従姉妹との日々

時雨鴇音 作
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「んー……」

玄関へと続く廊下をややゆっくり歩きつつ、母親から聞かされた唐突な従姉妹について思い出そうと試みる。

(……うーん、従姉妹か……かーちゃんの話じゃ俺も知ってるらしいけど……あー……もしかして)

ふと、小6くらいまで夏休みに行っていた母親の故郷の事を思い出す。

(そういや、あそこでそれなりに遊んだ覚えのある子達が居たっけ……あの二人が従姉妹だったのか?)

姉妹の顔が辛うじて頭に浮かび、一緒に遊んだ記憶も同時に呼び起こされる。

(しっかりして方が姉で、内気な方が妹か?今思うとわりかし可愛い子達だったんだよなぁ……ただ、あの二人と遊んだ事以外は毎年行く度にかーちゃんの趣味に付き合わされてたのがすっげぇ嫌だったっけ)

あの頃の記憶が頭に浮かぶと思い出されるのはとある嫌な記憶……あれのせいで中1になってからは全力で行くのを嫌がった覚えがあるのも思い出した。

(あとそれとは別に、その時期辺りからちょうどかーちゃんもとーちゃんも仕事が忙しくなってきたから恒例だったそれも親共々行かなくなって……もう三年くらい経つのか、時が経つのは早いねぇと)

そんな事を思っていると元々長くはない廊下が終わり、玄関に着く。
ドアのすりガラスの向こうには一人分の人肌らしき色が確認できた。

(ん、一人なのか?いやいや、単に後ろに居るだけだろって)

等と微かに湧いた疑問を自己完結しつつドアを開く。

「お待たせしまし――――」

「きゃっ」

「へ?」

開いたドアに何かが当たったかと思えば中途半端に開いたドアの向こうから短い悲鳴が聞こえ、そのまま見えていたすりガラスの肌色がうずくまったらしく下へと消えた。

「……だから言ったのに、近づき過ぎだって」

「だ、だって、あんまり後ろに下がってるとひぃちゃんが困ると思って……」

「……あたしは少し離れた場所に居たって良いって言ったと思うけど」

「離れてる間に何かあったら大事だからダメ!」

「……はいはい」

と二人の会話が聞こえた。

「えーと……大丈夫ですか?」

俺はそんな感じにドアの向こうへと話しかけた。