若奥様の悩み

voros 作
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「まずは食事の前に体を洗いましょうか」
 アル自身ドタバタ走ったりして汗をかいているのも有るが、
 土埃やら何やらで汚れた子供を家に上げるのは気が退ける。
 そんな訳で風呂へ入る事となったのであった。

「〜♪ ♪♪〜〜」
 湯に浸したタオルに石鹸を擦り付けて泡立てる。
 綿菓子の様な柔らかい泡が膨れ上がった。それを
 そっと掬い上げ、男の子に撫で付けた。

「さ、綺麗にしましょうね〜」
 先んじて湯を掛けた背中を軽く擦れば、それだけで垢が剥がれ落ちる。
 土埃や皮脂で茶色く染まった泡を流しては洗うと、痛々しい傷が姿を現した。

「傷に染みたりしてない?」
「うん・・・」
 借りて来た猫の如く大人しく洗われる子供に気を配りつつ、アルは湯を掛けた。
 母乳を飲ませた影響だろう。比較的新しい傷跡は癒えていた。

 しかし、この程度で安心はできない。万が一にも蚤や虱が居ては治療に差し支える。
 頭は勿論の事、耳の裏から下は爪先に至るまで繰り返し泡で磨き上げ――

「・・・・・・あら?」
 位置を変えさせ正面から向き合わせると、小さいながらも股座で立派に
 勃起する逸物が泡を押し退け顔を覗かせていた。心なしか男の子の顔は
 赤くなっている。湯を浴びて体が火照っただけでは無いだろう。

「もし痛かったらごめんね?」
 微笑みながらも優しげに逸物に素手で触れて垢を落とすアル。
 タオル越しでは落としにくい陰嚢の皺の間を、くすぐる様に泡を
 塗り込む。アルの爪に赤茶けた色をした垢が剥がれて溜まった。

「んっ・・・!」
「大丈夫? 痛くない?」
 返事の代わりに首を横に振って答える男の子。代わりに屹立した逸物は
 小刻みに震え始め、泡とは異なる湿り気を帯び始めていた。

「もう少しの辛抱だから、頑張ってね」
 爪の間に詰まった垢を洗い流し、今度は竿へと触れるアル。周囲より皮膚が少し
 黒ずんだ裏筋を片手で扱き、もう一方の手で皮に隠された逸物の先を指で擦った。

「ぅあっ!?」
 小さく呻いて一拍。一段と激しく竿が震え、竿の先から白濁とした粘液が迸る。
 硬さを失って縮む逸物。そして鼻を突く臭いが風呂場へと立ち込めた。

「傷に触っちゃったかな? 痛く無いようにするから、もう少しの辛抱よ」
 手を精液に塗れるがままにして、今度は双乳で竿を挟み込むアル。母乳をバスタブへ
 ありったけ注いだ事で二回り以上も小さくなったとはいえ、それでも大人の胴体を
 挟み込めるだけの大きさは残している。

「っぐ・・・お、お姉、ちゃん・・・!」
 射精したばかりの所に更なる刺激。堪らず男の子の喘ぎ声が漏れる。
 瞬く間に硬さを取り戻した竿が胸の谷間で揉まれていた。
 
 母乳を出して胸から張りが減った結果、自在にたわむ柔らかさが増しているのだ。
 元々の張りが水風船並だとすれば、今の張りは綿を詰めた枕に等しい。隙間無く
 竿から陰嚢まで包み込まれ、吐き出した精と泡が滑りを生み出す。もはや拷問に
 等しい快楽が男の子の背筋を痺れさせた。

「我慢しないで。好きな時に好きなだけ出した方が体には良いんだから」
 神聖力を帯びた母乳で体力は癒えており、一度や二度の射精で力尽きはしない。
 そして魔の血を引くアルの体液は精神を掻き乱し、肉体を不安定にする毒でもある。
 少量なら致死に至る事は無いが、多量に取り込んでしまおうものなら――

「いっぱい気持ち良くなって、ぴゅっぴゅしようね〜♪」
 アルが甘やかす様に耳元で囁き、唾液を胸に垂らして追い打ちを仕掛ける。
「あっ、また出ちゃ・・・うっ!」
 成す術も無く精を搾り取られ、力が抜ければ更に快感が増すばかり。もはや
 男の子は骨抜きにされていたのであった。

「それじゃあ綺麗になったし、お風呂に入りましょうね」
 アルは力なく胸にもたれ掛かる男の子を抱き抱え、そのままバスタブへと入る。
「ぬるかったり、熱過ぎたら教えてね?」
 男の子の返事は無い。されど、緩んだ表情が答えを雄弁に物語っていた。

「百まで数えたら出ましょうね。い〜ち、に〜い、さ〜ん――」
 ミルクの甘い香りが仄かに漂う風呂場で、鈴を転がすような声が響くのであった。













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「これでよしっと♪」
 細かく刻んだパンを母乳で煮込み、蜂蜜と香辛料で味を調えた特性パン粥。
 魚をニンニクやハーブにトマト、ワインを加えて煮込んだ汁物を付け合せ、
 気付け用にリキュールを垂らした白湯を注ぐ。胃に優しい献立が完成した。

「どうぞ、召し上がれ。御代わりも有るから好きなだけ食べてね」
 鼻をくすぐる良い香りが自然と食欲を誘う。腹の虫が目を覚ましたらしく、
 男の子から唸る様な低い音が響いた。

「い、いただき、ます」
 おずおずと食器を手に取り、湯気を立てる品々を口へ運ぶ男の子。
 最初は躊躇いがちだった手つきも、一口食べれば迷いが無くなったと見えて
 一心不乱に掻き込み始めた。

(良かった・・・口に合ったみたいね)
 言葉を口にする間も惜しむように食べる姿を見て胸を撫で下ろすアル。
 一先ず最悪の事態は避けられたと考えて良さそうだ。

「ごちそうさまでした」
「はーい、お粗末様でした」
 暫く様子を見守る内に食事を済ませた男の子。満腹感と湯上りの疲労からか
 眠たげに瞼を閉じかけていた。

「おねむかな? それじゃあ、こっちにおいで」
 そっと口元を拭い、手を引くと抵抗する素振りすら見せずに男の子が付いて行く。
 ようやく警戒心が薄れたようだ。寝室に辿り着くと、アルは軽々と男の子の体を
 抱き上げてベッドへ乗せた。

「お姉さんが一緒にいるから、安心して休んでね」
 しばらく添い寝をしていると、直に穏やかな寝息を立てて眠り始めた。
 アルは男の子に毛布を掛けてベッドから抜け出し、静かに寝室の扉を
 閉めて風呂場へと戻った。

「さて・・・今の内に」
 汗や垢だけでなく、埃に塗れて汚れた男の子の服を洗濯し始めるアル。
 石鹸を混ぜた水で擦り上げれば、本来の色合いや生地が姿を現す。

「ん〜・・・いっその事、新しく仕立てた方が良いかな?」
 生地の材質が悪いのも有るが、それ以上に長く放置していたのだろう。
 こびりついた染みは頑固に残り、無理に落とそうものなら服が裂けかねない。
 外に出て物干し竿に吊るしてみれば、服越しに空が透けて見える程だ。

「傷は乾かした方が良いだろうから・・・麻の方が良さそうね」
 居間に戻って裁縫道具を引っ張り出すと、手慣れた様子で
 端切れを縫い合わせて服を仕立て始めるアル。本職並とは
 いかないが、簡素なチュニックを縫い合わせて作り出した。

「ま、こんな物かな? 大きかったら折って詰めれば良いし」
 何時の日か子供に服を着せる事を夢見て裁縫の腕を磨き上げた
 甲斐が有ったと言う物だ。アルは再び寝室へと戻った。

「ちょっとごめんね〜。風邪を引いたら拙いから・・・」
 男の子に貸した夫の肌着では言うまでも無くサイズが合わない。
 少しばかり向きを変えさせてやれば、ブカブカの衣服を脱がしす程度は
 造作も無い事だ。そして仕立てた服を着せ直して毛布を掛け直した。
 
「これでよし。さてと、やるべき事をやらなくちゃ」
 アルは筆記用具を取り出すと、一心不乱に筆を執るのであった。