電乳戦士サイバープリキュア 第6話「知性の、淑女! キュアスマート、誕生!」

帝国城摂政 作
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「――――私は世界電脳防衛協会所属のハッカー、諫早タマエ。
 電脳世界を守るハッカーである私は、世界統一会長の名により、あなたを――――江ノ島クラスタさんを拘束させて貰います」

 突如として現れた、黒のライダースーツのJカップおっぱいさんは冷酷にそう告げると、有無を言わさずに江ノ島クラスタ……ようやくスマホを操作できると張り切っていた江ノ島クラスタの手に手錠をかけていた。
 それに対してクラスタは「……?」と未だに自分に何が起きたのかをはっきり理解しておらず、そのままスマホを操作していた。

「……ふてぶてしい態度でしょう。その態度がいつまで続くのか、楽しみですね」

 と、諫早タマエと名乗った彼女は、クラスタを手錠のままどこかに連れて行く。

「だーめっ! そんなのはダメなんだよぉぉぉぉ!」
「ちょ、ちょいと待ちいや!」
「待ちなさいっ! うちの生徒を逮捕だなんて、そんな事はこの生徒会長の長者原スバルが許さないわっ!」

 その後を、香椎イリス、柚子ミズホ、長者原スバルの3人が続いて行く。



「……ついて来るわね」

 しばらく歩いた後、タマエは振り返る。そこには3人の姿が今もなお"順調に"着いて来ており、計画通りだとタマエは不敵な笑みを浮かべる。
 懐から大きな電話のような物を取り出すと、ポチポチッと番号を押す。電話は数秒で相手に通じてすぐさま短く指示を出すと、後ろに居た3人が黒ずくめの男達に取り押さえられていた。

「――――良いわ、あなた達にも聞きたい事があったのよね」

 タマエは取り押さえられた3人に近付いて、ゆっくり近付く。
 そしてポケットからビデオカメラを取り出して再生し始める。ビデオカメラに映し出された映像には、プリキュアとして変身して戦う3人の姿があった。

「――――この映像について、少しばかりお聞かせ願えないかしら?
 江ノ島クラスタではなく、あなた達にもプリキュアについての話を」



第6話《知性の、淑女! キュアスマート、誕生!》

「イェーイッ! これで凄いメカの完成であ〜る!」

 どこかの軍事施設――――そこには軍服を着たヌルリス三幹部の1人、ウメタリアはわいわいがやがやと喜んでいた。この軍倉庫には本来は戦闘機や戦車、機関銃、軍服などがあったが、今はその姿はなかった。
 その代わり、軍服を着たゲームキャラが大量に存在していた。どこかのゲームで見た事があるあの剣士が軍服を着ており、あのゲームで皆が倒すザコキャラが戦車の砲門を取り付けられていたり。

 そんな、ゲーム的な要素満載となっている軍事倉庫。
 そんな場所で軍服を着たウメタリアは、壁に白いチョークでなにか文字を書いていたようだ。数式、外国語、意味のない羅列……傍目にはなにを書いているのか、まったく理解出来ない。けれども、それを理解出来る人物――――ウメタリアは嬉しそうに笑みをこぼす。

「我がマチガウイルスは機械型! プログラミング次第によってその性能は大きく変化するであ〜る! そして今、我がマチガウイルスは完璧なるプログラミングを終えたのであ〜る!
 ――――次に戦う時こそが、ヌルリスによる完全っ! 完璧っ! 完成っ! そう、我こそがヌルリスに勝利をもたらす英雄となるのであ〜る!」

 ウメタリアはそう言って、ニヤリと笑っていた。



「これが今朝、我々が手に入れたヌルリスの1人と名乗るウメタリアが、我々大日本政府が得た情報でして」

 どこかの取調室、そこに連れてかれたクラスタはただ無言でタマエを見ていた。
 藍色の長い髪に、182cmという女性にしては高身長。Jカップのきゅっとした身体と反比例する大きな胸。左右の瞳は右眼が濃い藍色、左眼が水晶のような水色。腕も脚も程よく引き締まっていながらも、筋肉質な身体。クールな印象を受ける彼女は、眼鏡をカシャッと上に上げる。

「このウメタリア。あなたとは敵対関係にあるみたいですが、それでも関係者である事は変わりませんよね? 我々、世界電脳防衛協会に情報提供をお願い致します。
 具体的には彼女達、ヌルリスはどういう組織で、プリキュアとはなんなのかを」

 世界電脳防衛協会、これがどういう組織なのかはこれまでの説明でクラスタは良く分かっていた。

 今の現代において電脳情報は何よりも大事。それと同時にその対策が何よりも急務。
 以前は国単位、いや都市単位での電脳防壁を作る、いわばサイバー対策室を作っていたみたいだが、時代の流れに乗ったコンピューター技術の革新的すぎる進歩によって、それでは間に合わなくなった。よって、《世界電脳防衛協会》なる組織で一括してサイバー対策を行っている。
 ――――で、その流れで世界を電脳化するヌルリス、それに対抗するプリキュアの存在を知ったと。

「(……まっ、おおよそそんな所でしょうか、です)」

 クラスタは馬鹿ではない、柚子ミズホに変身シーンを映像として取られてからこうなる可能性はいつも考えていた。なにかに見張られているという感覚も、度々感じた。
 それがこのような形で接触して来るとは思っても見なかったのだが。

「ヌルリスの事についてはお話しましょう、です。私の目的はヌルリスが倒される事ですので、倒すのがそちらであっても構いません、です。ただ、プリキュアについてはお教え出来ない、です」

「えぇ、今はそれで構いません。ですので、些細な情報でもお教えください。
 世界を守る我々にとっては、世界を電脳化するだなんて暴挙を進める訳にはならないので」

 使命のために生きるか、それは良い生き方、です。
 クラスタはそう言いながら、ヌルリスの事を話す。どうせ世界電脳防衛協会とやらは知らなければならない、自分達が犯した《罪》という奴を。


「ヌルリス……それは私達の世界に現れたコンピューターウイルスの亜種、です。今、彼らはそのうちのごく一部を抽出して、マチガウイルスとして使っていますが、同じもの、です。
 普通のコンピューターウイルスは対象に感染するウイルス、その効果はせいぜいコンピューターなどの電脳としてあるものに限定される、です。しかし、ヌルリスにはそれがない」

 ヌルリスは物体に直接感染する、新種のコンピューターウイルス。
 その感染対象は電脳が存在するモノに限られるが、ヌルリスは紙だろうが、服だろうが、生物だろうが、とにかくなんだって感染する。そして感染すると同時に他のコンピューターウイルスと同じように、自らの本能……いや、定められたプログラムに従って増殖する。
 そして電脳空間に収められてる訳ではない彼らは、その増殖先を現実世界へと向ける。
 

「簡単に言ってしまえば――――ヌルリスは対象に別の性質を与えて、その物質を進化させる力を持つ、進化個体……とでも言いましょうか、です。この世界のモノに感染することで、ヌルリスは現実世界の情報を取り込み、そこから現実世界をどうすれば電脳化出来るかを理解して増殖しているの、です。
 三幹部……サエスディ、ウメタリア、チュンドラの3名はその性質を使って、この世界の物体にヌルリスを感染。その上で世界を電脳化しようとしてるのです」

「なるほど……要するに、奴らの目的はこの世界を電脳化すること、と。
 ちなみにマチガウイルス……あなた達がプリキュアとして倒したら、世界が元に戻るのは何故かしら?」

「……ヌルリスは亜種とは言え、コンピュータウイルス。
 本体がやられれば、連鎖反応的に子供も消滅する……"とプログラミングされてる"、です」


 そう、ヌルリスはコンピュータウイルスなのだ。
 鳥籠をライオン型モンスターに変えたり、箪笥をゴリラ型モンスターに変えたり、消火器をクワガタロボにしたり、ポットをスフィンクス型モンスターにしたり……色々と現実離れした姿を見せているが、仕組みは簡単だ。

 現実の対象物の上に、電脳データを強制的に上書きして、両方の性質を保持する。

 そう、プログラミングされたのだ。


「アレは元々、あなた方の世界の人間が作り出して、我々の世界に送り込んだ怪物。
 ――――つまり責任があるとすれば、この世界の住人であるあなた方、人間のせい、です」




「そうですっ、姫様と私は、ヌルリスによって支配された地域から逃げて来たなのっ! でもそれと同時に、ヌルリスの世界を飲み込んだ【レッドキング・マチガウイルス】を探しているなの!」

 一方でクラスタとは別の個室では、イリス達3人が尋問されていた。とは言っても、ほとんどは事情を良く知っているナノピコに話を聞いて行くと言う方法だったが。
 それを聞いているのは、【コードネームNo1083】、通称ヒトヤミと名乗った藍色の短髪少女である。藍色の短めの髪に、140cmほどとかなり低めの低身長。Hカップとかなりむにゅっとした肉感の強そうな身体つき。左右の瞳は右眼が濃い藍色、左眼が水晶のような水色とタマエと同じ瞳の色。あまり運動は得意でないらしく、かなりぶよっと、けれども魅力的な身体つきの女性。

「なるなる。事情は大体、りかいりかい。けれどもレッドキング・マチガウイルスとはいったい……?」

 どことなく個性的な喋り方をするヒトヤミは、メモを取りながらナノピコに質問する。

「イリスも知りたいよぉぉぉぉ!」
「ウチにも教えてぇなぁっ!」
「生徒会長として知る権利はあると思うわ!」

 イリス達3人も矢継ぎ早に質問して、ナノピコはふふんっと嬉しそうに話し始める。クラスタなら別だったかもしれないが、ナノピコは嬉しそうに話し始める。

「マチガウイルスのモンスターを倒した後、電脳化した世界が元に戻ったのは理解してると思うなの! あれはマチガウイルスの身体の中に溜めこんだ情報を、ウイルスの消滅と共に吐き出してるからなの!
 つまり、ウイルスが消滅すればそれによって支配された電脳世界は元に戻る……私と姫様が居た世界を襲ったのはレッドキング・マチガウイルスという特殊個体! その個体はこの世界、人間世界のヌルリスを作ったハッカーが持ってるはずなのっ!」

「……なるなる、つまり自分達の世界を元に戻すためにあなた達はこの世界に来たと。
 ちなみにあのさんさん、三幹部については?」

 ヒトヤミの質問に対し、ナノピコは分からないと答える。

「……姫様なら良く知ってるはずなの。でも、どうにも記憶が曖昧で、何故かその辺の記憶が……」

 と、「あれ〜、なの?」と頭を捻るナノピコ。
 そんな中、パソコンを操作していたヒトヤミが「……!?」とびっくりしていた。

「たいへんたいへん、マチガウイルスロボが現れたぁ〜」

 「どうしよう!」と迷う中で、急遽ヒトヤミの電話に連絡が入る。それを神妙な面持ちで聞いていたヒトヤミが彼らにお願いする。

「おねがいおねがい、敵のロボット倒して欲しい」

 切実に、手を合わせてお願いするヒトヤミに、言うまでもなく「任せろ!」と返すプリキュアの3人だった。



 アリスト学園がある陸続きの小島、その小島の工場広場にて巨大メカがいた。
 真ん中には【N】と書かれた金属の身体、そこからはボクサーの赤のパンチンググローブ。そして足は金属板の脚が伸びていた。背中にはジェットパックを背負っており、金属の翼が伸びていた。

「はっひ、ふっへ〜! これこそウメタリアの新発明! 磁石とボクサーで、ジシャクボクサーロボであ〜る!
 この最強・無敵・完全無欠・完璧なロボで、この世界を電脳化させてみせるのであ〜る!」

 ――――ど〜ん、どんどんっ!
 と、ロボに乗ったウメタリアは工場街をどたばたと歩いていた。

「このメカのウイルス構造は、過去最も硬い強固なロボになっているのであ〜る!
 故に、プリキュアが現れようとも完璧に、勝てるのであ〜るよ! ふふふふふっ、であ〜る!」

 と、そう言って嬉しそうに工場の街並みを破壊しながら電脳にしていくウメタリア。上機嫌なウメタリアの前に、その機嫌を台無しにする者達が現れる。

「そこまでよ、ウメタリアさん!」

「ウチらが相手になったるで!」

「生徒会長として、あなた方の好き勝手にはさせません!」

 そう言って現れたのは香椎イリス、柚子ミズホ、長者原スバルの3人。いずれもフレンズ、スパークル、アイギスの3人に変身するプリキュアである。

「プリキュアであ〜るか? まぁ、この最強のジシャクボクサーロボに死角はないであ〜る!
 さぁ、変身でもなんでも、して見るが良い! で、あ〜る!」


「「「言われなくても!」」」

 3人はそう言い、プリキュアに変身する為にスマホにカードをかざす。


「うんっ! すっごーいの、やっちゃうよ!」

 力強く、クラスタが宣言して、スマホの電源をいれる。スマホにはカードスキャンの画面が映し出されており、クラスタはそこに持っていたカードをスキャンする。

「キュアライゼーション! オオカミっ!
 愛を、今ここに! レッツ・プリキュアチェンジ!」

 イリスが叫ぶと共に、彼女の姿が真っ白な光に包まれる。

 まず、彼女の髪が動きやすいように整えられると、大きなIカップの谷間から1匹の白い獣が出てくる。それはネコだった。可愛らしいワンちゃんがイリスの周りを駆けまわり、それと同時に彼女の姿が変わって行く。
 赤を基調としたエプロン風の洋装に姿を変え、靴も動きやすそうな黒いシューズへと履き変わる。そしてワンちゃんはクルリとイリスの前で一回転すると、彼女の中へと消えていく。

 髪の上には犬耳、そして長い白の犬の尻尾。
 世に言う、アニマルコスプレはまさにこれだろう。

「人の愛の、救世主! キュアフレンズ!
 すごーい、力を、見せちゃうよっ!」


「ウチも、やったるで!」

 勢い込むミズホは、スマホにカードをタッチする。

「キュアライゼーション! スプラッシュっ!
 美しさを、今ここに! レッツ・プリキュアチェンジ!」

 ミズホが叫ぶと共に、彼女の姿が真っ白な光に包まれる。

 彼女の前に大きくてオシャレな洋服箪笥が出て来て、ミズホが開けるとそこからリブ生地で作られた胸を強調する白いセーター、足のラインを強調する赤いスカートを手に取る。
 ミズホはセーターとスカートを手に取り、着替えを始める。セーターを着る際にKカップの、特大の大きさを誇るおっぱいが大きく揺れ動いていた。そしてそのおっぱいから高貴な魔法の杖が出て来て、それとは別に幻想的なランプが出てきていた。おっぱいから出る際に、少しだけ頬が赤くなって恥ずかしそうだった。

 頭に被る、魔女が被るような円錐型の帽子。
 帽子と髪にリボンがついた、オシャレな魔女の姿となっていた。

「輝く星の、救世主! キュアスパークル!
 私の美しさは、弾けるわよ!」


「プリキュアとして戦う、それが私の決定事項!」

 絶対に達成する、そんな勢いの元、スバルはスマホにカードをかざす。

「キュアライゼーション! アイギスっ!
 安らぎを、今ここに! レッツ・プリキュアチェンジ!」

 まず、彼女の髪がきららかな艶のある緑色になり、鮮やかな色に変わると共に、足元まで長々と伸びるとそれはゆったりと膨れ上がっていた。緑色の薄い布の上に、胸当てだけの甲冑。腕と脚に緑色の手袋と靴。青い、スカートをはくと、そこに騎士団のマークが刻まれる。
 両手に一瞬盾と扇が生まれると、それは緑色の光となって消えていく。

 騎士団の甲冑と服装。一瞬だけ見えた盾。
 それはまるで、あらゆるものを防ぐ騎士の言葉が相応しい姿である。

「安らぐ樹木の、救世主! キュアアイギス!
 安心して、私が着いてるわ」


 3人のプリキュアは攻撃を開始した。
 この中で唯一、ウメタリアのロボ型と戦った事があるキュアスパークルは、速攻で決着をつけようとする。

「一瞬で、決着を着けてやるわ!
 喰らえっ! プリキュア・スプラッシュハンマー!」

 キュアスパークルは身体中から泡を生み出すと、大量の泡をハンマーの形へと形作る。そのまま泡のハンマーで、ウメタリアのジシャクボクサーロボに向かって叩き潰すように動いていた。
 それに対して、ウメタリアはポチッとボタンを押すと、ジシャクボクサーロボの身体の真ん中の【N】のマークから光線が出て泡のハンマーを破壊していた。

「キュアスパークルぅ! お前の技は、水に弱めの我がロボには禁句としかなりえないのであ〜る! だから積極的に潰すのであ〜る!
 磁石波動な攻撃開始で、あ〜る!」

 キュアスパークルを覆うようにして、電磁波が放たれる。放たれた電磁波は、キュアスパークルを対象として彼女を捕らえていた。

「くっ……!」

「キュアスパークル! 今、助けます!
 それが決定事項です!」

 キュアアイギスが扇を持って、そのままキュアスパークルを助けに行く。それに対してウメタリアのジシャクボクサーロボのパンチが炸裂する。

「……っ! プリキュア・アイギスシールド!」

 ガードが間に合い、キュアアイギスは防ぐことに成功する。続いてキュアフレンズが谷間から大量の、犬を生み出していた。

「……っ♥ いっけぇぇぇぇ〜!」

「「「「「「「「「「わんっ!」」」」」」」」」

 キュアフレンズの大きな胸の谷間から生まれた、大量のワンコ達がジシャクボクサーロボを襲う。
 けれども、ウメタリアの硬いロボをワンちゃん程度では、壊す事は出来ない。


「ははははっ! 吾輩の完全勝利であ〜る!」



「プリキュア! ワクチン・インパクト!」

 そうやって調子乗っているウメタリアロボの死角から、注射器を持って突撃した私の攻撃は、謎の黒い壁によって防がれる。しかし謎の壁の正体は、すぐさま理解できた。

「……砂鉄、ですか」

「正解で、あ〜る! 流石はキュアワクチン!
 キュアワクチンの攻撃は我々の脅威であ〜るが、砂には効果がないであ〜るからな!」

 そう、キュアワクチンの弱点は多い。その中で一番強いのが、キュアワクチンの優位性はマチガウイルスにのみ働くと言う所。このようにウイルスとは関係ない、物体で防がれるのが一番有効なのだ。

「そして、ボクサーのリーチの短さは磁石で解決! ポチッと、ナウ!」

 ウメタリアがボタンを押すと共に、キュアワクチンの身体が何故か相手へと近付いて行く。

「……くっ! これは磁力、です!?」

「正解であ〜る! 短いリーチは磁力で近付かせる!
 これこそがジシャクボクサーロボの力、であ〜る! 磁石ラッシュ!」

 ジシャクボクサーロボが行うラッシュ。それに対して、キュアワクチンは逃げようとするも、逆に自らの身体がパンチンググローブに吸い寄せられてしまい、どうしても当たってしまうのである。
 なので、防ぐので精いっぱいだった。

「楽勝! 快勝! 至極、順調!
 これで吾輩の勝利は決定されたようなモノであ〜る!」


「それは、どうかしら?」

 順調に自身の勝利を確信するウメタリア。それに対して刺激するような事を言ったのは、諫早タマエ。
 彼女の手にはスマホ、そして変身するためのカードが握られていた。

「……あなた達の仲間であるチュンドラ、彼女が持っていた電脳化したハンカチを研究する事によって、得た力! 今こそ、お披露目の時です!
 これこそが、人類の! いや、科学の力です!」

 そう言ってタマエは4人と同じプリキュアに変身するスマホに、カードをかざす。


「キュアライゼーション! バレットっ!
 英知を、今ここに! レッツ・プリキュアチェンジ!」

 スマホから現れた、大量の液体。それは彼女の前と後ろから大きな棺のようにして立ち上がり、ガチャッと両側からタマエを挟んでいた。
 そして棺から水蒸気が立ち昇り、棺が開くとそこには気高い青いプリキュアの姿があった。

 藍色の髪は先の方に従って色素が薄く、服は肩から露出した青いワンピース。クロのスカートの両側にはフリフリが、黒い長いシューズを履いていた。そして背中には歴戦の勇者が背負うような無骨な剣、そして両腕には二丁の銃を持っていた。

「知性高き最高峰の、救世主! キュアスマート!
 メモの用意は、良いかしら?」


「新しい、プリキュア?!
 えぇい、吾輩の力を舐めるなであ〜る! 磁力マグネット!」

 スイッチが着くと共に、タマエが変身した姿――――キュアスマートもジシャクボクサーロボに引き寄せられていく。

「私は、英知のプリキュア。キュアスマート。
 相手が近付かせようとするなら、逆手に取るまで」

 キュアスマートはそう言って、二丁の拳銃を構える。二丁の拳銃が赤く染まると、銃から赤く燃え上がる銃弾がジシャクボクサーロボに当たる。
 当たると共に、ジシャクボクサーロボが真っ赤に燃えて、急にキュアスマートが近付くのが止まっていた。

「キュアスマートの銃弾は火、雷、氷の三種類を使いこなす属性を使いこなす銃弾使いなのです!
 あなたの磁力は、熱によって消滅。そして――――氷で」

 今度はキュアスマートの銃が青く染まると、放たれたのは氷の弾丸。それはロボの脚を凍りづけており、動きを止める。

「うっ、動けんのであ〜る?! こっ、これはまずそうであ〜る!」

「えぇっ! そして、これこそが科学の力の結晶よ!」

 キュアスマートが二丁の拳銃を合体すると、大きなバズーカ砲に変わっていた。そして金色に光り輝くと、その銃口をウメタリアの乗るロボに向けていた。


「喰らいなさいっ、これこそキュアスマートの必殺技! 科学によって生み出した、プリキュアとしての力!
 ――――プリキュア! ライジング・バズーカ!」


 そして、放たれたキュアスマートのバズーカの砲弾は雷光を纏って、ウメタリアのロボを貫く。


「ぎゃああああああ……って、あれ? で、あ〜る?」

 ――――しかし、ウメタリアのロボはピンピンと健在していた。



「ばっ、バカな!? 人類の、科学の象徴たる、キュアスマートの必殺技で、倒れない……ですって?!
 いくら、ウメタリアのロボ型ウイルスが他より硬いからって……?!」

 キュアスマートは、自身の必殺技で倒せなかった事にがっくりし、ピンピンしているウメタリアは嬉しそうだった。

「やはりっ! 吾輩のメカは最強! で、あ〜る!
 さて、それでは止めをっ……!」

「……ワクチン・インパクト」

 ――――その背後に、ワクチンの注射器が突き刺さる。
 途端にジシャクボクサーロボが赤く点滅しだし、ウメタリアの顔色が悪くなる。

「……あっ、やばっ。なので、あ〜る!
 ここは一旦、たいさ〜ん! で、あ〜る!」

 ウメタリアが逃げ出すとほぼ同時、ウメタリアのジシャクボクサーロボは爆発する。

 そして、今もなお落ち込んでいるキュアスマートに対し、キュアワクチンは無慈悲な言葉をかける。

「力不足、です。人類の英知とやらも、大した事ない、です。
 ……だから言ったの、です。あなた達には関係ない、と。
 ――――もう私のことは、ほうっておいてください、です」

 キュアワクチンは後ろを振り返らず、キュアスマート……電脳防衛協会の面々は黙って見つめるしかなかった。




「負けてしまった、であ〜る!」

 一方、アジトに戻って来たウメタリアは駄々をこねていた。
 今回の作戦はウメタリアにとって自信作のメカだった。途中までプリキュアを圧倒していた点も含め、あと一歩でプリキュアを追い詰めた! それなのに負けてしまった。
 あまりの不甲斐なさに、ウメタリアはうぅ……、と小さく声を出す。

「……いや、悪くなかったでし〜」

 と、そう声をかけたのは同じ幹部の1人であるチュンドラである。
 いつも通りのメイド服の半龍の姿で現れたチュンドラに、「どういう意味であ〜る?」とウメタリアは言う。良く見ると、チュンドラの手にはどこかで見た事があるような、銀色の物体が握られていた。
 そう、まるで今日、今さっき乗って来たジシャクボクサーロボの一部のような……。

「失敗があるとすれば、磁石の使い方でし〜。
 確かにリーチの短さを引き寄せる磁石で快勝したのは良い点でし〜。けれども、警戒すべきはキュアワクチンの注射器のみと考えれば、その対処を充填すべきでし〜」

「なっ、なるほどであ〜る! だが、それならどのようなロボを作れば良いかを今すぐ考えねば……!」

 悩み始めるウメタリアに対して、「力を貸すでし〜」と答える。

「考えた本人がアイデアを出すのは当然でし〜。
 そう、このジシャクボクサーロボの破片を使ってやれば、素晴らしいのが出来るでし〜!」

 素晴らしい……?
 どう言う意味かが良く理解できていないウメタリア。それに立敷いて、チュンドラは破片にカードを近付け――――


「ジシャクボクサーロボの破片よっ! マチガウイルスの力によって、新たな姿へと書き変われ!」


【次回予告!】
「遂に、クラスタ姫がこの世界に来た目的が明らかになったえる!」
「そして、新たなプリキュアも脅威じゃないと分かって一安心える!」
「プリキュア達、恐るるに足らずえる! 世界はヌルリスのモノえる!」

 次回、サイバープリキュア!
【放て、必殺の一撃! 新たなプリキュア、キュアスマート!】

「……ところで、チュンドラとウメタリアはなにしてるえる?」
「なっ、なかまはずれはダメえるぅ〜!」