ニュータイプ

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 西暦2060年、人類は新たな進化を遂げた。
 ニュータイプと呼ばれる新たな世紀の子らの特徴、それは男性であるのに、大きな乳房を有することである。と言っても、筋肉質な体に乳房がついているような気持ち悪いものではなく、ニュータイプは総じて女性的な顔立ち、柔らかな肌、スマートな体型を持っていた。しかし、その股間にはれっきとした男性自身がついていた。
 なぜこのような男が生まれてきたのか? その理由は定かではないが、乳房を持つにいたるメカニズムは解明されている。
 普通、人間は年ごろになると性腺刺激ホルモンと呼ばれる物質が脳から発せられ、その刺激を受けた性腺、男なら睾丸、女なら卵巣や子宮が発達し、そこから男性ホルモン、女性ホルモンを分泌し、性器を発達させていく。男性が筋肉質な体に、女性が脂肪を貯え女性的な体に成長していくのは、このホルモンの副作用である。ではニュータイプはどうであろう?
 ニュータイプの脳を調べてみると、男性の脳とまったく変わらないことがわかる。その脳からは当然、男性の体になるよう、性腺刺激ホルモンが送られる。ニュータイプもまた、普通の男性のように男性ホルモンを造り、男の体になるはずだった。しかし、彼らの体には女性ホルモンが造られる器官があった。それは乳房の中、乳腺である。睾丸より脳に近い場所にある乳腺は脳からの刺激をいち早く受け、女性ホルモンを造り出す。一方、脳は体中に充満する女性ホルモンを異常と感じ、男性ホルモンを造るよう体に指令を出す。しかしその指令を受けるのは女性ホルモンを造り出す乳腺、体はますます女性ホルモンを造り出すようになる。その結果、女性ホルモンに刺激された乳腺は発達し、乳房は大きくなっていく。一方、少量ながら性腺刺激ホルモンを受けた男性器も発達するが、男性ホルモンが微量なため、体に影響を与えることはない。男性器のみの影響にとどまる。こうして、ニュータイプの体は女性以上に女性ホルモンを蓄え、その乳房は女性以上に肥大していく。ある調べによると、女性にの平均的乳房はDカップであるのに対し、ニュータイプの平均はQカップであるという。
 このような体になったニュータイプは、いったい自分達をどのように捉えているだろう。ニュータイプ発生当初は、手術による乳房切除が行なわれていたが、当人の希望するケースは少なかった。それどころかニュータイプ達は自らの乳房を誇り、隠そうとしなかった。その理由は、彼らが男性であることが挙げられる。男性であれば乳房の嫌いな者はいない。大きければなおさらだ。どんなに女性として成長しようと、その脳は男性。彼らは男性として、自らの肉体を愛した。
 2100年になると、全人類の男性すべてがニュータイプとして生まれるようになった。彼らは自らを『ニュウ(乳)』と称し、自由気儘に生きた。彼らはその大きな乳房を好み、ニュウ同士の恋愛が横行した。それは前世紀の暴力的な男性の世界ではなく、性を超越したアンドロギュノスの愛と平和の世界だった。しかし、その一方で新たな差別が生まれていた。
 ニュウの台頭で男性がいなくなり、その影で女性は前世紀以上の不遇の立場にあった。大きな乳房を好むニュウにとって、どんなに大きくなってもOカップ程度の女性の乳房は、なんら射好心を望むものではなかった。ニュウの乳房はZZガンダム……じゃなかった、ZZカップにまで成長する者もいたのだから。
 こうして世の女性達は、子供を生むための道具とまで成り下がるようになった。
 この事態を打破するため、ある女性科学者グループが革命的な発明をするのだが、それはまた別のお話。