『密 会』
SEEN.2『快斗の部屋』〜プロローグ・2〜
快斗は毎日メールチェックをするたびに、
お目当てのメールが来ないのを不信に思っていた。
「まさか・・・まだ解けてない・・・??」
そう言葉に出してみるが、確かめようがない。
自分のアドレスは教えた(?)が、相手のは知らないのだ。
「・・・いや、あんな暗号あいつなら10分あれば解くはずだ・・・。」
時間もなかったからそんなに凝った暗号にはしなかったのだ。
そもそも暗号にしたのだって半分冗談だったのだから。
「ああもぉ・・・。待つのはキライなんだよ!!メールの一つぐらい寄越せって・・・ったく。」
わざわざ大阪まで、確認に行くわけにもいかず、快斗はイライラとPCの電源を切った。
事の起こりは快斗が『怪盗キッド』で居る時に起きた不幸な(?)事故のせいだった。
たまたまその場に居合わせた西の探偵服部平次に何故か助けられて、
怪我の手当てまでしてもらった。
しかも『怪盗キッド』の素顔を見たというのに黙ってるという。
探偵としてはあるまじき行為を平然とする平次。
その時に交した会話が何故か妙にしっくり来るものがあったのだ。
探偵の顔をしてない平次は、オモシロイ奴だった。
素顔はばれてるんだしと、暗号にして自分の連絡先を残してきた。
どんな反応が来るか楽しみにしていたのだが・・・。
「無反応・・・っつーのはあんまりなんじゃねぇか?」
快斗は苦笑しつつ、PCを軽く叩いた。
しかし、それから何日たってもメールが来ない。
快斗はさすがにもうシカトを決め込めまれたんだと思っていた。
「・・・くっそぉ・・・。あったまきた!!絶対メール出させてやる!!」
一番最初に浮んだのが携帯に電話をする事だった。
それが一番確実だし早い番号だって調べてあるから判っている。
しかし、それでは面白味がないという理由で却下された。
次に浮んだのは手紙というか予告状でも送り付けようかと思った。
しかし、キッドとして連絡したいわけでもないのだ。
結局この案も却下された。
「やっぱりメール欲しいんだったらメールを出すのがイチバンだよなぁ・・・。」
快斗はなんとか平次のメールアドレスを知る方法について模索しはじめた。
悔やまれるのが、あの時平次の部屋のPCを立ち上げなかった事。
そうして見ておけば良かったのだ、アドレスを。
しかし、そんな事も言っていられない。
まさかメールアドレスを調べに大阪まで出向くわけにもいかずに快斗は悩んでいた。
PCを立ち上げて。
メールの受信簿を開く。
やっぱり今日もメールは来てない。
「チッ・・・。どうせあのお子様探偵には頻繁にメール出してるくせして・・・。」
そう呟いた自分の言葉にハッとした。
そして次の瞬間快斗は大爆笑したのだった。
何故気づかなかったのか、
メールの受信者の所に行けばカンタンにメールアドレスの入手が出来るという事に。
快斗はいそいそと準備を始めた。
首尾よく、平次のメールアドレスを入手した快斗はごきげんでメールの作成を始めた。
これまで無視させるもんかという思いを込めて。
返事を出したくなるように。
「さぁどうする?西の探偵さん?」
快斗は機嫌良く送信ボタンを押したのだった。
次の日のテレホタイム。
快斗は受信したメールを見てまた大爆笑していた。
「あはははは・・・・。やっぱりヤルじゃねぇかよ。服部。」
平次からの返事の中で、快斗がメールアドレスを入手した先について軽く触れていたのだ。
『自分・・・工藤の家のPC覗いたんやろ?
ちゅうのも、このアドレス工藤以外には教えてへんねや。』
「しっかし工藤専用のメルアド・・・ねぇ。」
やたら工藤に心酔してるアイツらしいとは思うのだが・・・。
「その割には・・・報われてなさそうだなぁ、オイ。」
快斗はメールアドレスを入手した時の事を思いだしていた。
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その日快斗は取り敢えずキッドの扮装をして、工藤邸の方へ進入してみた。
お目当てのパソコンを見つけて立ち上げてみる。
調べてみると、そのPCはどうやら使用してないようだった。
「ふ〜ん・・・。ここのPCではやり取りしてないわけか・・・。」
工藤新一のデーターを頭の中で復唱してみる。
「・・・じゃぁ・・・。お隣りさん家にも寄り道してみるとするか。」
アガサ博士の家に行ってちょっと調べると直ぐに、
工藤新一のノートPCを発見する事ができた。
「ビィンゴぉ♪」
キッドはそのPCを立ち上げてお目当てのメールアドレスを無事入手したのだが・・・。
平次からは頻繁にメールが届いているわりに、工藤新一から平次に出されたのはたったの三通だった。
「・・・。うわ〜〜〜。良く出すよなぁ・・・。返事寄越さない相手に・・・。」
試しに一つ平次から出されたメールを開けてみた。
そこには最近起きた事件の事ばっかりが長々と書かれていた。
「・・・・・・・・・・・・。」
キッドは眉間に手を当てて暫くそのまま固まっていた。
気を取り直して、新一が平次に出したメールを開けてみた。
そこには短く、「もっと簡潔に書け」とだけ書かれていた。
「・・・・・・・・・・・・。」
キッドは深く考えるのを辞めて、PCの電源を落しアガサ邸を後にしたのだった。
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「ある意味根性はあるんだよな・・・。アイツ。」
快斗は苦笑しつつメールの返事を作成する。
メールアドレスの入手については深く触れるのを避けるように。
ついでに、からかいの意味も込めて工藤新一の事をほのめかして。
「まぁこれで面白い事になるってモンだぜ。こっちに来たら観光案内でもしてやるとするか、
どうせあのチビッコ探偵はそーゆー事してなさそうだしな♪」
(金・土・日。三日もあればあちこち連れ回せるだろうし、家に泊めてやる事にでもするか。)
快斗はそんな事を考えながら送信ボタンを押した。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜NEXT『IN東京』
あとがき
快斗サイドの話です。
一応この小説は某サイトの管理人の『怪盗キッド』さまをモデルにしています。(笑)
いつもチャットでなりきりしてる時の雰囲気を大事に作成いたしました。(爆)
さて、続きはとうとう東京編でございます。
二人が遊んでるところを巧く描写できるといいのですが・・・。