従姉妹との日々

時雨鴇音 作
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「あっ、はい、大丈夫です!」

ドアの向こうからはそんな返事が聞こえ、そのまま続けて声をかける。

「そんな勢いよく開けたつもりはなかったんですけど、当たってしまったみたいですみません……開けられますか?」

「開けられます!こちらは本当に大丈夫なのでお気になさらずに!……ひぃちゃん、ちょっと下がってくれる?」

「……ん」

そんな感じのやり取りが聞こえてから中途半端に開いていたドアが開かれる。
そしてその向こうに居る人物を見て……――――俺は絶句した。

「こんばんは、失礼します。この度は私達の無茶なお願いに応じて頂きありがとうございました」

と玄関に入ってきた姉の方らしき人物が挨拶してからお礼を言ってくるものの、俺の視線はある一点へと釘付けにされてしまった。

(す、すっげぇ……何だこれ)

そんな安直な感想と疑問しか出てこない程のそれは彼女の俺から見ればやや小柄な体には余りにも不釣り合いで、今まで見た事もない程の大きさをした……胸だった。

何せ今までそんなに狭いとは感じた覚えのない我が家の玄関が、彼女が入ってきた事により一気に手狭に見えてしまい……その圧倒的な存在感は一段上に居る俺の方まで侵食してくるのではないかと錯覚する程だった。

「え、えーと……どうかしましたか?」

俺が返答できずにいると彼女は小首を傾げながらそう聞いてきて。

「へ?あっ、いや、その……お、俺もついさっき電話でかーちゃ、じゃなくて母親に聞いたばっかで」

そんな彼女に俺は今まで見ていたものを誤魔化すように視線を上に上げながら咄嗟に思い出したさっきの母親とのやり取りについて話した。

「あっ、そうなんですか?」

「は、はい、まだ電話は切ってないのでこのまま……ハルカさん?達をリビングにでも案内した後に詳しく聞いてみようかなーって、ははは!」

「そうなんですね、じゃあ、その……置いてもらえますか?」

「はい?」

彼女の言った意味がわからなかったものの視線の先を追うとそこには来客用のスリッパ。

「あ、はい、これで良いですか?」

「はい、ありがとうございます」

俺がスリッパを縁に並べておくと彼女は微笑みながらそう言った。