげる。
「にしても、いつ気付いていたんですか? この私が、あなたを裏切ったなんて」
「最初からなの。お前はホムラとは別に、地を這う蛇のようにタイラ様ではなく、自分を女王とする事を計画していたなの。ホムラという直情的で分かりやすい反逆者を前にして、お前と言う巧妙でずる賢い逆賊の存在をカモフラージュしていたなのか? おあいにく様、私はそう言った事に、タイラ様を裏切るやからには鼻が利くなの」
「へぇ。総理大臣の孫として、他人に扱いやすい子を演じる事に長けた、この私の演技を見抜いたのはあなたが初めてですよ。実の親ですら、この私が総理大臣の孫とは思えない、覇気もない女だと言っていましたからね」
「本当はギラギラに、世界を支配しようと思うくらい野心を燃やしていたのに」と、クスクスと彼女は笑っていた。
「……生まれ持っての、演技者。いつ、自分が一番になれるかを考えつつ、周囲にそれを悟らせない演技の達人。それがお前……収着使徒ユウ」
「ゲートシェイドはこの私が、異次元に作って置いた"沖杉世音"という偽名を名乗らせていた女性。私の演技指導の賜物で、彼女は私の命令に疑いもしない忠実な人形となりました。
後はモウ・ボイーネに気付かせずに襲わせて、超乳となった彼女ので・き・あ・が・り」
ユウはそう言いながらゲートシェイドのスーツを脱がせると、そこにはサラシが何重にも巻かれていた。それをするするとユウが取ると、どんっと前に突き出したロケットおっぱいのゲートシェイドが立っていた。
「ゲートシェイド、今ならやれますよね?」
「仰せのままに、ユウ様」
そしてゲートシェイドは小さな門を作り出して、そこに銃を突っ込む。するとパンクの身体を囲むように何万枚にも及ぶゲートが現れて、そこから大量の拳銃が突き出されていた。
「ゲートシェイドの特殊能力技、『異次元からのスナイパー』。一対一ではなく、一つの入り口に対して何万にも及ぶ出口を出して相手を取り囲む大技。
いくら時間停止能力が厄介とは言え、それさえなければパンク様など一介の怪人以下。さらにこの私の、総勢6本にも及ぶメモリで作り上げた完全形態、ゴールドギガレンジャースタイルの前に敵は居ない」
そう言ってユウは杖を変形させた黄金のトンファーをパンクに向けていた。
「さよなら、エージェント・パンク。
あなたを倒し、ギガレンジャーも簡単に叩きのめした後、タイラを殺してこの私が、世界の王として君臨するのよ!」
「言いたい事はそれだけなの?」
パンクはそう言ってユウを睨み付ける。一瞬、ビクッとなったユウだが、こちらの優位が変わっていない事に気付いて、そのまま強く言い放つ。
「ふっ、バカな女ね。たった1人の女のために、それも捨て駒としか愛していない女のために働くだなんて、非効率的だわ。国のトップである総理大臣としては、そんな不毛な事はしない方が良いと忠告してあげる」
「――――仕方ないなの。裏切るだけでは飽き足らず、タイラ様を侮辱したあなた達にもう勝ち目はないなの。
今こそ、ナッノしか知らない『ワールド』の第二段階を見せてやるなの」
「第二段階? そのメモリは時間停止以外にない事は調査済み。自分の身体で確かめたから、ただのハッタリでしかないと分かってるわ。
さぁ、止めよ! エージェント・パンク!」
そしてゲートシェイドが何万もに分裂した銃の引き金を同時に引き、強大な威力を誇る黄金のトンファーの砲弾を放ったユウ。
しかし、全ては無駄だった。無意味だった。
そう、彼女と戦うには。
「『ワールド』、第二段階発動」
「がはっ!
な、なんなの。あの力は……あんな強大な第二段階の力を見た後では、時間停止なんてただのオマケにしか見えない。まさかあんな切り札を隠し持っていたなんて……。
戦局を見誤ったわ……」
「ユウ様……」
2人の裏切り者を始末したパンクは、次の裏切り者――――ナッノ率いるニュウ・ギガレンジャーが来るのを待ち構えているのであった。
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ユシーモンスターNo.62
〇ユシー・ゲートシェイド
所属区分;収着使徒ユウの配下
使用体;実験体G-11『ショルイ』、沖杉世音(おきすぎよね)
外見;濃いグレー色のスーツをビシッと着こなした、真面目な印象を受ける白縁の眼鏡をかけているクール系の美女。頭にはテンガロンハット、そして腰にはガンホルダーと拳銃が2丁。身体の真ん中には大きく上を無って張っている胸元の下には重厚そうな扉が埋め込まれている。スーツを脱ぐとサラシで、前に大きく突きだした超乳おっぱいを隠している。
所見;実験体G-11『ショルイ』、沖杉世音が門の力を手に入れた姿。異空間に繋がる門をいくらでも作り出す事が出来て、さらに門の出口を複数作り出す事で敵を一気にせん滅できる火力も持っている恐ろしい敵。他の使徒も彼女の能力の多様性からか、度々使っている印象を受ける、デキる女である。By;文化者エージェント・ナッノ
所見2;沖杉世音とはユウがメモリの力を悪用して作り出した人工生命体である。彼女はユウのためだけに生まれて来て、彼女のネームネームの乗っ取り計画に賛同した。ユウに使われるためだけに生まれて来た、とても可哀想な女性と言えよう。By;文化者エージェント・ナッノ
ユシーモンスターNo.63
〇収着使徒ユウ
所属区分;収着の使徒
外見;逆巻いた金髪のポニーテール、灰色のジャケット(色は色々と変わる)が特徴のKカップの美少女。その腰には七色のポシェットを付けている。ジャケットの下には何十個ものコネクタ、そして腰には変身用の赤いボタンがある。
使用者;総理大臣の孫、雨洞優(うどうゆう)
所見;『A(アーマー)』というメモリを極限にまで高める事により、本来一人一本しか使えないメモリを使うためのコネクタを作り出したメモリを複数使う使徒。多くのメモリを組み合わせる事により、多彩な能力を使う事が出来ており、ネームネームでもメモリを多く手に入れる立場にあった。そんな彼女がまさか、ネームネームの女王となる夢を持っていたなんて信じられないよ。By;文化者エージェント・ナッノ
所見2;雨洞優は自身の感情をコントロールする演技を幼い頃から続けており、その演技は誰にも見抜けなかった。あの『女王になる』というのも実は演技だったかも知れない。彼女の気持ちは彼女自身以外、誰にも分からない。しかし隠したいと同時に見抜かれたいと言う気持ちもあり、誰かと感情を共有したいとも考えていたらしい。多くのメモリを使えるようになったのも多くの人と共感したいと言う彼女の共感を求める感情がもたらした力なのかもしれない。By;文化者エージェント・ナッノ
ユシーモンスターNo.64
〇収着使徒ユウ・ゴールドギガレンジャースタイル
使用メモリ;『R(レッド)』、『B(ブルー)』、『Y(イエロー)』、『G(グリーン)』、『E(エンバイロメント)』、『M(マスター)』
外見;頭に金色の王冠、そして着ている服はKカップと言う大きな胸に直接羽織るようにしてある黄金の衣であり、服の真ん中から彼女の柔肌が覗いている。杖の上部に葉っぱの形のシンボルが乗った黄金の杖を持っている。
所見;『赤』、『青』、『黄』、『緑』の4本を使ったギガレンジャースタイル。『環境』と『支配者』の2本を使ったメントアセススタイル。その両方を融合させた、ユウの最終形態。環境と言う自然の強大な力と、前ギガレンジャーを思わせる4つの武器を使って敵を圧巻させます。By;収着使徒ユウ
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