夢現のマサムネ

時雨鴇音 作
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「早く食べちゃいな、ただでさえ朝は時間がないんだからね」

「ふぁい」

「口に物がある時に喋らない!」

「……はい」

「よろしい」

なら食べてる最中に話しかけんなよ、と出そうになった文句を引っ込める……言い返してもどうせ面倒にしかならないからだ。

「私はもう出るけど、食べ終えたらちゃんと片付けなさいよ?」

そんな言葉に今度は首肯で応え、玄関へと向かう姉を見送る。

「じゃあいってきます」

「いっへらっはーい」

「だから口に!……もうっ」

そのまま玄関の引戸を開けて出てく2つ上の姉を見ながら。

(顔もスタイルもわりと良いのに口うるさ過ぎてなァ……だから彼氏とか出来ねェんだよ)

もうここには居ない相手に心の中で文句を言いながら、改めて今朝の夢を思い出した。

「あー、ホント良い夢だったなァ……あれがマジで正夢になれば最高なのになァ」

言ってみて微妙に虚しくなる。

(とりあえず、なるべく意識しないようにすれば多少確率は上がるか?いやいや、そんなの関係ねェのはもうわかってんだろって……でもなァ、諦めるにはホント惜しい夢なんだよなァ)

食べ終えた食器を片付けながら一応の対策を考えてみるも、元々制御出来るわけでも無いので考えても無駄だった。

(せめて一部分だけ、貴嶺さんのおっぱいが超弩級サイズになるのだけでも現実にならねェかなァ……そうすりゃこれから毎日の目の保養になるしよォ)

ちなみに残念な事に貴嶺さんの元々のサイズは極上、じゃなかった極小級だった……でも物凄く可愛い上におっぱいがめちゃくちゃデカくなれば最高だろ?オレもそう思う。



そんなこんなで教室へと辿り着いたオレは特に挨拶をするような親しいクラスメイトも居ないのでそのまま自分の席へと座り机に顔を伏せた。

(……貴嶺さんが教室に入って来た時が勝負だ。何の勝負かはオレにもわからんが、その姿を確認にした時に夢現の力がちゃんと発動したかがわかる……!)

机の木目を見ながら一度息を吐いた。

(大丈夫、落ち着いてる、オチツイテル……オチ、ついてる?)

何て考えていたら。

「おはよー」

(……来た!)

貴嶺さんの声が聞こえた。