電乳戦士サイバープリキュア 第3話「輝く泡姫! キュアスパークル!」

帝国城摂政 作
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「はぁ〜……疲れた……です……」

 こきこきと、肩を動かす度に鳴る音に疲れを感じながら、江ノ島クラスタは鞄を持ってアリスタ学園へと向かっていた。
 昨日は土曜。なんの憂いもない休日だったのだけれども……クラスタはイスカに付き合わされて、クタクタになってしまっていた。プリキュアになった手前追い返す事も出来ずに、プリキュアとして必要な情報だけを交換するつもりだったのだけれども、その日は質問攻めの嵐。レストランで6時間も雑談をされてしまっては、疲れもピークに達する。イリスの方はピンピンしていたが。

 けれども今日はナノピコに頼んで、イリスの相手をして貰うことにした。
 日曜までイリスという、疲れ知らずな怪物の相手などしていられない。今日はゲームセンターでハシゴでもしとこうかなぁ、そんな事を考えながら休日のショッピングセンター街を歩いていた。
 そんな事を嬉しく、るんるん気分で歩いていると、

 ――――その手を、ガシッと掴まれる。

「ちぃとばかり、よろしいかしら!? あなた、江ノ島クラスタよね?
 さぁ、付き合って貰えるわよね? 良いわよね、良いわよね!」

「えっ、ちょっ……?!」

 ――――ヒョイッとクラスタの手を強引に引く、1人の少女。
 金髪のツインテールヘアーと、それに同じ黄金色の瞳。どこかの雑誌で見たモデル用の赤いダウンジャケット、レーススカートに、色々なアクセサリーを着けた彼女は、そのままクラスタを連れていく。
 Kカップくらいありそうな、クラスタより小柄な彼女は、顔をキリリっと強張らせながら、反論を聞きそうになく、ただただ前を見て歩いて行く。
 その様子を見て、クラスタはまた今日も忙しくなる事を覚悟したのだった。


第3話《輝く泡姫! キュアスパークル!》

「――――【柚須ミズホ】。この名前に心当たりはあるかしら?」

 いきなり腕を引っ張って近くの喫茶店へと連れてかれてしまう、クラスタ。そしてコーヒー2杯という注文もそこそこに、連れて来た女はクラスタにそんな事を言い出す。
 正直な所、ミズホはモデルどころか、芸能人そのものに興味の欠片もない。覚えている人の名前も、《マリオ》《ロイ》《アリス》などゲームキャラクターばかりである。だから、柚須ミズホという名前にも心当たりなんてなかった。

「そう……けれども、私はあなたの事は良く知ってるわ。
 アリスト学園の2年に転校してきた、ゲームばっかりやってるモデル体型の美少女、ってね」

 素直に首を横に振ったクラスタに対して、ミズホは逆に嫌味を返すように言い返す。
 クラスタは嫌味を返されたのだが意に返さず、そもそもそんな事程度で参るような精神など持ち合わせていないのでコーヒーが来るまでスマホゲームでも使用しようと思っていたのだが、その事がミズホの心を逆なでしてしまっているようだった。

「あ ん た っ!? 分かってるの!?
 うちの学園の有名人、まだ1週間かそこらで有名人という事を指摘してるのよ! 分かってるの、って言ってるのよ!」

「それはどういう意味で言ってる、です? 私は目立つつもりもなく、ただひっそりと――――」

「それが 目立ってるのよっ!」

 言い訳しながらもスマホゲームを操作する手が止まらないクラスタの手から、強引にスマホを奪い取るミズホ。いきなりの行為にガクッと頭を下げるクラスタを見て、初めて怒りが下がって余裕そうな笑みを浮かべるミズホ。

「ふふっん! そうよ、それで良いのよ!
 ――――って、ちがーーーーう!?」

 「うぎゃああああ!」と、いきなり自慢のセットした髪の毛をくしゃくしゃとかき乱すミズホ。その様子に、ますますなにをしたいのかが分からなくなってしまうクラスタ。
 早くゲーセンに行きたいのだが、それも叶わないだろうなぁとクラスタはなんとなくそんな事を思っていた。

「……私、今日は用事があるのでそろそろ失礼s」

「私ね、これでもテレビ番組に出るほどの実力を持つ新人女優で――――」

(……勝手に語り始めた)

 これは長くなりそうだなぁと、クラスタはさらに頭を抱えていた。

 話を聞くと彼女、柚須ミズホは(自称)新人女優。
 身長はさほど高くないが、胸のサイズはKカップという驚異の大きさでテレビに時折呼ばれるタイプの女優さん。性格は自分こそ一番という目立ちたがり屋で、最近自分よりも目立ってるクラスタが気に入らないらしいが、クラスタからして見れば本当にどうだって良い。

「それだったら、私なんかよりあの元気女を憎めば良い、です。香椎イリスさんの方を、です」

「香椎イリスさん? 香椎イリスは人気者ではありますが、元気な可愛さだわ。
 けれどもあなたのは、優雅な美しさ! 私とキャラが被ってる! だから嫌いなのよ!」

 ……この女と私のどこが似てるのだろう、クラスタはきょとんと首を傾げていた。
 そんな事を考えながら、来たコーヒーをすーっと一口で飲んでいた。それを見てミズホの顔がさらにムッとして、自身もまたコーヒーをずびずびぃーと飲んでいた。

「にっがぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい!」

 苦そうに顔をしかめながら、激しく動いたためにJカップの胸がたゆゆんっと揺れ動く。

「……本当に帰って良い、です?」

「ダメよ! あなたからは聞きたい事が、あるのだから!
 そっ、そうよっ! こっ、これを見なさい!」

 そうやってミズホは自分のスマホを取り出して、1つの映像を見せる。それを見て、クラスタの瞳がカッと、今日初めて見開いた。

「――――この映像の、プリキュアとかいうのに変身する映像?
 消して欲しく な い か し ら?」



「さぁ、次はここよっ!」

「まだ行くの、ですか……」

 元気よく前を向いて進むミズホに、クラスタは似て欲しくないはずの女の姿が映っていた。何故、自分の周りにはこんな風にぐいぐい迫って来る人ばかりなんだろうと、クラスタは自分の運命を呪いそうであった。

 ミズホに連れられ、クラスタはいくつもの店を回らされた、
 洋服屋では数種類の洋服を一緒に買わされる。
 帽子屋では様々な帽子を頭に被らされる、着せ替え人形ならぬ帽子置き場となってしまう。
 その後は大きさに反してデザインだけでなんでこんなに高いのかが分からないアクセサリーショップ、学生どころか普通の社会人では到底手が出せないだろう宝石店、雑誌を立ち読みするコンビニ、機能性より美的感覚のみで作られただろう靴が並ぶ靴屋……そして次に向かっているのは、さっきとは別の洋服屋。

「何故、こんなにもいっぱい店を回るのかが理解出来ない、です。
 別に予約特典が違う訳でもないのに、色々な店を回るのが理解出来ない、です」

 クラスタの目には、どれも同じに見える。
 この洋服だって、さっきの店で同じのがあったような気がする。

「全然違う、わ! この洋服は有名ブランドで作られた、素材にこだわって作られた特別製! また着心地にもこだわって、伸びも意識してるわ! だからこれはその分、割高になってると"ウチ"は――――っ! なっ、なんでもありませんわ!」

「ウチ……?」

 慌てていたのか、ウチなどと先程とはちがう一人称を口にした途端、しまったっと、ばつが悪そうな顔をする。

「ちっ、ちがうのよっ! ウチだなんて、私はそんな一人称使わん……使わないわ!
 そっ、それより! これとか、良いんじゃないかしら!」

 そう言って、飾られていた洋服をテキトーにとってこちらに見せつけるミズホ。しかし、クラスタはそんな事も気にせずに、先程渡されたドレス風洋服を手に品定めしていた。

「……別に良いんじゃない、です? キャラとか、性格とか、私は気にしませんけどね、です」

「うっ! ううっ、うっさいわぁー!
 あんたに言われなくても、気にし過ぎだって事は分かってんよ! でもなぁ、芸能人はキャラが命なんやっ! 印象通りじゃないとみんな、困惑するやろがぁ!」

 はぁはぁ、と息を荒くして返事を返すミズホ。
 それを「そんな事はないと思う、です」と淡々と返事を返していた。

「…キャラだとか、性格だとか、そんな他者に決められた視点なんかに興味はない、です。
 そんなものに固執すると大切な事を忘れてしまいます、です。
 自分のキャラという、大切な物はもっと大切にすべき、ですよ。失う前に」

 もう付き合い切れんとばかりに、クラスタは勝手に外へ出て行った。


「――――自分のキャラ、ですか」

 ミズホはクラスタの言葉を噛みしめるように、何度も、何度も、言い放っていた。



「やっと逃げられました、です……」

 ミズホという良く分からない女に絡まれていたが、ようやく逃げ出す事が出来た。
 さて、ゲームセンターで憂さ晴らしも兼ねて遊びますか!


「待ちなさいっ!」


 意気込むクラスタに、背中から水をかけるような勢いで話しかけるミズホ。

「……何、です? 言って置きますが、もう話す余地なんてない、です。
 プリキュアの映像も勝手に使ってください、です。どうせ信じられなくておしまい、です」

「ち、ちがっ! そ、そうやのうてっ!
 えっと、そうじゃなくて!」

 自分でも何を言いたいのかが決まっていないのか、わたわたしているミズホを見て、キョトンとしていたクラスタだったが、その瞳がカッと見開く。

「伏せてっ!」
「えっ、ちょっ――――!」

 いきなりクラスタに抱きつけられて、胸の中に自分の顔が入って行く感覚に目が物凄い勢いであちらこちらに動いて行く。ミズホがドギマギする中、クラスタ達が先程までいた場所に光線が、2人を殺そうとした光線が通り過ぎる。

「ふむ、やはりこの程度ではいかないので、あ〜るな。クラスタ姫」

 現れたのは、軍服を着た美女。
 胸はLカップとミズホよりも数カップ大きく、頭の角や黒い尻尾などの悪魔的な要素が軍服という男臭い衣装を蠱惑的な衣装へと変えている。手にした光線銃をしまうと共に、クラスタがスマホを取り出す。

「今度はあなたが、攻めて来るとはね、です。【ウメタリア】」

「ふむ、吾輩の作戦行動は常に理に適った作戦で、あ〜る! 故に吾輩は貴様との勝敗に決着を着けるために来たので、あ〜る!」

 ウメタリア、そう言われた軍服悪魔女はゲームセンターに置いてある、非常用の消火器を手に取る。


「消火器よっ! マチガウイルスの力によって、新たな姿へと作り変われ!」


 ウメタリアの持つ消火器がカッと光り輝いたかと思うと、突然起こった煙で世界が白く染まる。けほけほっ、と咳き込むミズホを乱暴に、ゲーム遊びが趣味とは思えない筋肉でクラスタは2人で脱出する。

 煙の中から現れたのは、巨大なクワガタロボットだった。
 身体は消火器、その上にクワガタを思わせるオオアゴと4本の脚。
 巨大クワガタロボットの頭頂部には、先程宣言していたウメタリアが、某子供向け番組の悪役のように全面ガラス張りの丸型コックピットの中に入って乗り込んでいた。

「完成、であ〜る!
 消火器とクワガタで、ショウカキクワガタロボ、であ〜る! 吾輩のマチガウイルスは、サエスディ殿よりも硬いのでご注意を、であ〜る!」



「まったく……ウメタリアのは、硬いから嫌い、です」

 ウメタリアが出した消火器の身体を持つ巨大クワガタメカを見て、溜め息を出していた。そしてミズホを軒下に隠すように移動させると、「ここで待ってほしい、です」とお願いする。

「……あいつとの相性はあまり良くありません、です。けれどもプリキュアである以上、戦わなくてはならない運命なの、です。少なくとも、一般人なんかよりは私が戦う方がマシ、です」

 絶対にここから出ないで欲しい、そう念押しするクラスタ。
 ミズホはと言うとコクコクと頷いてこそいるが、なにか伝えたいらしく、しきりに口をもごもごと動かしている。クラスタはそんな事はどうでも良いので、さっさとショウカキクワガタロボと向き合っていた。

「キュアライゼーション! ワクチンっ!
 救済を、今ここに! レッツ・プリキュアチェンジ!」

 クラスタが叫ぶと共に、彼女の姿が真っ白な光に包まれる。

 まず、彼女の銀色の髪が桃色の、鮮やかな色に変わると共に、背中の方まで長くさらーっと伸びる。服は真っ白なドレス、かと思いきやその上にピンク色のワンピースが着けられる。ワンピースに押し潰さられ、ただでさえ大きな彼女の胸がさらに大きく見える。
 靴もカジュアルなピンクの動きやすそうなシューズに、両手には殺菌のためかピンク色の手袋がはめられる。

 右手に持つ大きな注射器、そして背中の白い翼。
 それはまるで、白衣の天使の言葉が相応しい姿である。

「世界の浄化の、救世主! キュアワクチン!
 スーパープレイ、見せちゃうよっ!」


「プリキュア! 今日こそ、お前らの最期で、あ〜る!
 クワガタドリル作戦開始! ポチッと、ナウ!」

 コックピットの中でウメタリアがボタンを押すと、クワガタロボの強靭な2つの顎が、まるでドリルのように物凄い勢いで回転する。ゆっくりとキュアワクチンに近寄って来るクワガタロボに対し、キュアワクチンは注射器をシャカシャカと振り始める。

「キュアワクチンの特徴は、回復能力。
 自分の肉体を異常なまでに回復すれば、一時的にウメタリアの鋼のマチガウイルスを壊せるだけの力が――――」

 そう言って、キュアワクチンは注射器を自分の左腕に突き刺していた。針を通して紫色の液体がキュアワクチンへと通っていき、彼女の肌色が赤く染まっていた。
 キュアワクチンの拳とショウカキクワガタロボの顎ドリルがぶつかり、戦い合っていた。

「くっ……! やっぱりキュアワクチンの強化形態は厄介そう、であ〜る!
 なので、続いては第2作戦っ! 発動、であ〜る!」

 ウメタリアがボタンを押すと共に、回転していた顎ドリルが吹っ飛ぶ。吹っ飛ぶと共に、壁に張りつけられる顎ドリルによってキュアワクチン。

「クラスタさんッ!」

「むっ……!? そこに居るのはだ〜れ、であ〜る?」

 壁に張りつけになって動けなくなったキュアワクチン、それを見て心配したミズホが軒先から外へと出てくる。そんな彼女を見つけたウメタリアが、ニヤリと笑みを浮かべる。

「くふふぅ……! ウメタリアは一般人であろうとも、殺すことに忌避感はない、であ〜る!
 軍人ライフルを喰らえなの、であ〜る! ポチッと、ナウ!」

 ウメタリアがボタンを押すと共に、クワガタロボの顔の真ん中から強そうな機関銃が出て来て、その照準がミズホの顔に合されていた。

「死して吾輩達の糧となるが良いで、あ〜る!
 それ、ポチッとナウ!」

 機関銃が火を吹き、ミズホが死を覚悟して目を閉じる。
 銃声が聞こえるが、自分の身体に銃弾が当たらないことにキョトンとして、目を開けるとそこには銃弾を受けて倒れるキュアワクチンの姿があった。

「くっ、クラスタさんっ!」

「……だから、キュアワクチンと呼べと」

「なっ、なんでウチを助けて!」

 ミズホからして見れば、クラスタは自分を助けてくれるはずがない。
 自分から無理矢理話しかけた挙句、良く分からないようないちゃもんをなすりつけた。もし自分だったら助けない、そうされても文句がないほどの行為はしたはずだ。
 なのに何故クラスタが、自分を守るために盾となったのかが理解出来ないのだ。


「――――私が尊敬するプリキュアは、仇だろうと、見知らぬ相手だろうと、守って見せていた、です。
 ここで見捨てたら、私は尊敬するプリキュアに近付けない。故に私は、あなたでも助けます、です」


 その姿はどことなく気高さを持ち合わせており、その姿にミズホはうっとりしていた。



「ぷぷっ! あははははっ〜!
 なにを言っているのか、まったく分からないので、あ〜る! 自分の命を犠牲にして、相手の命を守るだなんて、吾輩おかしすぎて腹がよじれてしまいそうで、あ〜る!」

 巨大クワガタロボのコックピットの中で、腹がねじ切れんばかりの勢いでウメタリアが笑う。その様子にムカッと、ミズホの顔が怒りに満ちる。

「と言う訳で、プリキュアという厄介な障害物は排除させてもらいますで、あ〜る!
 このライフル攻撃で、止めであ〜るぅ!」

 ライフルが狙い澄まして、キュアワクチンがどうしようかと困惑する中、

 ――――ミズホがキュアワクチンの前に立つ。


「ウチはな……目立ちたいんや。故郷の弟たちに良いもん食わせたいねん! 事務所の方針でクールキャラ演じるのも悪くないって思っとる。
 そこの女も、ゲームばっかりしとう、不真面目な女やと思っとったん……。

 でもな、そんな事はなかったんや。事務所のキャラに縛られとる、ウチの方がよっぽど不真面目や!
 ウチは、あんたを倒す力が欲しい! そこの女、クラスタを守る力が!」


 すると、彼女の手にはクラスタやイリスらが持っていたスマホが、そのスマホから1枚のカードが出てくる。

「……ウチも、やったるで!」

 勢い込むミズホは、スマホにカードをタッチする。

「キュアライゼーション! スプラッシュっ!
 美しさを、今ここに! レッツ・プリキュアチェンジ!」

 ミズホが叫ぶと共に、彼女の姿が真っ白な光に包まれる。

 彼女の前に大きくてオシャレな洋服箪笥が出て来て、ミズホが開けるとそこからリブ生地で作られた胸を強調する白いセーター、足のラインを強調する赤いスカートを手に取る。
 ミズホはセーターとスカートを手に取り、着替えを始める。セーターを着る際にKカップの、特大の大きさを誇るおっぱいが大きく揺れ動いていた。そしてそのおっぱいから高貴な魔法の杖が出て来て、それとは別に幻想的なランプが出てきていた。おっぱいから出る際に、少しだけ頬が赤くなって恥ずかしそうだった。

 頭に被る、魔女が被るような円錐型の帽子。
 帽子と髪にリボンがついた、オシャレな魔女の姿となっていた。

「輝く星の、救世主! キュアスパークル!
 私の美しさは、弾けるわよ!」

 髪をさら〜っと垂れ流して、綺麗なポーズを取っていた。
 

 ウメタリアは変身したミズホ、キュアスパークルの姿を見て、「まさかっ!」と驚いていた。

「……くっ! だが、このショウカキクワガタロボの敵ではないので、あ〜る!
 クワガタの両顎を飛ばしたとしても、このメカには攻撃手段があるので、あ〜る! 消火剤光線攻撃を発射で、あ〜る!」

 ポチッとボタンを押すと、ショウカキクワガタロボの顔の真ん中からライフルの銃口ではない、別の入り口が出て来た。
 出て来ると共に、そこから大量の消火剤が噴射される。噴射された消火剤が周囲を覆い尽くすが、キュアスパークルは余裕の笑みを浮かべていた。

「――――このキュアスパークルの力、今こそ見せたる!」

 キュアスパークルの手に持っていたランプから大量の飛沫が飛び出て、スパークルの杖の誘導に従ってクワガタロボの発射口が飛沫によって封じられていた。

「あっ、このっ!? だ、だが、このウメタリアのマチガウイルスメカは他より硬い身体が特徴、であ〜る!
 そんな泡では、このメカは倒せない、のであ〜る!」

 ふふぅ〜ん、とドヤ顔をするウメタリア。それに対してキュアスパークルはショウカキクワガタロボの上に自分が出した飛沫を集めていた。


「塵も積もれば、山となるんやっ!
 喰らえっ! プリキュア・スプラッシュハンマー!」


 プリキュアの力によって一カ所に集まった飛沫は、スパークルの杖の指揮の元、クワガタロボの上で大きな拳に再構築されていた。
 そして、クワガタロボの上で大きな拳が落ちて来て、クワガタロボを押し潰して爆発する。


「くっ……! 泡を濃縮させて強力な攻撃にするとか、相性が悪い敵だと言わざるを得ない、のであ〜る!
 この借りは、絶対に返すのであ〜る! それではまた、なのであ〜る!」




「これ、ウチの連絡先や」

 戦いが終わった後、ミズホはしおらしくそう言ってメモを渡して来る。連絡する気が一切なかったので破り捨てようとするも、涙目で見て来るミズホに耐えられず、仕方なくスマホに登録するクラスタ。

「ウチな……このキャラを見せる友人が居なかったんや。
 でもな、あんたみたいに自分の性格を前面に押し出すのも良い事やな。参考になったわ」

「そりゃ、どうも、です」

「まっ、また一緒に遊ぼうや。
 今度は本当にゲームしてな」

 ミズホはそう言って帰るも、結局は言いたい事を言ってすっきりしてる彼女とは違い、今日もゆっくり休めなかったと愚痴るクラスタであった。

【次回予告!】
「クラスタちゃん! クラスタちゃんのおうちってどこにあるの!?」
「……教える必要がない、です」
「ウチも知りたいわぁ〜! 教えてなぁ〜!」
「……教える必要がない、です」


 次回、サイバープリキュア!
【ドキドキッ! クラスタのサイバーホーム訪問!】

「……姫様の家はどこにあるかというなのが――――」
「ナノピコは黙ってろ、ですっ!」