幼馴染の《ししゅんき》は、案外反応が良かった話

帝国城摂政 作
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 その日の夕方、神部葵は家へと帰宅する。
 すると、妹の縁が部屋から出てくる。

 縁は葵の妹で、小学5年生。
 葵よりも小柄で、小学生らしい体格をしている、姉である葵の目から見ても、可愛らしい女の子である。

 けれども、今の縁の姿はどうだろう?
 身長はとても大きく、多分3m50pはあるだろう?
 小学生らしい膨らみもなかった胸は200pと、テレビでもあまり見ないほど大きく育っている。

 ----どうやら、またいつものように人を小さくして、大きくしているみたいである。

 葵の妹、神部縁は葵と同じく、《ししゅんき》の状態に入っている。
 葵が好きな人(本人には絶対!! 言わないけど!!)に触れられると、数百メートル単位で巨大化するのとは違い、縁は他人を小さくすることで自身を大人の体格へと変える力を持っている。
 最近目覚めたばかりのその力を使って、クラスメイトを小さくするのが彼女の最近のトレンドなのである。

「葵姉ぇ、お帰りぃ〜」
「縁、あんたまた大人の体格になっちゃって……そればっかりしてると、戻りにくくなるわよ?」

 実際、葵が言う通り、《ししゅんき》の時に大きくなりすぎると、マズい事が起きる。
 葵はこの間、一に触れられて《ししゅんき》を発症させてしまい、座っていても頭が雲の上に来るくらいに、そしておっぱいも大陸レベルにまで巨大化させてしまった。
 あれは政府の人達の助けもあってなんとか元の姿に戻れたのだが、全てが元通りという訳ではない。

 身長は20cmくらい伸びていて、胸も3カップくらいは大きくなっていたのでブラまで変える羽目になった。
 その上、最近は一を目で追う度に、身体の奥底が熱くたぎってしまって……その、色々と、ぬら……って、そんな話はどうでも良いのである!!

 《ししゅんき》はあくまでも、大人になりかけの時期。
 その時に、あまり大きくなりすぎるのを繰り返すと、とんでもない成長を遂げてしまうのだ。
 その恐ろしさについては、今はあまり語らないけれども、ほんのちょっとマズい事態になってしまうのである。

 だからこそ、葵は姉として、あまり大きくなりすぎないよう、縁に説教しようとした。

「縁、私の話を聞きなさい。《ししゅんき》で大きくなれるのが嬉しいのは分かったけど、あんまり大きくなると委員会が----」
「え〜いっ」

 と、そんな時である。
 縁が、葵に向かって"ナニカ"を投げた。

 投げられた"ナニカ"は葵の服の上にぴょんと乗る。
 埃だろうかと思っていると、ぐぐっと葵の服が伸び始める。

「えっ?」

 正確には、葵の胸が、服を破かんとする勢いで大きくなり始めていた。
 そして、変化は胸だけでは留まらず、葵の身体全体がぐぐぐんっと、大きく、家を突き破らん勢いで大きくなっていく。

「お〜、葵姉ぇ、すげぇ〜」
「ゆっ、縁?! もしかして、今の点みたいなのって、はじ----」


 葵がそれを言う暇はなく、葵は先日と同じように巨大化してしまうのであった。