あわてんぼうサンタ

帝国城摂政 作
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 私は、名ばかりの大学1回生である。高校生の頃になんとなく"この田舎から出たい!"などという、謎の使命感を持ってしまった私は、2つ隣のちょっとばかり都会の街にある大学へと進学した。勿論、一人暮らしを目的に。
 大学の名前は、名秤大学。歴史だけが無駄に長い、その割に講義の合否が受講5回(ちなみに講義自体は15回+軽いテストあり)を満たしていれば可能と言う四流大学。この大学の売りとしては合否の判定が非常に緩い事と、歴史だけは無駄にあるおかげで集まった大量の書物だけという所だ。
 私はあの街から出たかったのと、それから貴重な書物に興味があったので、その名秤大学に進学した。

 他の大学に比べれば随分と速いペースで1回生の講義の合格権を手に入れた私は、暇になった時間を趣味のネットサーフィンに精を出した。私が借りているアパートはエロサイトなどの不当サイトに手を出さなければ、基本無料と言うのが売りなのだ。
 私は趣味の暇つぶし程度に、とあるサイトにて自作の小説をアップしているのだが、その程度だ。ちなみにその小説はあまり読まれていないのだが。

 話を戻そう。
 その日は11月の下旬、既に寒さが厳しくなっている時期だった。
 親にとってはなんのために大学に進学しているのか分からないような生活をしている私の元に、母親から連絡が入った。5月に連絡して以来、実に6か月振りの事である。

『士、飯田橋さん家の双子ちゃん、覚えてる? ほら、あんたより3つ下の』

 母にそう言われて、私は飯田橋さん家の事を思い出していた。確か母の妹、つまり私にとっては叔母にあたるところが飯田橋という名前で、そこには確かに私より3つ下の双子がいたはずだ。
 元気そうな短髪の姉と、大人しそうな長髪の妹。中学に入る前にあったのが最後だから、多分私が6年生の頃だから、彼女達が3年生の頃か。つまりはかれこれ6年は会ってないという事だろうか。

 ちなみに、士とは私の名前である。加納士、それが私の名前である。

「なんとなくだけど、覚えてるよ」

『その飯田橋さんの妹さんの方、あんたの家の近くにある名秤女学院に行きたいみたいなのよ』

 ちなみに名秤女学院は大学から3kmほど離れた場所にあるお嬢様学院で、大学の方とは違ってこちらは本物のお嬢様ばかりが居るエリート高である。ちなみに偏差値はおよそ60とか。
 飯田橋さんの家は確か、北の大地のあのチーズが有名なところだったはずだから、確かにかようにしては遠すぎるだろう。

『その妹さん、その高校に合格したらしくてね。けれども、家からは通えないらしくて、それだったらうちの士のアパートに一緒に住んじゃえばという話になってね。
 それであんたのアパートに住まわせることにしたのよ。問題、ないわよな?』

「軽いなぁ、まぁ、良いけど」

『ありがとね、士。一応、クリスマスの頃に行くみたいだから、掃除しといておきなさいよね』

「分かったよ、母さん」

 うちのアパートに男女同衾を禁ずる法律はない。もっとも、そういう理由でうちのアパートを利用している人は居ないんだけど。
 特に反対する理由もなく、大家さんの方には母の方から連絡してもらえるという話なので、私は了承しといた。特に反論する理由も思いつかなかったし。

 電話はそれで終わりだったのだが、ここで私は1つミスを犯した事に気付いた。
 ‐‐‐‐そう言えば、飯田橋さんの双子妹って、なんて名前だっけ? なんか、双子の妹的な面で覚えているので、名前を覚えてないのだ。



 12月中旬。大学で資料集集めをしていたために、帰りが遅くなってしまったある日のことだ。
 既に時計は18時を示しており、空からは今年初となる白い雪がちらちらと降り始めていた。世の中は既に来週のクリスマスムード一色な中、私はアパートに帰って来た訳なのだが、その際に大家さんに話しかけられた。ちなみに大家さんは去年、新卒で入った会社を退社した可愛らしい女性さんである。3年勤めて退社したらしいので、まだまだピッチピチの20代前半の女性である。

「あら、加納さん? 今帰ったのかしら?」

「えぇ、大家さん。ただいま、帰りました」

 ちなみに、私はこの大家さんの事が好きである。とは言っても恋愛的な意味ではなく、夜のおかず的な意味でなんだけど。
 私の身長は170くらいあり、大家さんはそれよりもほんの少し低いのだ。その結果、会社時代にさんざん同僚にからかわれていたと言われるダイナマイトなおっぱい‐‐‐‐確か、Gカップだったか。その立派なお胸様が上から覗けるのだ。そのたびに、大家さんが「もぅ、仕方のない人ねぇ……」と言いながら、おっぱいを腕で押さえているとさらにたゆんっ!とお胸様を強調してくれるから好きなんですよね。夜のおかず的に。
 けれどもその日の大家さんの様子は違った。なんかこう、物凄い興奮した様子で鼻息荒くして話しかけてきた。そのおかげでいつも以上にタユンタユンと揺れ動くお胸様が見えてくるので、眼福でたまりません。

「さっきね、加納さん家にお客さんが訪ねてきたわよ。そりゃあもう、すっごい人が」

「すっごい人、ですか?」

 大家さんも十分、私からして見ればすっごいボディの人なんですがね。その大家さんがわざわざ"すっごい人"と言っているんだから、そりゃあもうヤバいくらいすっごい人なんでしょう。

「加納さん家に用があったみたいなので、大家さん権限で中に入れときましたっ!
 じゃあ、ちゃんと伝えたからね、加納さんっ!」

 そう言って、大家さんは奥の自室へと帰っていった。勝手に部屋にあげるなんてなんて横暴だと思うが、大家さんはそこまで危ない人は入れないだろう。
 なんとなく、気になる所ではあったのだが‐‐‐‐考えても仕方がないので、自室へと戻る。

「ただいまぁ〜、っと……えっ?!」

「おかえりなさい、なの」

 自室に帰ると出迎えてくれたのは、そりゃあもうすっごい人だった。モデル張りの愛らしい顔立ちをしており、緩くウエーブしてまとまった髪が特徴である。
 それより印象的なのは、彼女の恵まれすぎた体つきである。身長は軽く2mを軽く超えており、おっぱいの大きさもそれに似合った大きすぎるおっぱい。恐らく、軽く1メートルを超えており、大きさとしてはMカップと言った所だろうか? とんでもなくデカい事は確かである。

 そんな外国人もびっくりな超スペックボディを持っている彼女は、私の部屋でゆっくりとくつろいでいた。
 ‐‐‐‐何故か、"ミニスカサンタ服で"。

 普通の人でも短すぎてハレンチだと言われるような恰好なので、彼女の恰好から考えればそれはもう下着と一緒だ。いや、下着より酷いのかも。
 上の袖なしの可愛らしい赤い半袖の服は胸の上半分しか隠せておらず、下のスカートに関しては動いてしまうと見えてしまいそうだった。

 そんなどこぞの風俗嬢かと言いたくなるような、刺激的な格好をした彼女は「はぁ〜い、なの」とこちらに手を小さく振って、近寄ってくる。

 "デカい"。素直にそう表現するしかない大きさである。
 大きいと動くことで揺れるというのは事実なのは大家さんを見ていると分かる。けれども彼女のは違う。
彼女がただ呼吸することによって、ただそれだけでゆっくりと、だけれども確実に揺れていた。
 目の前で、下半分が素肌と言うヤバい状況のミニスカサンタさんの超特大おっぱいが揺れている状況。あまりにも非科学的な状況に、思わずごくりと喉を鳴らすと、クスリと彼女は笑っていた。

「なにをしているんですか、なの? ここはあなたの家ですから、気軽に入れば良いと思いますよ、なの。
 ささっ、ずずいっ、と」

「あ、あぁ……」

 彼女に促されるようにして、私はそのまま部屋の中に入っていく。
 いつも自分が暮らしている部屋のはずなのに、何故かフローラル(?)な良い香りが漂ってきていた。そしておっかなびっくりの様子で入ると、急に彼女がむぎゅっと抱き着いてくる。
 私は知らなかったのだが、女の子の胸ってのは柔らかく‐‐‐‐そして、"温かい"。女の子の胸に包まれるという素晴らしい状況を堪能しつつも、状況の説明を願う私。

「こ、これはいったい?!」

「‐‐‐‐私からのサービス、なの」

 うふふっ、と笑い、ミニスカサンタ娘は笑っていた。

「実は私、サンタクロース、なの。今日はね、クリスマス前の特別営業としてあなたの部屋にプレゼントをて来た訳、なの」

「‐‐‐‐プレゼント?」

 もう既にこの状況自体がプレゼントだと思うのだが、彼女は微笑みながら答える。部屋の中に置いてあったダウンコート(恐らく彼女のだろう)のポケットを探った自称サンタクロースな彼女は、そこから小さな包装された箱を渡してくる。
 箱を開けると、中から綺麗なイヤリングが出てきた。

「これ、今年のクリスマスのために加納さんに用意しといたプレゼント、なの。是非、このミニスカサンタ娘ちゃんのプレゼントを貰ってほしい、なの」

「あ、ありがとう。けれどもお返しが……」

 彼女だって慈善事業ではないだろう。だから何かお返しをしようと思ったのだが、彼女は小さく笑っていた。

「サンタクロースはプレゼントをあげるのがお仕事な訳、なの。
 まぁ、今日はほんの少し早かったよう、なのが」

 あぁ、それに関しては同意である。
 今日はクリスマスの1週間前、確かに早すぎるプレゼントである。

「本来ならば貰う事もおこがましいんですが‐‐‐‐じゃあ、1つだけお願いする、なの」

「なにが欲しいんですか?」

 その言葉にサンタクロースさんはと言うと、少し恥ずかしそうに顔を赤らめながら‐‐‐‐


「‐‐‐‐一緒に寝て欲しい、なのよ」




 その日の夜に何があったのかは語りたくない。
 けれども1つだけ言えるのは、ベットが1つしかない部屋で2人ともベットに寝るにはどうすれば良いか。

 あと、超柔らかかったです。

「夢、だったのかなぁ」

 朝起きると、既にあのミニスカサンタ娘の姿はなかった。
 代わりに綺麗に畳まれたシャツ(昨日お風呂を貸してあげたのだが、その際に着るものがなにもなかったのでワイシャツをかしてあげたのだ。嬉しそうにシャツを掴む様子がなんとも言えない雰囲気を出していた)を見て、あれが現実のものだと知る。

「そう言えば、彼女なにか言いたそうにしてたなぁ……」

 何を言いたいのかまでは分からなかったが、なにかを言いたそうな雰囲気はひしひしと伝わっていた。その事を考えると、なにかがひっかっていた。
 そして1つ思い当たることがあった。なので、私は急いで母へと電話をした。

「もしもし、母さん。そう言えば飯田橋さん家の双子の妹の名前って、確か‐‐‐‐」




 急いで部屋を出て、駅へと続く道を走ると、やはり目当ての人物がいた。
 後ろ姿でも良く分かる。なにせ身長は2m近くあり、その上あのダイナマイトなおっぱいも考えると目立つのも当然だろう。

 私はその人物の、彼女の名前を大きな声で叫んでいた。


「さんたぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」


 私が叫ぶと共に、彼女は後ろを振り返る。その瞳にはうっすらと涙が浮かんでおり、なにより昨日見た時以上に嬉しそうだった。
 彼女は急いでこちらに近寄ってくると、そのまま「えいっ!」と恵まれた長い腕を私の脇腹に叩き込んでいた。

「ぐふっ!?」

「思い出すのが遅すぎ、なのよ。
 ‐‐‐‐兄さん」


 飯田橋さん家の双子、彼女達の名前は少し変わっていた。
 姉は《美しく光り輝く女の子になりますように》という願いを込めて宝愛瑠(じゅえる)、そして妹は《皆に幸せを運べる女の子になりますように》という願いを込めて‐‐‐‐三太(さんた)。
 なんとなく名前のインパクトが強い双子だったなぁという印象しかなかったため、名前を思い出せなかったのである。しかし、ようやく思い出せた。

「サンタ、久しぶりだな」

「久しぶりだな、じゃない、なのっ!」

 ぷんぷんっ、と彼女は頬を膨らませて、「怒ってますよぉ〜」という事を存分にアピールする。
 彼女からして見れば昨日訪ねたにも関わらず自分だと分かってもらえなかったのだ、怒って当然だろう。

「ごめん、って。
 しっかし、あの小さかったサンタがこんなに大きくなるなんて‐‐‐‐」

 正直、大きく育ちすぎである。

 聞けば、身長は2m28cm。バストサイズは137cmのMカップでお尻もかなり大きいらしい。
 私が最後にあった3年前はあくまでも小学生としてごく平均的な、それどころか少し小柄程度だったのに。3年と言う月日は人をここまで成長させるのかと驚いてしまうものである。

「可笑しなことは何一つとしてありません、なの」

 と、彼女は笑いながら、むにゅりっとその大きく育ったダイナマイトおっぱいを押し付ける。

「女の子は恋することで、美しくなる、なの。
 ‐‐‐‐ツカサ兄さん、恋する女の子の本気。舐めない方が良い、なのよ?」

 押し付ける彼女のおっぱいは、何故だか昨日よりも大きな気がした。
 まさか、たった1日でそんなに大きく変わるなんてありえないのに。

 けれども、恋する女の子である中学3年生・飯田橋サンタの実力を私はまだ知らなかった。
 同時にこの少女と同棲することがどれだけの事なのかも。