『今日これから親戚の子達が来る予定だから』
「……へ?」
夕食時、母親からの電話は突然そんな話で始まった。
『今日来る予定なんだけどその反応だとまだ来てないんでしょ?』
「まだ来てねぇし、と言うかそう言うのはもっと早めに言っとけよ!」
『うん、言ってないって言うか言い忘れてた』
「そんな大事な事、言い忘れんな!」
『はははははー』
「笑って誤魔化すなよ!」
『まぁまぁ、良いじゃない』
「いや良くはねぇだろ……そんで、どんな人が来んの?俺も知ってる人?」
『うん、知ってる知ってるー。と言うか人"達"ね、姉妹だから』
「姉妹?」
『アンタの従姉妹よ、覚えてるでしょ?ハルカちゃんとヒサギちゃん』
「うー……むー……」
『何、覚えてないの?』
「いやだって、親戚とかここ数年全く会ってねぇじゃん。とーちゃんもかーちゃんも泊まり込みばっかで全然家帰って来ねぇし、俺だけだとまず親戚の集まりとかも行かねぇし」
『いやそこはちゃんと顔出すくらいしなさいよ……もう今年で高校生でしょ?』
「去年まで中学生だった息子に無茶言うなよ……ただでさえあんま好んで外出ねぇのに」
『ホント昔からインドアって言うの?ちょっとは外出て元気に遊びなさいよ……』
「あーもううるせぇな!……で、何で来るのかは知らねぇけど言っとくのはそれだけか?」
『そうそう、今日から二人とも住むことになるからよろしく!』
「……はぁ?」
『二人が、家に、住むから!』
「いや聞こえてるよ!……なぁ、今家って俺しか居ねぇわけだけど良いのか?年わかんねぇけど二人とも近いんだろ?」
『ハルカちゃんがアンタと同い年でヒサギちゃんは一つ下ね』
「年近っ!」
『まー、問題ないでしょ?アンタへたれだし』
「いやいやいやいや、問題大アリだろ!?何でそんなの相談もなしに引き受け」
と言った所で呼鈴が鳴った。
「……来たっぽいな」
『ほら、早く出てあげなさいよ』
「……切るなよ?まだ聞きたい事があるからな」
『はいはい』
そんな母親の適当な返事を聞き流しつつ、受話器を置いた俺は玄関へと足早に急いだ。