幼馴染が《ししゅんき》になったけど、そんなの関係なく遊びたい少年の話

帝国城摂政 作
Copyright 2021 by Teikokujosessyo All rights reserved.

 ----このところ、葵の奴の様子がおかしい。
 葵ってのは、ボクの幼馴染の|神部葵《かんべあおい》のことだ。

 葵は性別分類的には女ではある。
 だが、ボクは中学に入るこの間まで、正確には彼女がセーラー服なんてものを着るまで、すっかり女であることを忘れていた。

 それくらい、いつも近い距離で接していたということだ。

 放課後は鬼ごっこか、野球、それともどちらかの家でテレビゲームで対戦したり。
 夏休みは、祭りに行って、お互いにかき氷を食べまくって、同じ時間に頭が痛くなったなんて、バカなことをやりあったり。
 お互いに、距離間が近づきすぎて、まるで家族のような存在だった。

 多分、ボクはわざわざ言葉には言わないけれど、葵も同じ風に思ってくれていると信じていた。

 2人の関係が大きく変わったのは、中学に入ってからだ。

 急に葵がボクのことをあだ名の「いっくん」ではなく、苗字の「斎藤」で呼び始めたり。
 それまでは、一緒に泥んこになりながら、バッタやら蛙なんかを捕まえていたような彼女が、急に女の子達とファッションとかの話で盛り上がったり。
 なんだか家に来たりするのも減ったし、下校も別々の時が多くなった。

 明らかに、なんだかおかしい。

 中学から出来た、新しい男友達によると、どうやら葵は《ししゅんき》という奴らしい。

 《ししゅんき》ってのは、女が男の事を意識しだして、距離を取るような時期で、葵がボクのことを避け出したのは、その思春期ってのが原因なんじゃないかってことだ。
 気になって、先生にも聞いたんだけど、《ししゅんき》の時期は、葵のような行動を取る子は少なくはないんだとか。

 でも、ボクはどうしても納得できなかった。
 葵が、ボクの幼馴染が、あんなに一緒になってバカやった最高の親友を、なんで《ししゅんき》ってヤツに邪魔されないといけないのか。

 ----だから今日、ボクは葵を学校裏まで呼び出すことにした。
 《ししゅんき》とやらのせいで、なんで今まで仲良くしていたのを台無しにされなければならないのか。

 葵には、言いたいことが山ほどあった。



「……なに? 斎藤くん?」

 校舎裏に行くと既にもう、不機嫌そうな様子の葵が待ち構えていた。
 セーラー服を着た彼女は確かに「女」って奴に見えるが、それを着なければまったく前と変わらない、ボクの大切な幼馴染の姿のままだった。

 短く、遊ぶためだけに切り揃えられたであろうショートカットヘアー。
 可愛らしいというよりかは、ツリ目がちで、男っぽい顔立ち。
 身体もボクよりも小柄で、まるであの頃のままだ。

 違うのは、ボクのことを「斎藤くん」って呼んで、なんだか迷惑そうにしているところくらいだろうか?

「わたし、今から他の女の子達と一緒に行くところがあるんだけど……」

 ----葵。昔はあんなに一緒に遊んだじゃないか。

「----っ! 今は、そんな事、関係ないんじゃない! わたし達、もう中学生なんだよ!」

 確かに、ボクは彼女のことを蔑ろにしてきた。
 でも、だからと言って、これ以上、無視されたくはなかった。

 ---葵! ボクはお前とまた2人でバカみたいに遊びたいだけなんだ!

 だから、ボクはガシッと、葵の肩を掴んで


「----ひゃっ♥」


 幼馴染の、今まで聞いたことがないような声を聞いた。

「さっ、斎藤くん!? どうして肩を掴んでひゃっ♥♥」

 ちょっと肩を掴んだぐらいで、彼女がこんなにも喘ぐだなんて、ボクは知らなかった。
 まさかこれが、《ししゅんき》ってヤツなのか?
 肩を掴まれたぐらいで、こんなにも喘いじゃうくらい、ヤバい病気だったのか?!

「やっ♥ やめっ♥ はなして♥♥」

 ガクッと、その場に座り込む彼女。
 これは、相当ヤバイ状況みたいだった。

 ----あぁ、悪い。

 ボクは葵とまた一緒にバカをしたかった、遊びたかっただけだ。
 苦しませたくはないから、すぐさま離そうとしたのだが、むぎゅっと、まるで手錠をつけられたかのように、手が肩から離れないっ!

 ----葵っ! ダメだ、手が離れないっ!?

「うそっ?! こんな時に、《ししゅんき》が来ちゃったの?!」

 ----《ししゅんき》? それって、先生が言ってた病気のヤツか?!

「これは……いっくん、速く逃げあぁぁぁぁぁぁ♥♥♥♥♥」

 久しぶりに呼んでくれた「いっくん」に感動する前に、ボクは彼女の喘ぎ声と共に、その変化に驚いていた。




 《むくむくむくっ♥》

 まるで身体全体が意思を持ってるかのように、彼女の身体が脈打つ。
 そして、彼女の身体が、まるで空気を入れられた風船のように、どんどん大きくなっていく。

 《ぶちぶちぶっちっ♥♥♥》

 服の繊維が千切れる音が、彼女の身体がどれだけ大きくなっていくのかを表しているかが分かった。

 彼女の身体はどんどん大きくなっていく。
 それと共に、どんどん女っぽくなっていく。

 ぺったんこだった胸は、どんどん大きくなって、ボクの身体は巨大化していく胸の中に入って行くようだった。

 《どくんっ♥ どくんどくんどくんどっくんっ♥》

 胸の中に入っていると、それだけで彼女の心臓が、どれだけ脈打っているかが分かる。
 明らかにヤバいレベルの心臓の鼓動音である。

 《むちっ♥ むちっ♥ むちっむちっ♥》

 スカートが破れる音なんかよりも先に、彼女のバランスボールのように膨らんだお尻が、ちょっと呼吸したくらいで揺れて、地面に大きく跡をつけていく。
 その跡はだんだん大きくなっていって、お尻はどんどん大きくなっていく。

 校舎裏にいたはずなのに、今は校舎を越えて、グラウンドまで見える。
 どれだけ大きくなるんだ、これっ?!

「いっくんっ♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥ いっくん♥」

 すーっと、大きく息を吸い込みながら、葵はボクにその大きな胸を押し付けてくる。
 もう覚えているのかも怪しいくらい、久しく触っていない母の胸よりも、葵の胸は、ボクに彼女が女であることを意識させた。





 結局、葵が、というよりも葵の巨大化が落ち着いたのは、10分くらいしてからだった。
 既に彼女の身長は座っていながらも雲の上に髪が来るくらい大きく、お尻は学校の敷地全体を踏み潰しても全然収まりきっていない。
 そして、まるで街の広さぐらいにまで巨大化した、ぼよんぼよんっと跳ねる胸の大地の上で、ボクは彼女に向き合う。

 ----葵、これって……。

「うん、《ししゅんき》……少女が、女になるってヤツ、かな」

 葵の説明曰く、少女は《ししゅんき》とやらを迎えると、大人の女の身体になっていくんだそうだ。
 普通は髪が長くなったり、胸やお尻が大きくなったりするんだそうだけど、葵の場合は、普通の女性達よりも----身体が急激に大きくなっちゃうんだそうだ。
 それをなんとかするために、他の人達に聞いてたんだそうだ。

 女ってのは、ボクが思っているよりも、難しいらしい。

「最近は、他の女の子達から止め方を聞いてたんだけど……それを聞く前に、いっくんのせいで、こんなことになっちゃったんだよ。
 ……まったく、戻れるとは思えるけど、胸もお尻も、ヤバいくらいに大きくなりそう。既製品じゃ、無理そうかもね」

 葵は「まったくもー」と言ってるみたいだけど、どこか嬉しそうな口調な気がする。

「でもまぁー、流石のいっくんも、こぉぉぉぉぉぉんなに、魅力的な身体になっちゃったら、わたしにメロメロになっちゃうんじゃない? わたしに、女を感じてないだろういっくんでもさぁ〜」

 まぁ、確かにこの身体には驚いた。

 ----これじゃ、ポ〇モン勝負が出来そうにないか。

「えっ----?! そっち?!
 もう、いっくんってば〜〜〜!」