俺は死んだ。
会社で20連勤した後、帰ろうとしてトラックの事故----で出来た、道路の凹みに足を引っかけて、頭から道路に倒れて死んだ。
こう言っちゃあなんだが、死ぬならトラックで轢かれて死にたかった。
なんだよ、トラック事故で出来た道路の凹みって。
俺があまりの雑な死に方にガックリしていると、神様って奴が来た。
どうやら俺のあまりの雑な死に方は、神様の予想外の出来事だったらしい。
予想外の出来事で死んだ俺に、神様がチャンスをくれた。
剣と魔法の、ファンタジー世界。
異世界。
そう、良くネット小説とかで流行っている、あの異世界転生をしてくれるらしい。
俺は喜んだ。
ネット小説は会社の帰りや休み時間の暇つぶしとして何度も何度も読んでいて、いつか自分も異世界に行ってみたいなと思っていたからだ。
ただ、ちょっとだけ残念だったのは、貰えるチート能力を選べないって事くらいだろうか。
俺が選んだ種族に対応したチート能力、ってことで貰えないって訳ではないみたいだけど。
……ともあれ、俺は異世界に転生することになったのであった。
俺が選んだ種族は、獣の特徴を持つビースト。
獣の特徴を持つ獣人とも呼ばれる、人型と獣の2つの特徴を持つ、そういう異世界モノの定番のような種族だ。
実家ではペットを飼ってて、動物が好きな俺にとっては念願の夢見た種族である。
俺は、そんな獣人一族の、勇者の一族の1人として生まれた。
勇者とは獣人の中で、一番強い人の事であり、つまり俺は獣人最強の息子ということである。
そして勇者とは名誉な事らしく、俺は王族のように常にメイドや執事にお世話される一日だった。
村の中には、様々な獣人が居た。
翼を持つ鳥の獣人、猫耳を持つ猫の獣人、たてがみが雄々しいライオンの獣人、おっぱいがいくつもある牛の獣人----。
まさに、アニマルワンダーランドっ!!
実に、嬉しい話である。
……だが、その想いは僅か数年で崩れ去ったのであった。
獣人とは獣の特徴を持った人だと俺は考えていたのだが、真実は逆であった。
獣人とは、人の姿を持つ、獣であった。
彼らにとって重要なのは、力。
野生の掟たる『弱肉強食』を地でいく彼らにとっては、力こそが正義、力こそが獣人としての掟なのである。
知性も獣寄りで、メイドや執事も彼ら基準の力のない弱者が務める者である。
さて、そんな中で俺はというと、チート能力で1番となった。
獣人の俺が1番となって得た能力、それは【無敵戦士】。
字の通り、俺は相手の攻撃を無効化し、相手は俺の攻撃に耐える事も避けることも出来ない。
……思えば、これが原因だったのかもしれん。
俺の目の前には、屈強な女獣人達がずらりと列を為していた。
その数、およそ1万人(あくまでも概算)。
そして、その女獣人達は、全員が美女であった。
人間で言えば、3mほどのリアルGTSサイズの、小さくてもIカップ位以上の美女達が、たゆんたゆんと胸を揺らしながら、俺へ迫ってくるのだ。
----裸で。
そう、裸である。
肌色、一色、である。
獣の特徴はあると言っても、頭の上に獣耳だったり、手が獣の爪とか腕になったり、尻尾が生えていたりと、アダルトなショップでも見るような光景なのだ。
前世人間の俺にとっては、獣人ではなく、ただのエッチな店の従業員にしか見えない。
そして、俺もまた裸である。
力第一主義の彼らにとって、防具を身に着ける事は力ではなく防御を選んだことになる。
つまりは、敗北者の証、という謎理論により、獣人はみんな裸である。
ちなみに、既に獣人の力競争から敗北しているメイドや執事は、服を着ている。
俺も最初は服を着ようとするも、獣人最強の俺が服を着る事は獣人全体の恥ということで、着させてもらえなかった。
おかげで、フルチンである。
我が愚息が、丸出し状態である。
----たゆんっ!
----たゆ、たゆんっ!!
そして、そんな俺に、屈強な女獣人達があの手この手で迫ってくるのだ。
自分達のおっぱいを丸出しにして、もう暴れ回る。
おっぱいは俺の身体に押し付けられるも性的な事ではなく戦い一色で、全然楽しめない。
ただ、デカいだけのおっぱいで、全身をもみくちゃにされる感覚って分かります?
大きく、柔らかいのに、ただあるだけなんですよ?
もう、目のやり場が辛いのなんのって、あと【無敵戦士】というスキルもそうだ。
セックス以外のヤツは、単純に【性欲に負けた】という扱いになるため、俺だけ常にギンギン状態なのに、一切出せない。
生殺し状態、である。
そして----獣人とは、人の姿をした獣である。
常時興奮状態の人とは違い、獣人は発情期にしか発情しない、セックスできないのだ。
相手と、俺の発情期が、奇跡的に重なった瞬間。
その時だけ、俺のギンギンになっているこれは、発射を許される。
----ちなみに、次の発情期は、半年後だそうだ。