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第四章 闇の商売
家についてから、快斗はパソコンの前でデータ−入力に追われていた。
新一と平次はそれが終わるまではすることがなく、TVゲームに燃えている。
部屋のドアがノックされ、寺井が飲み物を持って入ってきた。
「快斗ぼっちゃま、飲み物をお持ちしました。」
「ん、そこ置いといて・・・。」
快斗は返事もそこそこにテーター入力を続けている。寺井は軽く肩をすくめ、
快斗の顔の前に、データ−の入っているであろうMOディスクを差し出す。
「それと・・野々瀬博士の関わっていると思われる研究所の見取り図と
野々瀬博士の今週一週間の行動記録です。」
「さんきゅ〜寺井ちゃんっ♪」
「快斗ぼっちゃま・・・また随分と危険なことに首を突っ込む気でいるようですね。」
「う〜ん・・・。やばそう?」
「研究所の出資者の名前・・・香港のシンジケートの息が掛かった人物ばかりです。」
「やっぱ・・・そっち絡みか・・・。」
「是非、手を引いていただきたいものですが・・・・・。」
「引くと思う?」
「言って引いて戴けるとは思ってません、が・・・用心なさってください。」
そう言うと寺井は部屋を出て行った。
「さて・・・っとデータ−は揃ったな・・・。」
快斗のその言葉に新一と平次はゲームの手を止め快斗の方を振り返る。
「話を整理しよう。まず、野々瀬博士が主に研究しているのは、クローン技術だった。」
快斗の言葉を受けるように平次と新一が返事を返す。
「いまの所、羊でしかやってへん技術やなぁ。神さんへの冒涜やちゅうて。」
「しかし・・・冒涜なんか、まったく気にしない連中が関わってるぜ。」
「花澄ちゃん曰く・・『研究所の人』は、『アレは家畜です。我々はただの牧場主ですよ。』
ちゅうてたやようやし・・・・。」
「必要な肉を必要なところへ・・・つまり・・・・。」
三人の声が重なる『臓器売買』
「かぁーっ!胸糞悪い事件やな・・・・。」
「しかし・・人間をクローンできる技術・・本当にあんのかな。」
快斗の言葉に新一は軽く肩をすくめる。
「さてね・・・それは研究所に行ってみないとなんとも言えないな。」
「せやな、まだ研究段階かもしれへんし・・・。」
「研究段階だとヤツラの方を上げられないんじゃねー?」
「いや・・・研究材料を仕入れしてるやろしな・・・。」
平次が苦虫交じりに呟く。
「何かの事情で親を無くした子を攫ってきて・・・
もう売りさばいてる可能性もある・・・。」
「・・・・そっか・・・。」
「手に入れるべき証拠はそれやな。」
平次が新一に向かいそう言うと、新一は顎に手をあて考え込むように返事を返す。
「ああ、臓器売買をしたリスト、これから売りさばくリスト・・。」
「ヤツラにとっちゃ極秘も極秘『シークレットファイル』ちゅーわけや。」
「相当厳重に管理されている可能性は高いな。」
「それと、研究所からヤツラん所に臓器を送り出してるところの撮影と、
もし掴っている人がいるのならその人達の救出と保護・・・だろ?」
快斗の言葉を受けて新一と平次は軽く視線を絡め頷く。
「なぁ、快斗。自分一人で潜入してそれ全てを行うのは不可能や・・・。」
「冗談っ!怪盗キッドに不可能なんかないんだよ。」
「どう考えても人手が必要だろ。手品でも助手を使うのは当たり前・・・
俺たちじゃ助手には物足りないってのか?うん?」
「新一・・・けど・・・」
「犯罪だ云々は無し。現在ここに居る時点で噛んでるんだからな?」
「そーゆーこっちゃ。今回は共同戦線や抜け駆けは無しやでぇ?」
「どんな危険な状況になるかわかんねぇっつーのに・・・。」
「だからこそ、行くんだろ。」
新一は快斗の頭をぺしっと叩いた
「そーそ、任せとけ俺等は不死身や。」
「そーだな、平次なんか殺しても死にそうにねぇしなっ。」
そう言って、快斗はくすっと笑った。
その時、快斗の携帯電話が鳴り響く。
快斗は緊張した面持ちでその電話にでた。
「花澄ちゃん?」
『キッドさん・・・わたし・・・・。』
少女の泣いているような声が聞こえる。
快斗は電話の設定をを新一達にも聞こえるようにスピーカーに変えた。
『わたし・・父の部屋の金庫を調べてみたんです。
そしたら・・父の日記がでてきて・・・。』
「落ち着いて・・今は安全な所にいるのですか?」
『わたし・・研究所に行かなきゃ・・沢山の兄弟に・・・・』
嗚咽交じりに呟かれる言葉
「花澄ちゃんっ!今何処にいる?!」
『キッドさん・・こんな事に巻き込んでしまってごめんなさい・・・。
もう・・・忘れてください・・・。』
がちゃりと音がした後に切れる通話、快斗は電話を握り締めた。
新一は研究所の見取り図を印刷し始め、更に自分の携帯パソコンにデータ−を移す。
平次はすっとメットと持って立ち上がり、
「20分時間くれや。」
と、部屋を出て行った。
新一は、印刷の終わった見取り図を机に引きにやりと快斗を見る。
「さぁ何処から進入する?」
「お前等って・・・。」
「有能だろ?」
「自分で言うなよ、自分で。」
二人はすぐさま進入や、退出法を話し始めた。
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