電乳戦士サイバープリキュア 第11話【始まりの地 《電脳王国》のプリキュア】

帝国城摂政 作
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◇前回までの、あらすじぃ〜!◇
 プリキュア達の皆はアクセス湖へと旅行に行く事になった。しかし、アクセス湖には《ヌルリス》の三幹部がおり、プリキュアに気付いて三幹部共同制作のタビシタインダオーと戦う事となった。
 無事、必殺技のプリキュア・サイバーで倒したが、タビシタインダオーの【バス移動】能力で別の場所に連れて行かれる。
 そこは――――数年前の、《電脳王国》。最初のマチガウイルスの患者《ホスト》、シュバルツ・ヘイ。そしてキュアワクチンが生まれた、あの日だった。


第11話【始まりの地 《電脳王国》のプリキュア】

「ううっ……いててぇ」

 キュアフレンズ――――変身解除して香椎イスカに戻った彼女は、擦りむいた腕を撫でながら、辺りの様子をうかがっていた。

 辺りをうかがうと、そこにはイスカ以外にもミズホ、スバル、タマエの姿があった。
 けれども辺りの光景は、一変していた。

 カクカクとしたアイコンで出来た木々、ツイッターアイコンが描かれた橋。橋の先には漫画でしか見た事のないような大きな西洋の城があった。

「ミズホちゃん! スバルちゃん! タマエちゃん!
 皆、起きて! 起きて!」

 思いっ切り、肩を揺らすイスカであるが、3人はなかなか起きない。

「……う〜ん、どうしよっかなぁ? よしっ、いつものあれで行くかな?」

 そう言って、イスカはわしゃわしゃと両手を動かすと――――

「そーぅれ、こちょこちょ〜!」

 ――――ガシッ! と、両方の手でイスカは、"ミズホの胸を鷲掴みにしていた"。

「――――//////」

「おっ、反応したねぇ? よーぅし、イスカちゃんの神テク、見せちゃうよ!」

 その勢いで、イスカはミズホの他にも、倒れているスバルとタマエの胸を思いっ切り鷲掴みしていた。

「わしゃわしゃ〜♪」

「……//////」

「良い子良い子ぉ〜♪」

「――――っ//////」

「よしっ、次はイスカちゃんの、友達磨きのために始めたうるとらはいぱーすーぱーな、マッサージテクを披露しちゃうぞぉ! えいえいおーーーーっ!」

 その後も、わしゃわしゃと、うぎゃうぎゃっと、ガコンファコンと――――そのような感じで、3人はイスカによって目を覚ましていた。もっとも3人ともなんだか妙にエロっぽい夢を見ており、服が肌蹴ているのも気にはなったが。

「ううっ……なんだかウチ、ヤらしい夢を見てたような……」

「生徒会長……? いや、娼婦……?」

「尋問対策用のハニートラップ対策が……役に立った……あれがなければ……やられてた……」

 ――――大分、やばかったようである。
 ミズホとスバルの2人はきょろきょろと辺りをうかがって、さっきまでと場所が変わっていたことにあたふたしていた。そんな中、タマエは「……これが、《電脳王国》?」と考え込んでいた。

「――――あっ、あれれ?! くっ、クラスタちゃんが居ないよ?!」

 皆がキョロキョロと辺りをうかがう中、一番最初に起き上がったイスカが、クラスタが居なくなった事に気付いた。他の皆もそんな事を考えて、とりあえず探すためにあの城に向かう事となった。

「よぅし、早速レッツゴー!」

 そう言って、歩き出して――――


「「「「「「あっ……」」」」」」


 と、歩き出すと共に、プリキュアの後ろの草の茂みから《ヌルリス》の2人――――サエスディとウメタリアが現れる。

「ここで会ったが、なんとやら、える! 今すぐお前達を地獄へ叩き落としてやるえるよ! 《ワームブレード》でぶった斬るえる!」

「……くっ、ここは吾輩も協力するであ〜る! 《ウイルストリガー》であ〜る!」

 サエスディは《ワームブレード》の虫が巻き付いた剣を振るい、一方ウメタリアは《病気》の二文字が達筆にデザインされたスナイパーを構えていた。
 プリキュアの4人は変身すると、サエスディとウメタリアの2人の武器に対処していた。

「スプラッシュ・ホールド!」
「アイギスステップ、という決断!」

 キュアアイギスが空気を固めてサエスディとウメタリアを取り囲み、キュアスパークルがさらにその上に泡と言う形で取り囲んでいた。

「うっ、動けない感じでえる?!」
「だ、だが……射撃なら可能であ〜る! 反撃の続行、であ〜る!」

 ウメタリアはそう言って《ウイルストリガー》のトリガーを構えて銃口を向け、それに対してキュアフレンズとキュアスマートはそのまま、サエスディとウメタリアの2人に攻撃を向けていた。

「いっ、くよぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「スマートにっ! 一気に倒しますっ!」

「《ウイルストリガー》、ウイルス弾連射!」

 ウメタリアの攻撃と、キュアフレンズとキュアスマートの連携攻撃。その2つがぶつかると同時に、激しい衝撃が――――


――――どっっっごぉぉぉぉっぉぉぉぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおぉおおおおおおおおおんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんんん!


 激しい衝撃波がプリキュア、そして《ヌルリス》の2人の幹部を襲っていた。

「ちょっ……! この衝撃波は凄すぎであ〜るよ!」

「な、なにかすごぉぉっぉぉぉい力が感じられたよ」
「けっこう、デカかったですね」

 その衝撃波の出所は――――あの西洋っぽい大きな城からであった。



 一方、その衝撃波の出所たる西洋らしい城。その城では衝撃波を放ったチュンドラ、そしてそれと相対しているキュアワクチンの姿があった。
 2人の背後には、ぶっ壊れて動かなくなっているタビシタインダオーの姿があり、キュアワクチンとチュンドラの2人はそれぞれの武器を構えていた。

「あらあら〜、避けられるだなんて面倒でし〜。さっさと倒されてくれるとありがたいでし〜」

「……こんな場所に連れて来られて、そのまま倒されるだなんて冗談、です」

 キュアワクチンは注射器を構えると、その注射器の入っている液体の色が赤い色に変わる。それを自分に突き刺して挿入すると共に、キュアワクチンの瞳が赤色に染まっていた。

「――――キュアワクチンのワクチンプログラムの1つ、超反応ワクチン。このワクチンを用いる事で、あなたの攻撃を全て避けきる事が可能、です」

「……うわっ、なんともダルいやり取りでし〜……っと、この膠着状態を何とかできる方達が現れたみたいでし〜」

「……誰の事、です?」

 その質問にチュンドラは答える事はなかったが、その代わりにその答えとなる人物達が現れていた。そう、プリキュアの4人とサエスディ、ウメタリアの2人である。

「く、クラスタちゃん? なにしてるの?」「う、ウチらも手伝うで!」「遠慮する事はありません!」「…………」
「チュンドラ? なっ、なにをしているでえる?」「我々に説明するであ〜る!」

 キュアワクチンが動揺する中、チュンドラの顔がニヤリと笑みをこぼす。

「……役者は無事、全員揃ったみたいでし〜。さて、それではとっとと披露させていただきましょうでし〜。
 タビシタインダオー、第2形態発動でし〜よ!」

 チュンドラがパチリと鳴らすと共に、タビシタインダオーの目が光り輝く。光り輝くと共にタビシタインダオーの顔が、仮面が裏返る。
 裏返ると共に、その瞳からまばゆい光が辺りを包み込んでいた。

 キュアワクチンは止めようとするも、チュンドラの《トロイトンファー》から出たワイヤーにがんじがらめにされて、胸を大きく強調する感じに縛られて身動きが取れなくなっていた。

「「「「「こ、これは一体……!」」」」」

「旅の醍醐味、その4。それは《旅の思い出》。
 見せてあげるでし〜、《ヌルリス》とキュアワクチン――――クラスタ姫との因縁を。それを見れば、クラスタ姫も、そして彼女を慕い愛するプリキュアの4人も、"絶望する"でし〜よ」

 そして、光はあの時を映し出す。
 ――――キュアワクチン誕生の日を。



 これはとある日の話、随分と昔の話である。
 ――――《電脳王国》。電脳空間に存在するそのファンタジーな王国では、その日も平和だった。
 当たり前である。異常気象も、犯罪も、自然災害も、その全てがデータとして完璧に管理されている社会で、どんな異常事態が起きようと言うのか。
 《電脳王国》に住む人々の中に着件や恐怖と言った言葉は欠片もなく、ただただ幸せに暮らしていた。

 そんな平和な《電脳王国》に、1つの異常が起きたのを見つけたのは、クラスタ姫であった。

「――――なに、あれ……」

 "赤い空"。
 夕方のような空と言う意味ではなく、文字通りただ赤い空。そこから何十、何百ともなる黒い怪物達が降り立つのを見て、クラスタ姫は本能的に逃亡を決意した。

「ひっ、姫様! お逃げください! あの黒いのはヤバいです!」

「分かっています、です! 今すぐパパッと逃げますので、あなた達も逃げなさい、です!」

 焦りながらも心配して来るメイド達に素早く指示すると、自信も逃げるために城の中を走っていった。

(だっ、大丈夫、です! 何が起きているのか全く分からない、ですが、それでもきっと大丈夫に決まっている、です!)

 自分に言い聞かせるように、クラスタ姫はそう言いながら場内を駆け回り――――


「……くくく、そんな逃げ腰でどうしたるるる?」


「あっ、あなたは誰!? です?!」

 クラスタの前に現れた"そいつ"は、彼女が見た事のない化け物である。
 16歳くらいの、女子高生。彼女の頭からは2本の黒い大角、背中から生えている大きな左翼。両腕と両脚は鋭い漆黒の角のようになっており、胸元からは4本の屈強な腕が出ていた。

「――――くくく、おれっちの名前はシュバルツ・ヘイ。お前は《電脳王国》の姫、クラスタ姫だなるるる?
 この《電脳王国》は今この時より、このおれっちが頂くるるる! 故に、おれっちの手によって倒されるが良いであるるる!」

「訳の分からない事をっ! この世界は、あなたなんかが支配できる訳ないでしょ!」

 クラスタ姫がそう言い切ると、シュバルツと名乗ったそいつは胸元から出ている4本の腕をこちら側に向けており、その4本の腕にはそれぞれ銃が握られていた。

「くくく、なにを言おうとも無意味でしかあり得ない、と言っておきまするるる。
 おれっちはハッカー、この電脳世界ではおれっちのハッキングスキルによって自由自在だるるる! 喰らえるるる、バグによって存在を変えるマチガウイルスを!」

 シュバルツの腕に持っている銃、それから一筋の光が伸びて行く。そして伸びた光は、クラスタ姫を貫いていた。
 その瞬間、クラスタ姫の身体が燃え上がる。

「あっ、あああああああああああああああああああああああああああああああっ!」

「燃えろ、燃えろ、燃えろんだるるる! 存在全てを凌駕し、お前は我らが組織《ヌルリス》の配下として甦るんだるるる!」

 シュバルツが高らかに笑い、そしてクラスタ姫の姿がみえないほどの大きな炎で包まれる。



「キュアライゼーション! ワクチンっ!
 救済を、今ここに! レッツ・プリキュアチェンジ!」

 クラスタが叫ぶと共に、彼女の姿が真っ白な光に包まれる。

 まず、彼女の銀色の髪が桃色の、鮮やかな色に変わると共に、背中の方まで長くさらーっと伸びる。服は真っ白なドレス、かと思いきやその上にピンク色のワンピースが着けられる。ワンピースに押し潰さられ、ただでさえ大きな彼女の胸がさらに大きく見える。
 靴もカジュアルなピンクの動きやすそうなシューズに、両手には殺菌のためかピンク色の手袋がはめられる。

 右手に持つ大きな注射器、そして背中の白い翼。
 それはまるで、白衣の天使の言葉が相応しい姿である。

「世界の浄化の、救世主! キュアワクチン!
 スーパープレイ、見せちゃうよっ!」



「――――っ! プリキュア!? プリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアプリキュアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!」

 プリキュアに変身したクラスタを見て、発狂した声をあげるシュバルツ。
 発狂したシュバルツは銃を乱射して、その乱射した銃から出た銃弾が城内のあちらこちらに飛んで、当たった傍からマチガウイルスの怪物となっていく。

「プリキュア! お前らだけは許せないるるる!
 ――――我らが配下のマチガウイルスの怪物達よっ! あのプリキュアをぶっつぶせるるる!」

「――――プリキュア、これさえあればあいつらを倒せる、です!
 さぁ、勝負と行きましょう、です!」


 ――――これが、《電脳王国》の姫クラスタの最初の変身であり、そして物語の始まりであった。




「これが数年前の、"実際に"起こった出来事だし〜。タビシタインダオーの力によって再生したこの映像こそ、《電脳王国》で実際に起きた事で、これこそがお前達プリキュア達に見せたかった光景でし〜。
 ――――江ノ島クラスタ。他の皆は自分の心から変身アイテムを手に入れたが、彼女はシュバルツ・ヘイによって既にマチガウイルスに感染していますし〜。本当ならば死んどいたはずの彼女は、ここで死んどくのが、一番良いでし〜?」

「え、えっと、そ、そそ、そうえるね! そうえる、そうえる!」
「よしっ、一緒に戦おうじゃないかであ〜る!」

 《ヌルリス》の3人はそう言って、

「……私は許されませんが、それでも倒します、です。それが私の役目、です」
「いっくよぉぉぉ! クラスタちゃんを倒させはしないよぉぉぉ!」
「ウチも同意見やで! やったるでぇぇ!」
「生徒会長として、生徒の悩みは私が解決します!」
「…………。」

 プリキュアの5人も構えていた。

 どうするのかと思うと、サエスディの身体を赤い光が包み込む。《ヌルリス》の2人が驚き、キュアスマートが「あれを……!」と指差す。
 大きな城、そこから出ている得体の知れない怪しげなデータの光。その光が、サエスディを包み込む。

「……かはっ! な、なにえるか! これは!」

「「さっ、サエスディぃぃぃぃぃぃぃ!」」

 《ヌルリス》の2人が困惑する中、サエスディの身体が白い煙に包みこまれる。


【我が配下たるサエスディよっ! 強制変異したマチガウイルスの力によって、新たな姿へと"歪み"変われっ!】

「いっ、いやあああ! かっ、身体が、か、変わる! 変わってるううううう!」


 そして白い煙が晴れると――――そこには、頭に戦車の被り物をしたサエスディの姿があった。
 背中からは七門の砲門がこちらを向いており、足には車輪がつき、彼女の周囲を妖精サイズの馬が2匹回っていた。

【――――我が名は、サエスディZ。またの名を《チャリオット》のサエスディ。
 圧倒的な戦車の力を喰らうが良い、トリニティチャリオッツ】

 彼女の背中の七門の砲門が宙へと浮かぶと、プリキュア達5人。そしてウメタリアとチュンドラ――――合計7人にそれぞれ一門ずつ向けられていた。そしてそこから色とりどりな光が飛び出て、全員にぶつかる。

「な、なぜえええええええ!」
「さ、サエスディいいいいいい!」

 急に姿の変わったサエスディの攻撃によって、《ヌルリス》の2人の幹部は吹っ飛ばされる。
 プリキュアの5人も大きな胸元が、物凄く焼け焦げてしまっていたが――――5人はまだ生き残っていた。ただ、もう満足な身体、とは言えない。
 次に同じ攻撃を喰らってしまえば、もう倒されてしまうだろう。

【次で最期だ、我らが宿敵たるプリキュア達よ。
 我はサエスディZ、《ヌルリス》の意思の体現者。シュバルツ・ヘイの意思を継し者なり】

 7つの砲門は宙で一体化し、その砲門に2頭の小さな馬が入り込む。そして、光が集束して行く。

「……っ! キュアワクチン、合体ワクチンを使うしかありませんっ!」

 キュアスマートが急かすように言うと、キュアフレンズ、キュアスパークル、キュアアイギスの3人も同意する。キュアワクチンもどうしようもないと賛成して、合体ワクチンを取り出していた。



「この場面だとこれしかない……みたい、です!
 "合体ワクチンウイルス注射器"、発動ですぅ!」

 キュアワクチンが注射器の中身を押し出すと共に、ドギツイ桃色の液体が5人のプリキュア全員を包み込む。包み込むと共に、5人の身体が桃色の液体にドロッと溶けて行く。
 桃色の液体に5人の身体が溶けると共に、それは溶け合って1つの巨大な人間に再構成して行く。

 桃色の液体が融合して生まれた人間は、10mはあろうかという巨大な女の姿をしていた。
 胸は5mはあろうかというばかりの、身体の大きさからしてもとても大きく、服なんてないにもかかわらず桃色の身体の彼女の身体はイヤらしいと言うよりも、神々しさを感じる美しさがあった。
 そして身体の各箇所には5人の特徴があった。右手には注射器が取り付けられており、胸の大きな谷間の中からは可愛らしい犬がこちらを見ており、髪は泡のようにシュワシュワと弾けていた。左手には盾、そして背中からは大量の銃が前を向いていた。

『完成っ! プリキュア・サイバー!』

 女神のような美しさを誇る彼女、それが5人のプリキュアの合体したプリキュア・サイバーという姿であった。


『いっくよぉ〜! フレンズ・ブレーカー!』

 プリキュア・サイバーの大きく揺れ動く谷間、それから出た大きな白い液体。
 胸から出ただけあって、それはまさしく母乳のようであった。その母乳には乳濁色の、沢山の動物達が混ざっていた。


【その必殺技も、我には――――サエスディZには効かぬ。
 秘技チャリオット・ザ・サエスディっ!】

 ――――しかし、サエスディも負けずに、砲門から銃弾を発射する。光を纏った2匹の小さな馬は、プリキュア・セイバーの出した乳白濁色の動物達にぶつかる。

【――――しねぇい!】

 小さな2匹の馬はプリキュア・セイバーの出した光の中で一体に合体し、そのまま光をかき分けて、プリキュア・セイバーにぶつかった。


『う、ううっ……!』

【ははぁ、お前らの力も倒せるっ!
 我々の完全勝利ぃは、近いるるるっ!】



 プリキュア・セイバー……合体した5人の中で、キュアワクチンは考える。

(まずい、ですね。このままでは敗北は必須、です。
 ――――仕方ありません、です。合体ワクチン以上に使いたくなかった、"あれの出番"、です)

 プリキュア・セイバーは、大きく育った谷間をゆっさゆっさと揺らして、中から新たな注射器を出していた。


『新たな力を見せて上げましょう、です!
 ――――コピーワクチン、通称嫁分身ワクチンっ!』

 ばんっ、と上に向けて放つと、注射器の中身がプリキュア・セイバーへと降り注ぐ。

 降り注ぐと共にプリキュア・セイバーが振動して、そこから"2体のプリキュア・セイバー"が新たに生まれる。

『続いてペーストワクチン、通称嫁合わせワクチン!』

 そして3体とも巻き込むように、別の注射液の中身をぶちまけていた。そして3体の、同一の身体が融合していく。身体は3人分合わせるように大きくなり、腕と脚は6本。頭も3つに変わり、その姿はまるで異形の女神。異様さと妖艶さを併せ持つその女神は、6本の腕を相手に向けていた。

『最終、というかこれっきり奥儀!
 たゆんたゆんたゆんコピーペースト・バーストっ!』

 先程よりも大きな光、それに対してサエスディZは先程と同じ必殺技を向ける。
 しかし、先程よりも強い勢いは止められずに、大きくたゆゆんっと揺れているサエスディの胸元にぶつかる。

【ば、バカなぁあああああああああ!
 ま、負けるなどあり得ないでえるぅぅぅぅぅうぅぅぅぅ!】

 それと同時に、タビシタインダオーの顔が開き――――5人のプリキュアは吸い込まれ、


 気が付くとサエスディは消え、元居たアクセス湖の場所まで戻っていたのであった。



「合体解除、と、です」

 プリキュア・セイバーから戻ったキュアワクチンは、そのままの勢いでコピーワクチンとペーストワクチンを投げ捨てた。

「……これだけはもう絶対に使わない、絶対にだ、です」

「えーーーーー、楽しかったのにぃ! すっごぉぉぉい経験だったのに!」
「生徒会長として、あの激しい経験はもう一度体験すべき」

 興奮するキュアフレンズとキュアアイギス。

「イヤ……なんつーか、その。アレやな、アレはちょっとなぁ……」
「なんとなくいや、と申しましょうか」

 逆にキュアワクチンと同じく否定するキュアスパークルとキュアスマート。

 なんとなくそんな感じがあった後、キュアワクチンのスマホからナノピコが現れる。ナノピコはいつもとは違うしずしずとした、しおらしい態度で現れると――――一人でに語り出す。

「……《電脳王国》の中には、プリキュアとなった姫様があそこで止めていれば良かった、という意見もあったなの」

 キュアワクチンは強かった。
 けれども、シュバルツ・ヘイを止められず、この世界を乗っ取られた。
 それを恨んで消えて行った仲間も居る――――ナノピコはそう語る。

「……プリキュアとして変身したきっかけは、あなた達と姫様とでは違うなの。
 姫様はあのままマチガウイルスの怪物として暴れていたのかもしれないし、本当に怖かったなの」

「……ナノピコ」


「だから、思いっ切り慰めて欲しいなのっ!
 出来れば、失恋を吹っ切る女子高生くらい、盛大に派手にっ!」


 急にニコォォという感じの、物凄い笑顔になったナノピコを見て、嫌な予感がするキュアワクチン。しかし、その前にキュアスマートを除く3人のプリキュアにガシッと掴まれる。


「水臭いやないか、クラスタはん。うちら友達やろ? あんたが落ち込んでたら、強制的に慰める。
 それが粋ってもんやで!」

――――それは粋じゃない、単なる度の越えたお節介。

「生徒会長として、ここまでの過去を知った以上、放って置く事は出来ない」

――――生徒会長、関係ないよね?



「じゃ、とりあえずバーベキュー食べよ? クラスタちゃん♪」



 結局、キュアフレンズの言葉が最後となり、おなざりとなっていたプリキュア合宿はここでスタートとなるのであった。



【第1部 Pre-Cure編 完】



【次回予告っ!】
「ううっ、サエスディがやられるだなんて信じられないであ〜る!」
「油断があったとはいえ、まさかプリキュアにあんな変化があるだなんて、これは一度報告を纏めといた方が良いかもしれないんだし〜。今後のためにも」
「そうであ〜るな! 吾輩も、賛成であ〜る!」

次回、サイバープリキュア総集編!
【《ヌルリス》まとめよ! わっしょいプリキュア!】

「と言う訳で、チュンドラ。次回のために気分を盛り上げるマチガウイルス怪物を作るのであ〜る!」
「……それ、必要あるかだし〜?」