ぼーにゅう部 コの魔術

帝国城摂政 作
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 女性にとって一番大切なのかはなにかと言う質問に対して高校1年生のアタシ、蝙蝠坂瑠璃(こうもりざかるり)はこう答える。
 ――――大切なのは見た目、だと。

 しかし、アタシは自分の見た目がイケてる、つまりは美しいとは思った事は一度もない。
 少し暗みがかった金髪と垂れたような瞳、平均を大きく下回る身体に小学生時代から全く成長しない胸と尻……と言うか、アタシは小学生から成長していない、と言う意味合いなんだけれども。
 学校全体で「高校に迷い込んだ女子小学生」と思われて全く相手にされていないアタシだが、アタシ自身はそんな事はない。むしろ同級生全ての女性、それどころか学校の生徒と職員など女である以上は全員をライバルとして見ている。

 それに……この学校にはアタシの事を「女」として、「ライバル」として見ている女が2人居る。

 稀代の天才発明家、黒猫沢明日夏(くろねこざわあすか)。
 特殊で異常な体質の持ち主、蜥蜴崎四里(とかげざきしさと)。

 アタシはこの2人と共に1つの部活を行っている。
 ――――そう、女の子の胸を大きくするための部活動……ぼーにゅう部を。

第故話「コの魔術」

 私立〇□高校の一階、普段は家庭科室として使用されているこの場所こそが、アタシ達の活動場所である。

「今日はアタシの"魔術"を試す番だけど、2人とも良いよね?」

 アタシがそう言うと、2人ともコクリと頷く。

 "大きくする時は皆で試す"。
 それがアタシらのポリシー。部の要、って奴。
 正直、そうでもしないとお互いに歯止めが効かないって言うか、大変だからって決めた方法なんだけどこれがけっこー効いてるんだよね〜。相手にされていない同校の女性陣からしてアタシらの嫉妬の対象なのに、調べてみたら身長、体重、胸の大きさとお尻の大きさが一緒のアタシ達がお互いを出しぬいたら血の雨が降るわ。いや、本当にマジで。
 ……まっ、いつかは出し抜こうとは思ってるけど。

「今回使うのは"成長魔術"よ!」

「……それってこの前、したんじゃなかったかしら?」

 と、明日夏が言う。そう、この前に成長魔術を試した事がある。家で見つけた、「小学生みたいな身体が高校生になる魔術」と言うのを3人で試してみた事がある。
 実際はそれくらいの成長を促す魔法だったんだけど、3人とも成長を遂げた。……小学生高学年くらいに、しかも数十分くらいしか効果が出なかったと言う。明日夏はそれ故に危惧しているのだろう、この前みたいになるんじゃないかと。

「ふふふ……アタシが同じような失敗を起こすとでも? この前のは時間に制限があり、さらに成長の幅を高校生と言う微妙な所にしたのが敗因。ならもっと、もーっと成長の幅を増やせば良い!」

 ババァーン、とアタシは紙を取り出す。
 そこにはアタシの華麗な字で『大人の成長を遂げる魔法・無制限』と言う、そう華麗な字が!

 高校生がダメなら、一気に大人に成長してしまえば良いのだ!
 時間制限がダメなら、制限を付けなければ良い!
 ――――見たでしょ、これぞ完璧計画!

「……読めないわね」

「……読めないです」

 ……2人の評価は辛辣だけど。

「まっ、いつものようにやるから2人ともお腹出して〜」

 魔術で一番効果が大きいのは、心の臓。そこが魔術道において一番効果が高い場所。
 けれどもいくら同性とは言っても心臓付近に直接書くのはためらわれる。……って言うか、折角胸が大きくなっても胸に魔術紋が見えたら台無しになっちゃうから、お腹あたりが良いんだよね。うん。その辺りならおしゃれなタトゥーで誤魔化せるし。

「「おk。さっさとやっちゃおう!」」

 そう言って早速服を脱ぎ捨てる2人。よーし、ノリノリだね。

「2人ともノリノリノーリ! よーし、私も!」

 そう言って私も服を脱ぎ捨てる。
 ……う〜ん、相も変わらず3人とも一緒、だね。

 つる〜つ〜る、ぺった〜ん、ちびっちび。

「まぁ……良いけど、さ〜てやりますか! 魔術の紋書き!」

*魔術の紋を書くのはつまんないと思うから、良いよね! とりあえず声だけで良いよね!

「あぁん……ちょっ、瑠璃! そ、そんなところ//////」

「良いでしょ〜、明日夏〜。おんなじ女性なんだから〜」

「ほら」

「ひゃ、ひゃん////// 四里//////」

「瑠璃も良いでしょ? いつもやってるし……ひゃっ//////」

「瑠璃も////// 明日夏も////// 一緒に//////」


 ……う、うん。普通に出来たと思うわ。普通、に出来たし。そう、何度も言うように"普通"に出来たし。

「よっ……よし。じゃあ、始めますわよ〜」

「う……うん、良いわよ」
「えぇ……私も……」

 そう言ってお互いに意思を確認しあった後、私は魔術を発動する。
 発動すると共に3人全員に激痛が走る。いや、これは心地良い刺激……と呼ぶべきかな?

 3人の身体がにょきにょき……いえ、美しく麗しい大人の姿へと成長していく。
 3人のシルエットが小学生から高学年……そして遂に中学生サイズへと変わり、夢の高校生へ! 胸も小学生らしいAカップ未満から、高校生でも大きいって言うMカップ! サイズで言えば……58のAAカップ未満から108のEカップ! 50センチもアップだよ、小学生から成長していないアタシらが! 身長で言えば120cmから160cm! 見事な成長だよ! 少しずつ成長に差はあるけれども、全員どんぐりの背比べって言う感じ!
 他の人達からすればすっごい嬉しいように思えるかもしれない。……でも、アタシらからすれば満足な結果とは言い難い。

「まだまだ……じゃない? モデル体型ではあるけど、スーパーやウルトラではないし〜」

「そっ、ですね。わたしも満足出来ないわ……」

「私もこれが最終形態とは思えない……」

 3人とも既にこの学校の生徒の中で見れば十分すぎるくらい美しい。だけれどもこれで満足できない。
 アタシ達は最も美しくなるために互いに高め合う同志……こんな程度で満足してはいけない!

「じゃっ、折角だからこれ、試してみない?」

 と、私が取り出したのは危なすぎて禁じられた成長の呪印。

「「「女神になるための……最強成長呪文……!? ご、ごくり……!」」」

 蝙蝠坂家の魔術は確かに影響がある。けれどもその表現は、かなり小さい。
 今回の「高校生程度の成長を遂げる魔術」だって、本の中に置いては「ほんのちょびっと元禄に間に合わなかった人のための成長魔術」と、かなり控えめな表現だったのだ。
 そんなこの本にて。「女神になるための最強成長呪文」と書かれていたのだ。これは試さざるを得ないだろう!

 最終的にはどこまで美しくなるかは分からない。けれども、もっと美しくなりたいと思う3人にとっては、そんな事はどうでも良かった。
 幸いな事にとでもいうべきか、少し呪文の詠唱を変えるだけで良いみたいであると気付いた彼女達は早速服を脱いで準備して、そしてアタシが呪文を詠唱し始めた。

「"我ら、女神になる事を望む! 我らに力を!"」

 すると、アタシら3人の身体が真っ白な光に包まれる。

「「「うわ〜!」」」


 アタシらが目を開けると、そこには3人とも物凄いトップモデルをも羨むスタイルになっていた。
 胸はZカップなんてものでは言い表せないような巨大で張りがある胸、それは3人それぞれの身体に付いており、さらに神々しさを称えるかのように身体自体が発光していた。
 腕も足も先が見えないくらい長く、それでいてむちむちでかぶりつきたくなるくらいの雰囲気を漂わせている。

 3人ともお互いに納得するくらいの完璧なる美人な姿。これなら全てに納得して、大手を振って街で美人として歩ける、3人ともそう思った。

「私は気に入ったわ……さすが、女神ね!」

 メートル級の胸を長く美しくなった腕で押し上げる四里。

「えぇ、わたくしもこれだけ大きければ、科学的にも美しいと証明出来る。やはり瑠璃の魔術は最高だな」

 アタシを見てウインクをして、黒のショートヘアーをくるくると指で回しながら自身の美しさを客観視して最高だと断定する明日夏。

 アタシも同意見。
 これ以上ないってくらいに最高で、今はこの姿を一刻も早く見せたくてうずうずしてる!
 この日が来るかもと思って用意していたおいたドレス! 帰ったらこの身体に合わせて……って、あれ?

「そう言えばここってどこかしら?」

 真っ黒な空間、そして目の前にはビーズ大サイズの小さな青い球体……。

「「「これってもしかして……」」」


 この時、アタシ達は理解した。
 女神の成長……それはつまり、女神と同じ宇宙よりも大きなテラサイズの巨大娘になるって事で……。


 ……って、こんなに大きかったらダメでしょ!
 あー、失敗だわ〜! だ、ダメでしょ〜!