「会計担当のノヤに実際会ってみたいんですけど」
そう貴子さんに尋ねてみた俺。するとまさかの答え。
「会わせても良いけど、直接面と向かって会話とか無理よ?」
「会話が・・・無理って・・・?」
「ギガラ星人なんだよ?デカすぎて訳分かんないはずよ、会っても」
「と言いますと・・・?」
「あのねぇ・・・あんた微生物とかミジンコとかハッキリ見えるの?」
「いや顕微鏡でもなきゃ・・・って・・・なるほど」
「そういう事。モニター越しで初めて会話できるってわけ」
だがやっぱり会いたい。もう直接会ってない従業員は彼女だけなのだ。
そう思ってると、俺は厨房にいたドムさんからこんな話を聞けた。
「週末にこの場所に行くと良いっス。ノヤの奴、巨体を生かしたバイトをしてるとか聞いたっスから・・・」
ドムさんから地図をもらい指定された場所へ。
俺は、船で向かっていたのだが・・・
海のど真ん中に浮かぶ二つの島。そこには大勢の人が集まっていた。
小さな宇宙人、大きな宇宙人。地球人もすこしはいるようだった。
俺はノヤを探す。だが、こう人が多いと探すのも大変だ。
俺は必死に走り回った。すると目の前には壁が。
「あれ・・・?これって浴室の壁じゃなくて・・・確か・・・」
思い出すと同時にその壁も動いた。そうだ・・・これは・・・!
「あああっっ!絵草の間のお客さんでしょ!?」
「はい・・・あなたとは、胸の谷間でお話をした仲ですわ・・・」
「いや、その事は忘れてください・・・」
絵草の間のお客さん、忘れもしない・・・
全身を洗うサービスをしたがあの時はハプニングの連続で大変だった・・・
「お久しぶりです・・・何故温泉の就業員の方がここへ・・・?」
「いやぁ・・・知り合いがバイトしてるらしくて会いに来たんですが、どうも探せなくて」
「あらあら。では私とまたお話をしませんか?出来ればまたあなた様にこの体を・・・」
「ここで言わないで下さい!また温泉で会いましょうっっ!」
半ば、逃げるように走り去る。
しかし・・・ノヤの奴・・・一体この島で何のバイトをしてるんだ・・・?
結局、島全体を探したがノヤには会えず。
何でもあの島では秘密のパーティが開かれていたらしい。
そのパーティに招待されたのは広い宇宙でも、極僅かなトップクラスの大富豪だとか。
あの絵草の間のお客・・・また来るだろうなぁ・・・
「ドムさん!地図の場所まで行きましたがノヤいませんでしたよ!」
「えええっ!?おかしいっスねぇ・・・裏情報に詳しい知り合いから聞いたから、確かなんスが・・・」
「どちらの島も物凄い広かったけど、全部見て回りましたよ?」
「なるほ・・・え?今何て・・・?」
「ホントにあの島でバイトをしてたんですか!?」
「し・・・島?あの地図のポイントは海のど真ん中。陸地なんてあるわけないっスよ?」
「は・・・はい!?」
「俺も気になったんスよ。何にも無い海のど真ん中で、どんなバイトをするのか」
「でも確かに・・・あのパーティは海に浮かぶ大きな島で・・・」
ドムさんは「また何か分かったら教えるっス」と言い残し仕事に戻った。
分からない、夢でも見てたのか・・・?
その後、ノヤにモニターで聞いてみる。
「あのさぁ・・・ノヤ。先週の週末、何してた・・・?」
「え、先週の週末ですか?確か、バイトしてましたけど」
「どこでっ!?大海原に浮かぶ大きな島のどこ!?」
「・・・・・???浜辺で長時間、裸で寝てるだけの仕事でしたけど。簡単でしかも高収入で」
「へ?あの島の浜辺は全部調べたけど誰も寝てなんか・・・」
「そういえば、体を軽く海に沈ませた状態で、胸だけを海上に大きく突き出しておけっていう、変な条件が付いてましたね」
「・・・・・・・・・・いや、それは無いな」
「???大丈夫ですか、優弥さん?」
「いや何でも無い、変なこと聞いてごめん」
一つだけ想像出来た。ノヤがどこにいたか辻褄がこれで合う。
そう・・・あのパーティが行われた島、秘密裏に行うためにあえてあんな場所で。
パーティの日だけ現れ、すぐ消えたあの大きな島。そしてその日に海に体を沈ませて、寝いてたノヤ。
もう考えられる事は一つだ。
彼女の胸は大きい。モニター越しだが一度だけ見たことがある。
そしてあの島の形・・・二つの島がすぐ隣同士にあった。
あの二つの島はきっと、ノヤの両胸だったんだ。
土や砂をまいて、足元の肌の色を隠してはいたが間違いない。
土地に困った人々は、巨人の体を一時的に借りて
その両胸の上でパーティをしていたのだろう。
だとしたら彼女、ノヤはどれだけ大きいんだ?
俺が大きな島と思っていたのは彼女の胸の片方の
それも一部が水面に出てるだけ。
なのに絵草の間に来るようなお客が何千人と・・・
「優弥さんも仕事頑張って下さい。応援してますから」
モニター越しにとぼけた笑顔を見せるノヤ。
俺は彼女の真実にまだ少ししかたどり着けていないのだろうか・・・?