夢現のマサムネ

時雨鴇音 作
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「正夢」

正夢と言うと普通は「夢で見た事が目覚めた後の現実でも似たような事が起こる」と言う認識だと思う……勿論オレも、普通の正夢と言うならそんな認識だ。

だから正夢ってのは本来、現実で起きても可笑しくはない夢を見て現実でもそれと似たような事が起こるから正夢になるわけで……余りにも突拍子も無いような夢なら当然、正夢になる事は有り得ない。

だが、オレの正夢は違った。

何か言葉が可笑しいような気がしないでもないが、いつ頃からだったかオレが見る夢はどんなに突拍子も無いような夢であっても現実で似たような事が起こる事が何度もあった。

これをオレは「夢現」の力と呼んでいる……何せ、ほとんど現実を改変するような無限の可能性があるからな!

しかしながら残念な事に全てが全て現実になるわけじゃない……何故ならこの力は制御する事が出来ないからだ。

何度か試してはみても上手くいった試しはなく……まるで物欲センサーでも仕込まれているのではと疑いたくなるくらいに現実になって欲しいと強く望む夢程、現実になる事はまず無かった。

そしてオレもこの自由になれば万能とも言えそうで、でも決して自由にはならないそんな気まぐれの猫のような性能故にどんな微妙な夢でもたまに変われば良いな程度と半ば諦めていた……。



「でも、でもだッ!流石にこれは諦め切れねぇだろォ!」

平日の朝、目が覚めて飛び起きたオレは開口一番にそんな切実な思いで思わず叫んでしまう。

「だってよう、クラスで一番可愛くて話した事も無かった貴嶺さんがめちゃくちゃデカイおっぱいになってオレの彼女になってくれるオレ得過ぎる夢とか諦め切れねェよ!しかも、何でもう少しであんなデケェおっぱいを揉めそうな所で目覚めるんだチクショウゥゥゥ!」

それはもう、余りに無情な目覚めだった事は言うまでもない……そこで部屋の襖が勢いよく開き。

「ちょっとうるさいよ、真宗!もうちょっと静かに起きな!」

「……はい」

そんな朝の一幕だった。