騎士団長ユルキナの受難 4

茶畑 作(物語・絵)
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「う…」
ヴェイラはゆっくり起き上がると、今までの出来事を思い出していた。
そう、今は戦の最中。気絶などもっての他、死を意味する。
しかし自分は死んではいなかった。
そして思い出した。三人の兵士が死んでいったのを。そして自分が敵に挑み、他愛もなく倒れていったのを。
記憶がフラッシュバックする。
「…!そうだ、ユルキナ!!」
周りに騎士団長はいない。そして敵の総大将もいない。
「これは…」
騎士団長が、危ない…!
「ユルキナ…ッ!!」
ヴェイラは湿地に突き刺さっていた剣『シェイドソード』を掴み、湿地の泥濘に脚を取られない様に、敵の陣地へと走り出した。

敵軍の陣地…。
兵力は底を尽き、この国の未来はほぼ絶望視されていた。
中にはキスカの騎士団に勝てないと悟った瞬間、逃げ出した兵もいた程、戦う気力がなかった。
しかしキスカ王は略奪・乗っ取りを快く思わない為、戦で勝って、一つの国を滅ぼす…ということは決してしなかったし、他の国々の人々もキスカの国に憧れ、敗戦した国の民がキスカ国に住みつく事はよくある事だった。

「いやあ…ッ!!」
陣地のテントの一つから、恥じらいの混じった女性の悲鳴が聞こえる。
「おお、デカい割には柔らけえんだなあ!!」
総大将―名をアレスという―は、ユルキナの背後に回り、ユルキナの大きく育ったみずみずしい豊満な乳房を、揉みし抱いていた。
「あ…ん…っ!」
アレスが動かす指にそって、巨峰…ユルキナの乳房が形を変える。

(私…胸を揉まれているのに…感じてる…!?)
「ガハハハ!!このオッパイがお前の性感帯か!?こりゃあ『アノ薬』サマサマだなあ!!」
アレスが動かすスピードを速める。
「んあぅ…!…はんっ…!!」
ユルキナの色っぽい喘ぎ声が、テントに響き渡っている。
「そらそらァ!!さっさミルクをダしちまいな!!」
更に動きが加速する。
「や…めてぇ…!!いや…んはあ…ッ!!」
「そうすりゃおめえはもう戦えなくなる!!ただの雌牛になって、ずううううっと乳を出すしかなくなっちまうんだ!!愉快だよなあ!?あの騎士団長様がよお!!」
「あんっあああ!!」
アレスは笑いながら腕に力を込めた!
「あああああああああっ!!!」
びゅるっびゅるるっ…
遂に、ユルキナの育った果実から、果汁…ミルクが勢いよく噴射された。
「これで…テメエはもう、雌牛だ!ガハハハハ!!」
アレスはくたくたになり、肌が汗でぐっしょりと濡れている。醜悪な笑顔と共に。
「はあ…はあ…は…あ…」
ユルキナもその場に自分の乳房を抑えて…いや、抱えて倒れ込んでいる。
その時、いきなりテントの入り口が開いた!
ヴェイラがユルキナの悲鳴を聞きつけ、助けにきたのだ。
「へへ…殺せよ…。俺あもう満足だ…。」
「そうさせてもらう…!」
一閃。ヴェイラはシェイドソードを横一文字に凪いだ。
アレスは鮮血を噴出しながら倒れ、散々苦しめられた相手をようやく倒し、戦を終結させる事が出来た。
ヴェイラは剣に付着した血を拭い、ユルキナに歩み寄った。
「ユルキナ…いや、騎士団長。戦いは、終わりました…。」
そう言ってユルキナに
自分の着ていた上着を着せる。
「…ヴェイラ…」
ユルキナはたまらず、ヴェイラに抱きついた。
「さあ、帰りましょう。」
ヴェイラはユルキナを支え、一緒に歩き出した…。

………
「ヴェイラ…。」
ユルキナは、そっと呟く様に言った。
「私の体が変化してしまった事…恐らく、あの総大将は知っていました」
「…何だって…!?」

『ガハハハ!!このオッパイがお前の性感帯か!?こりゃあ『アノ薬』サマサマだなあ!!』
『そうすりゃおめえはもう戦えなくなる!!ただの雌牛になって、ずううううっと乳を出すしかなくなっちまうんだ!!愉快だよなあ!?』

アレスの言葉が思い出された。
「もしかすると…私の…この体の変化は…」
「ユルキナ騎士団長。…城の薬剤師に、原因を究明させましょう」
ヴェイラは決意を込めた声色で呟いた。
「貴女の体の変化は、必ず薬物によるものです。それが誰の、なんの目的があったのか…それを解明するまで、我慢して戴けますか?」
ユルキナは、ヴェイラにまた借りを作ることになる…と思いつつ、了解した。
「頼みます…」
そう言って、ユルキナはヴェイラの腕の中で深い眠りについた。
ヴェイラは小さく溜息をつき、馬へ鞭を叩いた。

続く